本日、9月11日、平成24年第3回定例会本会議にて、一般質問を行いました。
市民自治や、行政と市民とのコミュニケーションという視点から、広報や広聴の取組み、欧米で先行するオープンデータの取組み、市民の主体的な活動への参加から生まれる「つながり」の醸成、みなとみらい新港地区16街区について、などを質問させていただきました。
以下、質問の原稿です。(実際の質問とは若干言い回し等が異なります)
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本日は、市民自治や、市民と行政とのコミュニケーションという視点から、みんなの党を代表して、市長に質問させて頂きます。
東日本大震災以来、地域コミュニティの重要性が、改めて見直されてきています。本市においては、少子高齢化する地域社会の中で、孤立の問題などに対処するために、高齢者の見守りや、子育て支援拠点、多世代交流拠点など、「地域」、「交流」、「つながり」といった視点から、様々な取組みが行われています。
その中で重要なのが、「きっかけ」ではないかと考えています。行政が提供している施策を知るというきっかけがなければ、サービスを利用できません。区レベルでも「担い手」の育成が行われていますが、課題や、担うべき役割が何かを知るきっかけが無ければ、担い手になる事ができません。
この「きっかけ」づくりには、何よりも情報が必要です。本市に於いても市民へ情報を伝えるために、広報が行われています。広報事業としては、「広報よこはま」の発行を中心に、紙媒体やホームページなどを利用して、行政情報が提供されています。一方で、総務省などの分析でも、近年の情報流通量の急激な伸びが指摘されてきたように、従来通りの発信だけでは、相対的に流通量が減少する一方です。
Q1こうした環境において、行政情報を市民に受け取ってもらうという視点から、広報のあり方や効果的な発信、受信について、市長の考えを伺います。
情報の流通という視点からは、最近の電子端末の多様化は目を見張るものがあります。スマートフォンや、タブレットPCが急速に普及し、スマートフォンの普及率は直近で18%と推定され、4年後には70%を超えるとも推定されています。こういった変化にともない、ソフトウェアや書籍、雑誌の流通や消費のあり方も変容しています。こうした状況に対応し、他自治体において、広報紙を電子書籍形式で発行する事例も生まれています。電子端末にダウンロードできれば、紙媒体よりも多くの情報を簡単に持ち運べて、欲しい情報を容易に得る事が可能になります。また、電子メディアであれば、本文中からリンクを貼って外部サイトに飛ばす事も可能ですし、動画や写真を多く掲載したり、文字のサイズを自由に拡大・縮小する事も可能になり、市民により多くの情報を提供する事ができるようになります。他自治体ではタブレットPCを利用した高齢者の見守りサービスの事例もあるように、幅広い年代に利用可能なツールでもあります。
Q2「広報よこはま」をはじめとした市の広報について、電子書籍形式での発行やスマートフォン、タブレットPCなど、多様化する端末やメディアを利用した展開をすべきと考えますが、市長はどうお考えでしょうか?
このように多様な選択肢を用意し、行政情報の流通を拡大すると共に、例えば、市内に孤立する高齢者や若者がどれだけいるのかという市民生活の実態に関するデータや、空洞化する商店街や高齢化が進む団地など、地域の課題についての最新情報を、市民に発信し共有することが、市政への市民参加を推進することに寄与し、必要だと考えます。 本市では、政策局に設置されている「政策支援センター」が、社会の変化や動向、市民生活の課題やニーズを調査、分析し、本市が直面する政策課題について、市民に情報を発信していると聞きます。
Q3「政策支援センター」が担う役割に付いて、市長の見解を伺いたいと思います。
「政策支援センター」が発行する「調査季報」は、本市の政策課題と共に、本市職員がどんな考えで事業を行っているかを、市民の方に伝えていくという面からも、評価される媒体だと考えます。 調査季報は、インターネット上でもPDFファイルによって、閲覧可能ですが、今後は、ePubなど電子書籍化を進めると共に、編集プロセスへの職員や市民の参画を拡充していくことで、より多くの方々に読まれ、活用される媒体へと進化していくことを要望します。
