生産性の向上とイノベーションの創出。平成29年度経済局決算審査。

2018-10-24 17:26:12 | カテゴリ:活動報告


10月22日(月)、横浜市会平成29年度決算第一特別委員会におきまして、経済局の審査を行いました。

1.多様な人材の確保
2.市内中小企業の事業承継
3.企業誘致
4.海外事務所
5.市内での創業支援に向けた取組
6.イノベーションの創出

という6項目について、答弁を求めました。
以下、質問の原稿と答弁のメモです。
(※議事録ではないので、実際の内容とは若干言い回し等が異なります。)
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1 多様な人材の確保

人口減少や少子高齢化が進展する中、横浜市における有効求人倍率は平成30年8月現在で1.46倍と高い水準で推移しております。独立行政法人労働政策研究・研修機構の試算によると、2014年には約6,600万人の労働力人口が、このまま何もしないと2030年には約5,800万人まで減少すると推計されています。

労働力人口が減少することにより、社会保障制度の負担と給付のバランスが崩れ、持続可能性が損なわれること、経済を支える消費が縮減していき、生産が減少し、供給面で経済成長が制約されるなどの恐れが出てきます。

こうした労働力不足への対応として、生産性の向上が不可欠であり、また、生産性向上のためには、多様な人材の確保が必要です。そこで、これからの人口減少社会への対応とそのための生産性向上に向けて、多様な人材の確保という観点から伺ってまいります。

女性の社会進出は、生産性の向上に資することが、OECDからも示されています。一方、世界ジェンダーギャップ指数では、日本は114位となる中、経済面でのギャップが大きいことが示されており、男女の労働力比率のギャップに関しては79位となっています。生産年齢人口が減少する中、いかにして1人あたりの生産性を向上させるか、労働力を確保するかが、経済的には大きな課題であるなかで、働く女性の支援や、働きたい女性の支援を強化し、女性の活躍を応援することが重要です。そこで、

質問1  女性の労働力率の向上は、生産年齢人口の減少に代わる、労働力確保として不可欠だと考えますが、局長の見解を伺います。
答弁1 生産年齢人口の減少に伴いまして、企業の人手不足が課題となります。そのような中、AIやロボットなどの技術革新を取り込み、生産性の向上を図るとともに、女性そして高齢者、外国人等の多様な方々に活躍していただくことが求められていると考えております。特に、女性の活躍は、しなやかな感性を生かした商品の開発など、事業の継続から成長につながる重要な経営戦略でございまして、持続的な発展を目指す企業にとって大変有効であるというふうに考えております。

女性の社会進出については、政策局の男女共同参画としての歴史、経緯もあり、「第4次横浜市男女共同参画行動計画」でも、男女の人権の尊重を始めとした基本理念を掲げながら、日本一女性が働きやすい、働きがいのある都市を目指していますが、経済局的視点からのアプローチも欠かせないと考えます。そこで、

質問2  政策局との連携のみならず、経済局が女性の社会進出を牽引していくべきと考えますが、局長の見解を伺います。
答弁2 経済局では、市内企業の女性活躍の更なる推進に向けまして、安心して働き続けられる体制や女性がキャリアアップできる環境整備、リーダーシップ開発や起業家育成のための支援など、幅広く取組を進めております。新たな中期計画にも掲げております、「日本一女性が働きやすい、働きがいのある都市の実現」に向けまして、多くの企業とつながりのある強みを生かしまして、経済局としてもしっかり役割を果たしてまいります。

ここから29年度の事業について伺ってまいります。横浜市においても、平成29年度から新たに「横浜ワークスタイルイノベーション推進事業」を実施し、テレワークをはじめとした市内中小企業等における多様で柔軟な働き方の推進に取り組んでいます。
横浜ワークスタイルイノベーション推進事業では、平成29年度に、柔軟な働き方等の取組について企業の支援を行いましたが、実際に導入に至ったのは、支援した58社のうち、5社と聞いています。市内には約12万の事業所があるなかで、まだまだ実績としては低いように感じます。そこで、

