ごみゼロ宣言と、量り売りの百貨店。上勝町視察。

2014-11-01 01:26:46 | カテゴリ:活動報告


上勝町

上勝町

2014年10月29日、所属する「温暖化対策・環境創造・資源循環委員会」の視察最終日は、徳島県上勝町を訪問しました。上勝町は日本で初めて「ゼロ・ウェイスト宣言」(ごみゼロ)を行い、ごみの減量に取り組んでいます。

上勝町も自然豊かな場所で、総面積の内88.5%が山林でその内83%が人工林です。上勝町がこれまで注目されてきた取り組みとしては、料理に添える葉っぱを産業化したことがあります。昭和56年に寒波が襲い、それまでの主要産業であったみかんの木が全滅。みかんに代わる作物が探された結果葉っぱをうるビジネスにたどり着き、当初年商100万円だったものが、現在では約2億円にも上るという事業です。映画化もされています。

今回の視察目的は葉っぱビジネスではなく、ごみゼロ、ゼロ・ウェイストです。上勝町では1998年まで町内で発生するゴミを野焼きしていました。しかしながら徳島県からは野焼きをやめるよう求められており、一方では焼却設備を建設するなどの予算は無く、建設以外の処分方法を探りました。その結果、ごみの3割が生ごみと分かり、家庭で生ごみ堆肥化を進めるために、コンポストや電動生ごみ処理機を導入促進するために購入補助を行ってきました。現在ではコンポストや電動生ごみ処理機の普及率が98%に達していて、残りの2%は直接畑などを利用して堆肥化しています。商業施設でも業務量の処理機を導入しているため、町内での生ごみリサイクル率は、ほぼ100%に達していると言います。

一方容器包装リサイクル法の制定などもあり、1997年から分別の取り組みが始まりました。全國各地のリサイクル業者が探されて、当初は9分別からスタートし、22分別、35分別と分別が増え、現在では34分別となっています(「プラスチックボトル類」と「プラスチック製容器包装類」を統合して1減)。こうした分別されたごみは、「日比ヶ谷ゴミステーション」という収集所に、住民自身が運ぶという仕組みになっています。上勝町にはゴミ収集車がありません。持ち込み制にすることで、収集車のコストが不要となっています。また、高齢者だけの世帯などで車のない家もあるので、高齢者世帯を支援するボランティアグループが生まれ、ボランティアの方が自分のごみ出しついでに、高齢者を支援するという活動が行われています。こうした細かい分別を実現するために、町内55集落を担当の職員が回り、丁寧に何度も説明をして理解を得ていったと言います。こうした取り組みを進めることで、ごみの削減につながるとともに、財政支出の削減にもつながっています。

こうした取り組みを行っている中、2003年にごみゼロを目指す「ゼロ・ウェイスト宣言」を日本で初めて行いました。「ゼロ・ウェイスト」とは、無駄、浪費、ごみをなくすという意味で、リサイクル、リユースを進め、生産段階から処理に困らない製品を作るという理念です。日本では勝山町以降、福岡県大木町、熊本県水俣市、奈良県斑鳩町、東京都町田市、神奈川県逗子市、葉山市などがゼロ・ウェイスト宣言を行っています。こうした分別リサイクルの取組を行う一方では、リユースを促す「くるくるショップ」や「くるくる工房」が開設されています。くるくるショップでは家庭で不要になったなだ使えるものが並び、誰でもタダで持ち帰れます。また工房では、古くなった鯉のぼりや生地を使ったリメイクグッズが製作、販売されています。

上勝町ゼロ・ウェイスト宣言

未来の子どもたちにきれいな空気やおいしい水、豊かな大地を継承するため、2020年までに上勝町のごみをゼロにすることを決意し、上勝町ごみゼロ(ゼロ・ウェイスト)を宣言します。

1 地球を汚さない人づくりに努めます。
2 ごみの再利用・再資源化を進め、2020年までに焼却・埋め立て処分をなくす最善の努力をします。
3 地球環境をよくするため世界中に多くの仲間をつくります!

平成15年9月19日

徳島県勝浦郡上勝町

そして今回の視察で行きたかった場所の一つである、「上勝百貨店」がリデュースの取り組みとしてオープンしました。ゼロ・ウェイストの理念としては、そもそも処理ではなく発生を抑制することが示されています。この発生抑制を実現するために、上勝百貨店では「量り売り」が行われています。必要な食材を買うために、家から容器を持ってきて、その容器に必要なものを入れて持って帰る。これを繰り返している限り、包装容器などのごみが一切出ません。

上勝町の人口は1,755人。山間部の小さな町です。こうしたゼロ・ウェイストの取り組みは、「小さな町だからできること」と思われがちですが、世界で初めて「ゼロ・ウェイスト宣言」を行ったのは、オーストラリアのキャンベラ。人口31万人の、横浜市青葉区と同規模の都市でした。横浜でもこれまで、G30や3R夢プランなど、ごみを削減する取り組みが行われてきています。一層ごみを減らして、環境負荷の少ない、持続可能な社会を築いていくには、一人一人の意識の変革と行動が何より大切ですね。

上勝町

上勝町

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上勝百貨店

上勝百貨店

上勝百貨店

上勝百貨店

上勝百貨店

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