Y150博の反省と目標管理

2010-10-12 23:49:30 | カテゴリ:活動報告


 横浜市会は現在会期中です。今日は私もどんな議論が行われるか、「決算第二特別委員会局別審査」を傍聴してきました。

 開催されたのは「都市経営局」に対しての質問。大都市制度や、市立大学についての質問などが行われましたが、今日のお目当ては開港150周年記念事業(Y150博)についての質問。伊藤ひろたか市議が質問に立ちました。

 Y150博の成果や費用、反省すべきことについて、伊藤市議と市の担当者との議論が交わされましたが、私が最も重要だと感じたことは、

「どんな目標を立て、それを実現するためにどんな手段を選び、効果をどう評価するか」、

ということです。

 Y150博には5つの目標がありました。

  ・港と先人の業績への感謝及び賞賛
  ・市民であることの一体感の醸成
  ・夢や希望にあふれるまつへの礎をつくり、その魅力を発信しながら再発展を図る
  ・「横浜らしさ・ならでは」へのこだわりと創造
  ・大きな盛り上がりの創出とプロモーション活動強化による集客力向上

といった内容です。これらの目標に対して取り組まれた事業が、

  ・横浜の新たな顔づくり・まちづくり推進
   -象の鼻地区再整備、マリンタワー再整備など
  ・市民力・地域力発揮プロジェクト
   -市民イベントの開催など
  ・次世代育成・人材育成プロジェクト
   -コンペティションの誘致、国際交流の推進など
  ・横浜開港“ハッピーバースデー”プロジェクト
   -式典やイベント

の4つです。

 5つの目標それぞれは重要な目標だと思います。しかし、4つの事業それぞれが、どうやって目標達成に寄与していくのか、市の担当者の回答は曖昧なものでした。

 どんなに素晴らしい目標を立てても、実現するための手段を間違えば、絶対に達成できません。また、目標と手段があっても、その行程を管理できなければ達成できません。

 一方で、成果と反省についても担当者から回答がありました。成果としては、717万人来場者があった、622億円の経済波及効果があった、110億円の広告宣伝効果があったという回答でした。確かに数字だけを並べれば大きな効果があったように見えるかもしれませんが、投資した額に見合っていたのかどうか。費用対効果はどうだったのかが、検証されていません(大体、この回答のなかの717万という数字は総来場者数であり、有料入場者数は124万人で、目標の500万人には遠く及んでいません)。

 伊藤市議の発言の中で、以前東京お台場で公開された実物大ガンダムの例がありました。制作費は非公開で10億とも20億とも言われているそうですが、2ヶ月間での訪問者が、なんと415万人でした。一方のY150博は、162億円の事業費が投じられています。もちろん、単純に比較はできませんが717万人を集客するのに、162億円が適当であったのか(162億円で717万人が妥当だったのか)を評価しなくては、成果があったかどうか判断ができません。

 最後に副市長からは、「明確な目標管理とリスク管理を行う」旨の発言がありました。今後の市政において、同じ失敗を繰り返さないためにも、目標の設定、手段の選択、効果の評価をしっかりと管理できる仕組みづくりが重要です。

Comments 4

  1. 草田 より:

    Y150博の反省がこの時期でも行われているとは、相当課題が多かったイベントでしたね。私自身はヒルサイドエリアによく足を運び、様々なテーマに基いた体験や地域交流を楽しむ事ができ、有意義なイベントだったと思います。
    ちなみに、この前の3連休中に奈良へ行き、平城遷都1300年祭で当時(西暦700年代)の体験を楽しみました。
    Y200博は是非、成功して欲しいものです。多分、私は生きていないと思うけど。

    • 藤崎浩太郎 より:

      一つ一つの事業・企画は面白いものも多く、ボランティアの方々の交流も活発に行われたようですね。でも24億円の赤字を出してしまいましたし、その財源は私たちが納めている税金ですからね。しっかり反省しなくては。Y200博は、私はなんとか大丈夫かな(笑)
      奈良旅行うらやましいです!子どもの頃、母と夏休みに石舞台古墳や飛鳥寺などに行ったのを思い出します。

  2. 山内 より:

    私自身は2回目のトリエンナーレ以来、行政のこうしたイベントに注目し取材したり、関わったりしていますが、この手のイベントの総括として、どうしても数字におき直さなければ評価できないという現状にもあるように思います。
    トリエンナーレも3ヶ月近く開催し、20万人程度の来場者ですから数字的な評価は低いのもやむなしといえるかもしれません。しかし、10年後、20年後の再評価としては「あの時トリエンナーレをしていたから・・・」「あの時Y150を開催していたから・・・」といわれるようなシーンがあるように思えます。あまりにも漠然としていて、裏付けのないコメントなので無責任に聞えるかもしれませんが、後世に評価されるようなムーブメントもあるものです。
    大阪万博の技術的資産が社会の財産として一般的に活用されるようになったのは、ここ10年くらいのことですし、私たちが見えてない社会的価値を横浜が主催する多くのイベントに見いだせないかを考えるのも重要に思えます。

    • 藤崎浩太郎 より:

      山内さんコメントありがとうございます。

      行政の行った事業として、費用対効果の評価は免れられないと考えます。その意味から、数字で評価をし、反省しなければいけないと思います。もちろん、評価・反省は悪い点だけではなくて、良かった点も指摘します。

      何にせよY150博は行われたわけですから、象の鼻やマリンタワーなど、残っていく資産は有効に活用した方がいいですよね。それに、市民の交流も活発に行われたようですから、山内さんのおっしゃるように、Y150博で生まれた縁から、また新しい何かがスタートするかもしれません。

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