カジノ・IR推進予算に反対!横浜市令和3年度予算案反対討論。

2021-03-23 20:12:22 | カテゴリ:活動報告


藤崎浩太郎

2021年3月23日、横浜市会令和3年第1回定例会の最終日を迎えました。第1回定例会は予算審査が行われ、「予算市会」とも称されます。最終日は、次年度の一般会計予算等が採決される日であり、各会派から賛否が示されます。

令和3年度一般会計予算には、カジノ・IR推進に関わる予算3億6千万円が計上されています。私自身、一昨年の8月に林市長がカジノ誘致推進を打ち出して以来、横浜市のカジノ・IRの誘致に反対をしてきました。所属する会派「立憲民主党・無所属フォーラム横浜市会議員団」としても、カジノ・IRの誘致に反対をしてきました。

今年度(令和2年度)では、2020年9月25日に行われた決算総合審査でもカジノ・IR誘致の問題を指摘し反対してきました。また、2021年1月7日に行われた、「カジノを含むIR誘致の是非を問う住民投票条例制定」についての常任委員会審査を行い、市民の意見を聞こうとしない市の姿勢に大きな問題があること等を主張してきました。

この1年間、何度も会派としてカジノ・IR誘致の撤回を求め、予算にも計上しないことを求めてきました。令和3年度予算案が示されて以降も、予算代表質疑や予算関連質疑など通して、カジノ・IRの問題を指摘し、誘致方針を撤回するよう求めてきました。残念ながら市長は、6割以上の市民が反対する声に耳を傾けず、一方的にカジノ・IR誘致を進めています。

3月23日の本会議では採決に先立ち、会派として望月高徳議員から、IR事業推進に関わる予算として計上されている3億6千万円を削除する修正動議を提案したうえで、私が会派を代表して予算案に対する「反対討論」を行いました。以下、討論の原稿となっています。

反対討論

 立憲民主党・無所属フォーラム横浜市会議員団の藤崎浩太郎です。会派を代表しまして、本市会定例会に上程されております議案のうち、市第101号議案令和3年度横浜市一般会計予算に反対の立場から、また市第101号議案令和3年度横浜市一般会計予算に対する修正の動議に賛成の立場から討論を行います。

 ただいま修正動議の趣旨説明で申し上げましたとおり、私たちが一般会計・予算案に反対するのは、IR事業推進に関わる予算として計上されている3億6千万円が認められないためです。35年もしくは65年もの長期に渡って横浜市政に影響し、横浜市政を縛る政策であるカジノ・IRは、多くの市民が反対しているところであり、市民が必要としないカジノ・IR予算は、認めることができません。本年1月15日にも、私達は、市長選挙が行われる年の予算案に、市政運営の根幹に関わるこうした政策事業予算は計上すべきではない、と申し入れを行ってきましたが、残念ながら聞き入れられませんでした。

 一般会計予算全体を見渡せば、超高齢社会への対応、教育や子育ての充実、経済を成長させ防災やまちづくりを通じた都市の強化、脱炭素社会実現への取組など、私達が提案し、要望してきた課題解決策が、予算として計上され評価できるものとなっています。くらし・経済対策予算を通じた、新型コロナウイルス感染症対策にもしっかり取り組んで頂く必要があります。

 しかしながら財政の審査でも議論されたように、来年度の市税収入は前年比で約490億円もの減収が見込まれ、市の長期財政推計でも2065年度には2,170億円もの収支不足に陥ることが見通されています。一方で、将来の財政不足をここまで示すのであれば、これまでの事業や、せめて令和3年度予算に向けた更なる事業の見直しと、行政推進経費や施設整備費を削減する危機感を持った編成となることもやむを得なかったと考えます。ところが市長は自らの責任を問うこと無いままに、将来世代にツケを先送りにしているにも関わらず、カジノ・IRがあたかも市の将来財政に寄与するかのような広報を行いカジノ・IRの誘致を推進することに、一縷の説得力もありません。

