横浜市会平成28年度予算第一特別委員会 健康福祉局審査(2016.3.8)

2016-03-11 09:09:34 | カテゴリ:活動報告


3月8日(火)、横浜市会平成28年度予算第一特別委員会におきまして、健康福祉局の審査を行いました。

1 いわゆるごみ屋敷問題を抱えている人への支援事業
2 生活支援体制整備事業
3 敬老特別乗車証交付事業
4 依存症対策
5 小児医療費助成制度

という5項目について、答弁を求めました。

以下、質問の原稿と答弁のメモです。
(※議事録ではないので、実際の内容とは若干言い回し等が異なります。)
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1 いわゆるごみ屋敷問題を抱えている人への支援事業

まず、いわゆる「ゴミ屋敷」問題を抱えている人への支援事業から伺います。本市では福祉的支援という観点から、当事者の認知症や加齢による身体機能の低下などの、根本的な課題から解決しようとするものです。対症療法的に、ただゴミを撤去するだけ、ということよりも、効果的な解決方法となると考えます。ただ福祉的支援と言ってもちょっと分かりづらい面もあるかなと思います。そこで、

質問1 問題解決に向けての福祉的支援の具体例について伺います。
答弁1 まずは、挨拶や声掛けなどにより当事者との信頼関係を築いた上で、本人の生活上の課題を探っていきます。その結果、例えば、認知症が疑われるのであれば、デイサービスの利用を促したり、認知症カフェを紹介するなどにより、地域とのつながりを築きながら、健康でその人らしい生活が送れるよう支援します。また必要に応じて、医療につなぐこともあります。支援を行う中で、本人の同意を得ながら、ごみの撤去を行い、その後、ヘルパーの利用や地域の見守り等により、ごみが再び溜まらないよう継続的に支援します。

一人一人と寄り添い支援を行うことは重要ですが、一方で、条例ができれば解決するというわけでもありませんので、実効性のある取組みにする必要があります。現在区の生活支援課や高齢・障害支援課などでは、業務外でその片付けの手伝いなどを行うこともあるいうことですが、

質問2 現在、区役所が行っている対応と今後の変化について伺います。
答弁2 現在は、当事者の健康面や近隣への影響等も考慮し、関係職員が相談支援の一環で、本人同意のもと、片づけやごみ出しを行っている場合もあります。今後は、区局が連携して問題に取り組み、相談・助言から、ごみの撤去支援まで、組織的な対応が可能となります。

今回の条例化で対策が制度化されるわけですが、硬直化して柔軟な対応ができなくなっても困ります。人への支援を行うということは、毎回の対応が異なるわけです。そうなると現場職員の判断や工夫が重要であり、実際に担当職員が動きやすい状況にするためにも、

質問3 現場の声を反映したマニュアルを策定する必要があると考えますが、局長の見解を伺います。なお、必要とお考えであれば、その策定方法についても合わせてお答えください。
答弁3マニュアルの策定は必要と考えており、今後、区役所の職員も加わったワーキンググループを立ち上げ、現場が使いやすいマニュアルづくりを進める予定です。また、本市内外の成功例や、うまくいかなかった例を収集した事例集も作成する等、対応のノウハウを蓄積していきたいと考えています。

福祉的支援に軸足を置いていることは、横浜市らしい取り組みだと思います。とは言え、ともすれば時間がかかってしまうこの取り組み姿勢を、早期の解決を願う周辺住民の方々にいかに理解していただけるかが、成否の鍵となるのではないでしょうか。そこで、

質問4 取組姿勢についての市民理解の促進策について局長に伺います。
答弁4 まずは、今年4月に行う予定の条例案骨子に関するパブリックコメントにおいて、本市の取組姿勢や支援の考え方を示すとともに、条例を制定しても、強権的な措置には、様々な制約があることを、市民の皆様に丁寧に説明したいと考えております。また、条例制定後にも、福祉的支援に重点を置いた本市の対策全体のイメージや ねらいを説明する資料を作成し、市民の皆様に御理解・御協力を得られるよう周知に努めてまいります。

地域住民、当事者、市民、関係機関、行政とが、理解し合い、協力し合える取組みにして頂きたいと思います。

2 生活支援体制整備事業

横浜市では、2025年に団塊の世代が75歳以上となり、後期高齢者が60万人近くなると推計されています。2025年に備え、地域包括ケアシステムの構築に取り組まれていますが、重要なのは高齢者の暮らしをいかに地域で支えられるかということです。28年度は生活支援体制整備事業として、生活支援コーディネーターを配置し、生活支援を充実させていくということですので、まず、