質問3  この実績に対する見解について、市民経済労働部長に伺います。
答弁3 県が実施したアンケートでは、働き方改革に取り組んでいない中小企業が6割を超えております。理由としては「人員に余裕がない」、「必要性を感じていない」などが、主なものとなっており、引き続き企業の皆様に必要性を理解していただく取組を進めてまいります。具体的には、セミナーや冊子等により、成功事例の周知を図るほか、商工会議所、市工業会連合会などの経済団体や労働局などの関係団体と連携しながら事業を推進してまいります。

啓発ですとか、さまざまな団体を介して取り組みを進めたいということなのですが、国ではテレワークデイなどの取り組みも始まっている中で、都内の企業とくに大きな企業が参加している傾向が強いのですが、そうした契機を使って横浜市でもいろんな企業が参画をしたり、理解を促進していただければよいのではないかと感じます。

働く場所が近くにあり、子育てもしやすく、住みやすい街をつくっていこうというのが、横浜市の1つの方向であるなかで、企業誘致などで働く場所を増やすと共に、働きやすい環境を整えていくことは、待機児童対策などと同様、重要な取組ではないかと考えます。そのため、今年度、また、来年度以降、住む場所として、働く場所として、横浜市が選ばれるようにするには、経済局の役割は大きく、今後、より一層働きやすい環境づくりを推進すべきと考えます。そこで、

質問4 特に、生産性向上や労働力確保の面で、女性にとって働きやすい環境整備をどのように進めていくのか、局長に伺います。
答弁4 中小企業の経営者の方々や人事・労務担当者の皆様を対象に、多様で柔軟な働き方の創出に向けた相談窓口を、引き続き設置してまいります。また、女性の力が十分発揮されるよう、経営者向けの普及啓発とともに、就業規則の改定や女性専用設備の設置、さらにはテレワークの導入など、ソフト・ハード両面の支援に今後も取り組んでまいります。

なかなか今まで雇用されていないと、雇用することでどんな効果があるかとかも、なかなかわかりづらい所もあるなかで、具体的な事例の紹介などもされるということだと思うのですが、経済局としてもしっかりと数字としてどういう効果があるのかということがこれから把握されていく必要があるのではないかと考えます。

多様な人材の確保という観点で、次に、シニアの就労支援について伺います。

内閣府が平成26年に実施した「高齢者の日常生活に関する意識調査」において、60歳以上の方に就業希望年齢について尋ねたところ、そのうちの約5割が「働けるうちはいつまでも」もしくは「70歳から80歳くらいまで」と回答をしています。ところが、総務省が行っている労働力調査の平成30年8月分の速報値によると、65歳以上の就業率は24.5%にとどまっています。

シニアの就労を支援することは、労働力人口の確保のみならず、健康で働く意欲をもつシニアの方々に就労してもらうことにより、生きがいの充実、福祉の増進並びに社会参加の推進が図られ、その結果として社会保障制度の持続可能性を高めることにもつながっていくのではないかと考えています。

これまで、40年近く高齢者の就労の一翼を担ってきたのが、横浜市シルバー人材センターですが、本市の状況を確認すると、就業人数等の減少や、会員数の減少などに直面しています。そこで、

質問5 横浜市シルバー人材センターの課題について、市民経済労働部長に伺います。
答弁5 「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」第9条の規定により、企業等においては、65歳まで雇用することが義務付けられたため、65歳までの会員数が減少し、就業人数等も減少しています。今後は、66歳以上の方を中心に、ハローワークなど関係機関と連携して広報活動を行い、会員を増やすとともに、営業を強化して就業の機会を拡大してまいります。

これまで、横浜市シルバー人材センターが中心となって行ってきた支援については、働き方として、臨時的・短期的・または軽易な業務に限られており、長時間働くことができる方を求める企業にとっては、難しい問題もあります。

そこで、フルタイムで働きたいシニアの方や、または働いてほしいと望む企業にとっての就労の機会を設ける取組も必要かと思います。横浜市では、就労支援のための市民向け総合案内窓口である横浜市就職サポートセンターにおいて、今年度から新たにシニアを対象とした支援を実施しているとのことです。そこで、

