財政調整基金と発災後に必要な費用想定。R7財政局予算審査。

2025-03-19 16:34:42 | カテゴリ:活動報告


藤崎浩太郎

2025年3月10日、横浜市会令和7年度予算第二特別委員会におきまして、財政局の審査を行いました。

1 財政ビジョン
2 災害に備えた財政調整基金
3 公共施設マネジメントの推進
4 税務システム再構築及び標準化

という大きく4項目、全部で9の質問を、副市長、財政局長等に行いました。

 以下、質問の原稿と答弁のメモです。
(※議事録ではないので、実際の内容とは若干言い回し等が異なります。)
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立憲民主党の藤崎浩太郎です。よろしくお願いいたします。

1 財政ビジョン

まずはじめに、財政ビジョンについて伺ってまいります。  
令和4年6月に、人口減少や市税収入減少を前提として、「横浜市の持続的な発展に向けた財政ビジョン」が策定され、「施策の推進と財政の健全性の維持」の両立を図りながら市政運営を進めていくというふうにされています。この前提に対して、市税収入は過去最高を記録し、今年の1月1日時点での人口は4年ぶりに前年を上回ったという状況にあります。国内経済はデフレからインフレへと変化するなど、社会経済環境は大きく変化をしています。こうした中でも、子どもたちや将来の市民の皆様に対して横浜の豊かな未来をつないでいくため、ビジョンで掲げている中長期的な方針を堅持していくことは大切だと考えます。そこで、まず、

質問1 財政ビジョン策定時と現在とを比較して社会経済の変化をどのように認識しているのかを局長に伺います。
松井局長 財政ビジョン策定時は、人口減少や高齢化の進展に加え、新型コロナウイルス感染症によって社会経済情勢が変化し、財政状況もより一層厳しさを増すことが見込まれておりました。その後ですね、先生がおっしゃっていただいたように、燃料費や資材価格等をはじめとする物価高騰、あるいはその物価高騰等を受けて労務単価や金利の上昇などが始まっております。現在は、約30年続いたデフレの時代とは異なる、新たな局面を迎えていると考えています。

ありがとうございます。ビジョンの策定においてですね、経済環境の変動等のリスクを認識した上で策定されてきたということで承知をしておりますけれども、昨今のこうした変化を踏まえて財政の健全性を維持しながらも市政を運営していただくということは大切なことだと考えます。持続可能な市政が進められるよう、ビジョンにおいて具体的な課題に対応するため、債務管理アクションをはじめとする4つの将来アクションの取組や、2020~2065年までの歳入・歳出を見通した長期財政推計などを、今後更新していくことも必要だというふうに考えます。そこで、

質問2 今後、社会情勢の変化などを踏まえ財政ビジョン、将来アクションや長期財政推計などの更新も検討していく必要があると考えますが、局長の見解を伺います。
松井局長 将来アクションにつきましては、社会変化も踏まえ政策的な裁量と財政の健全性の維持を確保しながら、基本計画である中期計画の期間ごとにアクションの成果の検証と必要な改善を行うことと財政ビジョンでもしています。また、2065年までの長期財政推計の更新につきましては、物価高騰や金利上昇など、社会経済情勢等が不透明の中で、今後もこのような状況が継続していくのか否か見極めていく必要があると考えております。各種経済指標等を参考にしながら引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。

ありがとうございます。たぶん今後も長い間ですね、我々がこうやって財政局をはじめ、議論を重ねていく上で、どうしても参照、常に参照し続けるビジョンだというふうにも思います。そういう意味では5年たって10年たって、数字が社会環境が変わっていく中で、間違っていたことを別に非難するということではなく、常に更新しながら議論をしっかりと積み重ねていけるようにしていくために、必要な作業だと思いますので、見直しについてしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。

2 災害に備えた財政調整基金

次に、災害に備えた財政調整基金について、伺ってまいります。ここでスライドを御覧いただきます。

横浜市財政調整基金

これ(スライド1)横浜市の今回の令和7年度予算案の資料から抜粋したものですが、本市の財政調整基金残高、特に濃いほうですね、濃いほうは年度間調整額を除いた実質的なものとされますので、着実に増やしてきたという経緯がわかります。

横浜市財政調整基金

一方でこれ(スライド2)が令和5年度の決算資料ですけれども、他都市比較で5都市と比較がされています。大阪はちょっと計算の仕方が違うとも聞いていますが、赤字の部分ですね、一人当たりの残高で言うと、横浜市は6千円程度というふうに数字が見えてきます。名古屋、神戸が1万円程度というところで言うと、一人当たり残高が少ないというのがわかります。

横浜市財政調整基金

これ(スライド3)ちょっと見づらいんですけど、私が総務省の、令和4年度の数字しかなかったので、令和4年度の数字をワーッとエクセルで整理したものです。右上はR6と赤字になっていますが、令和6年度の横浜市の数字も入れていますが、これ数字がですね、比較可能かどうかも微妙だったんですけど、一番下に書いてあります、横浜市の一人当たり残高が、令和4年度段階で言うと8,319円で、政令指定都市中17位。少ない方ということですね。この時点では一人当たり残高が10,000円に満たない政令市というのは5市ということです。

