水辺空間と夜の経済活性化。文化観光局平成28年度決算審査。

2017-10-23 19:05:15 | カテゴリ:活動報告


10月18日(水)、横浜市会平成28年度決算第二特別委員会におきまして、文化観光局の審査を行いました。

1 28年度文化観光局の決算
2 アーティスト・クリエーターの集積と今後の展開
3 横浜芸術アクション事業
4 国内誘客事業
5 コンテンツとの連携による魅力づくり
6 データに基づく観光施策
7 MICE誘致・開催支援事業

という7項目について、答弁を求めました。
以下、質問の原稿と答弁のメモです。
(※議事録ではないので、実際の内容とは若干言い回し等が異なります。)
=============================

1 28年度文化観光局の決算

             
平成28年度は、リオでのオリンピック・パラリンピックが終わり、2020年の東京に向けた準備がいよいよ本格化してきた1年でもありました。文化観光局の事業では国内外の誘客やオリンピックの文化プログラムの実施などを進めています。そこで

質問1 平成28年度決算の概要について、副局長に伺います。
答弁1 決算額は、予算現額96億5千6百万円に対し、支出済額93億9千6百万円でございます。不用額は2億6千万円で、その主な内容は、アジア開発銀行年次総会横浜開催推進事業における委託料の残などでございます。予算現額に対する支出済額の割合は、97.3%となってございまして、全体として適正に執行できたものと考えております。

限られた予算のなかで最大限の効果を発揮していくことが求められていると思います。明日は財政局の審査を担当させていただきますが、未収債権の回収に、担当している職員の皆さんが一生懸命やってらっしゃいますし、市民の皆さんからお預かりした税金であります。文化観光局のような稼いでいく部署においては、費用対効果の追求が重要であると考えます。そこで、

質問2 平成28年度の文化観光局の取組の成果について伺います。
答弁2 海外に向けて横浜の魅力を映像で発信するため、新たにインスタグラムの活用をはじめており、フォロワー数は自治体最高の2万1千人を超えております。また、「横浜音祭り2016」の開催や、新たな仕組みによる創造界隈拠点「THE BAYS」の開業など「文化芸術創造都市 横浜」としての取組をステップアップさせました。さらに、クルーズ船客の横浜観光促進に向けたセールスの実施、アジア開発銀行年次総会の開催準備、新たなMICE施設運営事業者との契約締結など、観光MICE都市として将来を見据えた取組を進めました。これらが、まちの賑わいの創出や経済活性化に着実につながったと考えます。

中山局長が平成24年に文化観光局長に就任され、5年が経過した。魅力づくり室長として就任された平成23年に就任された当時、横浜市内の観光資源を1人で回った話も記憶しています。ここ数年様々なメディアでも取り上げられ、注目されてきたのかなと思います。これまでの間、横浜の文化観光行政の推進役として、さまざまな施策を実施されています。観光消費額、観光集客実人員も年々増加傾向にあるが、政府のビザ要件の緩和などによる国全体での外国人観光客の増加傾向に遅れを取るなど課題もあると考える。そこで、

質問3 文化観光局長としての5年間の評価と課題について伺います。
答弁3 グローバルMICE都市」に選定され、「アジア開発銀行年次総会」に代表される大型国際会議の誘致・成功、また、「東アジア文化都市」の初代都市に選定されたことや、横浜トリエンナーレ、ダンス・音楽のフェスティバルの継続的な開催により、国から高い評価を得ることができました。同時に、文化芸術創造都市、観光・MICEの分野で「クリエイティブ・チルドレン」「クリエイティブ・インクルージョン」この2本の方針を立て、取組を充実させてまいりました。これらにより、この5年間で市内への観光集客実人員は1.5倍、観光消費額は1.7倍となりました。課題としては、おっしゃられたとおり、特に海外における横浜の認知度や理解度の向上、また交流人口の一層の増加に向けて、データマネジメントのさらなる徹底が必要と考えています。

