平成30年第1回定例会にて、予算関連質疑を行いました。

2018-03-02 00:33:31 | カテゴリ:活動報告


藤崎浩太郎

2018年2月27日、横浜市会平成30年第1回定例会本会議にて、予算関連質疑を行いました。

1 市内転入者の減少
2 新たな中期計画
3 横浜の都市ブランド向上とデータ活用の推進
4 財政情報・会計情報の「見える化」
5 オープンイノベーションの推進
6 米州事務所
7 教職員の負担軽減と教育の質の向上
8 職員の超過勤務時間の縮減
9 学校給食費の改定
10 ハマ弁
11 介護分野のオープンイノベーション
12 介護人材支援事業
13 よこはまウォーキングポイント
14 国民健康保険の特定健診
15 受動喫煙防止対策
16 こころの健康対策
17 家庭養護の推進
18 いじめ防止に向けた取組
19 人権意識の向上に向けた取組
20 夜間景観の魅力向上
21 図書館サービスの充実
22 公共建築物の再編整備の取組と行政サービスの方向性
23 新たな劇場整備検討調査
24 市街化区域内の農地の保全
25 空家対策
26 持続可能な住宅地推進プロジェクト
27 エリアマネジメントの取組
28 認知症の人にやさしいまちづくり
29 大都市制度と区の機能強化

という大きく29項目、全部で65の質問を、市長、教育長に対して行いました。

以下、質問の原稿と答弁のメモです。(議事録ではないので、実際の内容とは若干言い回し等が異なります。また、一括質問、一括答弁形式ですが、編集し、質問と答弁を並べています。)

=============================

1 市内転入者の減少

今回の予算案は、林市長3期目最初の予算案であり、新たな中期4カ年計画の1年目となる予算でもあります。これからの4年の間には、2019年をピークに人口減少、2020年には東京オリンピック・パラリンピック後の時代が始まるという、大きな転換点を迎えます。更にその先の4年後には、2025年を迎え、市内の高齢者人口が約97万人に達します。21世紀は都市の時代とも呼ばれるなかで、転換期の舵取りを行いながら、横浜市を将来世代にしっかりと引き継いでいくことが、林市長には求められます。

生産年齢人口の減少や、扶助費の増加などが課題となる中、いかにして若い世代に「暮したい街」として選択してもらえるかを、子育て施策の充実などを通じて、本市も取り組んでいるとことです。

ところが、1月末に残念な数字が公表されました。総務省統計局が発表した「住民基本台帳人口移動報告2017年結果」によれば、横浜市の転入超過数は、前年比で2,182人の減少となっています。未だ729人の転入超過にはあるものの、川崎市やさいたま市、千葉市という首都圏の政令市とくらべると、差が開いていてしまっています。もちろん、開発の状況などで上下するものではあるでしょうが、人口政策を開発の動向だけに頼っているわけにはいかないというのは、林市長もご認識のことではないかと思います。そこで、

質問1 今回の総務省統計局が発表した数字に関する市長の考えを伺います。
答弁1 東京への一極集中に加え、一定規模の購入しやすい住宅開発が近隣市に進んだこともありまして、それらの地域へ転入が加速している状況があります。2019年をピークに人口減少が見込まれていますので、しっかりとした対策が必要と考えています。

2 新たな中期計画

林市長の現任期は2021年まで。その次の市長任期中には2025年を迎えるわけです。そうした視点から考えますと、現在策定中の新たな中期4カ年計画は、2025年問題も見据えて、次の市長任期へ横浜市政を引き継いでいくことが期待されるのではないでしょうか。そこで、

質問2 新たな中期計画を策定するにあたり、2025年問題をどう見据えていくのか伺います。
答弁2 新たな中期計画の基本的方向では、2025年問題など超高齢社会の進展や、都市インフラの老朽化などから、2030年を展望した6つの戦略を立て、将来をしっかり見据えた計画策定を進めていきます。

3 横浜の都市ブランド向上とデータ活用の推進

縮減社会の中において、横浜市の価値を高め、より良い市政運営を行うためには、従来よりも精緻に情報やデータを集め、確かな根拠に基づいた政策立案と、結果の検証が重要になります。本会議において市長に、データを重視した政策の形成やオープンデータの活用、先端技術やデータを活かした公民連携を横浜市として積極的に進め、市民と横浜の課題認識を共有していくべきだと提案して、5年以上が経過しました。

この間、「官民データ活用推進基本条例」の制定など議会からの推進や、市長のリーダーシップもあり、全国的にみてもオープンデータの先進都市として取り組みが続いてきました。データや先端技術の活用に関する施策や事業を総合的かつ効果的に推進するための「官民データ活用推進計画」の素案が公開され、効果的かつ効率的な市政運営及び市内経済の活性化、そして市民が安全で安心して暮らせる快適な生活環境を包括的に実現することを目的としています。効率的な市政運営という視点では、市職員の生産性の向上にも影響を及ぼすものだと考えています。

推進計画では、データを重視した政策形成の推進を明確に掲げていて、こうした統計等のデータを用いた事実・課題の把握や、政策効果の予測・測定・検証による政策の立案・改善などの一連の流れは「EBPM」(Evidence Based Policy Making)と呼ばれています。現在、国が先導して進めていると共に、地方自治体でも先進的な都道府県や市町村などは取入れ始めています。そこで、

質問3 官民データ活用推進計画においてデータの根拠に基づく政策立案を全庁的な観点からどのように進めて行こうとしているのか、伺います。
答弁3 様々な活用事例を広く共有するとともに、政策立案におけるデータ活用の研修を充実させるなど、職員の知識や理解を深めていきます。さらに、いわゆるエビデンスに基づく政策立案について、オープンイノベーション推進本部を中心に、先進事例の調査や評価方法の検討を行い、全庁的に推進していきます。

このようなデータの根拠に基づく政策立案を横浜市において進めていくためのは、データサイエンティストのようなデータを分析し、活用できる人材を庁内で育成していくことが欠かせません。この4月には横浜市立大学にデータサイエンス学部が設置され、官民双方の分野で、データ活用のプレゼンスを高める人材育成の機能を発揮することが期待されています。そこで、

質問4 官民データ活用推進計画において、データを分析、活用できる人材をどのように育成しようとしているのかその方向性について、伺います。
答弁4 市職員はもとより、市内企業やNPOなどを対象に、知識やスキルの習得に向けた実践的な研修を充実していきます。また、子どもや学生などを対象に、幅広くデータ活用に親しめるよう、シンポジウムやセミナーを開催していきます。取組に当たっては、データサイエンス学部を開設する横浜市立大学などと連携しながら進めます。

また、この官民データ活用推進計画では、「官民データ活用に関する教育及び普及啓発」という中で、プログラミング教育についても言及されています。2020年にはプログラミング教育が小学校において必修となりますが、本市においては栄区飯島小学校のロボテックス教育のように一部の学校において企業との連携によってプログラミング教育が先行して実施されて来ました。そこで、

質問5 官民データ活用推進計画に基づき、民間企業の力も活用しながら、他都市より一歩進んだプログラミング教育を推進すべきと考えますが、市長の見解を伺います。
答弁5 これまで、共創の取組として、ICT企業や専門学校等の協力により、小学校でロボット製作などを通じたプログラミング教育を実施してきました。引き続き、これまでの取組を生かし、実践的なプログラミング教育が進むように、支援していきます。

またこの間、オープンデータの推進と共に、フューチャーセッションの展開などを通じて多様な官民の主体がデータに基づいて対話をし、社会課題を解決するための新たなソリューションを開発することや、協働で新たなビジネスを興して行くための仕組みづくりについて提案してまいりました。この計画の素案では、これらの対話の仕組みや場が「共創ラボ」や「リビングラボ」として位置づけられているようですが、

質問6 官民データ活用推進という観点から共創ラボやリビングラボのような新たな公民による対話の仕組みや場をどのように展開しようとしているのか、伺います。
答弁6 社会的課題の解決に向け、一層データの活用を進めていくために、共創ラボ、リビングラボなど、新たな公民対話の仕組みを官民データ活用推進計画に位置付けました。今後、福祉やまちづくりなど身近なテーマを設定し、フューチャーセンターを運営する市内企業、大学等とも連携しながら、公民対話の場を充実させていきます。

EBPMによって、効率的な行政運営と市民サービスの質の向上の両立を図り、データ活用人材をプログラミング教育などによって広く養成し、リビングラボなどのデータを活用した新しい対話の仕組みによって市民が安全で安心して暮らせる環境を持続可能な形で実現する。
これによって横浜市の価値が向上し、市民や企業から選ばれる都市となり、さらに価値を高めていくという、好循環を生み出すことが、横浜市の魅力を一層高めていくと考えます。そこで、