行政情報の流通拡大や本市が直面する政策課題の市民との共有化という観点からすれば、広報だけでなく、報道も重要な役割を担っています。今年度からは「広報と報道の連携」という取組みもスタートしていると聞いています。本市の創造的な取組み等、ニュースバリューを見いだしながら、新たな情報媒体や、パブリシティなどを積極的に活用する事で、情報の流通量を増やしつつ、流通コストを削減する事ができるのではないかと考えます。そのためにも、庁内における広報や報道に対する意識の変革も必要だと考えます。
Q4「広報と報道の連携」の取組みの中で、「広報マインド」を庁内に浸透させるとありますが、どのように浸透させるのでしょうか。
広報の重要性とともに、広聴もまた本市の政策形成の上では非常に重要な取組みです。庁内では「広聴マインド」に関する研修も行われてきていると聞いています。この広聴の1つに「パブリックコメント」があります。パブリックコメントの実施要項には、市民の「市政に対する理解と信頼を深める」ことや、「説明責任を果たす」こと、「政策決定プロセスへの市民参加を推進」すること、などが理念に掲げられ、「市民との協働による市政の実現を図る」とされています。
しかしながら、ここ数年の経過をみると、意見提出者の数は少なければ十数件で、そのほとんどが二桁です。資料の発行数も、せいぜい数千部。369万人の人口を抱える本市に於いては、非常に少ないと言わざるを得ません。
Q1市長は、パブリックコメントの取組みが、その理念を実現できていると評価されていますでしょうか。
行政の取組みも、可処分時間の活用の中で競争に晒されています。予算や労力を投じても、十分に市民の声を集められていないのであれば、方法を見直す必要もあると考えます。そういう視点から、パブリックコメント以外にも様々な仕組みや場面で、幅広い立場の方から意見を聴くことが重要ではないかと考えます。また、頂いた意見を政策立案などに、十分反映させていくことが必要と考えます。
Q2そのためにも、市民の意見を政策に反映することを推進するには、広聴に対する職員一人ひとりの取組姿勢が重要だと思いますが、市長の見解を伺います。
広聴機能を活性化するためには、市民と行政職員が、地域の生活課題や本市の政策のあり方について、自由に語り合い、意見を交わし、知恵を出し合うことが、日頃から行われているのが理想ではないかと考えます。ヨーロッパでは、近年、所属組織や立場の異なる多様な市民、研究者や行政職員、議員などが集まり、普段従事している組織の制約を離れ、横断的な対話を行って、地域の課題解決や新たな政策形成、新規の事業開発を行う場や仕組み、いわゆる「フューチャーセンター」を創る取組みが、広がっています。
日本でも近年、企業などがこのような取組みを進めています。本市においても、このような官民の多様な主体の対話や意見交換が日常的に行われていくことで、市民の日常から政策が形成されるような仕組みが必要ではないかと考えます。そこで、
Q3 市民や専門家、企業人などが参画し、本市の政策課題について、横断的に対話をし、意見交換する中で、政策を形成していくような試みを、本市でも進めるべきだと考えますが、市長のお考えを伺います。
市民と行政とが対話を深めていくためにもまた、情報が必要です。客観的なデータや情報が、視覚的にも理解しやすく提供されていれば、より充実した対話が可能です。本市ではGISの取組みも行われてきましたが、欧米が先行する「オープンデータ」の取組みは、行政のもつ生のデータ、いわゆるローデータを公開する事により、市民や企業などの民間が、情報を自由に分析、活用することができます。それにより、様々なアプリケーション、Webサービスが提供され、行政だけでは担えなかったような情報発信も可能になります。例えば、本市では、市民意識調査の結果については、報告書という形での紙媒体とPDF化されてWEB上で配信されていますが、
Q1本市においては、市民意識調査の集計前のデータや基礎的な統計データ、いわゆるローデータが、どのように提供されているのでしょうか?
