横浜子ども会議。いじめ根絶への取組み。

2013-08-22 22:51:45 | カテゴリ:活動報告


本日「横浜こども会議」に参加してきました。

横浜子ども会議は、今年度から横浜市教育委員会によって始められた事業。横浜市教育委員会によれば「いじめ根絶に向けては、子どもたち自身がいじめを自らの課題ととらえ、主体的に取り組むことが大切です。そこで、横浜市立学校、全校の子どもたちが主役になって、いじめ根絶について話し合い、行動につなげて行くことを期待」した取組みと位置づけられています。これまで、6月には「各区横浜子ども会議」(小中学生)と、「高校横浜子ども会議」が行われ、7月には「方面別横浜子ども会議」(小中学生を高校生がサポート)が、そして8月22日に「横浜子ども会議(本会議)」が開催されました。

6月、青葉区では山内小学校で開催されました。体育館において中学校ブロック毎にの小中学校代表者が集まり、イジメについて議論が行われ、①一人ひとりを大切にできる学校にするために、②お互いを理解し合える人間関係をつくるために、③すべての人が楽しいと心から言える学校をつくるために、④児童会・生徒会として学校を盛り上げるために、の4テーマからブロック毎にどれかを選択する、というワークショップでした。ワークシップの進行は中学生に任され、進行を行う中学生には、進行用の資料も配布され、ファシリテーションがスムーズに行えるよう工夫もされていました。

代表の子ども達は学校によって選ばれ方が異なるようで、児童会・生徒会だけでなく、希望者を募り、その中から選ばれた子どもも参加していたそうです。学校によっては、複数の中から代表者を絞るのが大変だったといいます。自分から手を挙げて参加した子どもが多かっただけあり、積極的に発言をする小学生の姿も多く見受けられました。また議論の中では、自分もイジメられていたという経験談や、去年クラスでイジメがあったという話なども出てきていました。当初は全てのブロックの代表から、まとめたテーマとその理由について発表するという段取りだったそうですが、時間の都合により、発表したい人に発表してもらうということに変更されました。そうした状況でも、11ブロック中4ブロックから手が挙がり、その積極性に会場の教職員の方々からは驚きの声も上がっていました。また堂々と発表する姿には、感動の声も聞こえてきました。(7月の方面別には残念ながら参加できませんでした。)

そして本日は最終日、本会議。会場は横浜シンポジア。会場には小中学生が96名、高校生が20名ほど参加しました。前回までは横浜市内の各小中学校から1名が代表者として参加していましたが、今回はその中から更に選ばれた96名。この96名は前回の方面別開催際に子ども達自らによって決定されたのですが、多くの子ども達がやりたいと手を挙げ、話し合いで決めたり、止むを得ずジャンケンで決めたりしたといいます。子ども達の積極性が伺えます。また会場が横浜シンポジアの9階議場をなったのは、「子ども達にいい環境で経験させたい」という教育委員会の意思があったそうです。

午前中は①〜④のテーマについて更に議論を深めて、午後の発表の準備をする時間。ある意味、ここが最も大事な時間。議論がスタートするまでの間、初めて会う子ども達同士の緊張感が会場を覆っていました。各テーブルの進行役は今回も中学生。そして高校生も同席し、要所要所でアドバイスを入れていきます。アイスブレークを経て、自己紹介が行われ、いざ議論が始まると、徐々に会場の熱気が増していきます。テーブル毎に多少差はあれど、どんどん活発な意見が交わされていきます。それぞれのテーブルに、小中高生という年齢の異なる児童・生徒が居るので、お互いを尊重する意識が働くのか、それとも3回目で議論に慣れてきているのか、挙手をし発言し、相手の意見をしっかりと聞き、答え、活発で、建設的な議論が行われていました。

いくつも印象的な議論が交わされていましたが、

・あいさつ運動を行う事や、集会、朝礼で注意喚起する事が大事だという小中学生の議論に対して、高校生から、これまでもあいさつ運動は行われてきたことや、朝礼や集会で先生からイジメについての話が行われてきた事の相互確認が行われ、その上で「これまでもあいさつ運動などが行われていたのに、いじめは行われてきたのだから、他の方法を考えないといけないのではないか?」という指摘が行われた。

・「いじり」から「いじめ」に発展するから、いじめのチェックシートだけではなく、いじりのチェックシートが必要ではないかという議論と、「自分はよくいじられるが、いじめだとは感じない。受け取り方次第ではないか。」という意見。

・クラスの友達の事を褒めるための「ホメホメBOX」を作り、相手を認めていく事が大事ではないか。相手を認めるあいさつを行い、相手の長所を伝える事が大事。そしてできれば、BOXに頼らず、自分の言葉で伝えられるように。

・自分達が変わればみんなが変わる。人任せではなく、自分の意思を、行動に移す事が大事。

・レクや遊びを通じて、クラスの「絆」を深める事が大事。

・いじめる人は、色んな人と仲良くする事が苦手な人。リーダー格でも、みんなに優しくできる人と、自分の強さを誇示する人が居るのはその差。いじめられる人は、はっきりと意思を表現できない人だったり、自分とは違う人だったり、転校生だったり。実はいじめる人も、いじめられる人も、コミュニケーションが苦手だったり、少ない人。

などなど、沢山の視点、沢山の意見、沢山のアイディアが、会場のあちこちで交わされていました。何度も何度も、鳥肌が立つような場面を目にする事ができました。こうした議論を重ねながら、午後の部の発表に向けて画用紙に文字を書き、本番の練習が行われていきます。開始から2時間ほどのこの時間には、テーブルの小中高生も打ち解け、役割分担などを決めながら、和気あいあいと準備が行われていました。

そして午後の部では、横浜市立浜中学校演劇部による、いじめをテーマにした劇が演じられました。迫真の演技は、緊張感があり、私も大変感動しました。そしてその後、各グループから発表が行われ、高校生からはいじめ根絶に向けてのアピール文が発表される、という流れでしたが、私は都合により演劇終了後に会場を後にしました。

今後は、本日採択されたアピール文などが、横浜市内全児童・生徒約28万人に資料などで発信されていきます。重要なのはここから。横浜子ども会議という方法については、子ども達に良い刺激にもなり、参加したことから学ぶ事も多いのではないかと考えます。しかしながら、今回の目的はいじめを根絶する事。参加した子ども達にとってプラスに作用するだけでなく、いかにして各学校で今回の議論を浸透させ、いじめを無くすことができるかどうかが問われていきます。

横浜子ども会議について、もう1つ重要だと考えていることは、プロセスと目的の切り分けです。今回初めての開催でしたが、そもそも横浜子ども会議が事業として立ち上がったのは、いじめを無くすためです。しかしながら、議論のプロセス、方法自体は、他のテーマでも転用が可能です。様々なテーマを導入しながら、多くの子ども達が参加する機会を用意していく。 子ども達が、互いに尊重し合いながら議論し対話をする場は、自立した市民を育む、シチズンシップ教育にも繋がるかもしれません。私が「横浜子ども会議に」期待するのは、この点です。


会場内の撮影は、市場中学校視聴覚委員会によって。

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