質問7 オープンデータや専門人材を活かした新たな対話の仕組みによるオープンイノベーションを進め、「データ活用なら横浜」という都市ブランドを確立していくことが重要と考えるが、見解を伺います。
答弁7 市内企業と本市の対話を通じて共同開発した、子育て情報サイトや、横浜市大と消防局が連携した将来の救急需要予測の研究など、データ活用の取組を進めてきました。こうした実践事例を、様々な分野で創出し、オープンデータや専門人材の活用を進めることで、データ活用を積極的に進める都市として広く発信していきます。

4 財政情報・会計情報の「見える化」

次に、財政情報・会計情報の見える化について伺います。

あらゆる施策の根幹とも言える、予算・決算などの財政情報は、その内容について市民にわかりやすく伝えるということはもちろんですが、行政当局の保有する予算や決算のデータを利活用したい、分析してみたいといった外部の人・企業に向けて、積極的にデータを提供していくことも、行政の透明性や、政策推進のうえで公民連携をさらに展開していくためにも、ますます重要になると考えています。

また、行政の透明性という点では、大阪市のように日々の公金支出といった会計情報の見える化に積極的に取り組んでいる都市もある中で、本市もこういった取組を目標の一つとして考えてもいいのではないかと思います。

こうした問題意識から、今後策定予定の「官民データ活用推進計画」にしっかりと位置づけ、その中で、予算・決算などの財政情報や公金支出といった会計情報の見える化についても着実に取り組むべきだと考えています。そこで、

質問8 財政情報や会計情報の見える化について、市長の見解をお伺いします。
答弁8 「財政情報」について、「ハマの台所事情」や本市のウェブサイトにおいて、引き続き、わかりやすさを重視した発信を充実していきます。合わせて、予算や決算などのデータをどなたでも利活用できるよう、オープンデータ化を積極的に進めます。また、公金支出などの「会計情報」については、その効果や他都市の状況なども考慮し、研究してまいります。

5 オープンイノベーションの推進

官民データ活用推進基本法や条例、計画では、AIやIoTなどの活用による共創推進が記されています。先端技術を活用して、様々な企業がイノベーションを起こそうと研究開発に注力しています。

近年は、他社や大学等との協働によるオープンイノベーションの手法で進められることが多く、こうした動きをとらえた施策、「I・TOP」、「LIP.」、「次世代産業創出」などの取組は、本市として効果的に進めていくべきであると思います。一方で、例えばイノベーション人材の交流については、近年、他都市でも行われていますが、単に人が集まる場をつくることを目標とするだけでは、成果に結びつかないものとなる可能性があります。

都市間競争に打ち勝つような効果的な取組とするためには、何を目指してイノベーション創出の取組を進めるのか、大きなビジョンを描くことが大変重要になります。そこで、

質問9 オープンイノベーション創出に向けた取組の目標は何か、伺います。
答弁9 I・TOP横浜」や「LIP.横浜」は、オープンイノベーションによる新たなビジネスの創出、中小企業のチャレンジ支援、社会課題解決への貢献を目標としています。併せて、これらに関わるイノベーション人材の交流が進み、市内企業の成長に加え、次世代産業の創出やベンチャー企業の育成、グローバル企業の投資を呼び込むことを目指します。

例えば東京都では、2024年までに開業率を10%にするという目標を立てて、起業家支援を進めています。こうした大目標のもとに何社を創業させるといった目標を立て、さらにそれを実現するための具体的な施策を行う必要があり、その上で、実施後に評価・分析が可能となる成果指標を示して、施策を展開していく必要があると考えます。そこで、

質問10 イノベーション創出の取組における定量的な成果指標の考え方について、伺います。
答弁10 イノベーションの創出に向けては、産学官などが連携して試行錯誤を繰り返していくことになります。したがって、その成果については様々な捉え方があり、定量的な成果指標に馴染まないものもありますが、個々の事業ごとに、適切な指標を設定していくことが重要であると考えています。

国がGDPの上昇率を目標値として置いているように、例えば、地方自治体の経済施策としても、雇用を大規模に増やすといった社会的インパクトを表す、マクロを把握できるアウトカムの数値目標が必要です。これまでの経済施策を見ていると、この大きな目標数値がないことにより、十分に事業効果を検証できない場面が多々あったのではないかと思います。

様々な視点の中でも経済施策は特に、法人税収の増加など「増やす」ために取り組む必要があります。そこで、

質問11 経済施策の効果として企業からの税収、雇用、経済成長率といった大きな目標設定をすべきと考えますが、市長の見解を伺います。
答弁11 経済施策については、国内の景気動向はもちろん、税制や金融などの国の経済政策、さらには、世界経済の情勢によっても影響を受けますが、新たな中期計画を策定していく中で、できるだけ取組状況や成果を適切に表す指標を設定していきます。

6 米州事務所

今回の予算案の中で新たな施策であり、経済政策としての効果も期待されるのが、米州事務所です。今後、横浜が持続的に成長し続けるためには、海外をターゲットとした、ビジネスや交流人口の拡大は重要な戦略です。横浜市の海外事務所は、その所在する国や地域を主戦場とした戦略拠点として、横浜の成長という観点から、特に経済面において、目指すべきゴールを見定め、実現するという高度な機能を果たせるかどうかがポイントです。

今回の米州事務所についても、米州地域の特性や、横浜の市場環境などを踏まえた戦略的な検討の結果、米国で勝負するという判断があったものと思います。そこで、

質問12 米州事務所開設の経済面での狙いについて伺います。
答弁12 横浜に立地する外資系企業の中で、米国企業が最も多く、日本企業の海外進出でも、米国は中国に次いで多くなっています。このように米国は、企業誘致や市内企業の事業展開先として、魅力のある市場であり、米州事務所は、横浜に関心を持つ企業の掘り起こしなどを通して、米州地域の活力の呼び込みを目指していきます。

海外事務所は、横浜の経済活性化及び経済成長のため、実りある活動を行ってほしいと考えますが、運営には相当のコストがかかることになり、投下した費用以上の効果を生み出さなければなりません。

その実績を評価するには、中長期的な視点も必要かもしれませんが、その過程であっても、海外事務所の費用対効果の判断基準や評価軸は必要と考えます。そこで、

質問13 米州事務所の成果の判断について伺います。
答弁13 本市の海外事務所では、企業誘致、市内企業のビジネス促進、観光誘客、都市間連携など、市政全体の活動拠点として多様な活動を行っています。その中で、成果の評価は、企業誘致やビジネス支援の件数等で行っています。米州事務所の設置に当たり、件数の把握だけではなく、費用対効果の観点から、企業誘致の本市への経済効果など、活動成果をしっかり検証していきます。

7 教職員の負担軽減と教育の質の向上

次に、教職員の負担軽減と教育の質の向上について伺います。現在、教職員の多忙化解消は喫緊の課題となっています。

多忙化を解消し、教員の本来業務である授業や授業準備等に注力できる時間を生み出し、最終的には子どもの学びの質の向上に寄与することが、重要であると考えます。ここで必要なことは、それぞれの取組をしっかり効果検証し、教職員の負担軽減の最終的な成果として、子どもの学力向上に効果があったかどうかを把握していくことです。

今回、小学校高学年における一部教科分担制について、予算計上されています。通常は一つの学級を一人の教員が担任し、全ての教科等を指導する学級担任制をとっています。学級担任制のよさは認識しながらも、子どもと教師の人間関係に課題が生じたり、業務を教師が一人で抱えたりする場合もあると思います。特に小学校高学年においては、細やかな指導が求められると考えます。そこで、

質問14 小学校高学年における一部教科分担制の導入による期待される効果について、教育長に伺います。
答弁14 複数の教員が、授業を通して、学年の全児童と関わりを持つことで、丁寧な児童指導が行えることや、高学年の子どもにとって相談できる教員が増えることで安心感や学習意欲が高まるなどの効果が期待できます。また、一人の教員の担当する教科数が減ることで、教材研究などの効率化が図られ、教員の負担軽減につながるという効果が期待されますが、時間割の工夫が難しい学校には、状況に応じて、人的な支援も必要になると考えております。

小学校においても、中学校のように教科を分担して子どもを指導することにより、学習指導や児童への指導方法に関して、教師の間での共有につながり、そのことが、学力の向上や、業務の効率化につながると考えます。

32年度の小学校英語の教科化に向けて、教育委員会としても、研修や指導案の配付などで学校を支援していると聞いています。しかし、実際に授業を行う際には、教材の準備に時間がかかり、教員の負担も増えるのではないかと危惧しています。教員からも未だ不安の声があるとも聞きます。こうした負担を減らすためには、教員が教材の共有や、授業の効率化を行うことが、効果的であると考えています。そこで、

