財政の見える化と、市民との合意形成。平成28年度財政局決算審査。

2017-10-24 19:44:42 | カテゴリ:活動報告


10月19日(木)、横浜市会平成28年度決算第二特別委員会におきまして、財政局の審査を行いました。

1 公共施設の保全・更新
2 公共建築物の再編整備
3 資産活用基本方針
4 財政情報の見える化
5 未収債権整理

という5項目について、答弁を求めました。
以下、質問の原稿と答弁のメモです。
(※議事録ではないので、実際の内容とは若干言い回し等が異なります。)
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1 公共施設の保全・更新

はじめに、公共施設の保全・更新について、確認していきたいと思います。先月、9月1日に「横浜市中期4か年計画」、平成28年度の取組状況が公表されました。超高齢社会と人口減少、ますます進行する都市インフラや公共建築物を含む「公共施設」の老朽化など、最終年度を迎える中期4か年計画では、こうした事態を見据え、様々な取組が求められています。

財政局としては、厳しい財政状況を踏まえ、毎年度の計画を振り返りながら進捗状況を把握した上で、今後の取組の方向性を明らかにしていくことが必要と考えます。特に、人口急増期に整備した建築物は一斉に建替えの時期を迎え、学校等の建替えが本格化することを踏まえると、将来世代の負担を十分視野に入れた取組が求められます。そこで、

質問1 公共施設の保全、更新に係る横浜市中期4か年計画期間の予算、決算の状況について公共施設・事業調整室長に伺います。
答弁1 26年度から29年度にかけての保全・更新予算、決算の状況ですが、26年度は、予算約640億円、決算約595億円、27年度は、予算約710億円、決算約674億円、28年度は、予算約640億円、決算約614億円、29年度は、予算約680億円を計上しています。

各年度の予算・決算は、概ね600億から700億で推移しているようですが、横浜市中期4か年計画では、合計2480億円を保全、更新の見込み額として工事などを順次進めることになっています。そこで、

質問2 横浜市中期4か年計画期間の保全、更新の予算、決算の結果をどのように評価されているのか伺います。
答弁2 予算で見ますと、4か年で約2,670億円計上しています。また、決算を見てみますと、28年度までの決算になりますが、3か年の決算額は1,883億円、それに29年度予算額680億円を加えますと2,500億円となっております。先生からお話のありました計画では、2,480億円という数字ですが、いずれも、この金額を上回っており、着実に保全、更新が実施されていると考えています。

現行の中期4か年計画では、計画上の予算が達成される見込みであることが分かりました。今後、新たな中期計画の策定を進めていくことになりますが、次期の計画期間においても、引き続き厳しい財政状況が続き、そうした中でも、しっかり保全・更新を進めていく必要があると考えています。

加えて、今年5月に教育委員会から公表された「横浜市立小・中学校施設の建替えに関する基本方針」によれば、小中学校の建替えには、約1兆円もの事業費が必要となると記載されています。事業期間30年間として単純に平均したとして、年間10校以上、200から300億円程度にも上る、非常に大きな事業です。小・中学校施設の建替えに関する基本方針は策定されましたが、実際にこの事業を進めるには、事業費の圧縮は大きな課題であり、財政状況も厳しい中、様々な工夫をしなければならないと考えています。そこで、

質問3 将来の適切かつ着実な公共施設の保全、更新、さらには建替えを着実に進めるため、どのように取り組んでいくのか副市長に伺います。
答弁3 公共施設全般ということで、最初に申し上げますと、市民の皆様の安全の確保、あるいは経済活動、あるいは様々な行政サービスの展開ということに不可欠ですので、新規整備とのバランス、優先度などを考慮しながら、財政負担の平準化、コスト縮減、財源の確保ということを計りながら取り組んでいく必要があると思っています。また、今、先生が触れられましたが、学校の建替えが徐々に本格化していきますので、ただいま申し上げた取組に加えて、多目的化や複合化なども進めて、着実かつ効率的に保全・更新や建替えを行っていく必要があると考えています。