質問5 生活支援コーディネーターの役割について伺います。
答弁5 生活支援コーディネーターは、区域及び日常生活圏域それぞれにおいて、生活支援・介護予防の充実した地域づくりに取り組みます。具体的には、既存の活動の支援、担い手の養成、新たな資源の開発や、支援主体間の情報共有・連携体制づくりなどに取り組みます。

実際にこの事業の目的である、「生活支援・介護予防の充実した地域づくり」を進めるというのは、なかなか簡単ではないことだと思います。そこで、

質問6 生活支援体制整備事業をどのように進めていくのか伺います。
答弁6 区と、生活支援コーディネーターを配置する区社協及び地域ケアプラザが連携して、まず、それぞれがすでに把握している高齢者の支援ニーズと社会資源に関する情報を集約し、整理・分析して、地域にどんな支援が必要であるかを検討します。さらに、地域で活動している支援者の方々等と意見交換を行いながら、区域・日常生活圏域ごとに目標を立て、活動支援・資源開発などに取り組んでいきます。

2025年に「生活支援・介護予防の充実した地域」が実現しているためには、事業の進捗管理が重要だと考えます。地域ごとに状況も様々な中で、何に着目し、何を優先していくのかを考える必要があります。そこで、

質問7 生活支援体制整備事業の進捗状況の把握と評価をどのように行おうと考えているのか伺います。
答弁7 高齢者の支援ニーズと社会資源の状況は地域ごとに異なるため、区・区社協・地域ケアプラザ等が地域の状況を把握し、課題と目標を共有することがまず重要と考えています。その課題を解決し目標を達成するため、三者による定期的な情報共有の場を設け、各地域の進捗状況を把握するとともに、目標にどれだけ近づけたか事業評価する仕組みを考えています。事業の進捗状況の把握と評価の仕組みについては、今後策定する地域包括ケア推進指針にも反映させる予定です。

この体制整備でのもう一つの課題は、担い手です。どんどん増えていく高齢者に対して、支える担い手も増えていく必要があります。厚労省の作成している資料でも、「地域住民の参加」が描かれています。一方、自治会町内会や民生委員、地域のボランティアなど、すでに担い手不足が課題となっている中、地域活動の担い手の裾野を広げることが重要だと考えます。そこで、

質問8 生活支援の充実には新たな担い手が必要と考えますが局長の考えを伺います。
答弁8 今後、後期高齢者の方が増えるのに伴い、日常生活上の支援ニーズも増大することから、元気な高齢者を始め、今まで地域活動に関わっていない方に担い手となっていただくことが重要と考えます。今回配置する生活支援コーディネーターが、区役所と連携して、すでに地域で活動している方々とも意見交換を行い、地域の状況に合わせて、新たな担い手を増やす取組を進めていきます。

質問9 先日市長とも少しやりとりさせて頂きましたけれども、担い手が各所で足りないわりには、各施策に地域の担い手が描かれていますので、担い手の育成について、改めて副市長からもご意見頂ければと思います。
答弁9 この取組についてはもちろん、新たなチャレンジという側面もありますが、持続可能な非常に長い時間をかけてしっかり実現していく、あるいは継続していくということが必要になりますので、そういう意味では委員仰られたように、担い手として担って頂かなくてはならない。そういう人達と、しっかり連携して取組を進めて参りたいと思っております。

3 敬老特別乗車証交付事業

次に敬老特別乗車証、敬老パスについて伺います。平成29年頃を目途に、改めて制度の見直しが検討されるということです。まず、

質問10 敬老パスの28年度見直し検討スケジュールについて伺います。
答弁10 見直しについては、29年10月の敬老パス更新期を一つの目安としています。そのため、今後、関係団体との意見交換を行い、28年度中には、方向性を定めていきたいと考えています。

パスのICカード化は、コスト面から21年度に導入を見合わせています。そのため現状では正確な実態把握ができない状態ですが、現状でも調査が行われています。そこで、

質問11 バス利用実態調査の手法と結果について伺います。
答弁11 敬老パスによるバスの乗車回数を推計するために年1回、2日間、利用実態調査を実施しています。実施方法ですが、平日・休日の各1日を選び、民営バス・市営バスの敬老パス対象全路線、始発から終バスまで、バス乗務員によるカウントにより実施しています。27年度は11月20日の金曜日、11月22日の日曜日に実施し、その結果、平日が30万9,837人、休日が20万977人の利用となっています。

事業費の支払いには、正確な利用実績が必要ではないでしょうか。利便性向上もありますが、現状よりも詳細に実態把握を行うためにも、ICカード化が必要だと思います。そこで、

質問12 ICカード化について、いつまでにどのような機関と検討していくのか伺います。
答弁12 ICカード化については、28年度中に、導入するか否かについて方向性を見極めたいと考えています。交通事業者やICカード関係団体等、関係機関と意見交換を行い、課題を整理していきます。

