横浜市会平成29年度予算第二特別委員会 環境創造局審査(2017.3.8)

2017-03-11 16:29:13 | カテゴリ:活動報告


3月8日(水)、横浜市会平成29年度予算第二特別委員会におきまして、環境創造局の審査を行いました。

1 みなとみらい2050プロジェクトアクションプラン
2 生物多様性横浜行動計画(ヨコハマbプラン)
3 生物の生息調査のデータ活用
4 都市の暑さ対策のデータ活用
5 地積調査成果管理システム化事業
6 下水道事業における海外水ビジネス展開支援事業
7 市内公園の活用「サウンディング型市場調査」
8 付加価値の高い農畜産物の生産振興

という8項目について、答弁を求めました。

以下、質問の原稿と答弁のメモです。
(※議事録ではないので、実際の内容とは若干言い回し等が異なります。)
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1 みなとみらい2050プロジェクト アクションプラン

温暖化対策や環境への取組は、社会的にも政府としても取り組まなければならないものであり、また取組次第では、都市の魅力を、ブランド力を高めることにつながります。そうした視点、期待から、みなとみらい2050プロジェクト、bプランについて質問してまいります。

環境未来都市の取組全体を先導していくための環境未来都市推進プロジェクトの一つに、みなとみらい2050プロジェクトがあります。平成26年度に策定したアクションプランをもとに、公民連携での取組がスタートして、今年度ですでに2か年経過しています。はじめに、

質問1 現在の取組状況について、環境未来都市推進担当部長に伺います。
答弁1 アクションプランに掲げられた、強化すべき4つの分野、エネルギー、グリーン、アクティビティ、エコ・モビリティにおいて、地区内の企業を中心に延べ47社が参加した、5つのプロジェクトチームにより、取組を進めています。具体的な成果として、アクティビティ分野では、この地区の魅力の一つである夜景を活かした、参加型の環境啓発イベント、エコ・モビリティ分野では、多様な次世代交通の体験の場として、パーソナルモビリティを活用したまちづくりの実証実験などを実施しました。

1つの目標年度となる、2020年まで残り3年。アクションプランで示されている環境ショーケースは、高い理想像を描き、環境技術のフィールドチャレンジ、環境技術とアートのコラボレーション、歩いて楽しめるスマートな緑花空間のイメージが例示されていますが、まだ具体的な取組の提示までは至っていません。そこで、

質問2 スマートなまちづくりに向けた環境ショーケースについて、29年度、どのような取組をしていくのか、環境未来都市推進部長に伺います。
答弁2 委員ご指摘の3つの取組の方向性を踏まえ、29年度は、パシフィコ横浜での面的エネルギーの利用をはじめとした、最先端の環境技術の導入や、パーソナルモビリティなどによる、新たな移動手段の検証など、多様な次世代交通の体験の場の創出、さらには、公園以外の民有地や公共空間等を活用した、新たな緑化の推進などについて、企業、大学等の多様な皆様とともに、取り組んでいきます。

このプロジェクトの現状として、コンソーシアムの形成という推進体制の確立に、大変苦労していると聞いています。これまでに無い取組を実現しようとしながら、様々な関係者との調整、合意形成を図っていくことが、なかなか一筋縄ではいかないと伺っています。

横浜市や一般社団法人横浜みなとみらい21(YMM)が、取り組んだことが無駄な努力で終わらないように、目的を達成できたのかどうか、どこで達成したのか判断するには、これまでの取組状況を振り返ることは重要です。

特にアクションプラン全体で言えば、他局で実施されている事業を様々包含し、まとめ上げられているという特徴があります。アクションプランにも目的が掲げられています。目的がある以上は、各事業の実現が、その目的の実現につながっているのか、目的が達成されたのかどうかを、把握し、主導していくことが重要で、そのためには数値などの明確な指標が必要ではないかと考えます。

そして仮に各事業が計画通り実行されても、肝心のアクションプランの目的が達成できていなかった場合、これまでのアプローチや手段を見直す必要があります。そこで、

質問3 環境ショーケースを実現していく上での課題と対応について、本部長に伺います。
答弁3 今後、ますます激しくなる都市間競争を勝ち抜き、世界の人々に選ばれる都市になるためには、みなとみらい21地区において、地区内の企業、市民の皆様と行政の連携を強化しながら、常に先進的な取組にチャレンジし続けていくことが、重要であり、課題でもあると考えています。そのためには、多様な主体が思いを一つにして、協力して取組を進め、一つ一つ取組効果も共有しながら、まちの魅力・価値を持続的に生み出し、国内外の都市に対しても、存在感を高めることができるよう、プロジェクトを推進していきます。