質問15 小学校英語の実施にあたり、教員が教材を共有・活用するための支援について、教育長に伺います。
答弁15 指導案の例を作成し、単語の意味を表す絵カードやワークシートなど、様々な教材を準備しています。また、作成した教材を全教員が共有できるように、庁内ネットワークに掲載する予定です。教材の活用を進めるために、授業の中での活用方法を具体的に示したり、模擬授業の映像を配信するなど、教員が授業準備を効率的・効果的に進めながら、教育の質を向上できることができるよう支援していきます。

学校の教職員の業務の効率化のため「総合学校支援システム」の構築に向けた予算が計上されています。タブレットを活用した授業やデジタル教材等の検索・共有などの機能は、効率的な授業準備のために必要なことだと考えます。30年度はシステム構築実現に向けた、調査研究を実施して、基本構想を策定するそうですが、そこで、

質問16 「総合学校支援システム」の想定している機能について教育長に伺います。
答弁16 効率的・効果的な学校運営を総合的に支援するために、スケジュール管理や統計処理などの業務改善を支援する「業務支援機能」と、教材共有や授業・学習支援など教育活動を支援する「教育活動支援機能」の二つの機能を想定しています。教職員にとって使いやすいシステムを構築するため、専門家や教職員の意見を取り入れながら、検討を進めてまいります。

部活動は、教育課程外の活動のため、教員のやる気と多大な負担に運営を頼ってきたのが実情ではないでしょうか。教職員の働き方改革は教育委員会を挙げて取り組まなければならない課題です。その中でも部活動における教職員の負担軽減については、我が党としても部活動指導員の配置に係る予算の増額と、人員の増員について要望を出したところです。そこで、

質問17 部活動指導員の配置の進め方について教育長に伺います。
答弁17 30年度は、学校のニーズがあり、適切な人材が確保できるところへ配置していきます。今後の配置につきましては、学校からの要望や必要性に応じて増員を検討していきます。

部活動指導員の配置は一部にとどまります。より多くの配置を行うには、予算や指導員の確保等、解決しなければならない課題があると思いますので、ある程度の時間が必要であるとは考えています。ただ、教員の部活動指導時間がどれくらい削減できているのか、精神的な負担をどれくらい減らすことができるのか、多忙化解消の効果をしっかり検証していくことが必要です。そこで、

質問18 部活動指導員配置後の効果検証について教育長に伺います。
答弁18 部活動指導員を配置した学校における教員の部活動従事時間の削減や、負担感の軽減、教材研究や授業準備の時間の増加等について検証していきます。

様々な角度から教員の負担軽減を実現し、それによって教育の質の向上、子どもたちの教育環境の向上にもつなげていくことが、教育現場にとって望ましいことだと考えます。授業運営の効率化、教職員の多忙化解消に関する調査・分析の結果と、「横浜市学力・学習状況調査」の結果をかけ合わせながら、よりよい指導に繋がっているのか、根拠に基づいた分析を行う必要があると考えます。そこで、

質問19 最終的には、これらの負担軽減策の成果として、子どもの学力の向上に結び付いているかどうか検証すべきと考えますが、学力の向上について効果測定や検証をどのように行うのか、教育長に伺います。
答弁19 学力・学習状況調査の結果を活用し、子どもの学力や生活・学習意識について、子ども一人ひとりの状況を分析した結果を児童生徒全員に提供し、学校内で共有をしています。30年度は学校が調査結果をより活用しやすいように、分析チャートを改善し、教員が分析方法を学ぶ講座を充実します。さらに、分析の精度を上げるために、横浜市立大学データサイエンス学部等の専門機関と連携し、調査の内容や方法を含めて、共同研究を進めてまいります。

教育の世界においても、客観的な根拠に基づく分析や検証を確実に進めていただき、教育の質の向上や、教師の業務改善に役立てるようにしてください。

8 職員の超過勤務時間の縮減

「働き方改革」という視点では、市職員の超過勤務削減も重要なテーマです。国会でも議論が行われていますが、公務員も例外なく、長時間労働を是正していく必要があると考えます。

本市では、かねてより中期計画において、職員の超過勤務時間の縮減を目標として掲げており、現行の中期計画では、平成29年度の超過勤務時間を245万時間まで削減するとしています。この目標を達成するため、特に平成28年9月以降、超過勤務時間の縮減対策の徹底強化を打ち出し、全庁的に取り組んでいるとお聞きしています。そこで、

質問20 超過勤務時間の縮減に向けた取組状況について、伺います。
答弁20 全区局長に対して、責任職による職場マネジメントの強化を指示し、業務の緊急度・優先度を明確にして、仕事のあり方そのものを見直すとともに、事前命令の徹底や上限時間の厳守などに取り組みました。その結果、前年度との比較で、28年度は約11万時間を削減、今年度は、12月までの実績で約12万時間を削減いたしました。藤崎先生もこのことについては大変ご注視をいただいておりまして、ご意見いただきました。私も経営者をやっている時に、長時間勤務というのは、本人たち、また上司もやった気がしているということです。本当の成果があるかどうかかなり実験的にやっておりましたけれど、はっきり言って成果はございません。ですから、いかに長時間勤務が意味のないことかを私自身は肌で感じておりますので、今日は副市長もおりますけれども、常にこの長時間勤務についてはお願いをしており、やっとこの2年間ぐらいは出ておりますが、一時、事業的な展開もあるのですが、増えたという事は私自身反省しております。来年はアフリカ開発会議であるとか、ラグビーのワールドカップとかありますけれども、特に関係の区局を注視いたしまして、私も決して過重な労働にならないように職員の健康、そのような健全な市役所の仕事・環境を作ってまいりたいと思いますのでよろしくお願い申し上げたいと思います。

取組を強化した結果、超過勤務時間が縮減傾向にあったとしても、取組としてまだ不十分だと言わざるを得ません。先日公表された「新たな中期計画の基本的方向」には、「徹底した事業見直しや、業務の効率化・適正化」、「新市庁舎への移転を契機としたワークスタイル改革」が挙げられております。こうした「仕事や働き方の見直し」を進めていくためにも、職員の生産性向上の取り組みが必要ですし、超過勤務時間の削減に向けた目標をしっかり立てて取り組んでいくことが必要であると考えます。そこで、

質問21 新たな中期計画における目標設定の方向性について、伺います。
答弁21 組織全体の超過勤務時間を縮減するだけでなく、健康管理やワーク・ライフ・バランス推進の観点からも、職員一人ひとりの働き方をマネジメントして、超過勤務の上限時間を超えないようにしていくことが必要だと考えています。こうした視点から、新たな目標を設けることを検討しています。

超過勤務時間の縮減に向けた目標を設定し、その達成に向けて着実に取組を進めていただくことをお願いし、次の質問に移ります。

9 学校給食費の改定

次に、学校給食費の改定について伺います。本市会では、食材価格の高騰に伴う学校給食費の改定について議論されておりますが、この要因の一つとして、これまで食材購入費に補てんしてきた学校給食費調整基金がなくなる見通しという問題があります。

今回値上げをしたとしても、さらに食材価格が高騰した場合、このような役割をもつ基金による対応ができなくなるわけです。
果たして、基金がなくなった状況で、横浜市はどうするのか心配なところです。そこで、

質問22 今後の学校給食費調整基金の見込みについて、教育長に伺います。
答弁22 今回の給食費の改定は、望ましい給食を提供していくためのぎりぎりの金額になりますので、積立ての見込みはできておりません。年度末に、食材購入の入札残が発生した場合には、基金に積み立てることになります。

また、給食費を改定し、基金による補てんをしなくてもすむようにはなりますが、今後は消費増税も控えており、また値上げが来るのではと、不安になる保護者の皆さんもいらっしゃるのではないかと考えます。そこで、

質問23 今後の給食費改定の考え方について、教育長に伺います。
答弁23 横浜市学校保健審議会から答申をいただいた「横浜市として望ましい小学校給食」を実施するために、それに見合う給食費を設定していくことは必要と考えています。保護者の皆さまにご理解いただけるよう、食材価格の動向を注視しながら、献立の調整や購入価格を抑える工夫を引き続き行っていきます。その上で、望ましい給食の提供が困難な状況となった場合には、改定を提案させていただくことになります。

食材価格が高騰するなか、給食を充実させていかなければならない一方で、給食費については、保護者の皆さんのご理解も得られるよう運用していただきたく思います。

10 ハマ弁

次に、ハマ弁について伺います。ハマ弁は、保護者等へのアンケートを基に、300円台であれば20%の方が利用するという想定で事業が始まりましたが、1月の喫食率が1.3%であり、当初の想定に大きく及ばない状況です。

平成30年度からは利用促進のため価格を引下げ、その予算については、10%の喫食率を想定しているとのことですが、現在の喫食率を考えると、10%は大変大きな数字かと思います。そこで、