文化観光施策においては、いかに「稼ぐ」かが重要です。市外、国外からの外貨獲得が重要な目的となります。今後のホテル建設によりおよそ4,000室が市内に新設されます。消費額の高い宿泊客を多く獲得できるチャンスが拡大する一方で、宿泊客数は客室数による限界もあります。本市には首都圏に位置し、アクセスが良く、日帰りニーズに応えやすいという強みがあります。今後の取組としては、日帰り観光客の消費額を向上できる取り組みが重要です。

海外では近年、夜の経済活性化策に取り組まれています。アムステルダムをはじめ「夜の市長」といった夜の経済における、タウンマネジメント的な視点での取り組みが行なわれています。本市の文化芸術創造都市施策と親和性がありそうなものでは、フランクフルトでは毎年1回「ナイトミュージアム」というイベントがあり、50の美術館を夜間巡り楽しむイベントとなっています。夜の時間を活用しての、観光、地域づくり、経済活性化策に各地で取り組まれています。文化観光施策だけでは捉えきれない部分もあるものの、今後の本市の文化観光行政においても示唆に富む、重要な方策ではないかと考えます。

日本では政府が会社の経費での消費促進を目的に、交際費課税の緩和、特例措置をとってきています。横浜の夜の魅力づくりを進め、観光客のディナーや夜のアクティビティニーズ、企業の接待ニーズなどを満たすことで横浜に訪れる人を増やし、消費を増やし、それがひいては宿泊ニーズの拡大にもつながり、市内経済全体に好循環をもたらす、といった取り組みが重要ではないかと考えます。

本日の質疑もこうしたテーマを持って臨ませて頂きますが、

質問4 今後、どのように横浜の文化観光行政を推進していくのか、副市長に伺います。
答弁4 今後、横浜におきましても超高齢・人口減少社会の進展が見込まれる中で、横浜の持続的な発展のためには、文化芸術、観光・MICEの推進が成長のエンジンの大きな柱の一つであると確信をしています。横浜には、まだまだ活かしきれていない文化、観光資源があると感じています。関連事業者の皆様や関係局と連携して相乗効果を生み出し、創造性を活かしたまちづくりや、国内外の誘客に積極的に取り組むことで、交流人口を増加させたい、とりわけ先生のおっしゃるとおり、日帰りから宿泊へ、国内から海外へ、という流れをつくって、将来に向けた横浜のさらなる発展と市内消費の一層の拡大を図りたいと考えています。

海外の人だけが魅力を感じものというのは少ないと思います。日本の人が「横浜のここがすごく良いよね」と思えるところが増えていくことが、ひいては海外から見た魅力の向上につながると思います。2020年以降見据えて、取り組んで頂きたいと思います。

2 アーティスト・クリエーターの集積と今後の展開 

中期4か年計画にも掲げられている「創造性をいかしたまちづくり」の一環として、アーティスト・クリエーターのための事務所等開設支援助成を進めてきていますが、これまでどれだけのアーティスト・クリエーターが集積したのでしょうか。また、アーティスト・クリエーターが横浜に一度事務所を構えたとしても、すぐに市外へ出ていってしまっては意味がなく、継続して横浜で活動してもらう必要があります。そこで、

質問5 アーティスト・クリエーターのための事務所等開設支援助成の実績と定着状況について、文化芸術創造都市推進部長に伺います。
答弁5 事務所等開設支援助成については、17年度の事業開始から12年間で129件のアーティスト・クリエーターに対して、助成を行いました。その後の定着状況については、8割弱が引き続き市内で活動しています。

アーティスト・クリエーターを横浜へ呼び寄せるとしても、ただオフィスの空室を埋めるだけでは意味がなく、どのような活動をしているかが重要です。横浜に事務所を構えたアーティスト・クリエーターの日常の活動が、どのように横浜の価値を高めていくのか、市として予算をかけて助成事業を行う以上は、その意義が問われなくてはいけません。そこで、