質問6 新たな取組内容とこれまでの実績について、市民経済労働部長に伺います。
答弁6 横浜市就職サポートセンターにおいて、今年度から55歳以上のシニア向け就職支援プログラムを実施しています。内容としては、セミナーと企業説明会を開催し、希望者に対して企業見学会や個別相談を行っています。今年度は3回を予定しており、これまで2回開催し、あわせて36名の募集に対し、45名の方に参加をいただきました。

予定よりも多くの方に利用していただいているということで、一定の成果は出ているとは思いますが、まだまだシニアの就業率は25%弱にとどまっており、引き上げていく必要があると思います。そこで、

質問7 今後、シニアの就労に結び付けていくうえでの課題と対策について、局長に伺います。
答弁7 求職者の方々は、キャリアを生かせる仕事を希望する一方で、求人の方は、介護や警備など、人手不足の業種に偏る傾向がありまして、需給のミスマッチというものが課題と考えております。そのため、求職者には今までと異なった仕事や環境を受け入れていただくため、セミナーや窓口相談などを通じた意識改革の取組を進めております。また、市内の企業に対しましては、シニアのスキルや経験を生かすことが経営戦略の一つとして有効であるということを、横浜商工会議所など、関係団体を通じて働きかけてまいります。

女性の問題と少し似ているところが、これまでそういった方を就労の機会がなかったという、企業側にもなかなかどういうふうにしてよいかわからないというところもあるでしょうから、そういったところから取り組んでいただくことも必要でしょうし、また働く方のほうにも意識改革が必要だというところかと思います。

こうやってシニアの就労機会を増やしていただいたりですとか、女性の働き方改革でより社会進出をしていただくようになると、地域人材の不足が課題となる一方、経済的には就労率を向上させていきたいという課題もあります。働く人が増えれば、必然的に地域活動に取り組める人材が減少せざるを得ない状況です。そうした中で、シニアパワーを活用して、ビジネスとして地域課題を解決しようという、「シニアパワーの活用による地域包括ケアシステム推進事業」が目的とするところは、今後一層重要になると考えます。そこで、

質問8 シニアパワーの活用による地域包括ケアシステム推進事業の29年度の取組内容と実績について、中小企業振興部長に伺います。 
答弁8 青葉区との区局連携促進事業として、シニア層等の活躍の機会を創出するため、地域課題の解決に取り組むビジネス創出に向けた、セカンドキャリア支援を実施いたしました。具体的には、オープニングイベントから始まり、セミナーを5回、個別相談会を3回、現場視察会を3回、最後に、交流のためのクロージングイベントを開催いたしました。

次に、

質問9 シニアパワーの活用による地域包括ケアシステム推進事業の課題と、今後の取組について、局長に伺います。
答弁9 29年度の取組の結果、セミナー参加者26人のうち、起業された方は現時点では1人、起業準備中の方も1人、それから地域活動をスタートした方が6人となっております。活動によって利益を目的とするよりも、社会貢献的な活動を望まれる方が多い結果となっております。今後は、この状況も踏まえまして、ソーシャルビジネスを含めた幅広い活動支援を、青葉区や民間事業者と連携しながら進めていきたいと考えております。

地域の担い手が足りない中で、いろんな本市の施策の中にも地域人材に任せないといけないような計画が数多くあるというところで、いかにビジネスとして社会課題の解決をできるかというのは、今後こういった取り組みに期待されるところだと思いますので、経済を動かしながら、地域課題を解決できるという取り組みをしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

2018年の生産年齢人口は236万人であり、2038年の生産年齢人口は、201万人(中位推計)と推計されています。35万人の生産年齢人口の減少が見込まれます。一方平成27年の国勢調査によれば、男性の労働力率が72.4%で、女性は49.3%となっています。これが、女性も男性と同じ率にして計算すると、30万人ほどの労働人口が増えることとなります。新しい中期4カ年計画では、企業誘致・立地による雇用者創出数10,000人という数値目標が立てられたのは評価できますが、

