昨年度から取り組みが始まっている「横浜教育データサイエンスラボ」の、令和7年度の第1回が2025年5月16日に開催されました。私はこれまでの議会質疑において、横浜市学力・学習状況調査のデータ活用、分析を提案しつづけ、実現してきました。今回のラボにおいては、横浜市学力・学習状況調査のデータを用いて、算数・数学における子ども達の「つまずき」の分析を行った結果が示されました。また、子どもの心の状況の可視化についても報告がなされ、その中ではこちらも私が提案してきた、子ども達のうつに関する調査結果が示されています。
(※資料はこちら:第1回横浜教育データサイエンスラボ)
2023年、子どものうつの調査を提案
2023年10月11日に行った教育委員会の決算審査において、私は不登校に関する質疑を行いました。このとき注目して取り上げたのが、子どものうつです。様々な調査が行われて来ましたが、小学生でもうつになることが明らかになり、年齢が上がるにつれて有病率が上がり、大人の有病率に近づいていくということが示されてきました。
質疑に先立つ2023年9月に公益財団法人東京都医学総合研究所が明らかにした調査結果では、「うつ症状が悪化すると、相談したい気持ちが弱くなること」が明らかにされました。横浜市立小中学校に在籍する子ども達にも、うつになっている子どもがいることは容易に想像できますし、そうした子ども達が誰にも相談できずにいることも、推測される調査結果でした。
私はこの時の質疑で教育長に対して、「本気で「誰ひとり取り残さない」を実現」するのであれば、子ども達のうつについて実態を調査し把握すべきではないかと提案をしました。当時の鯉渕教育長は、「大変センシティブな内容ですので、なかなかそれが難しい」と答えながらも、「子どもにとって必要なケアや支援というものを継続的に繋げられるよう検討しなくてはいけないと考えている」と答弁しています。
小学校高学年の9%、中学生の12%に中等度以上のうつ症状
5月16日にデータサイエンスラボで発表されたのは、2024年11月22日から2025年1月31日までの間に、小学生730人、中学生791人に対して行われた、メンタルヘルスの実態把握のための予備調査の分析結果です。詳細は、以下の画像(資料1)をご覧いただくとわかりやすいと思いますが、パイロット校である小学校Aの高学年381人と、中学校Bの783人における、うつ症状の割合となっています。うつ症状が全くない、軽度、中等度、やや重度、重度、と分類され、中等度以上のうつ症状がある子どもが、小学校Aでは9%、中学校Bでは12%となっています。多くの子どもにうつ症状があることがわかります。
また注意する必要があるのは、未回答児童・生徒です。小学校Aでは7%、中学校Bでは6%の子どもが、不登校、別室登校、精神疾患であることが把握されている子どもで、未回答となっています。不登校、別室登校で、精神疾患が把握されていない、うつ症状が把握されていない子ども達もいるのではないかと懸念しています。
私が提案した子どものうつの実態調査が実際に行われて、一定の実態が明らかになったことは評価できます。今後はこうしたデータをより多くの学校で収集、分析し、より正確に実態を把握するとともに、子ども達のうつに向き合い、適切な対応を行えるように支援策を講じる必要があります。うつ病であることに気づかれなかった子ども達が、治療につながり回復できれば、学業の不振や不登校等の状態から脱することにつながるのではないかと考えています。
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