将来世代の負担を十分視野に入れ、あらゆる工夫により、財政負担の軽減を図りながら進めていただきたいと思います。

2 公共建築物の再編整備

次に、公共建築物の再編整備について伺います。このテーマについては、昨年度から常任委員会で、概要や骨子など検討の進捗に応じた説明がありました。先日の常任委員会では方針の素案が示され、素案では、学校や市民利用施設等の建替えの機会を捉え再編整備を進めることとされています。また、教育委員会からは、建替える小学校が3校公表され、今後は、再編整備の具体的な検討が行われていくことと思います。そこでまず、

質問4 多目的化や複合化などの再編整備に取り組む理由について、改めて、公共施設・事業調整室長に伺います。
答弁4 人口急増期に整備した建築物が、今後一斉に建替えの時期を迎えることを踏まえますと、今のうちから財政負担の軽減や平準化に取り組む必要があります。また、将来にわたり地域まちづくりや地域コミュニティに貢献し続けるには、新たな施設整備の考え方が必要です。そのため、施設の建替えの機会を捉えた多目的化・複合化などに取り組み、必要な市民サービスの持続的な提供や地域の活性化を目指してまいります。

今後はこの素案を市民意見募集に付すとのことですが、この素案を見ますと、既存の施設で提供している行政サービスの重複状況を整理した資料が掲載されています。

特に私がこれまで様々な場面で指摘してきた「図書の閲覧や貸出しの機能」については、利用者層は施設により異なっているものの、学校、図書館のほかに、地区センター、コミュニティハウス、地域ケアプラザ、老人福祉センター、国際交流ラウンジでも行われているということで一覧化されていました。

私の地元の青葉区では、図書館が所有する図書を地区センターで借りられるようになっていたり、地区センターの図書購入に図書館司書がアドバイスをしていたりと、局はことなりますが施設間連携ができているところもあります。とはいえ、それぞれの施設がそれぞれの判断で図書を購入しているため、結果として複数の施設が同じ図書を購入しているケースが散見されます。図書の貸出機能だけで考えれば、同等のサービスであっても、所管局が異なることや、機能間の整理ができていないことで、予算の配分、執行上に課題が生じている事例です。機能を整理して、局横断的に整理ができれば、同じ予算でもより効果的な執行が可能になると考えます。そこで、

質問5 多目的化・複合化により、公共施設間で重複する機能は統合されると考えてよいか、公共施設・事業調整室長に伺います。
答弁5 今回お示しした方針素案には、先生のご指摘のとおり、公共建築物の種類と、集会や図書などの機能との関係を整理した資料を加えてございます。多目的化・複合化の検討は、市民サービスの向上や施設管理の効率化の視点を持って進めてまいります。具体的には、地域の実情に照らしながら、必要な機能の確保や柔軟な利用などの検討を行うとともに、この資料も活用しながら、共通の機能を持つ施設や、相性の良い機能の共用について検討してまいります。

減らす議論がベースになってしまいますが、ただ減らすという議論ではなく、いかに価値をプラスできるかという話をしていく必要があると考えています。

再編整備の検討の進め方についてですが、行政が作成した再編整備の構想素案を地域に提示し、調整して固めていくことになっています。構想素案の策定には庁内の様々な部署が関わると聞いていますが、一連の検討を進めていくにあたり、地域のニーズをあらかじめしっかり把握しておくことが全ての出発点となることを考えると、区役所の役割が非常に重要だと感じています。

「地域」と言っても、自治会・町内会だけでなく、様々な活動やグループを通じて、市民とコミュニケーションを取っていくことが必要だと考えます。地域ニーズの把握が不十分なまま検討が進めば、必ず手戻りが生じてしまい、地域に混乱が生じかねません。そこで、

質問6 再編整備を具体的に検討するにあたり、区役所はどのように関わるのか、公共施設・事業調整室長に伺います。
答弁6 再編整備構想の検討にあたりましては、あらかじめ、地域に身近な存在で、地域課題に精通している区役所が中心となり、課題やニーズをしっかり把握したうえで検討を進めてまいります。構想の取りまとめにおきましても、区役所と関係局で緊密に連携し、地域の皆様との調整を行ってまいります。このような形で区役所も重要な役割を担うことにより、地域ごとに異なる課題や特性を踏まえ、地域の皆様に最適なサービスを提供できるよう取り組んでまいります。

