2025年11月20日、次世代活躍推進特別委員会の視察で福岡市を訪問し、里親養育推進についてヒアリングを行いました。福岡市の里親委託率は令和6年度で55.6%と全国トップレベルで、その取り組みは注目され参考にされてきました。横浜市の里親委託率は令和6年度で24.8%であり、国が進める家庭養育優先原則を実現するためには、まだまだ道半ばという状況にあります。
里親委託推進とパーマネンシー保障
福岡市では平成 17 年度からNPO法人と連携し、「市民参加型里親普及事業」「里親養育支援共同事業(ファミリーグループホーム)」を開始し里親委託の推進に取り組んでいます。当時福岡市が里親委託推進に取り組んできた背景には、市内3ヶ所の児童養護施設の定員が一杯で、市外の施設にお願いするしかなかったということが挙げられました。また行政だけではできないので、NPOとの協力のもと推進されてきたといいます。平成28年度からは「乳幼児短期里親リクルート事業」が始まり、短期間の里親育成が始まっています(NPO法人キーアセットに委託)。令和4年度からはフォスタリング期間が設置されて(キーアセットに委託)、里親支援の充実が進められています。
福岡市の特徴として「パーマネンシー保障」という取り組みがあります。社会的養護が必要な子どもたちが、将来にわたって続く安定した人や環境とのつながりを持てるように支援することを示す理念です。横浜市の横浜市社会的養育推進計画でもパーマネンシー保障が位置づけられ、横浜市としては「親子関係の修復に配慮しつつ、こどもと支援者・養育者が途切れない安定的なつながりを構築することにより、こどもの成長を支援すること」と定義しています。福岡市ではパーマネンシー保障を、すべての支援における上位理念として位置づけています。具体的には、親や子どもの置かれている状況を把握し、家庭復帰を第一に計画を立てて、必要な場合は里親委託や養子縁組などが行われるという取り組み方で、それぞれが選択肢の1つとなっています。
施設委託は減少傾向で、平成17年度367名に対し、令和5年度には119名にまで減っています。親子での交流や家庭復帰の課題を明確にしながら、必要な支援を行い、あらゆる選択肢を検討しているということで、子どもの立場にとっての選択肢も増やすために、里親数を増やし、里親の稼働率を下げることも目標として捉えていました。家庭復帰後に再度分離の状態の戻ることのないように、平成31年度からは各養護施設の定員を減らし、空いたスペースに在宅支援の担当を設置し、施設職員の専門性を活かして、支援を行っています。
里親のなり手を増やす取り組みと里親支援
里親のなり手を増やすための取り組みとしては、ショートステイの活用がなされていました。共働きの里親には、土日のみのショートステイから始めてもらったり、年齢の希望がある里親にもショートステイで様々な年齢の子どもたちと接してもらうことで希望の幅を広げたりという効果を得ているということでした。一方で、短期の里親が多いという実態もありました。家庭復帰を第一にしていることから短期が多いという側面があるものの、長期間委託のできる里親の育成が課題とも説明されました。
里親支援の中では、里子自身の生い立ちを説明すること(なぜ自分は里親のところにいるのか、自分の親は誰なのかなど)の支援も行われています。里親同士のつながりも里親さん同士で自発的につくられていて、近所にいる他の里親さんと顔合わせをする機会を設けて紹介したり、一緒にランチをする機会を設けたりして交流をつくり、里親さんのレスパイトケアとしての一時預かりをしてくれる里親さんとスムーズな協力ができるようになっているということでした。初めて委託をうける里親さんには、児相の担当職員が3名でサポートしたり、どの里親に預けるかも事前に検討する中で、共働きの里親さんであれば保育園探しや入所申請の手続きを、職員が一緒に行ったりと手厚くサポートがなされています。
里親支援における大きな課題の1つが、里親は児相に相談をしづらいということがあります。横浜においても支援している方からも伺ってきた課題です。措置権者である児相に困っていること、うまくいかないを相談すると不適格とされてしまわないか、分離されてしまうのではないかと心配になり、里親は児相に相談できないという問題です。その結果、相談できないまま里親と里子の関係や家庭環境が悪化してしまうことが生じてしまいます。福岡市としてもこの課題を把握し、できるだけ相談先を増やしたりしながら、児相でなくても、他のところに相談してもらえるように伝えているということでした。
これまで横浜市で里親支援に携わる方々から伺ってきた課題である、里親さんの相談先の確保や在宅支援の充実、委託を受ける際の手続きの問題などについて、福岡市では里親さんの立場を理解し、その立場から支援策を構築されていました。子どもに対しても、実親との交流や家庭復帰を可能にするためのアプローチを行いながら、それが難しければ他の選択肢を検討していく(親族養育、里親委託等)という手法がとられ、子どもたちのパーマネンシーを重んじる施策が展開されていました。子どもも、実親も、里親も孤立せずに、頼れる人、相談できる人を増やしながら、永続的で安心できる家族、家庭、養育環境が重要であり、そのための施策を構築することが、横浜市においても今後重要な視点となります。
Post comment
RECENT POST
- 2026.01.21
京都市会のペーパーレス化と通年議会。視察報告。 - 2026.01.19
神戸市会のペーパーレス化と、議会制度改革。議員の宣誓制度も。 - 2026.01.08
山内図書館のリノベーションと、市民の意見と利用しやすさ。 - 2026.01.07
定員超過と長期化という横浜市一時保護所の問題。里親支援の充実。 - 2025.12.29
新横浜の大型図書館と、ブックス&ラウンジ。図書館ビジョンの推進。
RELATED POST
- 2026.01.07
定員超過と長期化という横浜市一時保護所の問題。里親支援の充実。 - 2025.10.29
子どもを真ん中においた地域づくり。滋賀県社協の取り組み。 - 2025.03.06
新たな図書館整備と不登校支援・いじめ対策。教育委員会R7予算審査。 - 2024.10.11
いじめ、認知症、地域交通など市長質疑。R5年度決算総合審査。