アクションプランには、「まちの魅力や価値を一層高め、選ばれる都市である「世界を魅了する最もスマートな環境未来都市」の実現」が目的として掲げられています。この目的を掲げて、アクションプランを形成している以上は、曖昧にしてはいけないと考えます。指標が無いとなってしまうと、アクションプランとは言えないのではないでしょうか。そこで、

質問4 都市の魅力づくりについて、具体的な指標が設定されていないが、現在どのように評価し、今後どのように取り組んでいくのか、本部長に伺います。
答弁4 みなとみらい21地区は、横浜の都心部における重要なエリアとして、歴史や、ウォーターフロントの景観を活かした街並みの形成など、最先端のまちづくりを進めてきました。今、委員より指標がないとご発言がありました。指標と言えるか分かりませんが、国内外から8,100万人の来街者が訪れるとともに、日産本社など、1,700を超える企業が集積する、首都圏を代表する街として、国内外から高く評価され、更に成長を続けています。今後は、このような状況に甘んじることなく、都心機能の更なる集積を進めるとともに、魅力的な街へと発展する先進的な取組を続けることで、この地区に訪れたい、働きたい、住みたいと、感じていただける都市づくりを進めていきます。

環境への取組は、日本中、世界中で行われているという中で、如何に本市が抜け出して、魅力へと繋げていけるかというのは、簡単なことではありません。横浜に住みたい、横浜で働きたいという魅力に繋げられるように取り組んでいただきたいと思います。

2 生物多様性横浜行動計画(ヨコハマbプラン)

みなとみらい2050プロジェクトアクションプランと同様に、ヨコハマbプランでは計画策定の意義の一つとして「横浜の魅力につなげる」を掲げています。そこで、

質問5 ヨコハマbプランでは都市の魅力づくりについて、具体的にどのような指標を設定し、現在どのように評価しているのか、局長に伺います。
質問5 大都市でありながら、生物多様性の豊かな自然環境が身近にあることが、横浜の都市の魅力の一つであると捉えています。生物多様性横浜行動計画においては、この身近な自然環境を保全するため、具体的な取組を72項目位置付けています。それぞれの取組に、数値や文言による目標を設定しており、概ね着実に推進しているものと考えています。

今お答えいただいた72項目の取組の現状や目標の多くが「推進」となっており、成果を評価することが難しくあいまいになってしまうと考えます。そこで、

質問6 現状や目標が「推進」となっている取組が多いことについて、局長のお考えを伺います。
答弁6 例えば外来種に関する普及啓発など数値目標になじまない取組については、「推進」と設定している取組もございます。したがって、「推進」という表記が多くなることもやむを得ないものと考えています。

ヨコハマbプランは、庁内の取組を横断的に取りまとめたデータベース的な政策パッケージとなっています。一方で、bプラン自体にも目標があり、2025年の将来像「身近に自然や生き物を感じ、楽しむことができる豊かな暮らし」を実現するという目標となっています。この目標を達成するには、個別施策の進捗管理を行うだけでは不十分です。目標実現に対してbプランが、それぞれの個別施策を主導していかなければ、個別施策が目標を達しても、bプランの目標が達成されないということになりかねないと考えます。そこで、

質問7 ヨコハマbプランの目標に掲げる2025年の将来像の実現についての考え方を、局長に伺います。
答弁7 委員ご指摘の「身近に自然や生き物を感じ、楽しむことができる豊かな暮らし」こういった将来像を実現するため、環境に関する諸計画だけでなく庁内のあらゆる事業の中に生物多様性の視点をもつことが重要であると考えています。今後とも、将来にわたって生物多様性の恩恵を受け続けるため、生物多様性の理解を深め、行動に結びつけていくよう、市民、企業・団体、行政に対する普及啓発に取り組んでいきたいと考えています。

生物多様性の保全が大切なことや、そのために諸計画と整合性を図りながら、計画を推進する必要があることは理解できます。しかし、その目標値は、市民に分かりやいことが重要です。