質問10 今後の生産年齢人口や労働力人口については、推計に基づいて人材確保や、労働人口の増加目標が必要ではないかと考えますが、局長の見解を伺います。
答弁10 ご指摘のありました、生産年齢人口の減少につきましては、例えば、直近で2017年から2021年まででも、約2万人減少するという推計もございます。人手不足の深刻化が見込まれる中で、市内経済を活性化していくため、新たな中期計画では、女性やシニアの活躍など、多様な人材の確保を目指しながら、4年間で3万2千人の就職を目標としてございます。そのために、就職情報サイトの活用、就職サポートセンターの支援、合同就職面接会・合同企業説明会の実施、シルバー人材センターの活用、さらには留学生の就職支援など様々な施策を総動員して進めてまいります。

2 市内中小企業の事業承継支援

続いて、人口減少社会への対応という観点から、市内中小企業の事業承継支援について、伺います。

人材不足は市内企業をすでに悩ませており、市の景況・経営動向調査では、5割以上の企業が、「労働力が不足している」と回答し、「人材獲得の競争激化」がその理由の7割を超えています。有効求人倍率が上昇し、人材市場が売り手市場になるなか、中小企業の人材確保は企業のイメージや認知度、賃金などの労働環境等の課題から、困難な状況が続いています。

働く場所として、そして本市の経済のエンジンとして、中小企業の存続は重要なので、手をこまねいている場合ではないと言えます。横浜市では、事業承継の一環としてM&Aの支援を行っていますが、企業を統合し、生産性の向上に努めていかなければ企業が淘汰されていくと考えます。そこで、

質問11 生産性の向上や、経済合理性、人材確保など、中小企業の抱える課題を解消し、市の経済を維持、成長させていくためにM&Aの取り組みを推進すべきと考えますが、局長の見解を伺います。
答弁11 M&Aは、企業の成長戦略として、事業再編・統合の有効な選択肢の一つでございます。また、中小企業が抱える経営者の高齢化ですとか、後継者不在などの課題を解決する有効な手段でございます。そのために、市内中小企業の事業承継を円滑に進めるためにも、金融機関や仲介機関と連携してのM&Aのマッチングを図り、様々なニーズに対応してまいります。

金融機関のお話もありましたけれども、やはり融資をする金融機関のほうがより具体的な情報をもっているということ、より具体的な提案が出来るというところも多くあると思います。市だけではできない部分も多いかもしれませんが、やはり中小企業の生産性の向上という意味では、規模を大きくしていく、企業の全体の数を少しずつ減らしていくというのが、うまく推進出来るかどうかということがこれから重要になってくるかと考えますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

横浜経済の活力を維持し、さらなる活性化を実現するためには、その事業を次世代に円滑につないでいくことが必要となっています。本市でも中小企業の事業承継支援に取り組み、一定の実績はあげていますが、事業承継の状況について、横浜市の景況・経営動向調査の結果を見ると、事業承継の準備が整っていると答えた企業は、全体の27%にとどまっており、まだまだ、横浜市全体からみると、事業承継が進んでいるとは言いがたい状況です。そこで、

質問12 事業承継支援事業における課題について、経済局長に伺います。
答弁12 事業承継は、経営者の皆様自身が、承継の必要性や適切な時期に気付きづらくて、経営の実情や後継者問題などデリケートな内容のために、社員や取引先等に知られたくないなどの理由から、多くの中小企業にとって重要と考えつつも実際の行動にはなかなか至っていないという状況がございます。事業承継には、資産、人、技術の承継が課題となりまして、その課題を踏まえて計画的に取り組んでいく必要があるため、早期の準備を促すなど、きめ細かい支援を行う必要がございます。

団塊の世代の経営者が70歳を越え、この数年のうちに大量の引退期が到来することが避けられない状況です。市内中小企業の事業承継に関する課題が、ますます顕在化してくることを深刻に受け止めなければなりません。そこで、

質問13 喫緊の課題として、事業承継事業に取組むことが重要だと考えますが、局長の見解を伺います。
答弁13 市内中小企業経営者の皆様の高齢化ですとか、後継者の不在というものは、廃業につながってしまうリスクが高いということで、非常に重要な課題であると考えております。事業承継を支援することは、優れた技術などの貴重な経営資源を継続させ、地域での雇用確保につながります。今年度からは、新たにIDEC横浜での専門相談窓口の設置や、事業承継資金の融資対象の拡大にも取り組んでおりますが、今後とも、金融機関とも連携しながら、より一層企業に寄り添った支援を行い、円滑な事業承継を進めてまいります。

