議場の活用と高校生議会。奈良県議会視察報告。

2016-03-29 08:06:17 | カテゴリ:活動報告


藤崎浩太郎

昨日(3月28日)、所属する市会運営委員会の視察で、奈良県議会を訪問しました。

高校生議会

伺ったお話の中で面白かった内容の1つが、「奈良県高校生議会」です。平成24年から知事提案によって始められた取組で、高校生が実際に議場で質疑を行い、知事や教育長ほか責任職の方が答弁を行うものです。「次世代を担う高校生が、知事及び県議会議員と、住みよく魅力ある奈良県づくりについて意見を交換することにより、奈良県政や県議会への理解と関心を高める」ことが、目的とされています。

県内から教育委員会を通じて参加高校を募集して、2015年度は6校26名が参加しています。参加しているのはほぼ生徒会の生徒たちということで、学校へ募集の案内があると、そのまま生徒会へ案内が行くケースも多いようでした。2015年度は8月20日に開催されていて、夏休み期間に行われています。当日は10時からオリエンテーションが行われ、10時40分からは高校生による「議会運営委員会」。リハーサルなどを経て、13時から実際に高校生議会が始まります。高校生からの質問が各校から行われた後、提言と採決が行われて、閉会となります。

質問の調整などは、実際の議員による質問の際と同様に調整が行われています。高校生の質問が散漫だったり、浅かったりすれば、当局と高校生との間に議会局が入って調整を行い、出来上がった質問に対しても、当局がしっかりと答弁を用意する。実際に議事録を拝見すると、迫力のある質疑が行われているのが分かります。参加した高校生からは、「来年からの選挙に積極的に参加したい」、「議員になりたくなった」といった感想があったそうですが、そうした反応があるのも双方真剣に取り組んでいるからでしょう。

開かれた議会を目指す

高校生議会のような取組が行われてきた背景には、奈良県議会としての課題である、「県議会の役割や存在が、県民に理解されていない」ことを解決しようという大きな流れがあります。県民に親しまれる、開かれた議会を実現しようと、他にも幾つかの取組が行われています。その1つが、議場コンサートです。

平成25年から始まった「議場コンサート」は、2月議会の開会日(初日)に、本会議開始前の30分間議場でコンサートを行うというもの。奈良フィルハーモニー管弦楽団から、今年はフルートとピアノの方2名が出演し、3曲演奏を行っています。一般の県民の方が公募で100名参加し、傍聴席から演奏を聴くことができます。演奏が終わるとそのまま本会議が始まるので、議会側の狙いとしては、演奏を楽しんだまま本会議を傍聴してもらって、議会に親しんでもらおうということがあります。今回は100人中30名ほどがそのまま残って、本会議を傍聴されたとのことでした。

その他にも議場を使った行事が行われていて、議会主催では「議場見て歩き・ミニ音楽会」。行政主催だと、「県内大学生が創る奈良の未来事業公開コンペ」(大学生が行った政策提案を事業化するもの)、「1日こども知事」(小学5・6年生による体験事業)などが行われています。上述の「高校生議会」が導入された背景にはこの辺の流れがあり、大学生や小学生向けの企画があったことに対して、高校生向けにも何か行いたいという知事の考えが、第1回目の開催につながったそうです。

議会運営

議会活性化についても取組があり、平成22年度には議会基本条例が設けられています。条例の一環として平成25年度から「政策検討会議」が設置され、議決対象となっている県行政に関する基本的な計画等の審議を行っています。また「議会改革推進会議」では、特別委員会の見直し、質問要旨の傍聴者への提供、議案に対する賛否等の公表、予算・決算審査特別委員会の見直し、質問回数制限の撤廃などが取り組まれてきたとのことでした。平成25年度には更に、議会局政務調査課に1名増員が行われていて、議員のサポート機能の充実が図られています。その他にも、政策検討会議の枠組みの中で、議員の関心の高いテーマのセミナー開催や、市町村議会議員向けの議会改革シンポジウム、決算審査研修会などが行われ、議員の能力向上のための取組も実施されています。

ICT化の推進は横浜同様課題があり、PC・タブレットの持ち込みは禁止(6月から試行実施の可能性あり)だったり、ペーパーレス化の取組も具体的にはこれから。Wi-Fiの整備や、ネット中継がタブレットでは見れないなど、横浜市会がすでに対応済みのものも、これからというところがありました。バリアフリー対策は平成7年にハード面での改修が行われ、車いすの方用の傍聴スペースの設置、障害者用トイレ、点字ブロックなどが整備され、今後は本会議の際に手話通訳を入れる準備をしているそうです。速記者は10年ほど前には廃止になり、録音データを業者に文字起こししてもらっていて、コスト的にも削減され、現時点で特に困ることもないということでした。

奈良県議会

奈良県議会

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