質問24 10%の喫食率の考え方について教育長に伺います。
答弁24 ハマ弁は協定期間の32年度までに20パーセントの方が利用することを想定していますが、価格の引き下げによって30パーセントまで伸びる可能性も想定する必要があると考えました。30年度は、想定している喫食率に向けて段階的に伸びていくものとして10パーセントとしています。

10%か20%といった数字については、「目標」としているのか、「目安」としているのかによって取り組みへの姿勢が大きく変わりますし、市民の税金を使う以上は、しっかりと目標を立て、検証をする必要があります。事業者との協定は平成32年度までとなっており、残りは3年度です。そこで、

質問25 20%の想定に対して今後の展望をどのように考えているのか教育長に伺います。
答弁25 29年度の実績でも、学年の入れ替わりのタイミングで利用登録者数が増加しています。120校の新入生保護者説明会でハマ弁の説明を行い、多くの保護者の方からご質問・ご意見をいただいており、関心の高まりを感じています。食育セミナー・試食会でも、「栄養面についてしっかりと考えられていることが分かった。」、「聞いていたよりおいしかった。」などのご意見をいただいております。家庭弁当が定着している現状にありますが、ハマ弁の良さについてご理解いただき、利用促進に努めていきます。

ハマ弁については、様々な取り組みを進め公費がかかっています。中学校の昼食の充実は大きな課題であり、その成果についてはしっかりと考える必要があります。しっかりと効果検証して、取り組んでもらうように要望いたしまして、次の質問に移ります。

11 介護分野のオープンイノベーション

本市では、75歳以上人口が急増する2025年に向けて、地域包括ケアシステムの構築を進めています。そのためには、18区ごと、あるいは地域ごとの状況を把握し、対応策を検討していくことが効果的だと考えます。平成30年度予算では、地域ケアプラザのエリアを基本とする日常生活圏域ごとに、介護データを分析・活用するためのシステムを構築するとされています。そこで、

質問26 このシステムの内容と活用方法を伺います。
答弁26 日常生活圏域単位で、高齢化率や要介護認定率、更に要介護認定を受けた人で、数年後に状態が改善した人の割合などを把握できるようにいたします。それらのデータを地域の関係者と共有し、介護予防や居場所づくりなど地域に必要な取組の充実につなげます。また、医療分野のデータとも連携させ、介護と医療の連携強化に向けた施策検討に活用してまいります。

また、介護市場の規模は拡大していきます。イノベーションにより技術開発や価値の創造ができれば、大きなビジネスチャンスになると考えます。平成30年度予算では、介護現場への民間技術導入支援を行うとされています。そこで、

質問27 介護現場への民間技術の導入支援に取り組む理由とその内容を伺います。
答弁27 介護人材の確保が喫緊の課題であることから、LIP.横浜の一環として、市内企業等の優れた技術やノウハウを生かして、介護職員の負担軽減を実現していきます。そのため、介護の事業所に対し、民間企業の技術導入により改善したい課題を調査します。その解決につながる技術やアイディアを市内企業等からご提案いただき、実用化に向けた支援や現場への導入を進めます。

介護分野でのデータ活用やオープンイノベーションを積極的に進めていただくことをお願いして、次の質問に移ります。

12 介護人材支援事業

介護ニーズが増加する一方、介護職員の不足が大きな課題となっています。こうした中で、介護ロボットの導入は、人材不足に対応する一つの手段としても注目されています。

国では介護ロボットを「ロボット技術を活用して、センサー等により得られた情報を解析して動作を行うもの」全般と定義し、日常生活支援における、移動支援、排泄支援、見守り支援などの場面において使用されています。そこで、

質問28 介護の現場に介護ロボットを導入する効果について伺います。
答弁28 センサー等による見守り支援のロボットは、モニターで状況が確認できるため、介護職員の負担が軽くなります。更に、利用者の動きから危険を察知することで、転倒のリスクが減るという効果もあります。また、歩行や外出時の移動支援や、排泄を予測してトイレ誘導のタイミングを知らせる機器等は、利用者の生活の質を維持し、向上させる効果があります。

このたび、本市においても、独自に介護ロボット等を導入するための新規事業が、30年度予算に盛り込まれています。そこで、

質問29 高齢者雇用を伴う介護ロボット等導入支援事業の取組について伺います。
答弁29 介護人材の確保に向けて、一定以上の高齢者の雇用に取り組んでいる法人に対して、介護ロボットや福祉機器の導入費を補助します。それらを導入することで、介護職員の負担の軽減や、職場の環境改善による介護職員の定着に取り組みます。また、施設で雇用する高齢者が介護の担い手となり、高齢者自身の社会参加も期待できます。

人材確保の目的が強い事業かとは思いますが、介護ロボット等を導入した企業とは結果を共有し、今後に活かしてほしいと思います。

13 よこはまウォーキングポイント

健康・医療で注目を集めてきた、「よこはまウォーキングポイント事業」は、毎年アンケート調査等により、定性的な事業検証が行われています。これに加えて、医療費抑制等に係る効果検証などを行い、事業成果として把握する必要があると考えます。来年度は、検証の検討を進められる予算が計上されておりますので、具体的な進展を期待しています。そこで、

質問30 よこはまウォーキングポイント事業のデータに基づく定量的な効果検証の今後の進展について伺います。
答弁30 定量的な効果検証では、参加者データと個人の医療費データとの突合せが必要となるなど、個人情報の観点から慎重な取り扱いが求められます。現在、データサイエンス学部を開設する横浜市立大学から提案を受け、調整を進めています。今後は、検証にご協力いただく方に、過度の負担をかけない、効果的な実施方法について検討してまいります。

ウォーキングポイントという本市独自の大規模なデータを、健康づくり事業において活かしていくことが重要です。

14 国民健康保険の特定健診

次に、国民健康保険の特定健診について伺います。

本市国民健康保険では、現在、次期特定健診実施計画とともに第2期データヘルス計画を策定しています。データヘルス計画では、加入者の健康を増進し、医療費の適正化に結びつけていくことが、目指されています。課題となっているのは、双方の計画のベースとなる特定健診の受診率が、28年度実績で21.0パーセントと低迷していることです。

一方、本年4月から実施される都道府県単位化で、新たな交付金として「保険者努力支援制度」が創設され、特定健診受診率が評価指標の一つになっています。制度上、特定健診の受診率を向上させることは、保険者努力支援制度による公費の獲得につながります。

しかしながら、本市の第1期データヘルス計画では、29年度の目標値を23.0パーセントとしており、第2期データヘルス計画では、30年度目標値を28.0パーセント、約2万8千人の受診者を増やす必要があります。

更に、最終年度の35年度には40.5パーセントとしており、約9万人の受診者を増やしていく計画です。これまでの本市の実績からみても、計画期間内の目標値の到達には、明確な努力や工夫が必要であると考えます。そこで、

質問31 データヘルス計画における特定健診受診率の目標達成に向け、どのような取組を行うのか市長の考えを伺います。
答弁31 30年度は、自己負担額を無料化した他都市の例を参考に、受診率の5パーセント増加を見込みました。更なる取組として、市医師会等関係機関や市民団体との連携による受診勧奨などに取り組むとともに、効果を検証しながら有効な事業を重点的に実施し、35年度目標に到達するようしっかりと取り組んでまいります。

さて、データヘルス計画策定のために収集し分析したデータを、加入者のためだけに限定せず、これを市民全体の健康づくりにも役立てていけば、市民の健康増進、さらにその先にある医療費の削減に繋げていけるのではないでしょうか。そこで、

質問32 データヘルス計画で集積したデータを、他の保健施策に有効に活用すべきと考えますが、見解を伺います。
答弁32 本市国民健康保険加入者の特定健診等のデータを、広く市民の健康増進に役立てていくことは重要であり、既に医療政策の立案にも活用しています。今後、データの取扱について課題を整理した上で、ウォーキングポイント事業の効果検証や様々な保健施策の展開で活用するなど、医療費抑制効果の分析も含めたデータ活用を検討します。

データの有効活用により、市民の健康づくりが一層進み、将来的には医療費の削減に結びついていくことを期待します。

15 受動喫煙防止対策

受動喫煙対策について伺います。先般、厚生労働省が『「望まない受動喫煙」対策の基本的考え方』を公表しました。今や望まない受動喫煙を防ぐことや、屋外分煙施設の整備促進は、自治体において積極的に進めていくべき課題です。

現在、本市には6地区の喫煙禁止地区が指定されており、この3月からは戸塚駅周辺を、平成30年度中には二俣川駅周辺を指定すると伺っておりますが、これまで取り組んできた屋外における喫煙対策を一歩進め、喫煙禁止地区であることにとらわれず、喫煙所を整備していくことなども視野に入れていくべきではないでしょうか。そこで、