今回の方針素案の検討には、複数の区長も加わったと聞いています。再編整備の検討では、ぜひ区役所も日頃の力を十二分に発揮し、スピード感をもって取り組んでいただきたいと思います。

日本全体でいえば、人口減少が進むという大きな流れがありますが、地域ごとに目を移すと、人口減少や人口構成の変化が緩やかなところ、急激に変化するところ、当面は現状維持や増加するところなど、様々な状況だと思います。本市においても、人口が減少している区と、増加している区とがあり、各区を全く同じと考えていくには限界がきています。

こうした状況を鑑みると、現在の本市が定めている1区1館のような公共建築物の整備基準や配置基準は見直しが必要だと考えます。例えば人口一人当たりの施設の床面積であるとか、アクセシビリティであるとか、新たな指標を採用していくことや、既存の市民サービスの見直しや新たなサービスの創出といったことも、近い将来は必要になってくるのではないかと考えます。近隣自治体でも、新たな再編整備を行いながら、人口増加策に転じられるような施設整備が行なわれる事例も生まれています。

人口減少社会において、人口の社会増を他都市と争わなくてはならない状況にもあります。公共施設の再編整備によって、施設と、そこで提供されるサービスとが単純に低下し、今居住している市民からも、そしてこれから引っ越し先として横浜市も検討している市外の方からも、本市に居住する魅力が低下してしまえば、負のスパイラルに陥りかねません。再編整備をチャンスと捉え、単純に「減らす」というマイナスにならない、新たな横浜市の魅力づくりに結びつけていくことが重要だと考えます。

財政局の枠だけとどまる話ではありませんが、再編整備を進めるにあたって、欠かすことの出来ない点だと思いますので、

質問7 再編整備の方針の次のステップとして、施設の整備基準・配置基準を見直すべきと考えるが、副市長の見解を伺います。
答弁7 今回、素案をお示ししました再編整備方針によりまして、引き続き、これまでも整備を進めてまいりました、魅力ある地域まちづくりやコミュニティに貢献する施設であり続けるために、施設の整備や維持管理などに取り組んでまいります。そのうえで、施設の整備基準の見直しや、市民サービスのあり方につきましては、将来に向けて、政策、横浜市としてどういう風にやっていくのか検討すべき課題であると考えています。

機能の話と配置基準の話は、不可分な話ではないかと考えています。図書の貸出機能でいえば複数あっても、図書館は1つしかないわけです。そういったことを、局の縦割りで考えればそれぞれが別のものとして扱われ、「図書館は1区に1館しかありません」となるわけです。どうやって予算、機能、見せ方を再編していくかを検討していかないと、単純に少ない、たしかに少ないんですが、単純に少なさを、館の数だけで捉えるのか、機能で考えるのか、予算とどう兼ね合いをつけるのか、それを外からどう見てもらえるのか、を十分に検討していただくことが重要だと考えますので、要望しておきます。

3 資産活用基本方針

本市では、平成22年3月に「資産活用基本方針」を定め、資産の戦略的な有効活用の取組を推進してきたところです。基本方針は、27年3月の改訂で、「施策の推進と財政の健全性の維持を両立させながら、資産の戦略的な有効活用の取組を推進」すると定められています。また、中期4か年計画においても、「経営的視点に立って、資産の価値を最大限に引き出せる活用策を決定」することが目標に掲げられている。そこで、

質問8 資産の有効活用のこれまでの取組状況について、管財部長に伺います。
答弁8 資産活用基本方針を踏まえ、公共的利用などが可能と考えられる資産の把握を行い、保育所や地域ケアプラザなどの公共施設の整備を進めてきました。また、今後本市として利用する見込みのない資産については、関係区局との連携のもと、公募による売却を実施するなど、財政面でも寄与しています。