市やIDEC横浜が、中小企業の経営者に寄り添い、しっかりとバックアップすることで、市内中小企業の事業承継がスムーズに進むことを期待して、次の質問に移ります。

3 企業誘致

働く場所の創出の面から、みなとみらい21地区の開発をはじめ、本市では企業誘致の取り組みが進められ、実績を残しています。これまで、企業立地促進条例に基づく誘致に関しては、企業と同意書を結ぶことによって、税収の増加などが把握されていますが、条例に基づかない場合は成果の把握が困難な状況にあります。そこで、

質問14 今後は、成果を把握していくために、より広い条件のもとで同意書を結び、税収増などの実績を把握する必要があるのではないかと考えますが、局長の見解を伺います。
答弁14 企業立地促進条例以外の支援制度である、成長産業立地促進助成は、成長分野の産業集積を促進し、本市経済の活性化を進めることを目的としておりまして、対象分野は、環境・エネルギー、健康医療、観光・MICE等としております。そのため、企業立地促進条例の対象とならない投資であっても、成長が期待できる企業に助成金を交付しております。これまで立地企業数で事業効果を測定していましたが、新たな中期計画では、市内雇用創出者数を指標に掲げるなど、事業効果を検証することといたしました。

企業誘致は、海外事務所や東京事務所など様々な形で取り組まれていますが、 営業力を向上させていくことは、1つの課題ではないかと思います。横浜に本社や事業所を置き、事業を行うことや働くことが、いかにプラスであるかという数字を示していくことも、誘致にとって必要ではないかと考えます。特に、企業誘致によって横浜市が如何に成長をしているのか、成果が上がっているのかという情報は、市民への説明という意味でも重要ですし、横浜市が用意している支援メニューや、経営環境が、実際に効果のあるものとして示すことができる、納得できる材料ではないかと思います。そこで、

質問15 誘致に成功した企業の事例を、定性的な評価だけでなく、数値として示し、営業に生かしていくことが重要ではないかと考えますが、局長の見解を伺います。
答弁15 先生ご指摘のとおり、誘致活動にあたりましては、データを用いて、移転によるメリットを的確にお伝えすることも重要であると認識しております。例えば、市内の技術者数の割合が高いことや、賃料、アクセスの優位性などについて、データを活用してプロモーション活動を推進しております。また、あわせて、移転されてきた企業の声、例えば、「賃料は変わらず床面積が2倍になった」とか、そういった立地企業のコメントを紹介するなども、誘致活動に生かしてまいります。

横浜市という都市がいかに伸びていく都市なのかということを示していけるかどうかも重要じゃないかと考えます。福岡市などもいろんな方が集まっていて、企業もそうですが、人が福岡を目指していっているところがあります。人と人が情報を出し合いながら、福岡が面白いんだということを一生懸命言い合っている形、それが横浜市に作り出せるかどうかというのも一つではないかと思います。ある特定の企業がもうかりました、だけでなく、いろんな企業が横浜に来たことから、横浜のつながり等を活かして発展しているんだということを横浜市の数字として出せていけることが重要ではないかと考えます。

4 海外事務所

次に、横浜市の海外事務所について伺います。

海外事務所については国際局にも質問しましたが、海外事務所の検証は重要であると思います。特に経済局の観点から言えば、縮小していく国内市場を見据えて、市内企業の海外進出に対する支援や、市内への企業誘致、市内企業の海外取引を増やしていくといったことを追求していく必要があります。

現在フランクフルト、上海、ムンバイの3箇所に海外事務所があり、これから設置される米州事務所も含め、職員を海外に駐在させています。その成果に期待をする一方で、現時点では事務所ごとの差も大きく、十分な成果が出ているとは言えません。各事務所での限られた職員数での対応では限界もあると思いますが、各事務所において、海外市場の動向を先取りし、市内企業支援を効果的に行っていくためには、市場ニーズの把握や、それに応じた提案を行っていく、コンサルティング機能を持たせる必要があり、その機能を持つ民間企業との協働も必要ではないかと思います。そこで、