質問33 喫煙禁止地区以外での屋外受動喫煙対策の進め方について伺います。
答弁33 人が多く集まる駅周辺等において、分煙環境の整備に向け、新たな喫煙禁止地区の指定や、駅周辺での喫煙所整備、また、地域の皆様による美化活動との連携など、実情に応じた対策を検討していきます。

これまで本市では、喫煙禁止地区内での喫煙の未然防止や吸い殻のポイ捨て防止に向け、喫煙所の拡張やパーテーションの設置などの再整備を行っており、屋外での分煙環境整備の取組を進めています。しかし、取り組んでいる内容は定量的な結果が見えにくいという点がありました。屋外分煙施設の設置効果を市民と共有し理解していくためには、客観的な判断材料が必要です。そこで、

質問34 喫煙所を整備したことによる効果をしっかりと検証し、今後の施策等に活かしていくことが重要と考えますが、市長の考えを伺います。
答弁34 喫煙所の整備により、良好な分煙環境が生まれるとともに、ポイ捨てがなくなるなどのマナーの改善、さらに周辺での花植えなど、まちづくりに広がった事例もあります。効果を幅広い視点で捉え、市民の皆様へお伝えするなどにより、今後の取組を進めていきます。

国からも受動喫煙に関する一定の考え方が出たことを真摯に受け止め、受動喫煙対策に取り組んでいただきたいと考えています。受動喫煙防止の取組は、オリンピック・パラリンピック開催を契機に検討されてきたものです。開催まで、あと2年と迫る中、対策を進めていただきたいと考えます。そこで、

質問35 国の動向を踏まえ、本市の受動喫煙対策について、市長の見解を伺います。
答弁35 本市では、全国に先駆けて制定された県の条例に基づき、屋内の受動喫煙の防止に取り組んでおります。飲食店などの対策は進んでいます。一方、市民の皆様からは屋外の受動喫煙に関して多くの声をいただいております。また、周囲の人の健康への影響からも、「望まない受動喫煙」対策の更なる取組が必要だと考えます。

市民の健康を守る立場からも、「望まない受動喫煙対策」をしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

16 こころの健康対策

次に、こころの健康対策、依存症対策について伺います。依存症は、本人の意思問題ではなく、脳の機能障害などによる病気です。家族が心理的にも経済的にも大きな負担を抱えたり、家庭内暴力や強盗などにもつながってしまいます。現在、国会においてギャンブル依存に関する法案が提出されており、法案の成立後は、更なる取組が求められてくるのではないかと思います。そこで、

質問36 これまでの取組の中で見えてきた、ギャンブル等依存症対策の課題は何か伺います。
答弁36 本人や家族が初期の段階では、依存状態になっていることを自覚しづらいため、早い段階で相談や専門医療に繋がりにくいことがあげられています。また、依存症医療に対応できる専門医療機関や、回復支援施設等への支援の強化も課題になっています。

法案の中では、国による基本計画の策定や推進体制の構築など国が果たすべき役割と合わせ、地方公共団体の役割についても触れられており、それらの取組の推進が求められています。そこで、

質問37 法施行を見据え、今後、どのような対策に取り組んでいくのか伺います。
答弁37 昨年9月の「広報よこはま」に、初めて依存症の特集記事を掲載するなど啓発活動を工夫していますが、更に強化してまいります。また、こころの健康相談センターなどの専門相談に加え、本人や家族を対象としたプログラムについても拡充するとともに、国が求める依存症治療の拠点医療機関の指定に向けて、県との協議を進めます。

実際に多くの方は依存症で苦しんでいるのではないかと考えますので、必要な対策を進めていっていただきたいと思います。

17 家庭養護の推進

次に、社会的養護における家庭養護の推進について伺います。

近年、複雑な社会状況のもと、貧困や望まない妊娠等、様々な事情からこどもを育てられない人や、児童虐待が増加する傾向が見られることは、大変悲しむべき事態であると考えます。これに対して、本市では、妊娠届出時からの母子保健コーディネーターによる相談や、産婦健診、産後うつ対策、「にんしんSOSヨコハマ」など、妊娠期からの相談支援を充実させています。そこで、

質問38 妊娠期からの相談支援を充実することの意義について、伺います。
答弁38 子どもを産み、育てることに不安や困難を抱える母親を、早期に把握し、支援につなげていくことが、虐待の予防として大変重要だと認識しています。母子健康手帳交付時の相談や、母子保健コーディネーターの配置、にんしんSOSヨコハマなど、気軽に相談できる機会の充実により、継続的な支援につなげ、ひとりで悩みを抱えることがないように取り組んでまいります。

一方で、こうした支援に繋がったとしても、自らの力で子育てをすることができない方々もいます。児童虐待については、迅速・適格な対応と併せて、虐待を受けた子ども、とりわけ、実の親のもとで暮らすことのできない子どもたちへの支援は非常に重要と思っています。

28年の児童福祉法の改正では、社会的養護において、家庭と同様の環境における児童の養育を推進するとの理念が規定されました。里親委託や養子縁組の相談・支援が、児童相談所が取り組むべき重要な業務として明確に位置付けられたことは、家庭養護を推進していくうえでも、大きな意義があると考えています。これまでも、児童相談所では里親からの相談に応じた助言や、研修を行うなどして、里親委託数も徐々に増えてきていますが、

質問39 家庭養護推進のための30年度の重点的な取組について、伺います。
答弁39 制度が広く認知されていない状況を踏まえて、里親など家庭養護の重要性を理解していただくための普及啓発や担い手の育成に一層、取り組んでまいります。併せて、訪問による相談や研修の充実を図り、様々な背景のある子どもを受け入れる里親を支援します。引き続き、特別養子縁組を前提とした、新生児期からの里親委託を進めてまいります。

29年8月には、国の検討会で議論された「新たな社会的養育ビジョン」が示され、里親や養子縁組が注目されています。11月に日本財団が行った『「里親」意向に関する意識・実態調査』では、約6%の方が「里親になってみたい」と回答している一方で、具体的な制度の内容はほとんど知られていない状況です。この調査では、里親への意向がない人に対し、子どもや里親に関する課題等の情報を提供することで、里親になってみたいと考える人が倍増する可能性があるとも示しています。

横須賀市では、特別養子縁組を推進するため、日本財団や特別養子縁組に実績のある団体と連携したプロジェクトを行うなど、民間のノウハウを活用した取組を行っています。そこで、

質問40 より多くの市民が里親や養子縁組に関心を持ち、制度が活用されていくためには、民間団体等との連携による里親開拓等の取組が効果的であると考えますが、市長の見解を伺います。
答弁40 これまで、里親に関心のある方を対象に、里親会と連携し、体験談を含めた説明会等を行うとともに、里親家庭への地域の理解を深めるための啓発を行ってきました。今後、より多くの方に制度を知っていただくため、多様な媒体の活用や民間との連携等、効果的な手法の検討を進めてまいります。

望まない妊娠等により、実の親による養育が困難で、施設等に預けられる乳幼児がいる一方で、不妊に悩む方々もいます。
特に、乳幼児については、実親との関係が終了し、より安定した親子関係が法的に結ばれる特別養子縁組がもっと活用されるべきと考えます。そこで、

質問41 里親や養子縁組など家庭養護の更なる推進に向けた市長の考えを伺います。
答弁41 地域や家庭の中で、特定の大人に愛情をもって養育されることで、大人との信頼関係や自己肯定感を獲得できる里親や養子縁組は、大変有益な制度です。意欲と熱意のある、多くの方に里親を担っていただき、子どもを受け入れた家庭への支援を継続的に行うことで、より良い養育環境の確保を進めてまいります。

一人でも多くの子どもが、より安心して生活することができるよう、積極的に推進に取り組んでほしいと思います。

18 いじめ防止に向けた取組

いじめの認知件数は、教職員が発見したものや子どもや保護者からの訴えにより発見したものです。法におけるいじめの定義は、「本人が苦痛を感じているもの」という内心にかかわるものであり、実際のいじめはもっと多く発生しているのではないかと思っています。
大切なことは、いじめが発生した後に把握できる認知件数だけでなく、発生そのものを減らしていくことだと思います。そこで、

質問42 学校でのいじめ未然防止の取組について、教育長に伺います。
答弁42 いじめの未然防止に向けては、子どもたちが安心して充実感を持って過ごせる学校づくりが大切です。教職員は一人ひとりの子どもの理解を深め、道徳教育や人権教育等で、子どもたちがお互いに相手のことを理解し、認め合える人間関係づくりに取り組みます。また、「子どもの社会的スキル横浜プログラム」を活用して、子どものコミュニケーション能力を高める取組や、子どもたちがいじめを自分たちの問題として主体的に考える「横浜子ども会議」等を通して、いじめが起きにくい学校風土の醸成に取り組んでいきます。