ICカード化が実現すれば、乗降数だけでなく、行動範囲やパターンなど、利用者の行動実態などを把握できるようになります。そうしたデータを分析することで、高齢者の外出支援の効果測定ができるようになり、次の見直しや他の施策へも反映できる大きなメリットがあると思います。そこで、

質問13 ICカード化を進めるにあたって詳細なデータ分析ができるシステム設計をすべきと考えますが、局長の見解を伺います。
答弁13 データ等の分析をすることにより、高齢者の敬老パスの利用実態を把握することができます。詳細なデータ分析を行うためのシステム構築には、多額の費用がかかることが予想されることから、費用対効果を踏まえ、検討していきます。

今後は一層高齢化が進み、敬老パス交付対象者も大幅に増えていきます。限られた予算の中で、制度を維持していくためには、利用者・交通事業者・本市の三者の費用負担をどうするのかというのは、今後も課題になると思います。そこで、

質問14 制度の見直しにあたり、利用者負担の考え方について、健康福祉局長に伺います。
答弁14 現在、利用者には所得に応じた負担をお願いしています。この制度を維持していくためには、利用者・交通事業者・本市の三者の協力が必要ですので、利用者に引き続き一定の負担をお願いしたいと考えております。厳しい財政状況の中、社会・経済情勢に応じた持続可能な制度となるよう、利用者負担のあり方を含めて検討を進めていきます。

4 依存症対策

依存症は本人の意思の問題ではなく、脳の機能障害などから、やりたくなくてもやってしまう病気で、本人の心身だけでなく、社会生活にも深刻な影響をもたらす社会問題だと認識しています。平成28年度新規の取組みとして、依存症についての普及啓発の推進や、治療・回復プログラムの推進などの依存症対策に取り組まれるということです。まず、

質問15 平成28年度の依存症対策の取組内容について伺います。
答弁15 国の「アルコール健康障害対策 推進基本計画」の策定を踏まえ、依存症に関する講演会の実施や、アルコール関連問題 啓発週間などの機会を捉えながら普及啓発を行います。また、依存症の専門医師などにも意見を伺いながら、依存症の治療・回復プログラムの開発や検討を行い、秋以降を目途にモデル実施していきます。

次に横浜市における

質問16 市内の依存症者の患者数について伺います。
答弁16 医療費補助の利用状況などから把握した精神疾患の患者数を、国の定める分類に沿って集計しています。依存症者については、まず、アルコールや薬物などの物質に対する依存症者が考えられますが、これは、4,640人となっています。しかし、ギャンブル依存やネット依存などの依存症者については、国の分類上、行動の障害として他の疾患と同一の分類で区分されています。その患者数は1,530人と把握していますが、その内訳として依存症に特化したものは出していません。

ギャンブル依存については特化した形で把握していないということです。ギャンブル依存は、際限なくお金を使うこと、時間を使うことで、経済的に破綻したり、家庭内不和に至ったりします。その結果、家庭内暴力、虐待、強盗・横領などの犯罪、うつや自殺につながっています。様々な社会課題の原因の1つになっているとも考えられるので、自治体としても対策を講じていく必要があるのではないでしょうか。そこで、

質問17 ギャンブル依存症に対する横浜市の現状の取組や対応の件数について伺います。
答弁17 本市の依存症に対する取組は、現状ではアルコールに対するものが中心であり、ギャンブル依存に関しては、区役所の精神保健福祉相談の中での対応となっています。そこでは、ギャンブル依存の治療が可能な専門医療機関や、回復に向けた支援を行う施設、自助グループなどの情報提供等を行っています。ギャンブル依存に関する相談の件数は103件となっており、依存症全体の相談件数の一割に満たない数となっています。相談につながらない方も多く、医療機関や施設、自助グループなどを直接訪れる人もいるものと思われます。

一昨年の厚労省の調査では、成人人口の4.8%がギャンブル依存症の疑いがあるという報告もありました。これを仮に横浜市にあてはめると約14万人を超える推計となります。少なく見積もって韓国同様0.8%だとしても、2万人を超えます。相談件数とは大きくギャップがあり、潜在的なギャンブル依存症者を必要な支援につなげていくことは課題だと考えます。

質問18 ギャンブル依存症の実態把握を行う必要があると考えますが、局長に見解を伺います。
答弁18 ギャンブル依存症の患者は、区の相談や医療機関等に自発的につながりにくく、また、アルコールなどの物質依存のように身体症状として出にくいこともあり、潜在化しているケースも多いものと推測され、把握の方法が課題です。今後、国の研究等も参考にしながら、実態把握の方法について、検討することも必要だと考えています。

ギャンブル依存症はプロセス依存の1つ。このプロセス依存にはギャンブル依存の他、スマホ、ゲーム、ネットなども含まれています。プロセス依存全体を含めて、把握をお願いしたいと思います。