本市のもつ様々な計画には、みなとみらい2050プロジェクトアクションプランやbプランのように、横串を刺した、データベースのような計画がいくつも見受けられます。それぞれが独立しているように見えて、実際には個別の施策が、複数の計画に掲載されているという現状があります。2050プロジェクトもbプランの中に入っています。一方、こうした計画にはそれぞれ目標が置かれているわけですが、まとめられて掲載された個別施策の遂行が、各計画の目標達成につながるように、計画自体が個別施策を主導する役割を果たせなければ、個別政策の実現が、計画の目標達成につなげることができません。計画のための計画になってはいけないわけです。そこで、

質問8 みなとみらい2050プロジェクトアクションプランやヨコハマbプランのような施策横断的な計画が、個別施策をどう主導していくかについての考え方を、副市長に伺います。
答弁8 今ご指摘いただきましたように、施策横断的な計画はいくつも持っているわけでございますけれども、その実施に際しましては、計画で検討した基本的な方向性、あるいはその狙いなどを常にしっかりと踏まえたうえで、個々の施策を推進していくことが大切だと考えています。そのため、施策横断的な計画を所管する局というのがあるわけですが、個々の施策を実施する区局に加えまして、市民・企業・団体等の皆様と先ほど申し上げました基本的な方向性、あるいは狙いなど共通の認識をきちんと持って、取り組んでいただけるように努めていくことが重要であると考えます。

質問9 来年度は中期4か年計画の見直しを行っていかなくてはならない年であり、様々なプランが中期4か年計画に入っているわけです。そうした中で、、中期4か年計画の見直しに基づきながら、様々な計画のあり方自体も整理していく必要があると感じますが、副市長の考えを伺います。
答弁9 今の中期4か年計画は、来年度で終わりということになります。確かに、中期4か年計画もいろいろな切り口で、横断的なくくりをしながらまとめてやっています。目標も、先生からご指摘があった「推進」という表記も、中期4か年の中にはございます。今、先生からご指摘いただきました、横断的な施策のあり方ですが、そこは中期4か年計画を策定する段階で、整理できるものは整理しつつ、市民の皆様にどういう切り口の計画なのかということを分かっていただくことがとても重要だと思いますので、検討させていただきたいと思います。 

みなとみらい2050プロジェクトアクションプランもヨコハマbプランも、それぞれが掲げる目標を達成することで、横浜の魅力を高め、選ばれる都市“横浜”を実現していただくよう、今後も着実に取り組まれることをお願いし、次の質問に移ります。

3 生物の生息調査のデータ活用

環境創造局では、「横浜市中期4か年計画」の重要施策の一つとして、豊かな生物多様性の実現に向けた様々な取組を進めていますが、市民が生物多様性を学ぶ上で、横浜にどのような生物が生息しているかを把握することは重要だと考えます。まず、

質問10 現在の、生物生息状況調査の実施状況について、政策調整部長に伺います。 
答弁10 環境科学研究所では、希少種を含む動植物について、昭和48年度から3~4年ごとに河川、海などの水域を中心に生物調査を実施しています。平成27年度は、41地点で、魚類、水草、水質等
の調査を行いました。また、陸域については、平成24年度から本格的に調査を実施しており、毎年、公園や市民の森等の3つの地点で、植物、ほ乳類、鳥類、昆虫類等の6項目で、生息状況等を調査しています。

現在、環境科学研究所では、ホームページに掲載しているものでも詳細な調査報告については、利用者の問い合わせに応じて、申請手続きを必要としているものがあります。調査で得た有用な情報を市民に提供することは重要だと考えます。そこで、

質問11 情報提供にあたっての課題は何か、政策調整部長に伺います。 
答弁11 情報提供における課題としては、生物生息情報には、国や県のレッドリストに掲載されている希少種も含まれていることから、慎重に取り扱う必要があることがあげられます。

より市民にわかりやすく提供して頂きたいと思いますが、環境科学研究所の平成29年度事業計画では「横浜市の各部署が行った環境調査結果について一元的な情報としてとりまとめ、生物生息情報のデータベース化を進めます」とあります。そこで、

質問12 データベース化とはどのように進めるのか、局長に伺います。  
答弁12 まず、本市の各部署の生物調査の実施状況を把握し、各調査のデータを収集します。その後、データ形式を整えてデータを一元化し、データベースシステムに格納して提供します。提供の方法としては、研究者や企業が加工して利用できるような形式での提供のほか、専門家ではない市民の方が調べたり、検索したりできるような形式での提供が考えられます。データベースシステムの独自開発やメンテナンスには、多大なコストを要するため、データの提供にあっては、例えば、環境省が運用している「いきものログ」のような既存システムの活用を含めて検討していきます。