19 人権意識の向上に向けた取組

家庭内暴力や、虐待、いじめは、人権問題です。

373万人市民が生き生きと市民生活を営むためには、それぞれの人権が尊重されることが、大切です。横浜市基本構想(長期ビジョン)では、「人権尊重を基調として、市民が生き生きと暮らせる魅力あふれる都市」であり続けるとしています。近年は、性的少数者やヘイトスピーチなど新たな人権課題も着目されるようになってきています。横浜市政の運営を担う本市職員には、こうした新たな人権課題についても、常日頃から人権感覚を磨き、人権意識の向上を図っていただきたいと思っています。そこで、

質問43 新たな人権課題に対する、本市職員の人権感覚を養うための取組について、伺います。
答弁43 本市の人権施策の基本指針では、性的少数者や犯罪被害者への理解と支援など、新たに注目されている課題も取り上げています。指針に基づき、職員が日頃から理解を深めるよう、全庁的な研修や各区局での職場研修等を通して、人権感覚の涵養に努めるほか、テーマに応じ、関連部局との庁内連絡会議で情報共有等を図っています。

一方で、暴力や虐待の発生を抑制していくには、一人一人の市民の方々や企業等においても、課題を知り、苦しまれている人達が居ることを知り、主体的に考えてもうらうことが必要です。本市としても、様々な啓発や相談等の取組が重要であると思います。そこで、

質問44 市民の皆様や市内企業に対してどのような人権啓発の取組をしているのか、伺います。
答弁44 法務局や人権擁護委員と連携して、街頭キャンペーンや区民まつりでの啓発、中学生を対象とした人権作文コンテストを実施しています。また、「広報よこはま」による啓発や、企業向けセミナーの実施、図書・DVDの貸出しや講師派遣等を行い、市民の皆様や市内企業の方々が多様な人権課題の理解を深める機会を提供しています。

人権にかかる研修・啓発は、一朝一夕に効果が表れるわけではなく、その成果自体も測りにくいため、難しいものだとは思いますが、多様性を増している現代社会において、人々の人権意識の向上は必要不可欠です。そこで、

質問45 今後、市民の皆様や市内企業に向けた人権啓発の取組を一層、充実すべきと思いますが、考えを伺います。
答弁45 誰もが豊かで生き生きと暮らせる地域社会の実現には、市民の皆様、市内企業をはじめ、地域社会で活動するすべての主体の理解と協力が欠かせないと考えています。引き続き、啓発事業の実施に当たっても、地域の人権擁護委員や支援団体など、関係機関との連携を深め、啓発内容の充実や参加数の拡大などに努めてまいります。

民間の団体などとも協力しながら、今後もしっかりと研修・啓発等の取組を進めていただきたいと思います。

20 夜間景観の魅力向上

次に、本市の魅力向上について伺ってまいります。

横浜市が活力ある都市であり続けるには、交流人口を増やし、より多くの消費活動を行って頂くことが重要です。これまで、開放的な水辺空間の活用や、美しい夜景を活かし、国内外から来訪者を増やす必要があると、市長とも議論を重ねてきました。水辺空間の活用は進み始めていると聞いていますが、やはり夜景の魅力を磨き、夜の経済を活性化させることは非常に重要だと思います。

昨年11月30日の「観光・創造都市・国際戦略特別委員会」では、建築照明デザイナーの面出薫氏をお招きして、「歴史的都市と建築の照明デザイン」というテーマでお話いただきました。面出氏との質疑の中でも、「横浜のように魅力あるスポットがたくさんあるところでは、照明演出によって、来訪者が光に沿って自然と回遊するような動線をつくることができる。」とのご意見をいただきました。恒常的な都市空間の照明デザインにより、人々の新たな動線を作り出し、世界中から「横浜の夜を楽しみたい」と思ってもらえるような魅力ある夜景、空間を作って行くことが、今後の横浜市に、そして市内経済にとって重要だと改めて強く感じたところです。そこで、

質問46 都市の魅力づくりのための夜間景観演出の取組について伺います。
答弁46 これまでも景観条例に基づき、歴史的建造物やみなとみらいの高層ビルのライトアップ、街路や水辺の演出等、特徴のある夜間景観の形成に取り組んできました。今後も大規模な建築行為や開発、更にはイベントに合わせた、魅力的な夜間景観の形成に努め、新たな賑わいづくりにもつなげていきます。

夜景演出により多くの人々が回遊し、消費行動にも結び付き、市内経済の活性化に寄与することを期待します。

21 図書館サービスの充実

交流人口増加策として注目されているのが、図書館です。昨年5月の一般質問では、図書館の新設について市長からは「課題である」とご答弁がありました。現時点で新設が叶わないのであれば、今ある図書館サービスの充実は欠かせません。一方、図書館サービスを補完してきた、市民図書室の予算は減額になっています。そこで、

質問47 図書館の予算の充実についての市長の見解を伺います。
答弁47 18の図書館の魅力を高めるために図書館の蔵書は大切ですので、10万冊の図書の購入ができる予算としています。また、運営費については効率的な運営を行い、サービスの充実に必要な予算を確保してまいります。

昨年の一般質問では、他都市での図書館の取り組み例を用いながら、図書館による街の活用化についても議論を行いました。市長からも、街の賑わいを振興する中核としての図書館の重要性の認識を示していただき、活性化については今後研究をしていきたいというご答弁がありました。そこで、

質問48 図書館を通じた街の活性化について、30年度は、どのように取り組んでいくのか、市長の見解を伺います。
答弁48 市の行事や事業に合わせて、市民の方の興味・関心に応える講座や展示を実施していきます。さらに、横浜市歌の展示のように、本市ならではの貴重な資料を活用した「読んで知る」企画も充実します。また、区役所と連携した読書活動推進の取組を通じて、図書館をより身近に利用していただき、街の活性化につながるように取り組んでまいります。今、中央図書館でやっております、横浜市歌の展示についてですが、森鷗外、森林太郎が作詞をしております。なかなかこの辺りの過程が私もわからなかったのですが、大変詳しい資料が出ております。こういう展示ができるのも、やはり図書館ならではと思っておりますので、図書館は本当にこれからも大切にしてまいりたいと思います。

22 公共建築物の再編整備の取組と行政サービスの方向性

本市が抱える膨大な公共建築物の多くが今後建替え時期を迎えるにあたり、本市では、「公共建築物の再編整備の方針」が、この2月に定められました。今後、本市所有の公共建築物の多くは、この方針に基づき学校や市営住宅等の建替えに合わせて多目的化や複合化を検討していくこととなります。

本来であれば、公共建築物の再編整備に取り組む前に、多様化する地域の実情に応じて、どのような施設配置が適切なのか、現在の各種の公共建築物を将来も整備し本市が持ち続けることが適切なのか、地域に空き家などが増えるのであれば、このストックを積極的に活用する方策はないのか、などの議論が必要である、と強く感じています。公共建築物は、行政サービスを提供する手段の一つにすぎません。建築物のあり方を考える前に、行政サービスの水準やその提供のあり方など、本市が進むべき方向性を示したうえで、本当に必要な公共建築物の整備を行うべきではないでしょうか。

しかしながら、「再編整備の方針」では、これまで整備してきた公共建築物の規模や配置基準は変えずに、多目的化して複数の施設の役割を持たせることや、複合化して共用部分を作ることで規模を効率化していくことに止まっています。このまま公共建築物の再編整備だけが先行してしまえば、例えば10年後に行政サービスの考え方が見直された場合、この10年間やってきたこととの違いが出て、地域の間で不公平が生じてしまう、そのようなことは避けなくてはならないと強く感じています。

先の決算特別委員会における財政局の局別審査の際、柏崎副市長からは「検討すべき課題」と、ご答弁いただきましたが、市長のリーダーシップのもと、早急に対応する必要があると考えます。そこで、

質問49 公共建築物の再編整備の次のステップとして、将来における行政サービスのあり方について、早急に検討を行うべきと考えるが、市長の見解を伺います。
答弁49 これまでに経験したことのない人口減少と超高齢社会の進展に伴い、社会状況や市民ニーズが変化し、求められる行政サービスも併せて変化していきます。学校等の建替えが本格化することに対応し、今回、公共建築物の再編整備の方針を定めました。行政に求められる役割やサービスのあり方については、常に検討しなければならない課題であると考えています。

23 新たな劇場整備検討調査

次に、新たな劇場整備の検討について伺います。

予算案では、新たな取組として「劇場整備の検討」について予算計上されています。しかし、新たな劇場の位置づけや、整備することの効果、現状にこういった課題があるから劇場が必要といった必然性が見えてきません。
昨年12月の本会議では、「神奈川県はKAAT等の施設を持っているにもかかわらず本市は持っていない」とのご発言がありましたが、特別自治市で二重行政の解消を目指している方向性と矛盾しています。

