2024年11月13日、新たな都市活力推進特別委員会の視察で、大阪府の「サーキュラーフィールドOSAKAビジョン」について調査を行いました。横浜市ではGREEN×EXPO 2027開催に向けて様々な準備が進められるなか、会場計画においてサーキュラーエコノミーの提案も受けています。脱炭素の取り組みにおいて資源循環の取組み推進は重要ですし、議会においてもサーキュラーエコノミーに関する質疑が行われるなど、サーキュラーエコノミーの推進は都市の経済・産業政策においても一層重要性を増すと考えています。
大阪市では2005年7月に「大阪府エコタウンプラン」が策定され、国の承認を受けたエコタウン事業に取組まれてきました。堺市にある「堺第7‐3埋立処分地」という廃棄物の埋立地がその場所となっています。一時処分地は2004年に廃止されていて、いくつかの街区に別れていますが、エコタウン事業はA地区とF地区において取組まれてきています。広さは全体で約280ha、一次処分地は80ha、二次処分地は200haと、土地の限られる大阪府においては広大な用地となっています。
ビジョンは「大阪府循環型社会推進計画」への寄与を中心に、温暖化対策実行計画や、様々な廃棄物関連の法制度と関係しながら策定されています。2050年に循環経済(サーキュラーエコノミー)へ移行することを「めざすべき姿」として位置づけ、具体的には、
(1)サーキュラーエコノミーの実現に寄与し、将来の環境課題解決に貢献する質の高いリサイクル産業・施設が集積、発展している。
(2)新技術等の研究開発・実証の場として新たな環境課題の解決に貢献している。
(3)府域内外において資源循環に係るサプライチェーンの構築に貢献している。
(4)近隣の動脈産業や集積する施設との連携がなされている。
(5)廃棄物・資源循環分野のカーボンニュートラルに貢献している。
という5つの項目がその姿として示されています。
サーキュラーフィールドOSAKAでは、エコタウン事業のA・F地区に加えてD地区も対象エリアとなり、今後事業者の誘致が行われ施設が整備されることとなっています。「整備が望ましい施設や機能等」として、まず以下の対象となる「廃棄物等の種類」が挙げられています。
◯処理困難な廃棄物
◯建設廃棄物(特に建設混合廃棄物)など、最終処分される量及び比率が高い廃棄物
◯容器包装、食品、希少金属を含有する廃棄物など、資源として有用性があり更に有効利用を進めるべき廃棄物
◯使用済み太陽光パネルや廃棄衣類など、リユース需要が高く、また、今後リサイクル技術の進展が期待される廃棄物
◯プラスチック資源循環法施行に伴い、今後リサイクル需要が大幅に増加する製品プラスチックなどの廃棄物
そのうえで、以下の整備する「施設の対象範囲」が示されています。
◯リユース・リサイクル施設
◯リユース・リサイクル前後の工程に係る施設
・ 保管(中継)施設:廃棄物等を仮置きする施設(原則、屋内保管に限る。)
・ 選別施設:廃棄物等を選別する施設
・ 製造施設:リサイクル原料を用いた製造施設
◯サーキュラーエコノミーの実現に向けた新技術等の研究開発・実証のための施設(製品やプロセスの設計、関連するR&D施設も含む)
ビジョン策定段階から、廃棄物関連企業や金融機関に情報収集等が行われていて、プラスチック再生等で登録されている全国の企業にも事業の周知を進めていていて、今年度中に公募をはじめる予定となっています。公募にあたっては一定のレベルで最低基準を設けて、それを超える提案をした事業者から選定を行いたいと検討されていてます。ビジョンにおける管理指標においては、土地活用や資源循環のほか、カーボンニュートラルとして事業活動に伴うCO2排出量や、経済効果として売上高、設備投資額、雇用人数もしめされています。
来年4月から大阪市がプラスチックごみの一括回収をスタートさせることになっていますが、大阪府内では初ということです。大阪府においてはリサイクラーが少ないという課題があり、そのため一括回収も進められないという課題があるということで、サーキュラーフィールドOSAKAの広い敷地で、かつ住宅地から離れているという廃棄物処理において恵まれた立地を活かして、事業者を集積させたいという目的がビジョンに込められていました。
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