2024年8月23日、横浜市こども青少年局が実施している「小学生の朝の居場所づくりモデル事業」の、現場視察を行いました。学校やキッズクラブが始まる前の時間である7時から、児童が学校施設の中で過ごすことができる居場所を提供するという事業で、働きながら子育てをする保護者と子どもの不安解消を目的としています。
横浜市青葉区の美しが丘小学校と美しが丘東小学校で実施されていて、平日の朝7時〜8時の1時間、学校内に子どもの居場所が設けられています。美しが丘小学校は体育館、美しが丘東小学校はプレハブ校舎の2階が会場となっています。居場所の会場には、シルバー人材センターから派遣されたスタッフの方が常時3名いらっしゃいます。スタッフの方は2校で合計12名登録されていて、各校6名ずつの中から毎日3名が派遣されるので、日によっていらっしゃる方が変わります。子どもは各校4名ずつが登録されていますが、美しが丘小学校は2名が利用、美しが丘東小学校は1名が利用という状況です。お邪魔した日は美しが丘小学校の利用者は1名、美しが丘東小学校の利用者は0名でした。利用料金については、保険料が年間で800円かかる以外には無料となっています。
どちらの会場にも、図書が数冊と、カードゲーム、塗り絵、折り紙が用意されています。図書は中央図書館の団体貸出制度を利用して、こども青少年局放課後児童育成課が借りた本を置いています。美しが丘小学校は体育館ですので、床にマットを敷いて、その上で過ごしても良いですし、長机と椅子もあるので椅子とテーブルを使っても良いという状況でした。一方で、体育館にある学校の備品(マットやボール等)や、キッズクラブの備品については使ってはいけないというルールになっていました。美しが丘東小学校は机と椅子を使うようになっています。会場となっている部屋は、1階のキッズクラブも使う部屋でしたが、美しが丘小学校と同様にキッズクラブの備品は、居場所を利用している間は使えないことになっています。両会場の大きな違いとも言えるのが空調で、美しが丘小学校は大きな送風機を置いて対応していますが、美しが丘東小学校はエアコンが効いて涼しく過ごせるようになっています。
学校がある日は8時になると校舎に、視察にお邪魔した日のような夏休み期間中は8時からキッズクラブが始まるのでキッズの会場に、子どもたちは移動することになります。スタッフの方々はだいたい6:30頃に学校に来て準備をはじめ、8時に事業が終わった後は報告書類をまとめたりして8:30までには帰られるということで、2時間以内くらいの勤務時間となっていました。災害発生時や救急の対応についてはマニュアルが用意され、AEDの講習も行われたうえで、スタッフの皆さんは仕事をされています。台風など天候に関する警報が発令された場合は、居場所も休止されることになっています。
スタッフの方からお話を伺ったところ、皆さん子どもたちのための事業に関われるということでやりがいをもって携わっていらっしゃいました。利用している子どもとも親しくなってきて、軽口も叩かれながら、折り紙を教えたり、トランプに付き合ったりと子どもとのコミュニケーションを取っているそうです。今日は美しが丘小学校に1名の利用がありましたが、子どもも元気よく体育館に入ってきて、慣れた様子で椅子に座り、リラックスして過ごしているようでした。現在は利用者が少ないので3名(室内2名、校門に1名)の体制で目が行き届くものの、利用者が大勢になったり、元気いっぱい遊び回るようになると、どれだけ対応できるかには心配な面もあるようでした。
課題だと考えること
美しが丘東小学校は空調が効き、机、椅子がある部屋での実施ですが、美しが丘小学校は体育館でクーラーが無いため送風機がある程度と、暑い夏や寒い冬には厳しい環境でした。今後、本格実施を見据えるならば、過ごしやすい環境かどうかはニーズに応えられるかどうかに関わる重要なポイントだと考えます。
スタッフの方は校門を開けるために、交代で1名が必ず校門のところで立って待っていらっしゃいましたが、暑い中(寒い中)長い時間立っているのも大変ですから、椅子に座ってもらうとか、ベルを鳴らせるようにする等工夫が必要だと思います。子どもの実際の利用者数が少なく、「この日は誰も来ない」という日がある程度分かる状況でしたが、スタッフの皆さんは待機している必要があります。スマホやタブレットで、日々の利用の申込み(予約)が一定程度分かると、効率的な運営ができるのではないかとも思いました。
今回はモデル事業となっていますが利用者が少ないので、利用してみての良さや課題を利用者・保護者から数多く得ることができないのが残念です。未就学から4月の入学を迎えるタイミングで、子育てをしながらどう働くかについてライフスタイルを確立させていく方も多いと思います。今後は、入学前の保護者も含めて多くの方に事業を知ってもらい、利用しない理由なども確認しながら、ニーズがどこにあるのか、ニーズに応えられるのかをしっかり検討する必要があると考えます。
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