質問6 アーティスト・クリエーターの集積の意義について伺います。
答弁6 アーティスト・クリエーターの集積は、オフィスビルの空き部屋が増加していた関内外地区の再生に向けて、その創造性をまちづくりにいかすために進めてきました。具体的には、創造性あふれる先進的な都市としてのプレゼンスの向上を図るため、創作・発表活動の様子やその成果物などをプロモーションしています。また、地域経済の活性化に向けて、市内企業とのマッチングをコーディネートし、新たなビジネス機会の創出に取り組んでいます。

集積したアーティスト・クリエーターと市内企業のビジネス機会創出については、クリエーターと市内製造業のマッチングをコーディネートして商品開発・販路開拓を目指す創造的ビジネス・コーディネート事業を行っているが、行政によるマッチングでは、マッチングを成功させて、ビジネスとして軌道に乗せなくてはいけないといった、経済的な動機づけや成果への関与について限界があります。

アーティスト・クリエーターと企業のマッチングについては、これまでにない事業分野としての難しさから、その立ち上げに行政が関わるのは分からなくはないのですが、どこかの段階で民間に手放すようなことを考えないと、成果が後回しになり、事業そのものが目的化してしまわないか、危惧するところです。そこで、

質問7 アーティスト・クリエーターと市内企業のビジネスマッチングを行政がいつまで継続するのか伺います。
答弁7 仰るっ通りだと思います。アーティスト・クリエーターと市内企業のビジネスマッチングについては、創造的ビジネス・コーディネート事業のコーディネーターが、一般社団法人を設立して対外的な交渉窓口も務めるなど、将来的な自立を見据えながら事業を進めています。現時点では、これまでの取組がようやく実を結び始めたところであり、民間主導によるビジネスマッチングへの移行については、今後の事業の成果を見ながら検討していきます。

アーティスト・クリエーターの創造性をいかしたまちづくりを進めていくにあたっては、その先進性による差別化や経済的な成果などによって、確実に横浜の価値を高めていくような展開を期待します。

また、創造都市施策について議論する際に、現状では明確な評価方法がないように思う。数値での評価が困難な分野であることは理解しているが、それでも適正な評価も行っていくべきである。そこで、

質問8 創造都市施策の今後の展開と評価方法について伺います。
答弁8 今後は、アーティスト・クリエーターの創造性をより一層いかすため、公共空間の活用やビジネス機会の創出を強化していきます。
具体的には、道路・公園・水辺を活用した実験的なイベントの開催や、クリエーターと市内企業が開発したグッズ販売の実施など、まちの賑わいづくりや地域経済に寄与することを目指します。評価方法については、先生がおっしゃる通り難しい点はありますが、来場者数等の定量指標や、附属機関による定性評価など、多角的な視点から評価していきたいと考えています。

3 横浜芸術アクション事業

昨年度開催された横浜音祭り2016では、横浜らしさを打ち出す取り組みとして、横浜の景観を活かした「街に広がる音プロジェクト」が行われました。期間中の週末、街かどの様々な会場で音楽ステージが催され、多くの方が訪れたということです。

一方では、主催イベントの内容をみますと、横浜にゆかりのないアーティストの方も数多く出演していました。ゆかりがある方も出演されていましたが、メジャーレーベルに所属する人が多く、そういった方々は、企業が主催する興行として十分成立する。イベント全体として、興行と公共性を両立させ、幅広い方にアピールし、集客を図ろうという趣旨かもしれませんが、本市が主催、共催していく中においては、公共性をいかに充実させていくかが、重要ではないでしょうか。

市内で地道に活動する若手アーティストに機会があり、「横浜音祭り」から次のステップに踏み出し、大きく羽ばたいていくチャンスが得られるなど、相互にブランディングできるような、シビックプライドにもつながるようなイベントに育てていくなど、横浜らしさの創出が必要ではないかと考える。そこで、