昨年施行された「官民データ活用推進基本法」では、地方公共団体が官民データについて、インターネット等で容易に利用できるよう必要な措置を講ずることとされています。環境科学研究所の生物生息情報は、本市の各部署が調査して得られた貴重なデータであるので、本市が集めたデータとして、本市のホームページで直接、市民へ提供する必要があると考えます。そこで、

質問13 横浜市が持っている生物生息状況のデータを市民の皆様が気軽に閲覧できる方式で、横浜市のホームページに掲載するのが望ましいと考えるが、局長の見解を伺う。
答弁13 より多くの市民の皆様に閲覧していただき、生き物に関心を持っていただくことが重要だと考えています。希少な生き物のデータについては、慎重に取り扱う必要もありますので、様々な観点から検討していきます。

生物多様性保全の意義が市民にさらに浸透するためにも、生物生息状況のデータにより簡単にアクセスできる機会の創出が大事である。今後の検討に期待する。

4 都市の暑さ対策のデータ活用

環境科学研究所では、夏季の市内気温観測を長期間、継続しているということです。近年の夏の暑さは厳しくなる一方ですが、こうした観測データを活用して、課題解決に繋げたり、魅力向上につなげたりして頂きたいところです。まず、

質問14 観測の地点数と観測地点の選定方法について、政策調整部長に伺います。 
答弁14 観測地点数は、14年の観測開始以来、年により、変更はありますが、昨年は44地点でした。また、観測地点の選定方法は、百葉箱のある小学校のうち、市内全域での偏りのない地点を選定しています。

市内一円で観測しているようですが、

質問15 具体的に観測はどのように実施しているのか、政策調整部長に伺います。 
答弁15 小学校の百葉箱内に、温度計を設置し、毎正時の気温の瞬間値を、1時間ごとに観測します。観測期間は、7月1日0時から8月31日23時までの、延べ1,488時間です。全44地点のデータ数の合計は、65,472点となります。

詳細なデ-タを解析して、分かりやすい市域図などの形で記者発表をされています。しかし、この膨大なデ-タが、様々な形で使われていないのは、大変に勿体ないことと思う。
そこで、

質問16 詳細デ-タの利活用のために、デ-タの公開はしないのか、局長に伺います。  
答弁16 観測した数値そのものを公開するためには、検定等が必要となる非常に高価な測定機器を使用した観測を行い、気象庁に届け出ることが、気象業務法に定められています。環境科学研究所が実施している気温観測は、同法に規定する政府機関又は地方公共団体が行う教育・研究を目的とするもので、測定機器も検定等の不要なものを使用しております。このため、観測した数値そのものの公開はできないことになっています。

細かい法令の規定に則った形で調査・研究されていることが分かりました。法律は国の管轄で、地方自治体の裁量の及ぶ範囲は限定されてしまいます。

一方で、昨日3月7日には、「気象データを高度利用した我が国における産業活動を創出・活性化」を目的に、気象庁が産学官による「気象ビジネス推進コンソーシアム」が、設立されています。環境科学研究所においても、貴重な気象デ-タを市民のために利活用できるよう検討していただきたいと要望します。

5 地籍調査成果管理システム化事業

地籍調査の成果である簿冊や図面の多くは、いまだに紙資料のみの管理となっているということであり、この事業により、これを電子データ化すると聞いております。そこでまず

質問17 この事業の目的と、いつまでに完了させるのか、局長に伺います。
答弁17 現在、地籍調査の成果である簿冊や図面の多くは紙による保管で、劣化が進んでいるものもあるばかりでなく、被災時には、滅失するリスクがある状態です。これらの成果を電子データ化しておくことで、滅失のリスクを減らし、災害時の早期復旧などに最大限活用できるようになります。電子データ化の終了見込ですが、国・県の財源確保が前提になりますが、紙で保管している資料の量を減らすこともできることを踏まえ、新市庁舎移転前には完了したいと考えています。

地籍調査成果の滅失のリスクを減らし、災害復旧時などに活用することができるということですので、これからいつ震災などが起きてもおかしくないという状況において、早期にこの事業を完了させるべきと考えます。昨年、国の経済対策補正で財源を確保したように、国・県の財源確保に努力し、ぜひ、事業の早期完了を目指していただきたいと思います。

