高知県梼原町の、環境モデル都市の取り組み視察。

2014-10-31 23:26:50 | カテゴリ:活動報告


梼原町

2014年10月28日、所属する「温暖化対策・環境創造・資源循環委員会」の視察2日目は、高知県梼原町にお邪魔しました。まず圧倒されたのは、素敵なデザインの総合庁舎。地元木材を多用し、設計は隈研吾建築都市設計事務所でした。サステイナブル建築賞を受賞するなど、太陽光発電はもちろん、空調や資材など環境に配慮した庁舎となっていて、CASBEE(建築物総合環境性能評価システム)でも最上位ランクのS認定となっています。

梼原町

梼原町

梼原町にお邪魔したのは、環境モデル都市の取り組みについて伺うため。梼原町は四万十川の渓谷と急峻な山々に囲まれ、高低差が1,500mにもなり、「雲の上の町」とも称されます。森林面積が91%を占め、その自然を生かしてエネルギー自給率100%を目指しています。高低差をいかした風力発電、森林資源を活かした木質バイオマスの製造と活用、四万十川の支流を活かした小水力発電の取り組みが行われています。

梼原町の基本理念には「自立」、「共生と循環の思想」、「絆」が置かれ、自然や周辺地域、先人が築いた地域社会を大切にしていくことが目指されています。そうした中から、これまで20年以上に渡り町の総合振興計画では、豊かな森林、水資源と人とが共生していくことが描かれ、その柱には常に環境が置かれてきています。最新の第6次梼原町総合振興計画では環境の他に、健康、教育、産業、文化、くらしと、6つのキーワードで2020年を目標とした「人と自然が共生し輝く梼原構想」が描かれています。共生と循環のまちづくりが目指されてきたなかで、鎮守の杜づくり条例、四万十川の保全と振興に関する基本条例、森林づくり基本条例、町産材利用促進条例などが制定され、森林の保全や地産地消、公共施設での木材活用などが取り組まれてきました。

現場視察をさせていただいたのは、ペレット工場と、小水力発電所です。ゆすはらペレット工場では、間伐材や製材の端材などをペレット化しています。このペレットの利用促進のために、中学校や幼稚園、宿泊施設など町内施設でペレットを燃料とするストーブや冷暖房機などを導入しています。町内で製造されるペレットの3分の1はこれらの施設で消費され、残りの3分の2は高知県内の100km圏内の民間企業などへ販売されています。小水力発電所では最大53kwの発電が行われ、昼間は町立小中一貫教育校「梼原学園」の中学校施設に供給され、施設の90%の電力を賄っています。夜間は自動で供給先が変わり、町の中心地を通る道路の街路灯82基に電力供給されています。

今後は2050年までに(1990年を基準として)温室効果ガスの排出量を70%削減し、吸収量を4.3倍に増やし、エネルギー自給率を100%にするという目標の実現に向けて、事業を着実に進めていくということでした。一方では、人口減少という構造的課題にも直面し、雇用と住宅が無い、高齢化で人口が自然減をしていく、若者は町外に出て行ってしまうという、全国の地方が抱える課題を解決できずにいる状態でした。その課題を解決するために現在、慶応大学と協力して、なぜ梼原で人口が増えないのかを検証しているということで、今後その研究成果が町の発展に寄与することを願うばかりです。

梼原町

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