質問16 海外事務所にコンサルティング機能や、その機能を担える民間企業との協働が必要であると考えますが、局長の見解を伺います。
答弁16 海外事務所では、現地のニーズに合った商品企画のアドバイスや、販路開拓など国際局と連携しながら、市内企業の海外展開を支援しております。今年2月、ムンバイ事務所では、現地のコンサルタント企業と連携し、販路開拓のための市場調査や現地企業とのマッチング支援などの取組を進めております。今後も市場開拓を進めていくために、金融機関や不動産業者など、様々な民間企業と連携していく必要があると考えております。

機動的な動きをいかに経済局が作り出せるかが重要になってくるのではないかと思います。国際局に聞くと相談件数がたくさんありました、という話になるのですが、経済局的にはいかに成果を出していくか、いかに税収を横浜市に増やしていくかというところを追求できるような取り組みにしていただきたいと考えます。

5 市内での創業支援に向けた取組

続いて、市内での創業支援に向けた取組について伺います。

経済の維持や成長、働く場所の創出、新たな社会課題への対応を行っていくなど、新しい価値を創造し、新たなマーケットを創出していくという点で、創業支援は重要です。

福岡市や大阪市、仙台市など、創業支援に力を入れる自治体が増えるなか、東京都でも、福岡市を参考にしたスタートアップハブ東京を設置するなど、創業支援に力を入れ始めています。福岡や大阪、仙台などは、経済圏の中心ですが、横浜市はそうではなく、首都圏の中心東京のベッドタウンとして拡大してきたという環境にあります。制約のある経済環境のなかで本市は、創業支援事業を進めてきました。そこで、

質問17 「創業しやすい街」となっているのかどうか、本市の取組をどう評価し、今後の可能性をどう捉えているのか、局長に伺います。
答弁17 例えば、女性起業家支援につきましては、スタートアップオフィス「F-SUSよこはま」を運営しまして、創業支援を行っているほか、百貨店と連携し、販売ノウハウを学び、商品のグレードを上げるなど、官民連携した横浜ならではの特徴ある支援を行っております。他にも、「横浜ビジネスグランプリ」や「ベンチャーピッチ」、「アクセラレーションプログラム」など、様々な取組も行っております。市内には、多くの大学や、企業の研究開発拠点があり、イノベーション人材が集積していますので、こういった市の強みを生かしまして、産学官連携して創業しやすい街としての可能性を高めてまいりたいと考えております。

神戸市では、アメリカのシード投資ファンド「500 Startups」と提携し、起業家育成プログラムを提供しています。大阪市では、週1回のペースでピッチイベントが開催されていたり、民間のコンサル会社へ委託し、アクセラレーションプログラムが提供されていたり、海外進出を見越したプログラムが用意されていたりします。

豊富なプログラムと、市が行おうとしている方向性の明確化によって、ターゲット像も明らかになりますし、サービスを利用する側も、何をできる場所なのかがはっきりし、ブランディングも図りやすくなります。創業支援を本市として行っていくうえで、ターゲット像の明確化や、横浜市の提供するプログラムを利用してもらうための情報戦略と、ブランディングは欠かせないと考えます。そこで、

質問18 先端的なベンチャー企業支援・創業支援を進めていく上でのターゲット像について、局長に伺います。
答弁18 横浜から成長性の高いスタートアップ企業を産み出していくためには、斬新なアイデアを、横浜の強みである、例えばターゲットという意味では、IT分野や、ライフサイエンス分野などの特色ある事業に繋げていくことも重要だと考えております。一方、これからのイノベーション創出には、どのような産業分野であっても、既存の企業が取り組んでいない、新たなニーズに基づいたビジネスモデルを、ブラッシュアップして、事業化を支援していくこともあわせて必要であると考えております。

わかりやすさだけがすべてではないと思いますが、わかりやすいブランディングがあるからこそ入ってきやすいということもあると思いますのでしっかり取り組んでいただきたいと思います。

ユニコーン企業やそれに準じるような規模の企業が輩出されるようにするためには、テストベッドとして活用される都市であるとか、規制緩和を推進しながら、既存の枠組にとらわれないビジネスを、大胆に挑戦し、実証実験が展開できるような支援も重要です。

