横浜市会平成23年度決算第二特別委員会 文化観光局審査(2012.10.3)

2012-10-08 11:02:27 | カテゴリ:活動報告


10月3日、平成23年度決算第二特別委員会にて、文化観光局の審査を行いました。

以下は、質問の原稿と答弁の要約です。(実際のやりとりとは言い回し等が異なります。正確な議事録ではありません)

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1 横浜魅力づくり室

まず、局長に伺います。昨年5月に文化観光局が設立され、それとともに「横浜魅力づくり室」室長として着任され、1年半近くになります。今年は局長として、民間での経験や、昨年取組まれたことや、課題に基づきながら、局の運営にあたられている事と思います。局内の文化振興、観光コンベンション、創造都市の取組みを、横浜魅力づくり室が中心となり局内、局間、庁外と連携し、相乗効果を発揮するものとして位置づけられてきました。文化観光局の目標の1つには、経済活性化が掲げられています。その目標を実現するために、重要な役割を担うのが、横浜魅力づくり室だと考えます。本市の将来に対して大きな使命感を持って、この間職務に臨まれてきた事と思います。

そこで、

(1)平成23年度、横浜魅力づくり室がどのような事業に取組み、実績を上げてきたのか、伺います。

答弁⇒横断的・総合的に庁内事業の調整を図り、より効果的なシティプロモーションを実施するための企画や、発信を行った。具体的には、市内イベントの認知度や来訪率、横浜市のイメージの調査など。本市の魅力づくりや、シティプロモーションの基盤固め。

2 オープンヨコハマキャンペーン

本市の新しい魅力づくりを行ってきた取組みの中に、「創造都市」があります。横浜の最大の強みである「港を囲む独自の歴史や文化」を活用し、芸術や文化のもつ「創造性」を生かして、都市の新しい価値や魅力を生み出す都市づくりを進めてこられたことと思います。

平成22年から取組まれているオープンヨコハマキャンペーンは、「沢山の魅力がつまったクリエイティブな街・横浜の魅力を多くの方に知ってもらいたい」という想いのキャンペーンということですが、

(1)平成23年度の文化観光局の全ての取組の中で、オープンヨコハマキャンペーンの重要性はどのように位置づけられていたのか伺います。

答弁⇒「創造都市」の取組みによって都心臨海部に集積したアーティストやクリエイターの創造性に溢れた活動を、既存の観光資源とは異なった横浜の新しい魅力として発信する重要な取組み。

地方分権や、特別自治市といった構想が進んだ先には、自立した都市としての横浜が、国内だけではなく、世界の都市と競争し、魅力を発信していくことが重要になると考えます。そのためにも、創造都市のような新しい価値をつくり、発信していく取組みは今後ますます重要なると考えます。一方で、創造都市のような文化的な取組みは、なかなか本市に対する直接的な成果を描きづらい取組みでもあると考えます。オープンヨコハマは、ポスターやパンフレットなど多くの予算をかけて事業が行われています。

昨年度のキャンペーン期間中には、300を超えるイベントが開催されたそうですが、

(2)そうした中、昨年度のオープンヨコハマは、経済効果を含め本市にどのような効果をもたらしたのか伺います。

答弁⇒キャンペーン来訪者の平均消費額は、約5,300円。横浜都心部への再訪の意向は、「大変そう思う」が約58%、「そう思う」が約31%で、横浜市での消費や魅力の向上につながった。

昨年実績での日帰りが91.2%、市内宿泊が7.4%ということで、23年度の集客実人員数に置ける宿泊率のおよそ半分となっています。また消費額も、平均約5,300円というご指摘がありましたが、消費額が5,000円未満の割合は70.3%、2,000円未満に限ると43.6%となり、半数近くの方は2,000円未満の消費しかされていない事が分かります。創造都市の取組みによる集積などを市民の皆様に知って頂く機会であるだけでなく、観光客を増やす取組みでもあるわけですので、消費額を増やすための取組みも、積極的に実行して頂きたいと思います。

一方、昨年度の事業報告には今後の取組みに向けての検討課題も指摘されてきましたが、

(3)昨年度のオープンヨコハマの課題と、今年度における課題への対応はどのようになっているのか伺います。

答弁⇒キャンペーンのガイドブックに、イベントを掲載しすぎて、「創造都市」の取組みが伝わりにくかった。今年度は、創造界隈拠点を特集するとともに、専任の広報担当を配置し、TwitterやFacebookでの情報発信を強化。

昨年、一昨年と今年もアンケート調査が行われていて、傾向を分析できる事も、オープンヨコハマの取組みにおいて、重要なポイントではないかと思っています。しかしながら、一昨年と昨年では消費額のアンケート方法が変わっていたり、今年に関しては消費額の項目が無くなっていたりします。来年以降の取組み於いては消費額の項目を再度入れる事や、経年での変化を観察できるよう項目を統一させる事を要望いたします。

3 創造都市

オープンヨコハマキャンペーンは、創造都市の中でも重要な取組だと認識していますが、横浜の魅力を更に高めていくためにも、創造の担い手であるアーティスト・クリエーターの都心部への定着を図っていく必要があります。そこで、