ここでスライドをご覧いただきます。ご覧の通り、年間7,500件程度、1日当たり31件程度の窓口閲覧があり、結構な回数の閲覧が行われていることがわかります。地籍調査の成果については、現在、紙ベースで、事業者や市民の方に窓口で閲覧していただいていると聞いています。そこで、

質問18 現在、地籍調査成果の閲覧にかかっている人件費はどのくらいなのか、総務部長に伺います。
答弁18 閲覧に係る部分だけの人件費を正確に算出することは困難ですが、主に閲覧業務を担当する嘱託員の人件費でいえば、年間約560万円になります。

閲覧の仕事に、それなりの経費がかかっているようです。事業計画では「窓口での閲覧システムの導入」となっていますが、現在窓口で閲覧している方が市のホームページなどから閲覧できるようにすれば、事業者の方たちが閲覧のために市庁舎まで来る必要がなくなり利便性が向上するといった効果がありますし、市にとっても閲覧に係る経費の削減につながるなど、双方にメリットがあると思います。そこで、

質問19 電子データ化された地籍調査成果を、ウェブ上で見られるようにすることが必要であると考えますが、これについて局長の考えを伺います。
答弁19 地籍調査の成果は、市民の財産である土地に関するものであり、また、国土調査法をはじめ、関係法令で決められている手続等との整合などを確認する必要もあると考えます。一方で、事業者の方々にとっては、閲覧のために市役所まで来る手間が省けるなど、サービスの向上につながります。そのため、法制度との関係や費用対効果も踏まえ、電子データ化が全て終了するまでの間に、検討します。

整理すべき課題もあるようですが、ウェブ上で閲覧できるようになれば、市民・事業者へのサービスが向上することになりますので、ぜひ検討を進めていただきたいと思います。

6 下水道事業における海外水ビジネス展開支援

アジアの新興国等では、人口増加、経済成長に伴う都市化の進展により、水資源の不足のほか、生活における衛生問題や河川等の水質汚濁が進むなど、水環境課題が顕在化していると聞いています。これらの課題解決に向けたニーズに関心が高まるなか、横浜市や市内企業等が有するノウハウ、技術が活用できると考えます。横浜市と市内企業等が連携し新興国等の課題解決に取組むことは、国際貢献と共に企業のビジネス展開に繋がることが期待でき、市内経済の活性化に繋がる重要な取組みと考えます。

横浜市では、横浜の資源・技術をいかした公民連携による国際技術協力「Y-PORT」をはじめ市内企業等の海外水ビジネス展開支援を進めていますが、特に上下水道分野では、23年度に市内企業・団体等で構成する「横浜水ビジネス協議会」を設立し、積極的に市内企業等の海外水ビジネス展開支援を進めていると認識しています。まずはじめに、

質問20 横浜水ビジネス協議会会員企業と連携したこれまでと29年度の取組みについて、下水道計画調整部長に伺います。
答弁20  JICAが進める海外プロジェクトや企業向けセミナー情報を横浜水ビジネス協議会会員企業に提供するとともに、企業が有する技術を活用した現地での技術協力、視察や研修の機会を捉えた技術紹介などに取り組んでおり、28年度は延べ11回実施しました。29年度も引き続き、ベトナム国ハノイ市等で企業と連携した技術協力を進めるとともに、海外からの視察の機会を捉えたビジネスマッチング等を実施します。

環境創造局の職員が市内企業等と連携して国内外で活動し、市内企業等の水ビジネス展開を支援することで受注機会の創出、拡大に取組んでいることは評価したい。一方、活動の成果として、税収増につながったとか、経済成長につながった、企業誘致が進んだなど、市が企業を支援する以上は、市内経済活性化にどの程度貢献できているかを把握することが大切と考えます。そこで、

質問21 海外水ビジネス展開支援の効果をどのように把握しているか、局長に伺います。
答弁21 横浜水ビジネス協議会会員企業と連携した合同調査やビジネスマッチングを契機とした受注件数を把握しており、これまでに9件の実績があります。具体的には、市内中小企業がフィリピン国における汚泥管理に関する調査や、汚泥脱水装置の普及に向けた適合性を確認する事業などを受注しました。