さらに、「オペラや歌舞伎、バレエを上演する」とも答弁の中で発言されていますが、劇場の仕様や建設費用が不明であり、見込みさえ立っていないのが現状です。このような問題の背景には、議論の積み重ねがされていないことがあるように思われます。そこで、

質問50 劇場整備の必要性や効果などについて伺います。
答弁50 文化芸術は、都市の個性をつくりだし、多くの人を惹きつけ、都市の活力を生み出す原動力です。横浜が将来に向け発展していくためにも、「文化芸術創造都市」を都市づくりの戦略として、強く打ち出していくことが重要と考えます。これまでも芸術フェスティバルの開催等により、プレゼンス向上を図ってまいりましたが、本格的な舞台芸術のための劇場がございません。エンターテイメントから本格的な舞台芸術までを楽しめ、内外の人が繰り返し訪れる都市を目指すには、その象徴となる質の高い文化芸術に触れることのできる場が必要と考えます。このような場が整備されることによりまして、子供たちへの教育、文化芸術の風土醸成、賑わいの創出による横浜経済の持続的発展など、様々な効果に繋がると考えております。来年度実施する調査の結果を踏まえ、議論を深めてまいります。藤崎先生ご心配のように、唐突感があるというようなお考えでございましたけれども、私も8年半市長職をやらせていただきまして、この件につきましては、相当慎重に考えてまいりました。大変運営が非常に難しいわけですから、単に貸し劇場化してしまっては駄目なので、建った後のマネジメントをどうするかというのが非常に重要でございます。民間の方に投資していただかなければならないといって、非常に課題も難しいですけれども、このようにつくっていこうという意志をはっきりさせていって、色々な民間からの提案も期待しておりますし、先生ご心配していただいて感謝申し上げますが、慎重に慎重に取り組んでまいります。

昨年、MM地区で新たな音楽ホールの整備計画が発表され、関内地区では文化体育館の改修によってホール機能が強化されることになりました。また、市内には、既存の施設もあり、新たな施設整備を進めようとすると、事業採算性への影響も懸念されます。一方では公共建築物の再編整備という課題を抱える中で、公費負担など、様々な課題が想起されます。

そのため、施設を造ることを前提とせず、本市が取り組む必要があるのかどうかを含め、検討する必要があると考えます。そこで、

質問51 幅広く意見を聴いた上で、正確な情報を集め十分な分析を行い、しっかりと検討すべきと考えますが、市長の見解を伺います。
答弁51 本格的な舞台芸術に触れることができる劇場とするために、今申し上げました民間の力、そして最適な整備手法や運営方法を幅広く重ねて申し上げます。検討に際しては、既存劇場の運営状況を正確に把握いたしまして、劇場や興行に関する専門家とともに、文化芸術活動を担い、支える関係者の皆様の意見もお聞きした上で、しっかり検討してまいります。私、文化庁の委員など色々なことをやらせていただきましたけれども、国もこのような場の建設は期待していると思います。なかなか、文部科学省の予算も厳しいことでございますから、自治体が頑張って国とも共同してやっていくことが必要かと考えています。

新たな劇場が将来の負担にならないよう、止める判断も必要ではないでしょうか。

24 市街化区域内の農地の保全

次に、市街化区域内の農地の保全について伺います。

いわゆる「生産緑地の2022年問題」がクローズアップされ、宅地化による需給バランスの問題や、緑地の減少の問題が指摘されています。近年は空家率が上昇し、一方では空き家対策が課題になる中、本市の市街化区域内の農地保全は、課題です。

こうした中、国は、農地の多面的な機能に着目し市街化区域内の農地の保全をより一層進めるため、昨年生産緑地法を改正しました。この法改正によって、市町村が条例を制定することで生産緑地地区の指定面積の下限を引き下げることができるようになりました。本市においても、国の法改正に速やかに対応し、昨年12月に条例を制定しました。そこで、

質問52 生産緑地の保全についてどのように取り組んでいくのか伺います。
答弁52 小規模な農地も対象となる生産緑地地区の条例制定後、多くの農家の方から指定の申込をいただいており、生産緑地の新たな指定を進めています。また、既存の生産緑地制度の延伸を図るほか、都市農地の貸借を円滑化する新法などの動向を踏まえて、生産緑地の維持・拡大に取り組んでいきます。

市街化区域内の農地を保全するためには、まずは、生産緑地制度をしっかり活用していくことが重要であると考えます。2022年問題が懸念されている中、生産緑地法とあわせて都市計画法が改正され、新たな用途地域として「田園住居地域」が創設されましたが、本市としてこの「田園住居地域」を活用するのか、それともしないのか、今後、検討していく必要があると考えております。そこで、

質問53 新たな用途地域である「田園住居地域」の考え方について伺います。
答弁53 「田園住居地域」は、低層住宅に加えて、農産物の直売所や農家レストランなどの施設の立地が可能となる用途地域です。今後、用途地域の全市見直しの中で、住宅と農地が共存し、両者が調和したゆとりある居住環境の形成が期待される地域などへの適用について検討してまいります。

25 空家対策

本市でも空家は増加傾向にあり、戸建ての空家のうち、売却・賃貸用以外のいわゆる「放置された空家」が、平成20年から平成25年の5年間で、約5,000戸も増加しています。

本市でも人口減少を控え、今後、高度成長期に一斉に開発された住宅地などにおいて、ますます空家が増えていくことが予想されます。
このため、本市では平成28年2月に全国に先駆け空家等対策計画を策定し、法務・不動産・建築・まちづくりNPOなど11の専門家団体と連携しながら、取組を進めてきたことと思います。そこで、

質問54 空家対策に関するこれまでの取組状況について、伺います。
答弁54 住まいの状態に応じて、「空家化の予防」、「流通や活用の促進」、「管理不全の防止」、「空家除却後の跡地活用」を4つの柱として、地域住民、専門家団体など多様な主体と連携しながら取り組んでいます。具体的には、空家所有者に向けた相談会の開催、子育て世帯や若者向け住宅のほか、地域の活動拠点への活用、老朽空家の改善指導などに取り組んでいます。

特に、郊外戸建て住宅地では、増え続ける空家を、流通や活用にしっかり回していくことが必要です。子育てや高齢者支援などの地域の活動拠点として活用できれば、地域の活性化にもつなげることができます。またその際には、地域の住民の方々のご理解が必要となります。このため、地域のニーズを把握する区役所と関係局が連携しながら、取組を進めることが必要と考えます。そこで、

質問55 空家の流通・活用に向けた今後の取組について伺います。
答弁55 消費者が安心して中古住宅を購入できるよう、売買時に建物の耐震性等の調査結果の説明を義務付ける制度について、不動産団体と連携して普及に取り組んでまいります。また、空家活用のモデル事業として、まちづくりNPOや企業等とも連携しながら、多世代交流サロンやシェアハウス、子育てや高齢者施設などへの活用に向けたマッチングに取り組んでいきます。

26 持続可能な住宅地推進プロジェクト

土地や建物の課題の他に、市内各地で担い手不足が大きな課題になっています。

持続可能な住宅地推進プロジェクトでは、活動の場や、地域の活動が生み出されてきました。青葉区で行われている次世代郊外まちづくりでは、テーマを持ったコミュニティが生まれ、自立して活動が継続し、地域の様々な主体と交流する機会が創出されました。
若い世代からまちへの関心を醸成し、幅広い年代に選択できる活動が豊かにある姿は、住宅地再生の一つの答えだと考えます。そこで、

質問56 これまでのたまプラーザ駅北側地区におけるコミュニティ活性化の取組について伺います。
答弁56 環境や子育てなどの様々なテーマのワークショップなどを開催し、まちづくりへの関心の高まりとともに、多くの住民主体の活動が継続して行われています。また、活動拠点として地域内に設けられた「ワイズ リビング ラボ」で、地域の情報発信や様々な活動団体同士のネットワークづくりを進めています。

プロジェクト開始から6年が経過し、人や世代の入れ替わりが起きる中、新たな担い手掘り起こしも、継続的に必要です。また、これまで議会でも次世代郊外まちづくりの横展開について議論し、認識をともにしてきました。郊外住宅地においては、駅への近接性など駅間の交流なども重要です。近接、隣接しているがゆえの波及効果もあると考えます。実際に、たまプラーザでは、沿線の住民も積極的に活動に参加されてきました。

そのため、今後はこうしたノウハウをより発展させながら、より効果のある沿線での横展開を行う段階にきていると考えます。そこで、

質問57 これまでの取組を活かした沿線への展開について伺います。
答弁57 田園都市線沿線では、人口は緩やかに増加し続けているものの、居住者の高齢化によるコミュニティの希薄化や地域活動の担い手不足などの状況がありまして、新たな地域としての魅力づくりが強く求められています。そのため、産学公民の連携によるコミュニティの活性化や地域に必要な施設・機能の導入など、これまでのノウハウを生かして、沿線全体に展開していきます。