仙台市は「日本一起業しやすい街」という標語と目標を掲げて、ブランディングを図っています。本市としても、創業しやすい街としてのブランディングを行っていくことが重要であり、そのためには名実ともに挑戦しやすい環境づくりが必要ではないでしょうか。そこで、

質問19 創業支援事業の今後の方向性について、局長に伺います。
答弁19 創業期から事業拡大までの基礎的な支援の充実に加えまして、I・TOP横浜やLIP.横浜といった、オープンイノベーション・プラットフォームの活用や、市内のコワーキング施設、創業支援機関との連携を強化いたします。また、ベンチャー企業やイノベーション人材の交流の場づくりなど、街の資源を活用しながら、力強く、創業支援・ベンチャー企業支援に取り組んでまいります。

創業支援の推進は、横浜経済の活性化のみならず、本市に働く場と雇用を創出し、結果として、市民税を含めた税収を向上させることにつながります。今後の横浜経済のあり方を方向付ける重要な事業となりますので、今後の取組に期待して、次の質問に移ります。

6 イノベーションの創出

次に、イノベーションの創出について伺います。

経済活性化には、生産性の向上と、イノベーションが重要です。本市においては、IoTオープンイノベーションパートナーズ、通称、I・TOP横浜と、横浜ライフイノベーションプラットフォーム、通称、LIP.横浜というイノベーションのプラットフォームを設けて、イノベーションの創出に関する取り組みを行っています。この取り組みを成果の出るものにし、持続可能な経済成長を可能とする仕組みづくりにまでつなげていくことが、目指すべき姿ではないかと考えます。そこで、まず、

質問20 I・TOP横浜とLIP.横浜の取り組みを、どのようにイノベーションの創出につなげていくのか、局長に伺います。
答弁20 イノベーションの創出には、異なる知識や技術を持つ企業や大学などが、お互いの組織や立場の垣根を越えてアイデアを出し合い、それを結び付けることが不可欠でございます。オープンイノベーションの2つのプラットフォームでは、市内の主だった大学や異分野融合が期待できる企業にご参画いただいており、様々なマッチングの機会を積極的に設けることにより、ビジネスに繋がるプロジェクトを数多く生み出していくことが重要であると考えております。

先日、都内に拠点を構える、医療系のセンサーデバイスを展開するベンチャー企業の方と話をする機会がありました。注目されている技術、サービスですが、その実証実験のパートナーが福岡市でした。その話を聞いたときは、私は非常に残念でした。東京の企業が、わざわざ遠い福岡を選ぶのではなく、近接する横浜市で実証実験をしてもらいたいですし、まさにITOPとLIPのど真ん中のような事業を行っていらっしゃる企業に、横浜の取り組みを知ってもらい、魅力を感じてもらいたいなと思います。

本市では、I・TOP横浜、LIP.横浜という、イノベーションのプラットフォーム事業を展開していますが、本市初の新しいサービス、企業のみならず、周辺の企業等を巻き込んでいく必要もあると考えます。そこで、

質問21 この両プラットフォームには、市内と市外の企業の参加と、中小・ベンチャー企業の参加など、規模別で見るとどのような参加状況になっているのか、局長に伺います。
答弁21 I・TOPでは、例えば、原宿のベンチャー企業が参加したり、そういうプロジェクトも実施しておりますので、先生おっしゃる通り、多様な参加を促してまいりたいと思いますが、9月末時点では、I・TOP横浜は346、LIP.横浜は、178の企業・団体が参加しております。企業のうち、市内に本社・拠点がある企業は、I・TOP横浜で約6割、LIP.横浜で約7割でございます。ベンチャー企業を含めた中小企業の割合は、いずれも約7割ということでございます。

合わせて、

質問22 新たな技術やサービスを持つベンチャー企業とどのように接点を持ち、本市のプラットフォームに参加してもらう取り組みをしているのか、局長に伺います。
答弁22 2つのプラットフォームに参画する会員のネットワークや、木原記念横浜生命科学振興財団、そしてIDEC横浜が持つネットワークなど、様々な繋がりを活用し、ベンチャー企業の参加を促してまいります。また、初期段階のベンチャー企業には欠かせない自社の事業計画やビジネスモデルを、金融機関などにプレゼンテーションするベンチャーピッチを、今年度は倍増するほか、プロモーション活動を強化し、発信力を高めてまいります。