取組状況についてご説明いただきました。有効活用が可能と考えられる資産については、売却や貸付けを進めて本市財政に寄与することが求められるが、一方で、大規模な土地や用途廃止施設などについては、その活用方法が地域に与える影響が大きいと言える。特に土地については、今後の活用について地域の皆様は大きな関心を持っていると日ごろ感じています。そこで、

質問9 市有地の活用検討に当たっては、本市の施策の実現に向けて利用するのか、あるいは財源確保に向けた売却等を行うのか、適切な判断が必要と考えるが、見解を伺います。
答弁9 本市が保有する土地については、取得や利用の経緯を踏まえつつ、中長期的な視点や保有・活用のために必要となる経費等を考慮して、最適な活用方法を選択します。具体的には、公共性や市場性を考慮しながら、まずは中期4か年計画等で整備を目指している公共施設などでの利用の検討を行います。その上で、本市での利用見込みがない土地については、個々の特性に応じた資産活用の方向性を整理し、活用計画案を策定する形となります。

いろんな土地を、庁内に照会をかけて必要があるかどうかを確認した上で、売却されていることは理解しています。ただいま市場性と公共性の話がありましたが、最近では公園の活用についてサウンディング調査で、民間活用ができないかなどの調査が行なわれ、公民連携の取り組みが行なわれています。地域で言えば、「目の前の大きな土地があるがどうやら売却されるようだ」といった話が出てきたり、「スポーツをする場所にしてもらえないか」という話になったりするわけです。さきほどの基準の話と同じで、例えば青葉区でも1ヶ所、緑区でも1ヶ所と決まっていたりすると、「青葉区だけ2ヶ所目を作ることはできません」となってしまう。そうすると設置基準に縛られることで、新たなものを作れなくなり、市民ニーズを満たせなくなり、設置基準があるから土地の公共性の観点から捉えることができなくなり、売却するしかなくなってしまうということが起きていると考えています。そういう視点から、先程の設置基準と土地の活用は、両方合わせて検討する必要があります。

将来の人口推計なども踏まえて検討する必要があります。売却すれば数億円のお金が入りますが、もっているだけなら確かにコストが発生します。ただ、持っているだけだったとしても、地域とどうその場所を使うか、地域の方にどれだけ管理をお願いできるか、学校予定地でも行なわれていますが、そうした多角的な視点で市有地の有効活用を検討する必要があると考えます。そこで、

質問10 より長期的な視点を持って市有地の有効活用を検討するべきと考えるが、見解を伺います。
答弁10 9月8日市会本会議での所信表明において、市長から「中長期的な視点による持続可能な財政運営を行う」ことを申し上げました。市有地の活用、資産の活用は正に財政運営の取組の一つであると考えています。先生のお話の通り、中長期的な視点を持ちながら、短期的に、短絡的に判断しないように、長期的にどうするかを慎重にじっくり検討しながら、土地の売却、活用については進めていきたいと考えています。

繰り返しになりますが、売れば数億円になりますが、その数億円で、売ったものは戻ってきません。持ち続けるコストもありますが、そこを上手く活用できたときに市民が得られる便益もよく検討して頂きたいと思います。

財政運営というと財源面が強調されがちだが、市有地の有効活用についても、中長期的視点を持った検討を是非とも進めていただきたい。また、有効活用を検討する際には、地域の皆様の理解を得ることも、当然必要になると考えます。公共建築物の再編整備のところでも申し上げましたが、自治会に入っていない方もいらっしゃいますし、自治会長が替わることで考え方が変わったりすることもありますので、自治会・町内会にとどまらず、幅広いコミュニケーションを展開していくことが重要です。そこで、

質問11 市有地の有効活用の推進に際しては、地域の皆様の意見を十分にくみ取ったうえで検討を進めるべきと考えるが、見解を伺います。
答弁11 本市が保有する土地は、市民の皆様から負託された貴重な土地です。その活用の検討に際しては、これまでも、地域の窓口である区役所と連携し、地域の状況や課題、皆様の御意見の把握に努めてきました。先生おっしゃる通り、やはり地域課題の解決につながるような活用が望ましいと思いますので、引き続き、区役所と連携し地域の意見についてきっちりと把握していきたいと思います。

