令和2年度予算案カジノ・IR部分反対討論。予算案に反対。

2020-03-25 22:55:07 | カテゴリ:活動報告


藤崎浩太郎

2020年3月24日、横浜市会令和2年第1回定例会の最終日を迎えました。第1回定例会は予算審査が行われ、「予算市会」とも称されます。最終日は、次年度の一般会計予算等が採決される日であり、各会派から賛否が示されます。

令和2年度一般会計予算には、「IR推進費」として4億円が計上されています。私自身、これまで横浜市のカジノ・IRの誘致に反対をしてきましたし、所属する会派「立憲・国民フォーラム横浜市会議員団」としても、カジノ・IRの誘致に反対をしてきました。予算案が示されて以来、予算代表質疑や予算関連質疑など通して、また昨年8月22日に林市長がカジノ・IR誘致決断を記者発表して以来、カジノ・IRの問題を指摘し、誘致方針を撤回するよう求めてきました。残念ながら市長は、6割もの市民が反対する声に耳を傾けず、カジノ・IRが整備されることのデメリット、負の側面は一切示さず、経済効果も算出の根拠も開示せず、事業者の示す根拠不明なバラ色な数字のみをもってカジノ・IRの誘致を進めています。

3月24日の本会議では、採決に先立って、IR推進費4億円を削除する修正動議を会派として提案したうえで、私が会派を代表して予算案に対する「反対討論」を行いました。以下、討論の原稿となっています。

反対討論

 立憲国民フォーラム横浜市会議員団を代表しまして、本市会定例会に上程されております議案のうち、市第113号議案令和2年度横浜市一般会計予算に反対の立場から討論を行います。

 ただいま修正動議の趣旨説明で申し上げましたとおり、私たちが一般会計予算に反対するのは、予算案のうち、都市整備費に計上されている「IR推進費」4億円が認められないためです。1兆7,400億円にのぼる令和2年度一般会計予算全体から見れば、IR推進費は4億円と、小さな比率かもしれませんが、30年先、40年先まで横浜市政に、何より市民の生活に多大なる影響を及ぼす、大きな意味を持つ予算です。

 一般会計予算全体を見渡せば、私達が提案し、要望してきた課題解決策が、予算として計上されているものもあり、評価できる予算案となっています。今定例会における予算審査においても、当局の皆さんと課題を共有し、問題点を議論し、今後の取り組みについて要望を重ねてきたところです。福祉施策や経済施策、子育て施策をはじめ、横浜市の抱える課題を解決するための予算案になっている、と評価をしています。

 しかしながら、カジノを含むIRについては、到底認められるものではありません。

 昨年8月22日に、市長が記者会見でIR誘致の決断を発表して以来、私達は「横浜へのカジノ誘致の撤回を求める緊急要請」をはじめ、定例会毎に、議案関連質疑、一般質問、常任委員会、決算審査、予算審査と、本市のIR誘致における問題と、IRそのものの課題について指摘し、誘致撤回を求めて参りました。

 これまで示された誘致の根拠とされた資料では、事業者から提案されたバラ色のような数字が示されるものの、その数字の根拠を確認しようにも、元となるデータは秘匿され、どれだけ正確な数字なのかも分からないままです。正確な数字を求めてきただけでなく、デメリットも示すよう求めて来ましたが、IR誘致による「負の側面」は未だに一切示されていません。市民の皆様と真摯に向き合おうという姿勢が感じられないままです。先日の予算第二特別委員会財政局審査においては、市民説明会で示されてきた「2065年の厳しい財政状況」の数字は、都市整備局が作成したもので、財政局の関与がない数字であることも明らかになりました。横浜市として財政見通しは10年先までしか推計していないという中、コンセンサスの無い数値に基づく資料で市民を誘導しようとするのは問題です。