市が支援すれば必ず受注できる、必ず経済成長につながる、ということはもちろん難しいわけですが、投資と効果について評価し、見直すことができなければ、効果のない、税金を投じる意味のないことを延々と続けたり、逆にもっと投資すればもっと効果が上がるのに、投資できないといったことも起こり得ます。企業の水ビジネス展開支援を進めていくか否かを判断するためには、投資と効果の評価による点検、見直しが大切であると考えます。そこで、

質問22 海外水ビジネス展開支援の効果を定量的に評価すべきと思うがどうか、局長に伺います。
答弁22 横浜水ビジネス協議会会員企業が有する技術を活用した国際貢献活動の取組が、海外水ビジネス展開に繋がってきているところです。しかしながら、企業が受注したプロジェクトにおける損益を把握することが困難なため、効果を企業収益に基づき評価することは難しいと考えています。定量的な評価は大切と考えていますので、今後も 受注実績等の把握に努めます。

事業展開に伴う経済効果について具体的な数値を把握するのは難しいと思いますが、できる限り投資と効果を定量的に評価したうえで事業を進めるべきと考えますので、要望をしておきます。

7 市内公園の活用「サウンディング型市場調査」

近年、全国的に公共空間を民間に活用してもらい、使用料収入などで市の歳入を確保し、地域の活性化や賑わいの創出につなげようという取組が盛んになっています。

環境創造局では、都市公園の魅力向上や地域の活性化のために、民間事業者のアイデアを広く調査する「都市公園の活用に関するサウンディング型市場調査」を行っていますので、その結果に注目しています。現在は対話の申し込みを締め切り、個別の対話を実施しているということですが、

質問23 「都市公園の活用に関するサウンディング型市場調査」の実施状況について政策調整部長に伺います。
答弁23 サウンディング型市場調査には、57団体から80案件について、個別対話の申込をいただきました。申込数が予定よりも多かったため、現在、対話の実施期間を延長して調査を行っています。

多くの提案があり良かったと思います。こうした民間事業者の熱意を十分に生かすためにも、この調査を、具体的な取り組みにつなげていくことが重要です。そこで、

質問24 今回の調査をうけて今後どのように具体的な取組みを行っていくかについて局長に伺います。
答弁24 御提案いただいた内容について、魅力向上の内容、収益性、事業の継続性、地域の意向、制度面の課題などをふまえ、具体的に取り組む公園や条件を決定します。その上で、公募の手続き等を行い、事業を進めます。

横浜では、約9割の公園で、地域住民の方々で結成する「公園愛護会」が活動されています。これまで本市の公園管理においては、愛護会の皆様に大変お世話になってきています。民間事業者の提案を具体的に進めていくうえで、公園愛護会の皆さんをはじめ、地域住民の方々や公園を利用される皆さんの理解は欠くことのできないものと考えますが、

質問25 具体的に事業化を進めるにあたっては、地域の方々の理解が重要だと思いますが、局長の見解を伺います。
答弁25 具体化を進めるためには、近隣にお住まいの方々や公園を利用される皆様に、地域や公園の新たな魅力を生み出す、今回の取組の趣旨や内容を御理解いただくことが非常に重要だと考えています。皆様にきちんと御説明しながら、丁寧に取組を進めていきます。

今回の調査対象は、すでに開園している公園を対象としており、現在整備中の公園や今後整備が予定されている公園は含まれていません。先日、羽根沢公園の整備が都市計画決定されました。2.6haもの広大な土地で、総事業費は約24億円と試算されています。大きな予算を要する計画ですから、整備手法など新たな手法も含めて検討していくことが必要ではないでしょうか。また、全国を見渡せば、有馬富士公園やモエレ沼公園など、大規模な市民参加による公園利活用が行われている事例もあります。

今後行われる新たな公園整備において、新たな手法を導入し、計画・整備段階から民間事業者のノウハウやアイデアを活用することで、より魅力的な公園づくりや整備費用の圧縮にもつなげられると考えます。そこで、

質問26 既存の公園だけでなく、新規の公園の整備や管理運営についても民間事業者の資金やノウハウを生かした取り組みを推進すべきと考えますが、副市長の見解を伺います。
答弁26 今、調査中とのことですが、大変多くの御提案をいただけそうだということなので、おそらく御提案の中には、新規に整備する公園でも取り入れられる提案もあると思います。新たな公園を整備する場合には、地域にお住まいの方々がどんな公園をお望みなのかという御意見もしっかりとらえる必要があります。その上で、今回の提案の中の生かせるものについては、民間事業者の皆様のノウハウ等を生かす方法についても検討していきます。