イノベーションプラットフォームと、創業支援事業は、強い連携の必要な事業領域ではないでしょうか。イノベーションの創出に関心のある企業や、技術、人材が、横浜を目指して集積し、緊密な連携や、必要な支援が得られるよう、市の施策の充実が必要だと考えます。特に、実証実験や資金調達、起業、サービスのリリースなど、スピーディーに実現できる環境が必要ではないでしょうか。他都市よりも、スピーディーに、分厚い支援があることが、本市の魅力にもつながると考えます。そこで、

質問23 イノベーションの創出と創業支援を連携させ、経済活性化を促す今後の方向性について、局長に伺います。
答弁23 これまで、みなとみらい21地区や京浜臨海部などへ研究開発拠点と研究者・技術者の集積を戦略的に進めてまいりました。この強みを生かしまして、高度な技術を持つ人材やベンチャー企業などのネットワークを構築していきます。また、革新的な発想のビジネスを目指すベンチャー企業の創業・成長支援に力を入れ、I・TOP横浜、LIP.横浜も活用して、イノベーションを創出する好循環を作ってまいります。これらによって、次世代産業の創出を支援し、本市が持続的に経済発展していくことを目指します。

2月に行った予算関連質疑では、私から市長に対してイノベーション創出の取組において定量的な成果指標を設けることの重要性を指摘し、市長からは「個々の事業ごとに、適切な指標を設定していくことが重要である」という答弁がなされています。

経済局ほど、組織としての目指すべき目的を、数値化して評価しやすい局もないのではないでしょうか。先程は企業誘致のところでも成果を知ることと、それを使うことについて議論しました。新たな横浜の価値を創出しうる「イノベーションの創出」に関する事業についても、自分たちが何に成功したのか、もしくは失敗したのか、原因は何だったのか、そして自分たちが何者なのかということを、しっかり検証できるようにしておくことが重要ではないでしょうか。そこで、

質問24 I・TOP横浜とLIP.横浜の成果指標の考え方について、局長に伺います。
答弁24 中小・ベンチャー企業も含めまして、より多くの企業・団体等にご参画いただくとともに、イノベーション創出に向けた様々な試行錯誤の機会を作っていくことが重要と考えております。そこで、新たな中期計画において、4か年でマッチング件数が、I・TOP横浜で640件、LIP.横浜で780件、また、プロジェクト創出件数は、両プラットフォームを合わせて、300件という目標を掲げて取り組んでまいります。

イノベーション都市としての横浜市を実現していくには、2つのオープンイノベーションプラットフォームを用いながらも、リビングラボなどの仕組みも活用しながら、福祉や子育て、教育など、全庁上げて、様々な行政分野でのオープンイノベーションの推進が必要と考えます。そこで、

質問25 全庁的なオープンイノベーションをどのように進めていくのか、副市長に伺います。
答弁25 ご承知のとおり、横浜市も間もなくついに、人口減少に転ずることになります。超高齢社会もより一層進展することが見込まれます。こうした中で、市政の様々な課題に対して、多様な民間主体と協働・共創で取り組んでいくことがますます重要になると思います。29年度には全庁的な組織であります、「オープンイノベーション推進本部会議」を立ち上げましたが、これを活用いたしまして、ビジネス面で言えば、先ほどお話しいたしましたI・TOP横浜、LIP.横浜をはじめ、そうしたプラットフォームを生かしてまいります。また、医療分野における官民データ利活用など、こうした取組を効果的に連携させていきたいと思います。これによりまして、経済活性化はもちろんですが、市民生活上の課題とか都市課題の解決を目指していく。またその過程で、市内企業にビジネスチャンスを生み出していく。こういうようなかたちで、官民一体となって市域内において、連携と循環と、こういうかたちを生み出すことができるよう、全庁的なオープンイノベーションを推進していきたいと考えております。

経済状況を考えますと、生産性の向上とイノベーション、本当に欠かせない中で、イノベーションの業界ではその場にとどまるだけでも走り続けなければならないというエピソードがあります。しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

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