 3月6日から、「横浜IRの方向性(素案)」のパブリックコメントが始まりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、市内6区での説明会は延期されています。市長自ら市民に説明し、理解を得ることを目的に説明会が準備されましたが、この6区の市民の皆様は、説明を受ける機会すらないままに、IR誘致ありきのスケジュールが進行してしまいます。私達会派からは、全てのIR関連スケジュールの停止を求める要請をしました。これは、将来に渡り長い期間横浜市政に多大なる影響を及ぼすIRについて、市民の納得が得られない状況におかれている今、立ち止まって見直しをすることを求めるものでありますが、残念ながら市民説明の機会無きままに、スケジュール優先で市民が置き去りになる状況が続いています。IR誘致に反対する、IRの負の側面を不安に思う市民の気持ちに、市長は寄り添い、「共感」できているのでしょうか。

 振り返れば2017年の市長選挙において、林市長がカジノ・IRの導入を「白紙」としたことに、本市の、市長のIR誘致決断に関する入り口としての問題があります。当時の報道からも、出口調査では林市長に投票した方でも、42.3%の方がIRに反対であったことが分かります。全体では6割以上の方が反対だったというのが、市長選挙での出口調査における報道です。昨年も横浜市民への世論調査が行われ、9月の神奈川新聞の調査では63.85%が反対で、10月の朝日新聞では64%が反対という報道がなされてきました。1月に読売新聞が行った全国調査でも、58%が反対、同じく毎日新聞の全国調査では「再考すべき」が63%、同様に朝日新聞の全国調査では「凍結するほうがよい」が64%となっており、市民、国民の6割程度の方々が、IRに反対のまま維持されているのが分かります。

 林市長もこれまで3回選挙に立候補し、当選されてきました。市長としても11年目のキャリアとなるなか、市民の声に向き合うことの重要性は、誰よりもよく理解されていることと思います。その林市長が、IR推進の是非を選挙で明確に問わず、直後の報道等でも反対意見が多く示され、誘致方針が示された後も市民の反対意見が明確に多いという状況下で、カジノの是非を問う住民投票すら行わないという姿勢では、本気で市長が市民に向き合おうとしているのか、甚だ疑問と言わざるを得ません。

 昨年9月3日の議案関連質疑で私は市長に、市民の反対意見に向き合わない理由を伺いました。その際市長は、「まったく御説明が足りていない」とお答えになった上で、「まずは18区への説明会でしっかりと説明をさせていただきます」とおっしゃっています。市長自らが約束した市民説明会を延期せざるを得ないなか、いまだ6区の市民が直接説明を受ける機会が無いままであり、説明が足りていないことを自覚されていながらも放置し、IR誘致スケジュールを推進していくことを、私達は理解することはできません。

 人口減少、超高齢社会という大きな社会変化の波に見舞われる中、いかにして市の財政運営を行っていくか、いかにして市税収入を増やしていくか、というのは私達も重要なテーマであることを認識しています。市民サービスを維持していくことも困難になる可能性がある中、経済政策、子育て政策、観光政策、教育政策、都市政策などを充実させることで、横浜市政の魅力を高めていくことが欠かせません。そんな中で、市民も、国民も6割もの方が望まないIRを、横浜の顔でもあり、歴史でもある臨海部、山下ふ頭に整備することが、横浜市の魅力向上につながるとは思えません。

 そして何より、この困難な時代を乗り越えていくための市政運営に欠かせないものは、行政、政治と、市民との信頼関係ではないでしょうか。市長選挙でIRの是非について「白紙」と表現することで、市民と約束することを避け、市長自ら約束した市民説明会が実施されないままにスケジュールは進行させ、住民投票すら市長の手で行わない。市民と正面から向き合おうとしない、市民の声を聞かない、共感しようとしないその姿勢で、市民の信頼を得られるでしょうか。将来の市民に信頼される歴史を、築いていけるでしょうか。信頼に値しない。そう私達は言わざるを得ません。

 経験豊富な議員からは、市会の第二会派として一般会計予算案に反対せざるを得ないということはこれまでに無かったとも聞いており、今回一般会計予算案に反対するのは、私達会派としても苦渋の選択であります。

 最後に、市長には、選挙で選ばれた政治家として、一票一票を投じてくれた有権者の思いに寄り添い、何より市民と、市民とともに築いていくこれからの横浜市を、大事にしていただくために、改めて横浜市のカジノ・IR誘致方針を撤回し、関係予算4億円を削除して頂くことを求めまして、立憲国民フォーラム横浜市会議員団を代表しての、反対討論とさせていただきます。

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