京都市の、データを活用したフレイル予防施策。視察報告。

2024-08-01 07:27:49 | カテゴリ:活動報告


京都市フレイル対策

2024年7月31日、所属する常任委員会「健康福祉・医療委員会」の視察で、京都市を訪れました。京都市では今年の3月に「京都市健康長寿・口腔保健・食育推進プラン」を策定しています。

京都市の健康問題

京都市も人口減少が始まり、これまで147万人程度だった人口が、2023年度で約144万3千人となっています。一方で高齢者人口は増加し、2023年度には41.1万人で、高齢化率は28.5%となり、政令指定都市でも高いほうとなっています。そうした中で、健康寿命についても課題があり、2019年度で男性の平均寿命が81.41歳、健康寿命が73.01歳で差が8.4歳、女性の平均寿命が87.45歳、健康寿命が72.90歳で差が14.55歳となっています。2016年度と比較して男性は差が小さくなっていますが、女性は差が広がっていて課題となってきました。また、要支援・要介護認定の認定率が2022年10月には24.19%で、全国平均の19.06%を5ポイント上回っているという課題もあります。

京都市における健康に関する計画は、「京都市健康長寿・口腔保健・食育推進プラン〜京都市健康(口)プラン〜」と「第9期京都市民長寿すこやかプラン」の2本あります。すこやかプランは主に高齢者を対象とし、自立支援・重度化防止を目指し、健康プランは全ての市民を対象にし、健康寿命の延伸を目指しています。2つの計画を繋ぐのがフレイル予防という位置づけになっています。

フレイル対策

すこやかプランの重点取組1では、フレイル対策や、オーラルフレイル対策が位置づけられています。主な施策では、地域介護予防推進センターが位置づけられ、保健福祉センター等の関係機関を含めて、介護予防の推進に取り組むこととされています。健康(口)プランでは、取組方針1に市民が主体となる健康づくりが示され、社会参加・居場所づくり、運動習慣づくりに焦点があてられています。

フレイル対策で重要な拠点となっているのが、京都市地域介護予防推進センターです。2006年に開設され、地域包括支援センターと同じ時期だったとのことです。市内に12か所、民間に運営委託する形で設置されています。健康運動指導士、介護予防運動指導員、看護師、管理栄養士、リハ職等が所属し、65歳以上高齢者に介護予防事業を実施し、運動・栄養・口腔などの機能面から支援できることが特徴とされています。(1)介護予防普及啓発事業と、(2)地域介護予防活動支援事業の2つを実施が実施されていて、(1)で身につけた習慣を、(2)で自主的に継続できるように支援している、という仕組みになっています。

通いの場と、積極的関与

社会参加・居場所づくりの重要な取り組みとして「通いの場」があります。通いの場は、高齢者をはじめ地域住民が自主的に運営していて、健康維持や介護予防についての活動が月1回以上行われている、活動の場・機会となっています。この通いの場は、地域介護予防推進センターが関与していて、医療専門職を派遣し、総合的なフレイル対策が実施されています。具体的には、各通いの場のグループに対して、どんな対策が必要か体力測定によるアセスメントとフィードバックを行い、支援計画を立案、提供しています。その後、アセスメントシートは支援者で共有され、適宜専門職(職能団体等)が通いの場に訪問して支援を行っています。一人ひとりのアセスメントが重要となるため、75〜80歳の方で健診未受診かつ要介護認定のない人に、体力測定会を実施しています。

推進センターによるデータ活用

介護予防に取り組む参加者の、意識向上、動機付けのために、京都市地域介護予防推進センターではデータ活用が行われています。個々人に健康チェックシートを記入してもらい、変化を測定し、フィードバックすることで、効果を実感し、取り組みを継続してもらおうという意図です。また、センターとしては個人の問題点を早期に発見することで早期の対策に繋げられるとともに、業務の効率化が期待されています。

データ取得業務についての流れとしては、(1)体力測定会、(2)健康チェックシートの作成・読み込み、(3)データの取りまとめ、(4)必要なデータの取得、(5)個人へのフィードバック、(6)フレイル対策の実施となっています。健康チェックシートは、認知機能を推し測るために、敢えて紙で記入してもらっているそうです。個人向けのフィードバック帳票も用意されていて、今後のフレイル対策に役立てられています。

センターや通いの場において、チェックシートに記入をしてもらいデータを取得しているものの、個々人から継続してデータを取得できるとは限らないというのが、1つの課題でした。データ取得は2019年度から始まり、最初は数十名のデータだったものが、2023年度では約4万件のデータまで増えていて、経年でのデータ分析ができるようになってきているということでした。医療費の削減や、要介護認定への影響について測定しているか質問を行いましたが、現時点では行われていないものの、ゆくゆくは分析し、影響を示したいと考えているとのことでした。

京都市フレイル対策

京都市フレイル対策
運動教室の様子

京都市フレイル対策
お口の体操シート

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