児童虐待対策における地域連携について。視察報告。

2019-10-29 17:16:36 | カテゴリ:活動報告


石垣市児童虐待対策

2019年10月29日、所属する常任委員会「こども青少年・教育委員会」の行政視察で、石垣市を訪問しました。目的は、児童虐待対策について学ぶため。横浜市では2014年に「横浜市子供を虐待から守る条例」が議員提案によって制定され、子供を虐待から守るための基本理念を定め、虐待の予防及び早期発見、虐待を受けた子供の保護その他子供を虐待から守るための施策の基本的事項を定めて、子供を虐待から守る施策を総合的に推進し、子供の心身の健やかな成長に寄与することが、条例の目的とされてきました。国においても、児童福祉法や児童虐待防止法の改正が今年6月に行われ、児童虐待防止対策の強化が進められています。私自身も議会の審議等の場において、児童虐待防止の取組の充実を求めてきています。

石垣市要保護児童対策地域協議会

石垣市では「こども家庭課」において、児童虐待の対策が取られています。横浜市と違って児童相談所は県に設置され、石垣市には設置されていないので、身体的虐待など保護が必要になるような虐待は県が対応することになります。2018年度の石垣市の児童虐待の新規相談受付件数は12件で、ネグレクトが6件、面前DVが6件となっています。新規相談件数は、2017年度は27件、2016年度は11件、2015年度は43件となっていますので、減少傾向にありました。

石垣市の取組として説明を受けたのは、地域連携です。「石垣市要保護児童対策地域協議会」(要対協)が、地域における連携を担い、市と他機関との連携が進められています。要対協では、(1)沖縄県八重山福祉事務所、(2)那覇地方法務局石垣支局、(3)石垣人権擁護委員協議会、(4)沖縄県八重山警察署生活安全課、(5)石垣市社会福祉協議会、(6)石垣市民生委員児童委員協議会、(7)沖縄県教育庁八重山教育事務所、(8)石垣市立小・中学校校長会、(9)八重山私立保育園連盟、(10)児童養護施設「ならさ」、(11)石垣市自治公民館連絡協議会、(12)石垣市教育委員会教育部学校教育課、(13)石垣市教育委員会教育委員会教育部青少年センター、(14)石垣市市民保健部健康福祉センター、(15)石垣市福祉部子ども未来局長、(16)石垣市福祉部福祉総務課、(17)石垣市福祉部障がい福祉課、(18)石垣市福祉部こども家庭課、(19)石垣市公立保育所所長会、という19団体からなる「代表者会議」が年に1回行われていて、その下部に置かれている要対協実務者会議(20名)の運営をサポートしています。実務者会議は年5回開催されていて、県中央児童相談所八重山分室の主幹などもメンバーとなり、家庭状況の把握や、要保護児童の実態把握、処遇方針の確認など、通報のあった虐待事案の対応に連携してあたっています。

様々な機関が連携しているなかで、保育園や小中学校、教育委員会などもその一部を構成しています。乳幼児期の健診未受信などの虐待の疑いの把握から始まり、発生した虐待の情報について、子どもの年齢が上がり、保育園から小学校、小学校から中学校へと所属先が変わっていく中でも、共有されていて、当該児童・生徒が不登校になるなどのシグナルを見つけると、またこども家庭課等と連携して対応が取られるようになっています。

藤崎浩太郎

こども家庭課の組織の中には、ひとり親家庭の支援や、DV対策、子どもの貧困対策などの係員や相談員等も置かれていて、役所の規模もありますが、ある意味ではコンパクトに子どもや家庭に関わる様々な支援がまとまって置かれています。児童虐待新規相談の半数が面前DVであるように、石垣市でのDVの相談等の件数は増加傾向にあり、「配偶者からの暴力相談に係る関係機関担当者会議」が開かれ、八重山福祉事務所、県中央児童相談所八重山分室、八重山警察署と連携が取られています。

石垣市は人口が増加傾向にあり、また合計特殊出生率は沖縄県より高く、2013年では2.06という数字が出ています。高い出生率の一方で、離婚率も高い状況にあり、また以前と比べて核家族化が進んできているとも指摘がありました。若年妊婦の居場所づくりの取組なども行われているそうで、こども家庭課を通じてトータルでの支援が行われようとしている体制となっていました。

石垣市児童虐待対策
市役所1階では児童虐待に関するパネル展示。那覇市を参考に今年度から。

石垣市役所

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