質問9 本市が主体的に進めていく事業としては、横浜ゆかりの若手のアーティストの方々に出演機会を提供し、可能性を伸ばすような内容にしたほうが良いのではないかと考えますが、見解を伺います。
答弁9 まさにそれが、2本の柱のひとつのクリエイティブ・チルドレンにあたります。若手育成になると思うのですが、昨年度の横浜音祭りでは、日頃から横浜で活動されている若手アーティストの皆様に参加いただく機会として、街に広がる音プロジェクトやヨコオト・ライブで出演者の公募を行い、ご出演いただきました。今後も、そうした機会を積極的に提供し、その情報を幅広く周知することで、多くの横浜ゆかりの若手アーティストに参加していただき、発信の機会を広げていきたいと考えています。

「文化芸術創造都市の基本的な考え方」には、「横浜らしさ」として、「横浜の持つ歴史と資源を継承・発展させるとともに、多様な資源を活用しながらオリジナリティにあふれる新たな価値を発信することにより、国内外から評価される横浜の個性やブランド力を創造していきます。」と書かれているが、音祭りはまだまだ横浜らしいブランディングの確立に課題があると考えている。そこで、

質問10 横浜音祭りについて、横浜の価値を高めるために、どのように横浜らしさを打ち出していくか、伺います。
答弁10 日頃当たり前と思いがちですが、美しい水辺等の景観ですとか、文化施設や創造界隈拠点、オールジャンルのアーティストが活躍できる開放的な気風等、横浜ならではの資源を最大限に活用して街全体の祝祭感を生み出すことは、本当に、他都市にはない、横浜の強みだと思っております。これらを活かし、世界から注目されるような新しい話題性のある企画を横浜で作り出し、国内外への発信力を高めていきたいと考えております。

横浜にまでわざわざ行きたいと思ってもらえるくらいになると、良いのかなと思います。

4 国内誘客事業

次に観光施策のうち、国内誘客事業について伺います。

文化観光局が発表した28年度「観光動向消費実態調査」によると、横浜への来訪者の約7割が日帰り客です。冒頭でお話した通り、日帰り観光の消費を増やしていくことが重要ですし、そのためには新たな観光資源の開発と、観光資源の遊休時間を減らしていく必要があります。そこで、

質問11 国内誘客事業ではこれまでどのような取組を行ってきたのか、観光MICE振興部長に伺います。
答弁11 修学旅行などの団体旅行の誘致として、北海道や北陸など270社を超える旅行会社に対して、横浜の観光資源などをPRするセールス活動を実施しました。また、着地型観光として、横浜の新たな観光資源を発掘、活用した旅行商品「あうたびに、発見 横浜プラン」の造成や、横浜が舞台の映像作品を活かしたフィルムツーリズム、さらには、工場見学などの産業観光に取り組みました。

これまで、修学旅行誘致や地方セールスなどに取り組まれています。投資をして、セールス活動を行っている以上は、セールス方法に効果があったのかどうか、無かったならどう改善したらいいのかを、把握し、分析し、検討していくことが必要です。そこで、

質問12 国内誘客事業の効果測定について、どのように考えるか伺います。
答弁12 セールス活動の効果については、正確な把握がなかなか難しいところですが、修学旅行誘致に関しては、市内宿泊事業者の協力を得て、宿泊者数の把握に努めており、28年度は約5万7千人となっています。これは、文化観光局が発足した23年度の約3万2千人と比べて約80%の増加となっています。修学旅行誘致以外についても、旅行会社等の協力を得られるよう働きかけていきます。

修学旅行客も重要ですが、今後ホテルが新たに開業することを考えると、より消費額の高い観光客を掴んでいけるよう取り組んで頂きたいと思います。

国内誘客の取組の中で、着地型観光は、地域の発意と創意工夫により、成熟した観光客の満足度を高め、口コミによる拡散やリピーターを増やしていく上で有効とされています。体験型にシフトしているニーズに対して、着地側の地域がいかに魅力的な商品開発が出来るかどうかが重要です。観光客のニーズを満たしていくという視点からは、「横浜市域」というくくりはあまり意味がありません。神奈川県の外国人観光客実態調査を拝見しますと、横浜起点ではあちこち訪問されている一方で、鎌倉や江の島、箱根からはあまり横浜へ来ていないことがわかります。市域にとらわれない広域的な商品開発を行うことで、より多くの方の関心を集め、近隣自治体とも相互に利益のある観光施策を展開できると考えます。