ギャンブル依存症

スライド1

ここでスライド1をご覧いただきますが、この資料は国内でギャンブル依存症に取り組む、「ギャンブル依存症問題を考える会」が調査したものです。これまでの調査で未成年者のリスクの高さや、年齢とリスクの相関が示されてきました。社会問題化するギャンブル依存症を予防していくためには、青少年の段階からその危険性について啓発することが重要では無いでしょうか。

ギャンブル依存症

スライド2

次のスライド2ですが、虐待依存症の診断項目です。簡易版をピックアップしたものとなっていますが、企業でチェックシートを導入するなどして早期発見などにつなげるなど、多様な取組みが必要と考えます。そこで、

質問19 青少年や企業に対する啓発についてどのように考えるか、局長に伺います。
答弁19 今の時点でギャンブル依存症の対策はできてませんが、青少年への対策としては、市薬剤師会や教育委員会などと連携して薬物乱用防止に関する啓発を行っています。また、企業では、労働安全衛生法に基づく健康診断の肝機能検査を通じてアルコールの問題を確認し、指導する機会もあります。依存症の啓発については、28年度は、まず全ての市民を対象に薬物の問題を中心とした講演会を行う予定です。今後、ギャンブル依存症も含めて必要に応じて対象者、テーマ、手法などを検討しながら効果的な啓発を行いたいと考えています。

本市では28年度も「IR(統合型リゾート)等新たな戦略的都市づくり検討」費が政策局予算案に計上されています。国の動向もありますが、カジノを含むIRの検討には、ギャンブル依存症者への対応が必要となると考えます。そこで、

質問20 カジノに伴うギャンブル依存症対策についてどのように考えているのか、柏崎副市長に伺います。
答弁20 カジノに伴うギャンブル依存症について懸念されていることは認識しています。今後、国において検討が進められることとなりますが、本市としても、国の動向や、これまでのギャンブル依存症などの懸念事項を含む、海外事例調査の結果等を踏まえ、引き続き検討を進めていきます。

ギャンブル依存などの病気で苦しむ人やその家族が、必要な支援につながるよう、横浜市としても、より一層の対策を講じていただきたいと思います。

5 小児医療費助成制度

小児医療費助成制度は、子育て世代にとって関心の高い施策の1つです。近年では全国の市町村で独自に対応が進み、対象年齢が4歳未満までから22歳までと違いがあることや、一部自己負担や所得制限の有無など助成内容に差があります。神奈川県下では、通院助成を小学6年生まで拡大すると、ようやく最低限度という状況です。子育て世代の市外への流出防止や市内への流入促進のためにも、重要な施策です。そこで、

質問21 小児医療費助成制度のさらなる拡充にむけての課題について、健康福祉局長の考え方を伺います。
答弁21 この制度は、将来を担う子どもたちの健やかな成長を図るために大切な施策の一つと位置付けており、27年10月から、対象を小学3年生まで拡大しました。今後、一層の通院助成の対象年齢拡大を図る場合、一学年あたり、約5億円の予算額が必要となる見込みであることから、この財源の確保が最大の課題と認識しています。

先日の予算代表質疑でも我が会派の伊藤団長の質疑の中で、市の硬直化する財政状況の課題認識や受益者負担に対する市長の見解を確認しました。少子高齢社会を迎え、厳しい財政状況の中、私たちは、経営感覚をもって行政改革・財政改革を実現し、生み出された財源で、教育、福祉、子育てなどの施策を拡充していくことが、横浜市の今後の成長にとって不可欠だと考えています。

また、今後の市の成長を支えていくためには、都市の魅力を高め、多くの若い世代や子育て世代が「住みたい」、「住みやすい」、「住み続けたい」と感じる街づくりへの取組みを進める視点も重要だと思います。28年度予算案では、一部自己負担金導入の検討に着手することが示されています。川崎市でも導入の議論が始まっているそうですが、全国の政令市では、13市が一部自己負担金を実施しています。そこで、

質問22 一部負担金導入に伴う財政的影響について、どのように認識しているのか柏崎副市長に伺います。
答弁22 この制度を、子育て世帯への支援策として、さらなる拡充を図るとともに、将来にわたって持続可能なものとしていくためには、それをしっかり支えていく財政基盤の確立が欠かせないと思っております。厳しい財政状況の中、29年4月からの通院助成の対象年齢拡大に向けては、新たに多額の予算が必要となってくるわけでございます。その一部について、受益者の方にご負担をお願いする負担金導入の検討が合わせて必要だと認識しています。

財政的なバランスをしっかりと重視しながらも、市民にとって、子育て環境にとって、より良い整備を行ってもらいたいと思います。

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