27 エリアマネジメントの取組

地域の活力を持続させ、価値を高めていくため、民間の力を活かしたエリアマネジメントの取組は、今後ますます重要となってきます。
たまプラーザで建設中のマンション運営においても、次世代郊外まちづくりの取り組みの流れを活かしながら、エリアマネジメント組織を入れて、地域との連続性をもたせようと、試みられようとしています。そこで、

質問58 郊外部におけるエリアマネジメントの取組の考え方について伺います。
答弁58 高齢化の進展や空家・空き店舗への対応など、地域課題の解決や地域の価値を高めるためには、エリアマネジメントの取組が重要です。この取組は、地域の皆様の主体的な活動が不可欠であり、本市としましても、地域の状況に応じて適切に支援していきます。

エリアマネジメントの推進にあたっては、その担い手の確保が重要です。郊外部では高齢化が進行し、福祉や町内会活動などソフトの分野でも担い手が不足している状況です。地域では、まちづくりも福祉も同じ人が関わることが多く、地域にとって効率的な進め方を考える必要があると考えます。そこで、

質問59 郊外部のエリアマネジメントの推進にあたっては、ソフト分野も含めて連携して進めていくべきと考えるが、市長の見解を伺います。
答弁59 エリアマネジメントの取組は、住民、商店街、NPOなど多様な主体が連携し、賑わいの創出や福祉、防災、環境など様々な活動を総合的に進める必要があります。このため、多様な主体の持続的な活動が効果的に行われるよう支援することで、エリアマネジメントの取組を推進していきます。

先日(2月6日)、地域再生法の一部を改正する法律案が閣議決定され、「地域再生エリアマネジメント負担金制度」の創設が、国会で審議されることになったと聞いています。これは、アメリカなどで既に多くの事例が見られる、エリアマネジメント活動に要する費用を受益者から徴収する、いわゆる「BID制度」を法制化しようとするものです。今後、横浜市としても民間活力を生かした賑わいの創出や公共空間の活用などに取り組んでいくため、活用することが必要であると考えます。そこで、

質問60 国において創設が予定されているBID制度の導入を積極的に検討すべきと考えますが、市長の見解を伺います。
答弁60 今回閣議決定された、「地域再生エリアマネジメント負担金制度」いわゆる「BID制度」については、現時点では法案のみが公表されています。今後の国会の審議や国の動向なども見極めながら、横浜市における対応を検討してまいります。

28 認知症の人にやさしいまちづくり

まちづくりの観点から、今後重要になるのが「認知症の人にやさしいまちづくり」です。

厚生労働省の「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」は副題が「認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて」とされ、生活支援や社会参加、安全確保等が示されています。本市では、介護データの活用によって、地域特性を分析し、それに応じた施策を行おうという状況にあります。公共施設、空家、エリアマネジメントなど、様々な課題と向き合いながら、超高齢化社会におけるまちづくりをすすめることは、非常に重要なテーマです。

静岡県の富士宮市では、さまざまな業種の民間事業者や団体が認知症サポーターとなり、認知症の人を支える地域づくりを進めています。福岡県大牟田市では継続して徘徊の模擬訓練に取り組んでいます。そこで、

質問61 横浜市として認知症の人にやさしいまちづくりにどのように取り組んでいくのか伺います。
答弁61 市民理解を広げるため、認知症サポーターの養成など、認知症に関する正しい知識の普及啓発を行います。また、全区で警察や公共交通機関等と連携し、行方不明になった人を発見するSOSネットワークに取り組み、中には、見守り訓練等を行っている地域もあります。さらには、市として早期発見につながる見守りツールを導入し、認知症にやさしいまちづくりを進めていきます。

昨年、認知症当事者が働く「注文を間違える料理店」が東京で開かれ話題になりましたが、認知症の人と伴走できる社会を目指して一緒に走る「RUN伴」の活動など、行政以外のところで認知症の人とともに暮らせるまちづくりを目指す取組が進んでいます。

2025年に向けて認知症の高齢者は5人に1人に増加すると言われています。本市の場合、およそ20万人が認知症の人となります。認知症の人にやさしいまちづくりは、行政だけは限界があると思います。

時間がないなか、2025年を見越して、行政だけでなく、市民活動や民間企業などと連携して、認知症の人にやさしいまちづくりを進める必要があると考えます。そこで、

質問62 民間の取組とどのように連携していくのか伺います。
答弁62 認知症の人と接する機会の多い企業等と連携して、認知症サポーター養成講座を積極的に開催し、企業の中で認知症に対する理解を広げています。また、住民ボランティアや介護事業者等が開催する認知症カフェが徐々に増え、企業から店舗スペースの活用などの提案も受けています。それぞれの強みを生かして取組を進めてまいります。

29 大都市制度と区の機能強化

次に、「大都市制度と区の機能強化」について伺います。

本市を取り巻く社会情勢が変化する中、都心部と郊外部、北部と南部など、地域が抱える課題は、区ごと、地域ごとに大きく異なってきています。地域課題、社会課題の解決にあたっては、地域の事情に合わせて政策を展開することが、ますます重要になっていくと考えます。

一方地域では深刻な担い手不足が生じ、市や区が求める地域の担い手が、自治会を始めとして地域の中でも得られなくなってきています。役所も義務的経費が増加し、人手も限られる中、役割の限界があります。限られた予算での中で、多様化する地域課題に対応していくためには、地域に身近な区役所が役割を発揮し、把握した情報を横につなげ、資源や人材を適切に結び合わせ、課題解決の方向性を一緒に考えていくなど、行政としてのコーディネート力が求められていると考えます。そこで、

質問63 「多様化する地域課題の解決に向け、区のコーディネート機能を強化するべき」と考えますが、市長の見解を伺います。
答弁63 地域の課題解決が一層進むように、区役所が地域に寄り添いながら、地域で活動する団体同士のつながりづくりを促し、協働の取組をコーディネートすることが重要だと考えています。今後は、職員一人ひとりの協働への意識を高めるとともに、市民の皆様にとって身近な区役所と、専門性を有する局との連携を深めまして、行政としてのコーディネートの力を強化していきます。

地域との協働による課題解決として、区役所のコーディネート機能を強化していくことも非常に重要なことですが、同時に、データに基づいた地域特性の把握や、それに基づく対応を進めていくためには、地域に身近な行政機関としての課題解決能力を高めるための機能強化を図っていく必要があると考えます。
そこで、

質問64 今後の区の機能強化の方向性について、伺います。
答弁64 「地域の総合行政機関」として、身近なサービスをより幅広く提供するとともに、「地域協働の総合支援拠点」として、地域に寄り添い課題解決を進める地域支援の取組を強化していきます。さらに、本市の強みである大都市としての一体性を生かし、区局の連携を最大限発揮して、現場に近い区がより幅広い課題に対応できるよう進めていきます。

今後、データに基づいた政策形成が重要ですが、例えば健康医療の分野では、県・市ともにそれぞれ施策を行っていることから、横浜市の施策による効果が把握しにくい状況となっています。

特別自治市の実現は、県市の重複をなくすことであり、横浜市の施策による影響や費用対効果などを、より精緻に分析できるようになると考えます。このことは、横浜市において効果が実証できた施策を、他都市でも展開可能にし、都市経営、国家運営にも大きなメリットとなり得ます。特別自治市の実現は、本市の自立した発展に寄与するのみならず、新たな施策を全国展開していく可能性も持つ、大変有意義なものだと考えます。そこで、

質問65 特別自治市の実現に向けた今後の取組について、伺います。
答弁65 フォーラムなどの場で、私自身が制度の趣旨を市民の皆様にわかりやすくお伝えするとともに、他の指定都市とともに連携いたしまして、特別自治市の実現に向けた機運を高めてまいります。また、人口減少・超高齢社会が進展する中、特別自治市の意義や国にとっても有益な制度であることを、有識者の皆様の意見も踏まえ、国に提案してまいります。指定都市市長会会長の三期目が4月1日からスタートし、引き続きやらせていただきますけれども、指定都市の中で大阪都構想という別の捉え方で、これもやはり地方自治の一つとしてしっかり大阪市は頑張っていらっしゃいますが、その他の都市については、特別自治市という方向で本当に揺るぎなく歩を進めてまいりたいと思います。

特別自治市の実現によるメリットを国とも共有し、法制化への道筋をつけられるよう、たゆまぬ努力を続け、しっかりと取組を進めていただきたいと思います。

数多くの企業で経営者として活躍され、3期目を迎えられた林市長がトップだからこそ語れる横浜の都市ビジョンを、各方面に発信していただくことを大いに期待して私の質問を終わります。

Post comment