これまで瀬戸内や北海道のDMOの取り組みを視察してきたが、ゴールデンルート上に無い地域でも、2度目、3度目の訪日客向けに、広域での商品開発による、消費額向上に取り組まれていました。 そこで、

質問13 着地型観光を進める上で、近隣自治体や企業等との連携が効果的と考えますが、見解を伺います。
答弁13 現在、産業観光の分野では、神奈川県、川崎市、民間事業者と構成する「京浜臨海部産業観光推進協議会」において、羽田の航空機の機内食工場と横浜、川崎の工場群を海から眺望するクルーズツアーを造成するなど、広域で産業観光の魅力を発信しています。また、5月に開催されたADB年次総会の参加者を対象に、芦ノ湖畔での散策や寄木細工の体験ができる「箱根1Dayツアー」を実施したところ、募集人員35名のところ、65名の参加があり、増便いたしました。このように、横浜の近隣には魅力的な観光資源があり、旅行者の目線で自治体や事業者等と連携することは、観光客を増やす上で効果的だと考えています。

昼の観光地はたくさんあると思います。お寺さんなどは17時ころに閉まったりするので、その後にいかに横浜に来てもらえるかということが重要だと考えますので、上手く連携を進めて頂きたいと思います。

横浜ならではの観光商品を開発し、多様な旅行形態を訪れる観光客に提示するなど、観光都市としての成長を目指すうえで着地型観光の果たす役割は大きい。そこで、

質問14 着地型観光の今後の方向性について伺います。
答弁14 平成25年度に実施した「携帯GPS機能を用いた横浜市内の観光客行動調査」によれば、横浜来訪者は、立ち寄り箇所が少なく、平均滞在時間は概ね5時間程度と短いことなどの課題が挙げられています。こうしたデータを市内事業者の方々と共有し、今後の魅力的な商品開発に活かすとともに、市内消費額を増やす取組につなげていきます。また、「横浜市観光動態・消費動向調査」を踏まえ、北関東や東海地域など、今後誘客できる可能性の高い地域でのプロモーションに力を入れることで、観光客の増加につなげて行きます。

まだまだ横浜市内の資源には可能性があると思います。様々な取り組みを行いながらも、効果測定をしっかりやって頂きたいと思います。

5 コンテンツとの連携による魅力づくり

開港の地として、「港町」のイメージが強い横浜においては、やはり「港周辺の開放的で美しい水辺空間」が、他の都市にはない大きな魅力の一つである。首都圏や羽田空港からのアクセスに優れ、新たな客船ターミナルの整備も控え、いかに水辺空間の魅力を高めていけるかが、重要だと考えます。

これまでも本市では、みなとみらいや山下といった水辺空間を活かした数々のイベントを開催してきたが、ここ数年は、ポケモンや、ファイナルファンタジーなど、知名度のあるコンテンツを活用したイベントの実施など、コンテンツ連携の幅をさらに広げている。そこで、

質問15 「コンテンツとの連携による魅力づくりについての考え方」について伺います。
答弁15 ポケモンやファイナルファンタジーなどの、本当に世界的な人気や知名度を持つコンテンツとタイアップすることで、イベント自体の話題性が高まり、横浜の名前や街並みを効果的に世界中に発信することができます。横浜の認知度向上や賑わいにつなげるため、今後も、発信力のあるコンテンツとの連携を積極的に進めてまいりたいと考えています。

ファイナルファンタジーのプロジェクションマッピングの様子は、私も動画で拝見しました。普段とは違う夜景演出として、大勢の方がお越しになったようですが、横浜の魅力発信や集客、地域への波及という点で、効果があったのかどうかがポイントです。そこで、