今回の調査は、今までの取組から一歩踏み込んだものと理解しています。具体的な成果につながることを期待したいですし、大規模な公園の整備が今後予定されていることからも、これからの公園整備や管理のあり方を考えていくべきだと思う。

8 付加価値の高い農畜産物の生産振興

横浜市では、農業経営の安定化を目的として、飲食店のニーズの高い農畜産物を推奨品目として指定し、生産者に対して作付の奨励や生産施設設備の導入補助を行うとともに、生産者と飲食店をマッチングするなどの取組を27年度から進めています。取組から約2年がたち、成果も出始めているところではないかと思います。そこで、まず、

質問27 市が指定した推奨品目の作付奨励及び生産施設設備等導入補助の実績について、農政担当部長に伺います。
答弁27 27年度は、カリフラワーの一種で、色や形に特徴のあるロマネスコなど9品目の作付に対し、37件の奨励金の支給を行いました。また、収穫時期を長く確保するためのビニールハウスの設置や、生産性を高めるための小型トラクターの購入等に対して、5件の補助を行いました。

続いて、

質問28 生産者と飲食店のマッチングの実績について、農政担当部長に伺います。
答弁28 27年度は、生産者と飲食店の交流会や、飲食店による農業専用地区などの生産現場見学ツアーを実施し、5件の新たな取引が生まれました。28年度は、交流会を行うとともに、新たに生産者と飲食店の商談会を12月に実施し、いくつか新たな取引に向けた調整が進んでいると聞いています。

推奨品目の作付等を行った生産者を中心に、飲食店とマッチングしていくという事業の流れになっていますが、具体的な成果があがっていることが重要だと考えます。そこで、

質問29 これまでの取組の実績に対する評価について、局長に伺います。
答弁29 生産者の皆様からは、「飲食店から食材のニーズを聞くことができた」、「ネットワークが広がった」などのご意見をいただき、飲食店の皆様からは「お客様に生産者の声を伝えられる」、「新たなメニューを考える意欲がわいた」などの御意見をいただいています。また、マッチングにより、市民の皆様が市内産農畜産物を楽しめる飲食店を増やすことにもつながるなど、様々な面から成果が上がっていると考えています。

取組を行った生産者の皆さんから一定の評価が得られているということ、定性的には評価されているということでした。しかし、現時点では、事業の対象者が限定されており、成果としては不十分ではないかと思います。さらに高い成果をあげていくためには、事業に広がりを持たせ、参加する生産者の増加にもつながるような工夫が必要です。特に、この事業に参加すれば収入が増える、みたいな分かりやすい数字での成果というのが重要ではないでしょうか。そこで、

質問30 より多くの生産者に、事業の成果を分かりやすく伝える取組を行うべきだと考えますが、局長の見解を伺います。
答弁30 生産者の収入の増減については、天候や市場価格等により変動するため、正確に把握することはなかなか難しいところですが、生産者が食材に関する飲食店の具体的な関心やニーズを直接聞き、販路拡大のためのノウハウを得られる交流会等の機会は、重要だと考えています。そのため、今後は、事業の参加者による報告会など、事業の成果を他の生産者にも広く共有していくための取組を進めていきます。

この事業の目的である、農業経営の安定化には、何より定量的な評価、特に経営の安定に繋がったのか、売上の向上に寄与したのかなどを実現できたかどうかを把握する必要があります。一方では、役所にできることと、役所にできないことがあるのではないかと考えます。実際の売上に結びつけるという、定量的な成果を生み出すには、行政ではなく、

質問31 民間企業がこうした生産振興やマッチングの機能を担う方が良いのではないかと考えますが、局長の見解を伺います。
答弁31 活力ある都市農業を未来につないでいくためには、生産者、事業者、市民の皆様と連携して取り組んでいく必要があります。委員に御指摘いただいたような機能を担う企業との連携も視野に入れながら取り組んでいきます。

現在そうした企業があるかどうかという課題もありますが、経済局などども連携しながら起業支援などを通じて、そうした役割を担ってもらう企業を育成していくのも役所の力ではないかと考えますので、積極的に取り組んでいただきたいと思います。

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