横浜市唯一の「若年性認知症介護サービス」事業所視察。

2021-03-28 13:03:47 | カテゴリ:活動報告


2021年3月26日、横浜市で唯一の若年性認知症に特化した介護事業所を経営するGrASP株式会社さん(青葉区鉄町)にお邪魔して、代表の山崎さんからお話を伺いました。

若年性認知症は10万人に51人

日本における若年性認知症有病率は、18歳~64歳人口10万人当たり50.9人、若年性認知症者の総数は3.57万人と推計されています。認知症といえば、高齢者の方の疾患という印象をお持ちの方も多いと思いますが、働き盛りの年代においても、一定数認知症の人がいることが分かります。(参考:「わが国の若年性認知症の有病率と有病者数」

GrASPさんの特徴の1つは、介護保険サービスだけでなく、就労継続支援B型事業所として働く場所も提供されている点です。利用者の最年少は54歳、平均年齢は67歳と若く、認知症になるまで働いていたり、認知症になっても働く力もある方もいらっしゃるので、ただ介護を受けるだけの場所だと、抵抗感を持つ方も多いそうで、「働く場所」であると通える方もいらっしゃるそうです。

仕事については、この1年では6つの企業・団体との契約があります。仕事の内容は、お弁当の配達を1日に15〜20軒回る仕事、そのお弁当箱を1日に200〜300食分洗浄する仕事、地域情報誌のポスティングを1回700世帯、ボールペンの組み立てを月に8,000本、ECサイトへの中古本出品作業を月に500冊、などとなっていました。こうした仕事で稼いだ給料で、家族と旅行に行ったりする人もいらっしゃって、家族の中での自分の役割を発揮することにも繋がっているとのことでした。

進行の早い若年性認知症

若年性認知症の特徴としては、失語、失行、失認という高次脳機能障害の進行が、高齢の方より早いという点があります。「失語」は、話している内容が理解できなかったり、思いを言葉にすることが難しくなること。「失行」は、例えば目の前のコップが飲み物だと理解できなくて飲めなくなること。「失認」は、そもそも目の前のコップを認識できなくなること。まだ若いためエネルギッシュであるぶん、全体的に進行が早いそうです。

これまで約6年間事業所を運営されてきて、全体で39名の退職者(退所者。職場なので退職とく表現をGrASPでは使用)がいて、平均出勤日数が225日、平均在籍期間が18.8ヶ月(1年6ヶ月〜7ヶ月)となっています。退所の理由のうち8割が、自宅での生活が難しくなって施設入所に移行したことによるもので、進行の早さが分かります。また、市内唯一の施設ということもあり、青葉区のほか、都筑区、緑区、港北区、南区、旭区、川崎市高津区からも利用者があり、通い続けるのが大変になってしまう方もいらっしゃるそうです。

質疑の中から

Q:認知症の人がどのくらい、自分が認知症であることを理解しているか。
A:感覚的には全体の2割の方は自分が認知症だと理解し、自分の課題をクリアしていける方。6割は理解できていたり、できていなかったりという方。残り2割の方は、全く自分は認知症じゃないと思っている方。

Q:理解できる人の中で、事業所に通うこと、関わることに抵抗を持つ人はいないのか。
A:好意的に受け取る方も、そうでない方もいらっしゃる。自身が認知症であることをカミングアウトする方もいるし、言いたくないという方もいらっしゃる。デイサービスだけの経営だったときは、抵抗感を持つ方が多かったが、仕事ができる場を設けることで抵抗感が減った。社会貢献したいという気持ち、労働できるという力がある人にとっては、介護のみの場に対しては、ギャップがあったのではないか。

Q:ご家族が、自分の家族が認知症になったことを言いたがらないと聞くこともある。
A:認知症と診断されて、その現状を受け入れられず混乱される方もいらっしゃる。月日とともに、受容されて、家族会などの仲間と話して何とかクリアしていくというもの。街で支援ができると、みんなに支えられているという安心感が増えていくのではないか。

Q:「認知症サポーター登録店舗」みたいな取り組みがあると、当事者、家族にプラスになるか。
A:プラスに働く。人は様々な側面を持つが、認知症で家に居るだけで、認知症の側面しか出せないのは問題だと思う。色んな場所に行って、色んな側面が出せる機会があることは良い。行きつけのお店で昔ながらの関係を維持できたり、そこに行くために付き合いの長い人と出かけることで、当事者の様々な側面を出せて豊かになる。沢山あるのは理想だが、最初から多いと混乱する当事者もいるので、少しずつ行ける場所が増えていくのが良いのではないか。

あざみ野の「認知症の人にやさしい街プロジェクト」について

昨年から、あざみ野では認知症プロジェクトが動き出し、2021年3月から「認知症の人にやさしい街プロジェクト」として動き出しています。あざみ野商店会から動き出したプロジェクトであり、認知症になっても馴染みの店に行き続けることができるような、家族も安心して一緒に外出し、買い物や食事などを楽しめるような、認知症への理解のある商店会にできたら良いな、というのが最初のきっかけでもありました。

その点に関して山崎さんからは、「まさにその通りだとは思います。そのなかでただ、お店に行くのが大変になってくるとかそういうところがあると思うので、それを地域の中だったり近隣の方と一緒に行こうよというかたちで、夫婦関係だと遠慮がないのでそこに軋轢が生じたところを、でも、昔の仲間だったり近隣の方が来ると当事者の方も社会性を発揮されるので、そこがスムーズになったりとかなので、まさに仰っていることができると思います。それをするための地域住民の方だったりとか、理解者の方の支援が必要だと思います。」とご意見いただきました。

GrASP株式会社
お邪魔した際通所介護の方では体操中でした。

GrASP株式会社
出品作業の中古本。

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