質問16 「ファイナルファンタジーと連携した事業の効果」について伺います。
答弁16 2日間で約10万人が来場しまして、メディア露出効果は広告価値換算額で約1.7億円となりました。また、壁面への投影に快く協力いただいたインターコンチネンタルホテルを始め、みなとみらい線のラッピング列車や崎陽軒のコラボ弁当など、これはすぐ売り切れてしまい私は買えなかったのですが、地域の事業者が連携し、街をあげて横浜を盛り上げようという機運醸成に非常につながりました。対外的にも、横浜の街のポテンシャルを示すことができ、さらなるコンテンツとの連携につながるのではないかと期待しております。

集客や地元企業への連携、さらにはプロモーション効果にもつながったとのことで、このような強いコンテンツと連携する取組はさらに進めていっていただきたい。

しかし、一方で、コンテンツを保有する企業のプロモーションイベント的な取り組み方だと、どうしても単発で、一過性の連携になってしまうことは否めません。イベントを通じて横浜の魅力を知ってもらえれば良いが、イベント頼みでは横浜の魅力を根本的に向上させることには繋がりません。

世界の中で横浜が選ばれる都市となるためには、眠っている資源を活用して新たな魅力を創出し、一過性のイベントだけでなく、通年で恒常的に楽しむことのできるコンテンツが必要だと考えます。

例えば、シンガポールのクラークキーでは水辺と夜景を磨くことで、水上交通なども活用しながら、人々が臨海部から内陸方面へ誘導されて食事を楽しむことができたり、賑わいを感じながら、夜を楽しむことができる場所となっています。クラークキーは、もともと川沿いの倉庫群だった場所を、再開発して観光地化されたものです。

横浜の水辺についても、大きな資源のひとつである「夜景」を磨くとともに、各種調査からも観光の強い動機となることが示されている「食」というコンテンツを楽しめるようにすることで、より長い滞在、より多い消費を促していけるはずですし、ひいてはクラークキーのような魅力ある空間となる高い可能性があると思います。夜の経済の活性化策をして、「横浜は楽しかったな」といかに思ってもらえるかが重要ではないかと考えます。市長も第2回市会定例会の一般質問の際に、水辺の資源を磨いて、横浜の魅力向上に努めていくことを発言されています。そこで、

質問17 「今後、夜景や食などのコンテンツを充実させ、さらなる水辺の魅力づくりを進めるべき」と考えるが、局長の見解について伺います。
答弁17 先ほど申し上げましたように、横浜は地理的優位性がある所だと思います。横浜ならではのオンリーワンの魅力を創るためには、先生おっしゃられたように、開放的な水辺空間や美しい夜景に加え、「食」が持つ魅力を活用することが、必要不可欠だと考えております。今回実施したような、コンテンツと連携したイベントにとどまらず、中長期的な街づくりという観点からも、関係各局と連携して、横浜ならではの魅力づくりに努めてまいりたいと思います。

光の演出等に加え、「食」などの要素、また街づくりによって景観や空間自体を魅力的に変えていくことなど、水辺の活用は大きなポテンシャルがあると思う。東京から仕事終わりに横浜に食事に行く、敢えて会議を横浜で開いてそのまま食事に行く、というような消費行動の開拓につなげてもらいたい。

今後もさらなる魅力づくりにまい進していただくことに期待して、次の質問に移る。

6 データに基づく観光施策

第2回定例会において、観光集客実人員と観光消費額について、私の質問に「今後も、十分に伸びしろがある。」というご趣旨の市長の答弁があった。

平成26・27年度は文化観光局が海外を対象としたこれまでの調査では、アジア6か国・地域を対象として実施したと聞いている。そこで、

質問18 平成28年度に行った海外を対象とする調査の内容と結果の概要について、横浜魅力づくり室長に伺います。
答弁18 タイ在住で、横浜来訪経験のある方を対象に、実際に訪れた場所、そして満足度などを調査いたしました。その結果、最も多く訪れられた場所は、「横浜中華街」で56.2%、次いで、「夜景」が44.2%となり、来訪した場所等での満足度は総じて9割を超えております。また、約9割が横浜を旅行先として推奨しておりまして、訪れた方が魅力的と感じた資源を中心にプロモーションすることが効果的と考えています。