(1)アーティスト、クリエーターのための事務所等開設支援助成の21年度から23年度の実績について、創造都市推進部長に伺います。

答弁⇒21年度は17件、22年度は16件、23年度は11件。

創造都市の取組は、都市の活性化や国際競争力に大きな効果をもたらすとされてきました。昨年の局長答弁でも、「ビジネスチャンスの拡大など新たな産業振興につなげていく」とありましたが、

(2)平成23年度における、市内経済への効果についてどのような成果があったのでしょうか。

答弁⇒空きビルをリノベーションして、アーティスト・クリエイターの活動拠点に転用する場合、ビルオーナーに助成を行い、23年度は2件約3,800万円の総事業費に対し、約1,400万円を助成。

また、昨年の局長答弁では「アーティスト・クリエーター等が、文化芸術だけでなく、福祉や防災などの異なる分野で活動している様々な主体、地域の企業と協働することで、新たなビジネスチャンスを創出していく」という答弁がありましたが、

(3)今年度の取組状況について伺います。

答弁⇒今年度から、助成制度を創設。今年採択した事業の中には、就労環境サポート事業や、東北被災地との交流事業などが含まれる。

創造都市の取組みにおいて、アーティスト・クリエイターの集積や、関連する産業の集積が重要だと、私も考えます。一方で、ただ集積しても、本市への貢献がなければ十分とは言えないと考えます。本市への貢献といえば、一つは市内経済・産業への貢献であり、もう一つは地域への貢献だと考えます。昨年の局長答弁の通り、地域の課題でもある、福祉や防災について、積極的にアーティスト・クリエイターの能力を還元し、協力して解決にあたるということは、非常に重要ではないでしょうか。

福祉や防災について、デザインという視点からは、民間事業者が「issue+design」という取組を行ってきています。「issue+design」は「専門家の取組ではなく、一人一人の生活者が主役」となっていて、「市民の力」の重要性も指摘されています。本市においては、政策局の横浜会議や、様々なワークショップも行われ、課題解決のための対話が行われてきました。一方では近年、ソーシャルデザインやコミュニティデザインといった、社会課題の解決をデザイン思考で行う、という取り組みも盛んです。創造都市で集積しているアーティスト・クリエイターの持つ、ノウハウ、経験、視点が、本市内の課題解決に役立つかもしれません。横浜会議などの取組みに、アーティスト・クリエイターが参加し、

(4)アーティスト・クリエーターとの対話によって地域課題、福祉・防災課題を解決していくことも今後必要ではないでしょうか。局長の見解を伺います。

答弁⇒文化芸術の創造性には、福祉、まちづくり、環境など幅広い分野の課題を解決する可能性がある。地域の課題解決に取組んでいる関係部署と、連携しながら進めていきたい。

地域課題の解決方法を話し合う場に、本市の様々な取り組みの活用を横断的に行い、様々な年齢、様々な職業、様々な背景をもった多様なアクターが参加できるようにすること。そうした取り組みの中から、経済局も社会起業への支援を行っていますが、社会起業家が排出されたり、他の地域でも共通する課題解決に転用できるような事例が生まれていく。創造都市の取組みを、資産を、そういった方向に活用していただきたいと思います。

4 映像文化都市

次に、映像文化都市づくり推進事業について伺います。

この事業は横浜から魅力ある映像文化の発信や人材育成を図るため、大学等との連携や特色のある映画祭の開催を支援するとのことですが、

(1)映像文化都市のこれまでの取組について、東京芸大の誘致に成功して以来、その他にどのような実績や効果があったか伺います。

答弁⇒東京芸大と連携し、市民の皆様に対し、同大学の校舎やスタジオなどの公開を行った。また、市内で行われる映画祭への支援も。先端的な映像に接する機会を、市民の皆様に提供する事ができた。

本市内における、映像系の大学・大学院は東京芸大に限られます。しかしながら、都内に目を向ければ多摩美大や日大など、映像系の学部・院を抱える大学は他にもあります。これらを誘致するという視点もありますが、誘致だけでなく、そこで学ぶ学生が横浜で作品を制作したり、横浜で交流を持てるような仕組みも必要ではないでしょうか。現状では、芸大を卒業しても、都内に就職する人も多いと聞きます。働く場所として横浜を選んでもらえる取組と、住み続ける街として選ばれる横浜、制作する場所・対象としての横浜など、映像文化都市としての視点からは様々な横浜像を描けるのではないでしょうか。そういう視点では、施設整備や産業集積の重要性は当然ですが、それだけでなく、市内外から「人」が集積するような取組も重要だと考えます。

そこで、

(2)市内外の大学生など映像に取組む若い人材が、横浜に来て、制作したり、交流したりするコトを促すような取組について伺います。

答弁⇒映像分野を目指す若い人材が、横浜に集い、切磋琢磨し、交流を深める事は重要。例えば東京芸大で、他大学の映像を専攻する学生が参加できるような取組みを行うなど、若い人材を横浜に呼び込む方法を検討したい。

