北九州市の海外水ビジネスの取組。視察報告。

2015-10-29 00:31:43 | カテゴリ:活動報告


藤崎浩太郎

本日(10月28日)より、横浜市会の「温暖化対策・環境創造・資源循環委員会」の視察を行っています。初日は北九州市の水ビジネス国際戦略拠点である、「日明浄化センター」を訪れました。

海外水ビジネスへの取組

北九州市は「国際展開に先進的に取り組む地方公共団体」として国土交通省に認定され、海外水ビジネスの取組を促進し、国と自治体とがトータルソリューションを海外政府機関等に提供するための「水・環境ソリューションハブ(WES Hub:Water Environment Solution Hub)」の構成メンバーに登録されています。

平成11年から取組んできたカンボジアへの技術移転が、首都プノンペンにおいて目覚ましい成果を上げていることで注目を集めています。北九州市が技術協力を始める前の平成5年時点では、給水時間が10時間、無収水量(漏水+盗水)率が72%、水道水質は飲料に不適、という状況でした。これが平成18年には、給水時間が24時間、無収水量は8%、水質は飲料可能へと、格段に改善されました。

これまで北九州市では国際技術協力として、13カ国に176名の技術者を派遣し、146カ国から4,518名の研修員を受け入れています。海外水ビジネスへの取組は、この技術協力で培われた信頼関係がベースになっているといいます。水ビジネスについては東南アジアをターゲットにし、これまで覚書をカンボジア、ベトナムにて3件、水ビジネス関連事業の受注がカンボジア、ベトナム、インドネシアにて、合計35件、16億円に上ります。「北九州市海外水ビジネス推進協議会」は平成22年に全国に先駆けて設立され、現在140社が参加。市内企業と、市外に本社がある大手ゼネコンなどが参加していますが、できるかぎり市内企業が受注できるようにしていきたいと考えていらっしゃいました。今後の具体的な受注件数や、売上目標などは特に持たず、あくまでも市が得意とする研修に力を入れながら、その信頼関係の延長でビジネスが生まれれば良いというスタンスで取り組んでいるそうです。

各施設の特徴

日明浄化センターの敷地内には、「ビジターセンター」、「ウォータープラザ」、「汚泥燃料化センター」などが集積されています。

「ビジターセンター」は、国際研修や若手技術者への技術講習を行う水質試験室や、下水道関連企業の技術・製品の展示会場、国際会議などを行う会議室、子どもたち向けの学習フロアから構成されています。

「ウォータープラザ」は、海淡と下水の膜処理を組み合わせた先進の造水システムを、官民一体で海外での事業課に向けた実証研究を行う施設です。先進の濾過膜を利用した水循環システムの実規模運転を行う「デモプラント」では、海水淡水化と下水再利用の統合によって、省エネ、低コスト、低環境負荷の造水システムが運用され、1日1,400㎥の生産水を、近くの新小倉発電所などへ供給しています。また「テストベット」では、民間5社が技術開発に取り組んでいます。

「日明汚泥燃料化センター」は今年10月20日に完成式典を終えたばかり。バイオマス資源である下水汚泥から燃料化物を製造し、石炭代替燃料として使用し、下水汚泥の資源化と、温室効果ガス削減につなげる施設です。下水汚泥のもつエネルギーをほぼ100%燃料化物に活かす、「造粒乾燥方式」が採られ、製造された燃料化物は全量市内企業2社(日鉄住金高炉セメント株式会社、戸畑共同火力株式会社)で利用されています。行政が資金調達し、民間が設計建設運用を行う、DBO(Design Build Operate)方式で、20年間の契約が結ばれています。事業効果としては、年間で約11,200tの温室効果ガスの削減ができ、年間約2億円の処理コスト削減を実現しているということでした。

日明浄化センター


技術・製品展示コーナー

日明浄化センター
学習フロアのプロジェクションマッピング

ビジターセンター

日明汚泥燃料化センター
日明汚泥燃料化センター

ウォータープラザ
ウォータープラザ

テストベット
テストベット

新小倉発電所
新小倉発電所

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