ある土地の売却が決まった後に自治会長が替わり、新たな会長が「そんな話知らなかった。それなら地域で使いたかったのに」なんて声が聞こえてきたこともある。区役所を窓口にするにしても、広い意見を受け止められる取り組みをして頂きたいと思います。

4 財政情報の見える化

次に、財政情報の見える化について伺います。市民に開かれた市政運営のため、オープンデータの推進が重要ですし、これまで折に触れて取り組んできました。本年3月には、議員提案による「横浜市官民データ活用推進基本条例」が制定されています。

市役所としても法律や条例に鑑みて、官民データを市政にどう生かしていくかが重要であり、まさに、その実践策とも言えるデータ活用推進基本計画について政策局を中心に検討しているところだと思います。こうしたなかで、財政局が所管する予算・決算などをはじめとする財政情報の見える化は、積極的に取組むべき重要なテーマだと考えます。そこで、まず

質問12 財政情報の見える化として、これまでどのような財政広報を行ってきたのか、財政部長に伺います。
答弁12 財政広報誌「ハマの台所事情」や「予算や決算に関する記者発表資料」、「横浜市の財政状況」、投資家向けIR、広報よこはまを活用した広報など、それぞれの目的に沿った財政広報を行ってきました。

市民が知りたいと考えている情報が、財政広報を通じてしっかり伝わるよう、財政広報は市民との重要なコミュニケーションツールであるとの自覚をもって取り組んでもらいたいと思いますが、そこで、

質問13 市民にとって、わかりやすく、使いやすい財政広報となるよう工夫していることは何か、財政部長に伺います。
答弁13 まずわかりやすさの点では、財政広報誌「ハマの台所事情」や、予算に関する記者発表資料を中心に、図やグラフ、写真を活用して、目で見て理解しやすいよう文章も難解な表現を使わないように努めました。また、使いやすさとしては、「予算議案」などの法定資料や、「予算や決算に関する記者発表資料」の資料編について、PDF版での公表とともに、エクセル形式での公表も順次進めています。

だいぶ紙面も見やすくなりまして、財政情報に対する1つの入口になる媒体だと思いますので、より改善と、充実をお願いしたいと思います。

さて、本決算市会における、新たな財政情報の見える化として、いわゆる「統一的な基準による財務書類」が、われわれ市会議員に配られたところです。そこで、

質問14 統一的な基準による財務書類の公表にあたって、市民へのわかりやすさの点から留意したことについて財政局長に伺います。
答弁14 作成初年度ということは公表も初年度でして、データの羅列にならないよう留意した点として、「財務書類4表の内容・見方」や、「地方公会計の財務書類と民間企業の財務諸表との違い」などの解説を可能な限りわかりやすい表現で掲載しました。また、これら財務書類4表を一覧にし、4表相互の結びつきや、4表に関する参考データ、さらには本市の財政運営との関連付けなど財務書類のポイントをまとめた概要を1ページ設けて掲載しております。

今回初めてということで、色んな努力をされたもにになっていると感じましたので、これからもよりよい形にしていってもらいたいと思います。民間企業で働いている方など財務諸表の形態に見慣れている方にとっては、これまでの単式簿記の官庁会計の決算説明よりも理解しやすくなったと言えるかもしれません。また、今回の財務書類作成・公表を機に、民間企業でも作成している固定資産台帳が整備されたということで、これまでなかなか全体像を把握しきれなかった資産情報が把握できるのではないかと期待しているところです。

先ほど質問した、公共建築物の再編整備や資産の有効活用に向けた取組を進めていくためには、財務書類のなかで示される貸借対照表で、資産のボリューム感を明らかにすることも必要ですが、それ以上に、横浜市が保有している資産情報の一覧や、関係する個々の資産の基本情報に市民が簡単にアクセスできる環境整備をしていくことが必要なのではないかと思います。そこで、

