公共空間の使い方。住民のアイディアに任せた、住民による管理。

2012-07-29 17:00:48 | カテゴリ:活動報告


学校予定地が売却されたり、学校が建設されたりしてきた中で、多くの方から活動場所がなくなるという声を頂いてきています。一方では、高齢化する社会や、衰退する商店街の問題、子育て環境の充実などを目指した「地域福祉・交流拠点モデル事業」が横浜市では取り組まれ、施設整備などに補助金が出ています。今後この、屋外での活動場所、そして地域での交流を行う場所、というテーマはより重要性を増すと思います。そして今後、利用・活用の在り方の検討が必要ではないかと考えているのが、公園、遊水地、横浜市所有の未利用地です。

例えば公園。現在は物品の販売にしろ、車両を乗り入れ停めておくことなど、「自由利用(譲り合い)」以外での利用には、「市長の許可」が必要になります。そして物品の販売は原則禁止で、横浜市が共催しているものや実行委員会形式のもの、町内会等が主催である場合などのみ、許可されています。横浜市内には2,500もの公園があります。この公園の利用について、市長の許可を得なくてはならない。これを地域住民の管理に、自主性に任せてもいいんじゃないかと思います。もちろん、一部の人が独占的に利用したり、占有したりすることは認められません。とはいえ、公園周辺の住民の中には、自治会員という枠だけでなく、趣味の活動をするサークルや、何らかのボランティア活動をしているグループ、音楽などの表現をしている方々など、全体から見れば「一部」ではあるものの、その「一部」が集まって地域の住民「全体」にもなっているわけです。そういった方々の活動を行う「場」として、公園も活用できるのではないかなと思います。

そしてその活動の許可を得るのは市長ではなく、「地域」ではないかなと思います。地域の「場」、「公共空間」を利用するうえで、地域の人がやりたいことが市に認められないという事は望ましくありません。地域の方々で構成される、管理委員会のような組織に申込み、対話し、利用しあう。そんな公園の在り方でも良いんではないかなと思います。そして利用の仕方は地域ごと様々であって良いですし、ある日曜日はフリーマーケットが開催されていたり、ある土曜日にはビアガーデンが行われたりと、そこにいる人たちが交流を深めたり、楽しむ機会が増えたり、そういう「場」として公園が利用できると良いのではないかと、考えています。

例えば遊水地。遊水地も場所によって大きさは異なりますが、テニスコートとして活用されている遊水地もあったりします。遊水地の上に建物が建っているケースもあります。でもそのほとんどが、普段は利用されずに、たまに駐車場に使われるだけであったりします。この遊水地を「整備して、綺麗にして、利用しやすくする」みたいな発想だとお金がかかって仕方ありません。そうではなく、「今あるものを、利用者が中心となって、使いたいように使う」ような発想に転換をして、利用すること自由にしていく。必要があれば草を刈る。必要があれば土を敷く。遊水地の中でバザーをやって運営費用を稼ぐ。公園もそうですが、地域の住民の方々が、どうしていきたいかを優先し、万が一問題がある利用をしていた場合は修正をする、という発想が必要だと考えます。

同じく、未利用地。市内には、横浜市の保有する未利用地が、368か所あります。実はこの未利用地、申し込んで許可されれば、街づくりや交流の場所として、活用することができます。十分に知られていません。こういう場所も、フェンスで囲んで排除するような管理ではなく、解放して住民の方に管理・利用を任せるような仕組みが必要だと思います。また、この未利用地、売却も進められつつあります。場所によっては面積にも限りがあったり、住宅街の中にあったり、形状がよくなく使いづらいという事もあるといいます。とはいえ、一時的に2000万円とか3000万円入ってきたとしても、二度とその土地は市・地域のものにはならないわけです。数千万円得るために、実質的に利用を制限してきた公共の土地、未利用地を、簡単に手放すべきではないと思います。

これまでの公共の「場」の管理は、排除したうえで許可をすることで安全性を確保する、というやり方でした。確かに、誰かが占有すること、一部の人だけが利益を得ることは認められることではありません。しかしながら、一律に行政で監理を行い許可制にすることで、住民のためにあるはずの「場」が有効に利用されなくなってしまう。少子高齢化が進む中で、公園も、子どものための場所としてだけではなく、大人たちの交流の場として、そのあり方をいかにデザインできるか。遊水地も、多額の予算を投じて整備するという発想だけでなく、住民が自分たちの使いやすいように、自分たちで利用の在り方を決めていく。未利用地も、人口が減少する時代を控え、空き家の問題なども顕在化する中で、短期的な収益のために手放すのではなく、公共空間としての長期的な意義・価値を検討しながら、利用することが重要であると考えます。

行政のルールに住民が合わせる時代から、住民のニーズ・活動を行政が最大限バックアップする時代へ。住民のやろうとすることを、「ルールがあるからできない」という行政ではなく、地域のためになる住民活動を阻害する要因を排除し、様々なサポートを提供できる行政に。お金を使うことから、アイディアを使うことに。住民自治を実現、活性化する取り組みが、今後必要だと考えています。

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