
7月15日から17日までの3日間、所属する常任委員会「温暖化対策・環境創造・資源循環委員会」の視察で、山形、宮城、岩手を訪れる予定となっています。初日の15日は山形市を訪れ、「山形エコハウス」の視察を行いました。建設に関わった、東北芸術工科大学の竹内昌義先生から、直接お話しを伺いました。
23兆円もの海外への流出
山形エコハウスは、2010年3月に建てられました。当時環境省が、「21世紀環境共生型モデル住宅整備事業」として20の自治体を選定し、その1つとして山形県が事業主体となって建設したものです。設計などに関わった東北芸術工科大学では、それまでカーボンニュートラルハウスの研究に取り組んでいて、その研究成果をベースに具体的な設計が行われています。
低炭素社会の実現のために再生可能エネルギーの活用をすることだけでなく、エネルギー自給率を高めることで海外に資産が流出しないようにし、地域経済が活性化すること、なども目指されています。現在の日本のエネルギー自給率は4%。石油や石炭、天然ガスなどのエネルギー原料を輸入するために払っている金額が、約23兆円。エネルギー自給率を高めることができれば、国内、地域内経済によりお金を回すことができるようになります。
3つのコンセプト
山形エコハウスには3つのコンセプトがあります。
1つ目は、「木で家をつくる」こと。特に地元の木材を使うことで、運搬距離が短くなり、その分輸送にかかるCO2が削減され、里山環境を守ることにもつながり、地域経済の活性化にもなるということが目指されています。
2つ目が「住宅を省エネルギー化する」こと。住宅に係るエネルギーで多くを占めているのが冷暖房。冷暖房に係るエネルギーを抑制するためには、断熱性と気密性を高める必要があります。山形エコハウスでは一般住宅の3〜4倍となる断熱材が使われ、壁にはグラスウール300mm、屋根には400mm、床下には100mm、基礎には150mm、という分厚い断熱材が入れられています。室内の熱が失われる大きなポイントである窓に関しては、ガラス3枚のトリプルサッシが使用されています。
3つ目のコンセプトは、「自然エネルギー(再生可能エネルギー)を使う」こと。屋根には太陽光発電や太陽熱温水器の設備が置かれ、暖房と給湯のためにペレット燃料を使うボイラが導入されていました。断熱性、気密性を高めることで、延べ床面積208.15㎡の建物に、エアコンは1台だけで済んでしまうということでした。
住宅の燃費性能
ドイツでは、電力総消費量に占める再生可能エネルギーの目標を、1998年には3%だったものを、2012年に25%以上、2050年に80%以上という数字を掲げ、その実現に向けて取り組みが進んできました。この目標を実現するためにドイツが取り組んできたのも、住宅で消費されるエネルギーの削減。例えば自動車の性能を評価する数字の1つが、燃費。ガソリン1リットル当たり、何km走行できるか。こうした指標は住宅でも設定され、平米あたりの年間冷暖房負荷が15kWh以下というのがドイツが2020年ごろを目処に導入する基準となっています(パッシブハウス)。日本ではまだまだ15kWh/㎡には程遠く、50kWh位を目指すのが現状ということですが、技術的にはもっと高いレベルを目指すことも可能ということでした。ドイツでは技術革新が進み、目標達成に必要な新しい技術の実用化が間近に迫っているそうです。より高い、明確な数値目標を設けて、住宅の省エネルギー化を目指すことは重要ですね。
今回の視察では、単純に「CO2の削減」ではなく、国の経済、地域の経済をどう回していくのかという、視点から考え、取り組んで行くことが重要だと認識を新たにしました。エコハウスの建設には、平米あたり70万円とか80万円という金額必要になります。普通のあまり断熱性能の高くない家であれば、半分以下で済みます。家1軒と見れば高くても、全体で見れば、23兆円の流出を防ぎ、結果国内経済、地域経済の活性化に寄与し、エネルギー自給率も高まるわけです。こうした全体像を描き、目標を設定し、そのための誘導策を示していくのが、これからの行政に期待されることになりますね。
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