行財政改革と、行政の仕事。

2012-01-20 00:40:21 | カテゴリ:活動報告


本日は、千葉県の流山市に視察に行ってきました。流山市は日経グローカルの「全国市区経営革新調査」では、全国809の市区の中から第3位に選ばれた、改革の進む市です。また、早稲田大学マニフェスト研究所の調査結果では、議会改革の取組が全国で23位と、行政、議会ともに改革意欲の高い市です。

今回はみんなの党の市会議員団として、主に行財政改革のこれまでの取組についてヒアリングを行いました。また、行財政改革の中心人物である井崎義治市長にアポイントも頂いたので、市長からも直接ご意見を伺いました。

これまでの流山市の行革の取組の中で、H17~21には「新行財政改革実行プラン(実行プラン)」が取組まれ、H23~27には「行財政経営戦略プラン(戦略プラン)」に取り組んでいるところです。実行プランでは課長に権限を持たせ、89の改革項目のうち、66項目で100%、19項目で75%を達成し、諸々の成果で44億円以上の歳出削減効果があったと言います。一方、現在進行中の戦略プランは、実行プランがミクロな取組であったの対し、マクロな取組になっています。課長に責任を持たせていたものを、部局長に移し、管理型の改革であったものを、経営型の改革に移行し、流山の行政を自主性があり地域の特色を出せる行政経営に変えていこうとされていました。

先日の佐賀県武雄市でのヒアリングでも同様でしたが、流山市でも、職員の給与を一律削減する、という手法はとっていませんでした。給料を下げれば、モチベーションも下がってしまう。むしろ、同じ給料でより多く、より効率的に仕事をしてもらった方が良いという考えで、職員の人件費を捉えていました。とはいえ、努力して成果を出している職員と、そうでない職員に差が出ないのも問題であるという認識もあり、平成24年4月から全職員に対する新たな人事評価をスタートさせ、成果に応じて給与に差が生じるように、制度改革を行って来ています。

職員の配置についても、以前は優秀な職員は内部で出世コースを歩み、市民の方々と直接関わるフロントラインには、そうではない人が配置されていたそうです。それを、逆に優秀な人材をフロントラインに配置したところ、サービスの質が上がり、住民満足も向上させることができているといいます。

流山市の取組でもう一つ重要なのが、人口増加施策です。高齢化、人口減少社会において若い世代の人口を増加させることは、全国共通の課題ですが、流山市はここ10年で7,000人、34%の人口増加を達成しています。もちろん、放っておいて増加したのではなく、「母になるなら、流山市。」というキャッチコピーのもと、子育てしやすい街づくりを推進し、共働きで子どもを育てている世帯にターゲットを絞った施策を行ってきたことによります。その取組の1つが、「送迎保育ステーション」です。つくばエクスプレス(TX)の「おおたかの森」と「南流山」駅に設置されたステーションは1回100円で利用でき、定員に余裕のある保育所へ児童を送迎するサービスが行われています。また、待機児童の削減にも取組み、H21・22の2カ年で総定員を509名増加させ、H23にはおよそ360名の総定員増を実現してきます。その結果、テレビなどでも取り上げられ、着実に若年人口を増加させているということでした。

こういった取組が行われてきた背景には、コンサルティング会社出身の市長の力が大きく影響しています。業務の効率化のために市長は様々な改革を行ってきました。業務に締め切りを設けたこと。業務指示においてアウトプットを明示すること(ex:A4で2ページ)。立ち会議の導入で、会議時間を3分の1に削減したこと。オフィスレイアウトの見直しで、職員の移動時間の短縮。などなど、大小様々な改革を行っていらっしゃいます。そうした取組の結果、H18、19には市民1人あたりの事務事業コストが日本で最小だったそうです。

行政の仕事とは何か

市長の発言の中で非常に重要だと思ったのが、「行政は機能を提供し、市民満足度を高めるのが仕事であり、税金を使うことではない」という事です。この発想は、ただ補助金を配分するだけのやり方や、予算主義からの脱却、様々な資産を活用して税金以外の収入を増やしていくという発想につながっていきます。

当初の目的ではありませんでしたがヒアリングの中で興味深かった事に、自治基本条例制定過程での市民参加のあり方があります。市民自治のための自治基本条例の制定において、市民の参加が重要であるという認識のもと、公募で集まった38名の市民が、3,400名から7,000件の意見を集め、200回以上の会議を重ねて条例が作成されました。横浜市も「市民参加」を謳った取組を行ってきましたが、ここまで徹底的に行われたことは無いでしょう。形式的な市民参加ではなく、実質の伴う市民参加が行われてきたのです。

今回の視察でも感じたのは、改革を進めている自治体は、徹底しているということです。行革の取組は、全て進捗状況がHPで公開されています。達成できなければ、その理由を説明する。非効率だと思えば、小さなことでも改善していく。その背景に、「市民満足度を高めるのが仕事」というシンプルな原則が働いている。組織として、市長、部局長、課長を始め、市役所の職員に、カイゼンへの継続的な取組みや経営意識が共有されている。その結果、職員のモチベーションも高まり、優秀な人材が集まり、サービスが向上していく。リーダーの改革意欲と、職員との意識の共有ができれば、行財政改革は可能だと、今回も教えて頂きました。

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