子どもの貧困と「あおば子ども食堂」。居場所としての可能性。

2017-11-08 21:29:27 | カテゴリ:活動報告


あおば子ども食堂

11月8日、「あおば子ども食堂」の取り組みを拝見するため、さつきが丘地域ケアプラザを訪問しました。

今年の4月からスタートした「あおば子ども食堂」は、市が尾の福祉活動拠点「ふれあい青葉」に事務局を置く、あおば子ども食堂実行委員会の皆さんによって、ふれあい青葉、もえぎ野地域ケアプラザ、さつきが丘地域ケアプラザ、美しが丘地域ケアプラザの4会場にて開かれています。開催日は毎週日曜と水曜日の週2回開催となっていて、全国的には月1回〜2回などの開催が多い中、高い頻度での開催となっています。

これまで半年間で、延べ1,000名を超える利用者があり、そのうち約5割がさつきが丘地域ケアプラザとなっています(3割は美しが丘)。さつきが丘地域ケアプラザの利用者が多い背景には、さつきが丘小とつつじヶ丘小という2つの小学校からの距離が近いことと、スタート時に学校や学校運営協議会、民生委員さんが協力して呼びかけをしてくれたことがあると言います。私が伺った際も、27名の利用となっていて、最多のときで33名くらい、平均して20名前後が毎週水曜は利用していると言います。日曜日は全体的に利用者が少なく、0という時もあるようでした。上は小学校6年生くらいまででたまに中学生の利用もあり、今日は兄弟で来ていたなかで3歳のお子さんの参加もありました。「子ども食堂」と言えば、子どもの貧困対策が主たる目的となりますが、さつきが丘では子どもたちの背景に関わらず呼びかけ、多様な子どもが参加しているそうです。

食事代は子どもは1食100円、大人は200円となっていて、具沢山の「みそ汁」を提供することに、力が入れられています。メニューは基本は各会場同じ内容で、実行委員会として一括で仕入れ、各施設に食材を運び、各施設で同じ料理を調理するという流れになっています。普段はおにぎり2つに、みそ汁が基本メニューということでしたが、本日はご寄付があったサツマイモが提供されました。これまでタウンニュースの報道や、区民まつりへのブース展示などの影響で、お米やお野菜などのご寄付が集まっているそうです。積極的に寄付の募集をされてはいらっしゃいませんが、食材の提供などは子どもたちの食事の内容に直結していくため、大変助かっていると仰っていました。寄付以外の運営資金は、神奈川県社会福祉協議会の助成金によって賄われていて、県社協として子ども食堂に助成するのは初めての事例となっているそうです。

今後の課題として、子どもたちを預かるため、災害時対応についてのマニュアルが必要ということが挙げられていました。学校においては、台風等で警報が出た際休校になるルールが定められているように、子ども食堂でもルールが必要ではないかと検討されていました。また、震災時など預かっている子どもたちの帰宅や、保護者への連絡などのために、子ども達の連絡先などを確実に把握する必要性も指摘されていました。

長ければ3時間以上もの長い時間子どもを預かることから、その時間を子どもたちのためにどう活用できるかも、検討されていました。子ども食堂の目的自体は「居場所づくり」ではないとは言え、ただ子どもたちが食事をして遊んでいるだけではなく、地域活動の団体などと協力をして企画を用意できれば、子どもたちにも、団体にも、ケアプラザにも、実行委員会にもプラスになる「四方良し」になるとも言えます。横浜市としては、寄り添い型生活支援事業や、放課後学び場事業が、中学生向けの取り組みとして行なわれています。小学生が中心の子ども食堂における時間活用のテーマは、貧困対策という子ども食堂の趣旨を考えると、学習支援事業とも親和性が高いかもしれません。また、結果的に「居場所」として機能していることや貧困対策という点からは、地域の活動団体との交流による文化的な体験の場としても、子ども食堂が機能しうるかもしれないと感じました。こうした視点で考えられるのも、週2回の開催という高い頻度と、多数の参加があるという特徴があってこそとも言えますが、取り組みの事例として注目したいと思います。

あおば子ども食堂

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