調査結果は、施策の検討に反映されてこそ価値があります。調査結果を参考にしながら施策の展開をしていただきたい。そこで、

質問19 平成29年度の事業について、調査結果をどのように反映し、実施しているのか、観光MICE振興部長に伺います。
答弁19 9月にタイで開催された旅行博において、調査で「来訪者が多かった」観光地を中心に紹介し、これらの観光地をPRする、公式SNSアカウント拡散キャンペーンを実施したところ、横浜市のブースに5千名以上が来場しました。さらに、横浜の旅行商品造成を目的に、昨日17日から3日間、タイの有力な旅行会社を招へいしております。調査で「満足度が期待以上」となった、八景島シーパラダイス、ラーメン博物館等を視察いただいています。

調査については、近年、国や都道府県、関係機関において様々な調査が行われており、施策を進める上で何が必要か、どういったデータや情報があればよいのかといった点を把握したうえで、調査手法を選択する必要がある。

一例を挙げると、SNSやGPSなど、最新のツールを活用した、動態分析が国などでも行なわれており、こうした調査手法も視野に入れるべきではないかと考える。そこで、

質問20 本市としても、データの取得と分析、それに基づく立案と測定を行うべきではないかと考えますが見解を伺います。               
答弁20 非常に限られた予算の中で可能な限り、GPSやSNSを活用した調査等も実施いたしまして、データに基づくPDCAをしっかりとまわして、プロモーションや誘客事業を行ってまいりました。例えば、東京や新宿と横浜間の移動が多いというSNSのデータから、東京駅などタッチポイントでのプロモーションを強化しております。今後も、効果的・効率的な施策実施のため、様々な調査手法の研究や民間の調査等も活用しながら、データマネジメントに取り組んでまいります。

観光振興のために全国各地で展開されているDMOにおいても、マーケティング戦略の導入や、KPIの設定や、PDCAサイクルを取り入れることが要件となっています。

横浜は、2019年、2020年に国内外からの注目を集める観光振興の絶好の機会を迎える。一方で、日本各地で外国人観光客の取り合いともいうべき、熱心な誘客が行われています。横浜は、これまでの取り組みを活かしながら、さらに、外国人観光客を増加させていくことが必要があると考えます。そこで、

質問21 今後、2020年以降も見据え、マーケティングの観点を活かしながら、どのように観光施策を進めるのか伺います。
答弁21 観光MICE都市として更に発展していくためには、様々な事業者の皆様との協働がとても重要です。そこで、市の独自調査や観光庁の統計データなどの活用に加え、横浜観光コンベンション・ビューローの機能を強化し、ニーズ分析やターゲティング、PDCAを事業者の皆様と共有することで、オール横浜での観光施策を推進していきます。

様々なデータがあるので、上手く活用していただくこと、そしてビューローの話もありましたが、ビューローだけでいけるのか、更なる機能が必要なのかも検討して、ススメて頂きたいと思います。

7 MICE誘致・開催支援事業

次に、MICE誘致・開催支援事業の中期4か年計画における達成状況について、伺います。本市の中期4か年計画では、MICEの推進について、「『グローバルMICE戦略都市』にふさわしい、国際的なMICE拠点都市を目指します。」とされています。

その指標として、平成29年度末の国際会議開催件数を、国際団体連合(UIA)が定める世界的な統計で75件と定めています。しかし、平成28年度事業評価書を見てみると、平成26年度の実績が49件と、目標値である75件を大きく下回っている。これは、国際的なMICE拠点都市を目指している本市にとって看過できないことであると考える。そこで、