国も、公共データ活用促進のための基本戦略として「電子行政オープンデータ戦略」をこの7月に策定し、オープンデータの推進に本腰を入れ始めました。この一環で設立された「オープンデータ流通推進コンソーシアム」には、本市も賛同自治体として参加をすると聞いています。自治体が、オープンデータを推進することで、より効率的に市民に情報を伝え、それによる市民参加を促進することが期待できます。また、公共サービスの向上や効率化、産業の創出や、雇用促進、様々な人材・視点によって、本市の課題や潜在的な可能性についての分析、研究が可能になるなど、様々なメリットを得られると思います。ただ、そのためには、本市としてオープンデータの推進について、国と連携を図りながらも、これまでの広報・広聴の仕組みや政策形成のあり方を見直し、市民との情報コミュニケーションについて、新たな戦略を組み立てて行く必要があると考えます。そこで、
Q2総務局のIT活用推進課や市民局の広報課も重要な役割を担ってきましたが、オープンデータに関しては、技術論や既存の広報的枠組みを超える戦略が必要ですから、政策局が中心的役割を担う必要があるのではないでしょうか。
オープンデータについては、まだまだ国内では取組み事例も少なく、認知という意味ではこれからですが、新しい自治の在り方を切り拓く可能性のある取組みでもあります。 本市ではこれまで、政策支援センターが、政策情報の提供や共有化の取組を様々な形で、行ってきた実績もあり、オープンデータに、主体的かつ戦略的に関わることによって、国の取組みをリードすることも可能だと思います。 市長もよく本市を評して「進取の気性に富む」という表現を使われますが、こういった取組みをいち早く取り入れる事が、横浜のブランド力強化にも寄与し、PR効果にもつながると考えますが、
Q3 将来に向けて本市は、オープンデータをどう推進しようとしているのでしょうか。
ここまで、行政と市民のコミュニケーションという視点から、参加を促す事について市の見解を伺ってきました。とは言えもちろん、市民同士の自由な活動から、参加やつながりが醸成されています。
そういった事例は事欠かないわけですが、「地域でのつながり」を形成する活動の1つにスポーツがあります。メンバー同士、もしくは親同士など、スポーツを通じて出会い、つながり、交流が生まれます。子どもから大人まで、多くの市民が身近な環境でスポーツを楽しみ、地域への参加を促進したり、多世代での交流を生み出したりするという視点から、
Q1スポーツ振興に対する市長の基本的な考え方をお聞きしたいと思います。
地域のスポーツ活動に目を向けると、活動団体からは、学校予定地の売却や学校建設に伴い、屋外スポーツを行う場所が不足しているとの声が届いています。また、屋内型スポーツ施設についても、体育館などの予約が取りづらいという声を、よくお聞きします。
Q2スポーツ振興の基本的な考え方に照らし合わせて、スポーツを楽しむ場について現状をどう認識されていらっしゃいますでしょうか。
もちろん、本市の財政状況を考えると、限られた予算の中で、新たな用地確保は困難です。ですので、新しく用地を購入してほしいとも、施設を建設してほしいとも、言うつもりはありません。一方で、公園予定地や雨水調整池、未利用地などで、まだ活用されていない場所もありますので、そういった場所を有効に活用することが必要だと考えます。活用にあたっては、市民が主体的に整備や維持管理を行い、場づくり自体を市民活動とすることで、予算を抑えるような方法もあると考えます。ハードを整備するのではなく、「場所」や「空間」を住民のアイディアで活用するという、ソフト面での整備です。
Q3今後まだまだ市内の開発は進んでいきますし、限られた予算、限られた土地のなかで、いかにスポーツなどを楽しむ場を確保していくのか、本市の見解を伺います。
市民が主体的に場所を整備することで、作業を通じて育成されるつながりもまた、重要だと考えます。本市では「ヨコハマ市民まち普請事業」を通じて、多目的広場等の地域交流の場を整備した事例もあります。一方では、まち普請事業の予算も制度創設当初と比べ減少していますが、事業の認知度が低いという声もあり、市民の方が独自にまち普請の講座を行っている事例もあります。
Q1市民の方が主体的に参加し、整備し、維持することを支援する「ヨコハマ市民まち普請事業」の今後の取組みについて、市長の考えを伺います。
最後に、みなとみらい新港地区16街区について伺います。
みなとみらいの玄関口である、新港地区16街区における結婚式場の建設問題は当該地区の景観に大きな影響を与えることから、我が会派としても平成24年度予算の審査の時から、局別審査、連合審査、一般質問、請願審査と定例会の度に問題提起をして参りました。 年初に開催された都市美対策審議会では異例の反対意見が相次ぎ、2回の審議会開催をもってしても、デザインを巡る事業者と審議会の考え方の溝は埋まらず、この点が問題であり、溝が埋まらない限りは事業者への土地の貸付は実施すべきではないというのが私たちの考えでした。
Q1先般、横浜市は事業者との協議が整ったとして記者発表を行いましたが、まず、今回、景観をめぐってここまでこじれてしまったことに対し、どのような課題を認識しているのか、お伺いします。
記者発表資料には都市美対策審議会の卯月部会長は「市・事業者双方が我々の意見を真摯に受け止め、この4ヶ月間努力して頂いた結果、デザインが大幅に修整されたことについては、十分とはいえないが、一定の評価をしなければいけない」とのコメントを発表しています。我が会派としては、せめて都市美審議会の了解を得るべきであると考えていましたので、卯月先生のコメントは重く受け止めたいと思います。
しかし、一方で、「事前協議に課題が残ったこと」「制度の見直しと今後の改善を議論しなければいけない」とも指摘されています。
Q2そこで、さきほどの今回の課題認識を踏まえ、今後、どのように改善していくか市長の見解を伺います。
以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
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