令和5年度決算とかいくつか見ていくとですね、都市によっては取り崩しを行っていたりとか変動しているので、一概には言えないんですが、横浜市の一人当たり残高から見るとですね、財政調整基金まだまだ少ないかなというところにあります。財政調整基金は、景気の変動や、災害発生をはじめとした、経済・社会情勢等の影響に対応するための基金ということで、財政ビジョンでは、この「財政調整基金を確保し、事態に応じて柔軟かつ機動的に対応可能で、危機に対して強靭な財政構造を構築・維持」するとある一方で、令和5年度の「横浜市普通会計決算の概要」では「財政調整基金は残高については、現下の社会情勢を見極めた適切な管理が必要」とされています。しっかりと備えて欲しいと考えますが、目標値などは示されてきませんでした。そこで、まず、

質問3 現在の財政調整基金の積立の考え方を、局長に伺います。
松井局長 現在、本市ではですね、財政調整基金条例に基づき、決算剰余金の2分の1の金額を基金に積み立てることとされています。地方財政制度上、基金残高につきましては基準は示されていませんが、先生も言っていただいたように、条例にも定めているように、経済事情の変動への対応や、災害により生じた経費等の財源とするための、「備え」としての残高というものが必要だと考えております。

ありがとうございます。現在示されております「新たな地震防災戦略」の原案では、戦略実行の事業費として960億円が示されていますが、一方で、発災後、特に発災直後にどの程度の予算が必要なのかは、本市として示されてきていません。国の財政措置も当然見込まれますが、様々な被害想定において、どの程度の費用がかかるのか想定していくことも必要じゃないかと考えます。財政調整基金の他に、法定の災害救助基金には26億円が積み立てられていますが、本市の規模で足りるのかどうかも不透明なところだと思います。昨年の能登半島地震では、石川県や輪島市、金沢市では発災直後の財政需要に対して財政調整基金が活用されています。そこで、

質問4 地震等の被害想定も踏まえて、財政調整基金の積立について戦略的に取り組むことが必要、と考えますが副市長の見解を伺います。
伊地知副市長 今先生おっしゃったように、財政調整基金の必要性というのは切に感じているとこなんですが、一方では財政ビジョンで減債基金を取り崩して活用しながら予算編成をしているという苦しい状況にございまして、まずは歳出改革とそこから脱却をするということを計画的に進めるということが第一にしなければならないことだというふうに思っています。ただ一方で、議員がご指摘されたように、災害に備えて、また、発災時に機動的に対応するために財政調整基金の残高はいくらあったらいいのか、これは非常に難しい問題だというふうに思っていますけれども、その残高の適正な規模であるとか、あるいはそれをどのように、今の決算剰余金の2分の1ではなくてですね、どのように確保していくかなど、並行して検討を進めていかなければならないというふうに考えております。

ありがとうございました。令和7年度予算案を示されたときにですね、防災減災の推進っていうのが非常に重要であると一番目に掲げられてきたところだというふうに捉えています。掲げられたと思いますけど、事前の準備ももちろん重要ですが、よその都市見てると発災直後ですね、先程も説明した通りですけど、財政調整基金も取り崩してますし、場合によっては、先決処分で対応せざるをえないとか、様々なことが想定されると思います。やはりあの財政調整基金がとにかくいくらでもためたらいいというわけではもちろんないので、ためればためるだけいいわけではないという観点から、じゃあどの程度までためていくのかということも、判断が必要じゃないかというふうに思いますので、ちゃんとした活用とちゃんとした備えと、両面からしっかりとですね、検討していただきたいというふうに要望して次の質問に移ります。

3 公共施設マネジメントの推進

次に、公共施設マネジメントの推進について、伺います。財政ビジョンで掲げた適正化目標に向けて、多目的化・複合化の再編整備等による施設規模の効率化や施設配置の最適化に取り組まれているところだと思います。再編整備については、財政局の予算概要において、「市民利用施設の利用状況等を基に、地域特性やニーズ等を踏まえた再編整備のモデル検討を引き続き行う」ということが示されています。そこで、まず、

質問5 令和6年度及び7年度における地域特性やニーズ等を踏まえた再編整備のモデル検討の内容について、ファシリティマネジメント推進部担当部長に伺います。
中澤部長 再編整備の検討にあたっては、これまで整備してきた各施設について、設置当初の施設配置計画や利用想定等に対する現状を調査・分析することが基本であると考えています。そのため、6年度は、築年数の古い地区センターがある2つのエリアをモデルとして、必要機能の分析、地形や人口構成等から地域特性の検証などを行っています。7年度は、6年度の検討を基に、モデルエリアにおける将来を見据えた再編整備のシミュレーション等を行う予定です。

