大阪府立学校の、いじめ初期対応の取り組み。視察報告。

2025-10-30 17:32:35 | カテゴリ:活動報告


藤崎浩太郎

2025年10月30日、所属する常任委員会「こども青少年・教育委員会」の視察で大阪府を訪問し、大阪府立学校におけるいじめ対策についてヒアリングを行いました。大阪府立学校は、高等学校164校、府立中学校(併設型中高一貫校)3校、府立支援学校47校の合計214校、合計104,546人の生徒が通っています。令和5年度における、大阪府内の国公私立、高等学校のいじめ認知件数は574件、千人率では2.9となっています。全国では少ない方から数えて8番目という数字ですが、大阪府としては認知されていないいじめがまだまだ多くあるのではないかと捉え、各学校に対する周知を行っているということでした。

早期発見のための施策

いじめ重大事態は令和5年、令和6年ともに18件発生しているという状況もあり、大阪府としても早期発見、未然防止策に力を入れていました。府立高等学校・府立中学校では一人一台端末を活用して「いじめ等アンケート」を、各学校で年3回以上実施することとされています。アンケートフォーマットは教育庁で作成しています。質問項目としては、ひやかしやからかい、悪口など嫌なことを言われるかどうか、仲間はずれにされるか、恥ずかしいことや危険なことをさせられるか等を、ある/ないで答える8項目のほか、それが現状続いているのかを確認する項目や、いじめ・セクハラ・体罰について気になることを記述できる欄が設けられています。教育庁として端末アンケートによってどれだけのいじめ相談があったかの集計は行われていませんが、学校からはアンケートによって把握されたいじめ対応についての相談がきているということでした。

学校や教育庁への相談窓口の他には、「すこやか教育相談24」という電話相談、「すこやか相談@大阪府」というLINE相談をはじめ、「すこやかホットライン」(子ども向け)、「さわやかホットライン」(保護者向け)、「ネットハーモニー」(インターネット誹謗中傷・トラブル相談窓口)などが設置されています。それぞれが、教育庁の高等学校課とは所管が異なるということで相談件数についての把握はなされていませんでしたが、各所管と連携がなされています。相談によっては匿名での連絡もあり、教育庁の相談窓口を案内してもらうような対応がなされています。

いじめ初期対応のてびき

各府立学校の対応の支援としては、「いじめ対応プログラムⅠ・Ⅱ」(平成19年)や「いじめ対応マニュアル」(平成24年)等が提供され、いじめ防止対策に取り組まれてきました。一方で、教職員が問題を抱え込み対応が遅れるケースや、友人同士の些細なトラブルと捉えてしまい問題が深刻化するケースなど初期対応に課題があることがわかってきます。この初期対応のために「いじめ初期対応のてびき」が令和6年4月に作成され、令和7年4月に改訂されています。

「てびき」の特徴の1つとしては、具体的な対応内容や確認項目が示せれるだけでなく、「CHECK」という項目で、なぜその対応が重要なのかが示されていることが挙げられます。例えば、「Point2 学校いじめ対策組織で対応」という項目では、一人で判断せずに組織的に取り組むことや、誰に報告すべきかをあらかじめ定めておき、迅速に学校いじめ対策組織で共有できるようにすること等が記載され、「CHECK」の項目では、「教職員の抱え込みにより対応が遅れ、重大事態につながります」ということが示され、これまで問題になってきた事例を落とし込んでいます。

また「7初期対応に課題のある事例」では、過去に実際に起きたいじめ案件のなかで初期対応に課題があった事例が4件示されています。その中には、学校の初期対応に保護者が不信感を抱いているケースや、対応の遅れから生徒の欠席日数が30日を超えてしまっていたケースなどが記載されるとともに、それぞれのケースにおける課題が何だったのかも併せて示されることで、教職員が事例を通して対応の課題を学べるように組み立てられています。

まとめ

横浜市の令和6年度(2024年度)の「「いじめ・暴力」・「長期欠席」等の状況調査結果」が10月29日に公表されています。いじめの認知件数は令和5年度の16,263件に対して、令和6年度は21,955件と約35%の増加となっています。「重大事態」については、令和5年度が2件だったものに対して、令和6年度は59件へと大幅に増加していますが、近年の横浜市におけるいじめ自死事案をはじめとした重大なるいじめ問題の再発防止策として、いじめ防止対策推進法第28条第1にて規定されている重大事態の定義を明確に適用し、対応を徹底することになった結果とされています。

横浜市では「横浜市いじめ防止基本方針」を令和7年5月に改定したほか、不登校支援・いじめ対策部を新たに設置するなど、いじめ対策の強化が図られてきました。いじめを早期に発見し、重大化を防ぐことが重要ですし、いじめ自体を未然に防ぐ取り組みも重要です。児童・生徒に対する直接的なアンケート調査や、相談窓口の充実、教職員の具体的な対応方法の明示と速やかな改訂作業による改善という取り組みは、示唆に富む内容でした。

【記者発表】(教育委員会事務局・10月29日10時)「令和6年度「いじめ・暴力」・「長期欠席」等の状況調査結果について」

出典:横浜市「令和6年度「いじめ・暴力」・「長期欠席」等の状況調査結果」

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