質問22 目標値を下回っていることへの評価について、伺います。
答弁22 まず、主な要因としては、これまで開催実績が多数あった国連大学高等研究所主催会議が、25年にUIA統計の対象から外され、カウントされなかったことが挙げられます。また、毎年開催されている国際会議であるにも関わらず、ある年はカウントされ、別の年にはカウントされないなど、年によってUIAの集計基準が代わる事例があり、こうした理由は問い合わせても明らかにされていません。一方で、日本政府観光局 JNTOの会議統計では、横浜の開催件数に大きな変動は見られないことから、UIA統計では実態が正しく反映されておらず、非常に残念に思っております。

MICE統計をとりまとめる機関の側で、公表されている基準以外にも公表されていない考え方があることについては分かりました。しかし、市として目標を掲げた以上、その到達度については、つぶさに検証していく必要があると思う。そこで、

質問23 「国際的なMICE拠点都市として目標未達を重く受け止めるべき」と考えますが、見解を伺います。
答弁23 目標に対する未達は本当に真摯に受け止めたいと思います。一方で、UIAに対しては、統計の集計基準への疑義があり、実態が反映されるよう、JNTOと連携して質問状を提出いたしました。その結果、当初カウントされていなかった会議が追加で8件認められました。なお、JNTO統計の開催件数を会場別に見ると、上位3会場は、パシフィコ横浜のようなMICE施設を抑えて、順に九州大学、東北大学、名古屋大学となっております。このようなことから、横浜市でも、市内大学との連携、学内での説明会の実施などにより、会議開催の働きかけや、支援の強化などにも取り組んでまいりたいと考えております。

現状を重く受け止めていただきつつも、国際的なMICE拠点都市を目指し、引き続きMICE誘致活動を推進していただきたいと思う。近年では、観光庁など国が発行する統計資料などを見ても、数値はUIA統計ではなく、もう一つの国際的な統計である、国際会議協会(ICCA)が定める統計を採用していることがある。また、他のグローバルMICE都市ではJNTOによる統計を評価指標としている都市もある。そこで、

質問24 今後の目標値は、どのような評価指標を設定していくのか、伺います。
答弁24 現在、JNTO統計の会場別国際会議参加者人数で、パシフィコ横浜は14期連続国内1位となっております。最新のデータでも、1位のパシフィコが25万人であるのに対し、2位の国立京都国際会館は10万人と、他の会場を大きく圧倒しております。一方で、UIA統計の集計基準では、参加者50名、3か国、開催日数1日を1件としてカウントしており、小規模な会議と数千名の中大型会議が同じ1件として評価されてしまいます。今後、グローバルMICE都市としての実力を正しく評価し得る指標の設定について、横浜の強みである中大型の国際会議の開催件数が反映されるよう考慮しながら、検討を進めてまいります。

評価指標については、現在、検討しているとのことでした。中身の問題も重要で、開催数だけにとらわれること無く、MICE開催の本当の効果に向かって欲しいと思います。

パシフィコ横浜などでは、例えば、展示ホールを利用したコンサートなど、いわゆるMICEのイメージとは異なる催事も開催されている。国際会議の開催件数を上げるためには、こうした行事に優先して、国際会議を誘致していくべきと考える。そこで、

質問25 パシフィコ横浜における、国際会議と大規模イベントとの誘致の優先順位の考え方について、伺います。
答弁25 パシフィコ横浜の利用規定には、優先順位の考え方が明確に反映されておりまして、国際会議とイベントとで、利用受付開始日が異なっております。催事の規模や内容にもよりますが、例えば、イベントの場合は、最長で3年前からの受付に、大型国際会議の場合は随時、受付を行っております。横浜市としても、国際会議を中心に、大規模イベントについても、経済的波及効果などに着目しながら、総合的観点から誘致を進めてまいります。

新たな施設も完成しますから、積極的に取り組んで頂きたい。お越しいただいた方々への、アフターコンベンションの取り組みもされていますし、それ以外の方々向けにも、いかにして横浜の経済消費を増やすことができるかが課題だと思います。修学旅行客もいずれ頭打ちになるでしょうから、より高い経済消費を目指して取り組んで頂きたいと思います。

Post comment