ありがとうございました。再編整備で複合化を進めていく中ですね、周辺の状況や平準化など、建物がまだ構造的に使用可能な場合であっても用途廃止されると、複合化されて用途廃止されるということも考えられるというふうに捉えています。用途廃止された後のですね、建物や土地の次の展開をあらかじめ考えておくこと、すなわち「複合化の後利用モデル」も、同時進行で検討していく必要があると考えます。財政ビジョン等で掲げる公共建築物の施設の総量の1割縮減に連動していくためにも重要なことではないかと考えます。そこで、

質問6 「再編整備にあたっては、複合化に伴い、用途廃止される建物などの後利用も含めて検討すべき」と考えますが、ファシリティマネジメント推進室長の見解を伺います。
福島室長 公共施設の再編整備に伴う後利用の検討にあたりましては、その施設の規模や設置の経緯、利用状況、周辺の地域性などを調査、分析する必要があります。そのうえで、地域のニーズや事業者からの御意見等を踏まえ、後利用のタイミングを見据えながら、可能な限り速やかに有効活用ができるよう、取り組んでまいります。

ありがとうございます。横浜も含め、首都圏大都市では人口減少にともなう都市のスポンジ化がずっと議論されてきて、その対策どうしようかとされてると思います。やはり地区センターとかが遠くなればですね、そこで暮らしている人は利便性が下がっていくわけですね、もちろん目的は1割床を減らして、財政的にも管理的にも効率化していくということが目的ではありますが、それにともなって市民の皆さんがとにかく不便になるということがないようにしていただきたいとも思いますし、そのためには1割床を減らしながらも、別のやり方を作っていくということもありうるんではないかというふうに考えますので、今後よく皆さん宿題として、ご検討いただきたいご準備いただきたいと要望して次の質問に移ります。

4 税務システム再構築及び標準化

次に、税務システム再構築及び標準化について、伺います。現在、各自治体が国の方針に基づくシステム標準化に取組んでいますが、本市の税務システムにおいては、8年1月の稼働開始に向けて取組を進めているという状況です。今回のシステムの稼働時期は1月ということですから、市民生活においては、ちょうど税の申告が始まる時期となります。申告書なども国の仕様に準拠した様式に変更されますので、手続きが不安で、窓口の相談者が増えるということも考えられます。そうなりますと、区税務課の窓口に市民の皆様が集中し、待ち時間が長くなるなど、混雑する可能性もあると考えますが、そこで、まず、

質問7 個人市民税申告書の様式変更に伴う窓口での混雑対策を、主税部長に伺います。
永森部長 委員ご指摘のとおり、税務システムの再構築に伴い、個人市民税申告書の様式が一部変更になるため、窓口などでのお問い合わせが増える可能性がございます。従来から、市民税の申告が集中する期間は、申告書受付専用の窓口を設けるなどの工夫をしておりますが、迅速かつ円滑に対応できるように職員への研修を行うとともに、わかりやすい記載例を作成するなど、混雑対策にも取り組みたいと思います。引き続き、市民の皆様の申告相談にも丁寧に対応してまいります。

ありがとうございます。よろしくお願いします。税務システムの再構築においては、固定資産税の縦覧の対応や家屋評価の調査事務などに新たに導入する260台のタブレットを利用して、今まで紙で印刷していた縦覧帳簿や調査票のデジタル化を行うということです。紙の利用による環境負荷を考えますと、ペーパレスにもつながり、良い方向だと考えますが、そこで、

質問8 税務システム再構築によるペーパレスの効果を主税部長に伺います。 
永森部長 税務システム再構築では、タブレット端末の導入だけではなく、これまで紙で印刷していた内部事務の帳票を電子化するなど、ペーパレスの取組を進めます。これらの取組によりまして、年間で、紙の使用量が約50万枚、購入経費が約1,200万円削減できる見込みとなっております。

ありがとうございます。今効果についてご説明いただきました。しっかりとですね、いい効果が出せるようにそして皆さんにしっかりと伝えていただけるように取り組んでいただきたいと思います。さらに、税務システム再構築においては、AI-OCRやRPA等を活用するということで、こうしたデジタル技術を活用する際には、単なるデジタル化にとどまるのではなく、デジタル技術を活用して、事務全体のBPRの視点を持った見直し等も重要であると考えます。そこで、

質問9 税務システム再構築における事務の見直しの考え方について、財政局長に伺います。
松井局長 今回の税務システム再構築及び標準化の意義につきましては、作業をですね、先生おっしゃっていただいたように、デジタルで置き換えるだけではなく、BPRの視点で、事務フロー全体を見直し、事務の効率化を図ることにあります。そのため、対象となる全ての税目につきまして見直しを行い、307の事務フロー、4,080の作業項目を可視化し、課題を解決しながら、最適な作業手順を構築し、抜本的な見直しを行っております。今後も、新たなデジタル技術の進展にあわせ、継続的に事務の見直しを進めてまいります。

ありがとうございました。いろいろご答弁いただいて、業務効率の改善、コストの縮減等取り組んでいただくことを要望して私の質問を終わります。ありがとうございました。

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