質問15 財務書類や固定資産台帳情報のオープンデータ化について財政局長に伺います。
答弁15 現在、ホームページでは、財務書類をまとめた「横浜市の財政状況」という冊子と、冊子には添付していない、一般会計の貸借対照表の科目ごとの内訳についてPDF版で公表しています。現在、各会計の財務書類4表と一般会計の貸借対照表の内訳について、二次利用が可能となるようエクセル形式で公表していけるよう準備を進めています。固定資産台帳については、台帳全体で、約9万1千件と膨大なデータであることから、国の動向や他都市の取組状況も踏まえつつ、公表の方法について、検討しています。

財務書類に関してはオープンデータ化されるということで、もう1つの固定資産台帳の情報については検討されているということですので、ぜひ積極的に進めていただいて、早期に公開されるようお願い致します。

「見える化」はオープンデータ化だけで完結するものではありません。情報量に限界がある紙媒体での情報とあわせ、やはり豊富な情報量とアクセス性の良さからWEBでの情報発信を充実させていくべきだと考えます。

ここでスクリーンをご覧ください。

例1:税金はどこへ行った?
 例えば、これは、もう5年前から、一般社団法人オープン・ナレッジ・ファウンデーション・ジャパンが運営しているサイト「WHERE DOES MY MONEY GO(税金はどこへ行った?)」の横浜版です。オープンデータの議論が日本や横浜で展開し始めたころに、1つの取り組み例として注目されたものです。何度か市会でも取り上げられていますが、このサイトに自分の年収と世帯タイプを入れると、自分の住んでいる自治体に払った税金が1日あたり、何に、いくら使われているかなどがわかるわけです。予算案の記者発表資料にも同様のものを掲載していますけど、自分の払った税金をベースに情報提供しているわけですから、より具体的にイメージできます。元々海外で取り組まれていたものを、日本版として展開されています。

例2:カリフォルニア州パロアルト市
 オープンデータ、オープンガバメント、は海外で先進的に取り組まれ、追いかける形で日本でも取り組まれてきたところがあります。御覧頂いているのはパロアルト市の財政情報がビジュアライズされたものです。インタラクティブな仕様となっていて、財政情報を分かりやすく表現されています。この他にも、オハイオ州の財政情報に関する、ビジュアライズの事例などでは、各予算に対する財源などが示され、そのコストが可視化されることで、費用対効果に対する意識向上につながっているといいます。

例3:大阪市公金支出情報
 大阪市は、施策形成段階から決定・実行までのプロセスを見える化する「オープン市役所(究極の情報公開)」の取組を進めています。私からは市会において、オープンデータのみならず、オープンガバメントの推進を提案してきていますが、大阪市のこの取り組みにおいては、施策や予算のプロセスの見える化、つまり政策形成過程の見える化にも取り組まれています。

 このスライドはその中でも公金支出情報になります。エクセルで月ごとの支出情報を見ることが出来るようになっています。当該月の翌月の中旬には公表されていて、どこの部署が、いつ、何に支出したかがタイムリーにわかります。表示しているのは先月分の1部ですが、9月分だけでも全体で21,163項目にもなります。やはり、ここまで市民に情報提供することが、目指すべき見える化であり、透明性の確保やアカウンタビリティを果たすことになると考えます。財政情報というのは、あらゆる施策における根幹です。よく家計にも例えられますが、市民が市の財政状況を家計のように把握できれば、施策の展開についても本当に必要なのか、それとも不要不急なものなのかが、議論しやすくなります。

 先ほどの公共建築物の再編整備も、財政情報を市民の皆さんに提供し、市民、行政、議会で情報と課題の共有をしていくことが重要です。いま紹介したような形で、市民に分かりやすく本市の財政状況を伝えることが、再編整備を進める趣旨の理解につながり、本質的な議論につながりますし、そして市民の皆さんの納得指定だたく必要がありますので、こうした情報に基づいた議論が納得ににつながるのではないかと考えます。そこで、

