住居紹介と就労機会の創出で自立支援。アオバ住宅社の取り組み。

2018-04-24 20:59:36 | カテゴリ:活動報告


アオバ住宅社

2018年4月24日、青葉区桜台にある「アオバ住宅社」さんを訪問しました。お話を伺ったのは、代表の齋藤瞳さん。

アオバ住宅社は、不動産屋さんでありながら、不動産の仲介のみならず、集合住宅の定期清掃などの事業を行っています。高齢者や生活保護受給者の方、シングルマザーなどの、生活面で何らかの困難さを抱えている方々の物件探しから、そうした方へ清掃の仕事の提供をされています。元々「社会起業」を目指した、というわけではなく、不動産業を通じてそうした方々と出会い、何とかしたいと動いているうちに、今のアオバ住宅社の形になっていったといいます。生活困窮にある方にとって、住居を得ることだけでなく、生活を維持するための仕事を得ていくことは、非常に重要です。住居と就労を合わせて提供できる、というアオバ住宅社の取り組みは社会的に意義深い取り組みだと考えます。

元々のきっかけとなったのは、まだ齋藤さんがアオバ住宅社を立ち上げる前に勤めていた不動産屋さんでの出会い。お客さんのAさんは、ご高齢で生活保護を受けながら、転居先を探していらっしゃいました。なかなか条件を満たせず新居を見つけられないなかで、齋藤さんは区役所にも何度も通い、なんとかAさんが新たな家に住まうことができるようになったといいます。そうこうしているうちに、たまたま齋藤さんの知り合いのオーナーさんから、物件の清掃業務の相談があり、きれい好きで清掃が得意だったAさんを紹介するに至り、そこから清掃事業が動き始めます。

区役所との関係ができたことから、ケースワーカーさんなどからも相談を受けるようになり、物件紹介だけでなく、生活困窮者への仕事の相談などを、役所から受けるケースが出てきています。ここ1年ほどの間に、物件紹介は約30件、就労では約10名の方に清掃の仕事先を提供されてきました。また、田奈高校で行われているバイターンの受け入れもされていて、私がお邪魔してお話を伺っているときにも、田奈高生が事務所を訪れていました。

高校生以外にも、1時間半ほどの間に、3名の方が事務所に特に用事もなくいらっしゃって、少し話して帰っていかれました。地域コミュニティとの繋がりが無いというのも、生活に困難を抱える方々の課題だと、齋藤さんから指摘がありました。事務所の立地としてはビジネス的には目立たない場所ですが、結果的に気兼ねせずに立ち寄りやすい環境のようで、アオバ住宅社が1つの居場所のような機能も果たされているように感じました。

必要なのは支援の輪:課題とこれから

齋藤さん1人でアオバ住宅社を始められて、しばらくは1人で運営されてきましたが、最近ではアオバ住宅社の事業に共感された2人の方が、事務作業などを引き受けて分担してくださっているそうです。それでも、これまで以上に支援を増やすにも、事業を回すにも、人手が足りない状況に置かれていました。たまたま縁があって清掃業を行っているものの、何も清掃業に限る必要もありませんから、色んな仕事があっても良いのではないかと考えられています。清掃業についても、働く人を増やしても、取引先を増やす必要もありますし、運営をうまく回すだけのスタッフも必要となります。現状での運営体制のままだと、営業に回る時間もなく、なかなか手を広げることが難しい状況に置かれています。

多くの方にアオバ住宅社の取り組みを知ってもらいたいですし、こうした仕組みが広がっていけば、自立してよりよい生活環境を得られる方が増えますし、この支援を必要としている方はもっと大勢いらっしゃるのではないかと考えます。生活困窮者へ部屋を提供できる物件のオーナーさん、清掃業だけでなく、自立支援につながる仕事の機会を提供してくださる方、アオバ住宅社を運営面で支援してくださる方、など支援の輪を広げていけると良いなと思います。

アオバ住宅社
コタツのある事務所

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