 昨年9月から行われた、カジノを含むIR誘致の是非を問う住民投票条例制定を求める署名活動では、193,193筆もの署名が提出され、署名に基づき1月には条例案が提案され、審議が行われました。条例提案の際に市長が付した意見では、あろうことか「住民投票を実施することには、意義を見出しがたい。」と記されました。重大な事業であるため賛否を住民に決めさせてほしいという、主権者市民の当然の権利を踏みにじる市長意見であり、断じて許されるものではありません。そもそも、林市長が2017年の市長選挙でカジノ・IR誘致を「白紙」とし、民意を問わなかったことが問題の入り口であり、署名活動の際には何度も「林市長に裏切られた」という声をいただきました。市長はカジノ・IRを「国家プロジェクト」だと表現されますが、自らが守るべき市民の声、主権者たる市民の声を聞けずして、国家を語れるのでしょうか。

 今回の第一回定例会においても、現年度議案審査や、令和3年度予算審査を通じて、数多くのカジノ・IRに関する質疑が行われました。3月19日の総合審査において、市長は我が会派の荻原議員の質問に対して、政治の要点を「二元代表制」だと答弁されました。しかし、その後の荻原議員の質問に、荻原議員が市長を指名して質問しているにも関わらず、市長からお答えいただけないことが何度もありました。二元代表制の要諦は、市長と議会が、それぞれ選挙を経ることで民意を得て、民意を代表していることにほかなりません。市民の声を代弁している議員の質問に答えないことは、すなわち市民の声に答えないことであり、市民の声を軽視していると言わざるを得ません。

 今回の質疑においても明らかにされず、未だ市民に明示されていないのは、横浜市がカジノ・IRに関するリスクをどれだけ把握でき、評価できているかということや、損害賠償請求等がどの程度起こり得て、どのくらいの規模になりうるのか等、市民がどれだけのリスク、損害を想定しなくてはいけないのかという点です。また、コロナ禍で、大規模集客施設型のカジノ・IRを進めるリスクが更に大きくなったにも関わらず、その事について何ら検証が行われず、市民にも説明するつもりがないという態度は、大きな問題です。35年〜65年に及ぶ長期的な事業となるカジノ・IRの責任を、誰が取りうるのでしょうか。林市長も、いま議員である皆さんも、どれくらいの方が35年先までその職にあり続けているか分かりません。これからも続いていく横浜市の将来、市政の判断の間違いにより不利益を被るのも、責任を負うのも市民です。有権者であり、主権者である市民が最終的な責任を負う以上、特に今回のカジノ・IRのように大勢の方が反対をしている施策について、市民に対し事前に十分な情報を開示し、合意を得ることは、必要不可欠ではないでしょうか。この当然のことも未だ果たされていないことも、我が会派として問題視しています。

 長期財政推計で示された、多大なる収支不足の中での市政運営を行っていくには、市民からの信頼を得ることが極めて重要です。市民協働や共創、オープンイノベーションなど、様々な形で市民の力を借り、市民の主体的な参加や活動を促していくには、市民が市政をよく知り、市政を信頼していることが必要不可欠です。このまま一度もカジノ・IRの是非について民意を問わず、市民の合意を得ることなく、市民に必要な情報が開示されることなく、一方的に誘致を推進することは、住民本位、住民参加の民主的な政治プロセスを最大限尊重し、実践すべき地方自治において相応しくありません。

 林市長は、いまだ今年8月に行われる市長選挙に立候補するか、しないか態度を表明されていません。林市長が二元代表制のもとで議論を行っていくことが重要だとおっしゃるのであれば、市長ご自身が、自らの責任のもとで民意を確認する、市民の賛否を直接聞く行為を行うことが、市長のご発言を体現することになるのではないでしょうか。市長は直接有権者から選ばれ、直接民意を背負っているわけです。どうしてもカジノ・IRを進めたいと林市長がお考えなのであれば、夏の市長選挙で堂々とカジノ・IR誘致推進を掲げ、再選を果たされてから予算計上されれば良いのです。

 最後に、市長に申し上げますが、まだ引き返すことは可能です。林市長には自らがカジノ・IRを白紙として選ばれた責任を自覚していただきたい。横浜市民、そして将来の市民への想いを馳せていただき、市民と市政との信頼関係をこれからも築きあげていけるように、横浜市のカジノ・IR誘致方針を撤回していただきたいと思います。

 改めて、関係予算3億6千万円を削除して頂くことを求めまして、立憲民主党・無所属フォーラム横浜市会議員団を代表しての、討論とさせていただきます。

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