質問16 今後、財政情報の見える化に向けてどのように取り組んでいくのか、財政局長に伺います。
答弁16 財政広報誌については、予算や財政情報をよりわかりすく、身近に感じていただくための取組を更に進めます。また、より使いやすい財政情報の提供については、今後策定予定の「官民データ活用推進計画」の内容に沿って対応し、財政運営の透明性の確保に努めていきます。

行政情報の一層の見える化は、財政局だけの課題ではありません。横浜市官民データ活用推進基本条例に基づき策定が予定されている、データ活用推進基本計画に位置付けるなど、着実に取り組んでいただくよう要望します。 

5 未収債権整理

次に、未収債権整理について伺います。市の有する債権を適切に管理・回収することは市の安定的な財政基盤を確立する上でも重要であり、市民負担の公平性にもかなうものと考えます。また、横浜市中期4か年計画においても、財源の安定的な確保を掲げており、全庁的な未収債権額について、着実な縮減に取り組むことが必要だと思います。
そこで、まず、

質問17 28年度における未収債権額の決算状況について、主税部長に伺います。
答弁17 28年度の未収債権額は310億円で、27年度から31億円縮減することができました。縮減額の大きい債権としては、国民健康保険料が最も多く、次いで市税となっています。一部に縮減が進まない債権もありますが、全体としては、中期4か年計画の目標及び28年度の目標を達成することができました。

中期4か年計画や28年度の目標値を達成しており、確実に未収債権額が縮減されていることが分かりました。大変、良い成果が出ているようですが、これは、着実な取組みがなされてきた成果だと思います。そこで、

質問18 28年度の取組みについて、財政局長に伺います。
答弁18 国民健康保険料や市税などにおいて、滞納の早期解決に向け、現年度分の確実な徴収に重点を置いて推進しました。更に、27年度発生した強制的な徴収権限のない高額未収案件を踏まえ、私債権等早期未収対応マニュアルを短期間で策定するなど、未然防止、早期対策を柱とした取組を進めました。また、未収債権は全ての部署で発生する可能性がございます。債権管理台帳の整備など様々な備えが必要となり、その認識のもと、マニュアルを活用して研修を拡充するなど、債権管理のノウハウの習得支援にも努めました。

様々な取り組みがなされているということで、一朝一夕ではいかない取り組みが進めているのだろうと思います。担当の職員の方々が一生懸命汗をかいている成果でもあると思います。

市税や国民健康保険料の縮減が着実に進んでいる一方で、それ以外のその他の債権で縮減が進んでいない債権があることは課題ではないでしょうか。そこで、

質問19 縮減が進んでいない債権があることについて、課題を財政局長に伺います。
答弁19 縮減が進まない債権の多くは、強制的な徴収権限のない、いわゆる非強制徴収債権です。これらの未収債権の回収には、財産調査に債務者の同意が必要なことや、裁判を通じて様々な手続きがかかるなど、強制徴収権限のある債権に比べ、煩雑な手順を要します。このように膨大な時間とコストがかかることが課題であり、今後は、策定したマニュアルで示した発生させないための備えを徹底するなど、対応していきます。

強制的な徴収権限のない債権の対応が課題だということですが、新たに、マニュアルを作成するなど、迅速な対応もされていることです。市民負担の公平性と財源の確保のため、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。そこで

質問20 今後の未収債権縮減に向けた取組みについて、柏崎副市長に伺います。
答弁20  29年度は中期4か年計画の総仕上げの年です。私が議長を務める未収債権整理促進対策会議である庁内会議において、各債権を持っている各債権所管部署間で、債権回収のノウハウや取組状況を共有し、連携を強化しております。また、今後の課題も早期に把握し、具体的な対応策を検討していくことが必要と認識しています。市民負担の公平性と財源確保の観点から、滞納発生の未然防止や早期未納対策の充実を図るなど、地道な取組を進め、そうした点を着実に進め、未収債権の縮減を図っていきます。

未然防止と早期対応ということで、310億円は大きな金額ですので、最終年度しっかり取り組んでいただいて、税負担の公平性を確保して頂きたいと思います。

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