5 消費額向上

創造都市などの取組として、市内へ産業等の集積を図り、経済の活性化を促すことがあります。一方で、昨年の局長答弁の通り、集積したアーティストやクリエーターのチカラを、市内産業に還元することも重要ではないかと考えます。

そこで、

(1)これまで行われてきた、市内産業とアーティスト・クリエーターとの連携実績について伺います。

答弁⇒一例として、横浜駅東口に接する平沼・高島エリアにおいて、クリエイターと地元飲食店がネットワークを組み、スタンプカードによる魅力付けで、界隈の回遊性を高めるような取組みがある。

さて、本市における観光振興においても、観光消費額を向上させる事は重要です。宿泊客数を増やして消費額を向上させる事も重要ですが、本市への観光客のほとんどを占める日帰り観光客の消費額を増加させる事も大変重要なことであると考えております。

平成元年の「横浜博覧会」を契機にギフトやお土産になる横浜ブランドの商品「ヨコハマ・グッズ『横濱001』」が誕生しました

本市としては、この「ヨコハマ・グッズ『横濱001』」の事務局に対して、販路拡大に向けた支援をしていると聞いておりますが、誕生以来24年経ち、多くの方に横浜の名産として親しまれているものもありますが、

(2)ヨコハマ・グッズ「横浜001」の支援事業の成果をどのように考えているのか伺います。

答弁⇒昨年の事務局によるアンケートでは、「認定ショップでの販売など販路が拡大できた」、「地元企業と交流ができた」といった声が、参加企業から聞こえてきている。引き続き、地元企業の皆様にメリットのある事業として進めていく。

横浜市中期4か年計画に掲げられた「観光消費額」の目標を達成させるためには、単価は安いかもしれませんが、『多くの観光客の方に横浜でお土産を買っていただく』ということは、大変重要であり、お土産の販路拡大やPRなどへの支援は、引き続き行っていただきたいと考えております。

一方、他の地域では、既存製品のパッケージのデザインを見直して、売上げや知名度の向上を図る取組も数多く見受けられます。本市では、創造都市の取組みもあり、若手のアーティスト・クリエイターの集積も進んでおり、新しい感性と技術、ノウハウを活かさないわけにはいきません。

そこで、

(3)ヨコハマ・グッズ「横浜001」のブランドをさらに高めるため、文化観光局ならではの取組は何か伺います。

答弁⇒これまで会員同士での異業種間交流が進められてきたが、今後は、アーティスト・クリエイター等の力も活かし、より魅力あるものに育つようにしたい。

集積したアーティスト・クリエイターの能力を市内産業への還元とともに、アーティスト・クリエイターの方々の実績にもできるレベルの取組みを行っていただきたい。そうした取組みを通じて、横浜らしい、洗練されたデザインの発信や、ブランド価値の向上につなげていただきたいと思います。

6 プロモーション

観光客の増加による経済活性化においては、何より市外・国外からの来客を増加させる必要があります。そのためには、本市の魅力や取組を市外に発信していかなくてはなりません。より効果的に情報発信を行うためには、想定される年齢や性別等のターゲティングだけでなく、プロモーションという視点からは、ニュースリリースが掲載されるメディアまでターゲットをしぼりながら、上手くメディアを活用し、効果的なPR戦略が重要だと考えます。今年度からは、プロモーション推進会議という取組が行われていますが、

(1)報道や広報との連携を今後どのように行い、その中で如何にして集客力を高めていく考えか、副市長に伺います。

答弁⇒今年4月に市長トップの、全区局統括本部長をメンバーとするプロモーション推進会議を立ち上げ、広報・報道とも十分に連携を図りながら、「チーム横浜」として全庁横断的な取組みを進めていく。

7 外郭団体

次に、文化観光局所管の外郭団体について、伺います。

今回の決算特別委員会に於きまして、我々みんなの党としまして、各局の外郭団体二関する質問を行わせていただいているところです。外郭団体への財政支援の適正化等をはじめとした外郭団体改革は厳しく進めていかなければなりません。

文化観光局の所管団体についても保有の形態は様々あるにせよ、一定程度の財産があると聞いており、今後の予算編成などへの活用を検討するべきではないかと思います。

そこで、

(1)外郭団体が、定期預金で運用している財産について、今後どのように取り扱うのか、伺います。

答弁⇒独立した法人個々が、判断するのが基本。しかしながら、本市の厳しい財政状況を団体と認識共有し、定期預金で運用している財産については、25年度予算編成において、各団体と相談してききたい。

十分な検討をお願いしたいと思います。

また、仕組債に端を発する団体の財産運用の問題などは、各団体への指導・調整において、財務面のチェックが甘かったことが一つの要因であるのではないかと思います。

そこで、

(2)       外郭団体所管局として、どのような指導・調整を行っているのか、また、今後、どのように取り組むのか、伺います。

答弁⇒今後は業務監査において、よりきめ細やかにチェックする事に加え、局内や団体内で一層の情報共有を行うなど、さらなる意識向上が図れるよう適切に指導・調整する。

外郭団体所管局として十分な指導・調整を行ってください。

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