横浜市会平成23年度決算第二特別委員会 政策局審査(2012.10.5)

2012-10-11 20:27:39 | カテゴリ:活動報告


10月5日、平成23年度決算第二特別委員会にて、政策局の審査を行いました。

以下は、質問の原稿と答弁の要約です。(実際のやりとりとは言い回し等が異なります。正確な議事録ではありません)

========================================
先日の一般質問では、市民自治、住民自治や、市民と行政とのコミュニケーションといった視点から、市長に質問させていただきました。その中で、行政が所有している公的なデータを、インターネットなどICTを活用して、市民に開放していくこと、いわゆるオープンデータの推進について、全国に先駆けて本市が取り組み、「進取の気性に富む」この横浜を、さらに活力があり、魅力がある都市にしていくことについて、市長の考えを伺いました。欧米が先行しているオープンデータの取組みは、公的データを市民や企業など民間と共有することで、行政の透明化はもちろんですが、市民サービスの向上や、市民の市政への参画促進、さらには、新たな産業の創出や、市内経済の活性化など様々な効果が期待されます。
市長からは、「市民サービスの向上や市民参加の促進、経済活性化に沿ってオープンデータの推進を検討する」ということと、「政策局が関係局と連携し検討していく」という旨の回答を頂きました。

1 市民意識調査とオープンデータ
この、オープンデータの推進にあたっては、行政が市政を運営するにあたって、市民の意識やニーズ、市民生活の現況や課題について、客観的データとして収集・把握していることが、そもそもの前提となります。
私たちの会派では、市民意識調査のデータを独自に分析作業をさせて頂きました。その際は、ご協力いただきまして、ありがとうございました。
この市民意識調査ですが、本市では、市民の意識や市民生活の課題について、把握するため、政策局政策支援センターが、毎年実施していますが、

(1)「市民意識調査」の趣旨と手法についてあらためて伺います。

答弁⇒市民の意識や生活構造を明らかにして、結果を市政や政策立案の基礎資料として、活用することを趣旨として、昭和47年度から毎年実施している。調査手法として、いわゆる郵送留置・訪問回収によって実施。

郵送留め置きで調査を実施しているということですが、

(2)平成23年度及び24年度は、どのくらいの数の市民の方々を対象に調査を行い回収率はどのくらいだったのか、おたずねします。

答弁⇒市内に居住する20歳以上の男女個人3,000名の方々を対象に実施。対象者は、住民基本台帳や外国人登録原票からの無作為抽出。回収率は、23年度は、72.1%、24年度は、77.1%。

続いて、

(3)市民意識調査のH23年度の決算額と平成24年度予算額についてお尋ねします。(政策部担当部長答弁)

答弁⇒23年度の意識調査の決算額は、5,034,960円。24年度の予算額は、5,300,000円。

民間では市場調査を、多大な予算とコストをかけて実施しています。そこにお金をかけなければ、売れる商品やサービスを開発できないからです。いわゆる市場調査によって消費者のニーズを把握分析することが、企業経営の生命線となっているのです。

これは、行政でも本来同じはずです。369万人の市民を抱える横浜市が、この程度のサンプル数と予算で、本当に市民の意識やニーズを反映した市政運営が可能なのでしょうか。 例えば、3,000というサンプル数を、18区に分散してしまうと、区の人口に対して調査対象者が少なすぎるケースもあり、私たちの再分析でも区別の分析に耐えられない区が出てきました。

また、サンプル数をより多くし、精度の高い市民意識調査を行うことができれば、自ずから地域課題、政策課題が浮き彫りになるのではないでしょうか。

そこで、

(4)横浜市民意識調査の実施にあたっては、もっと予算やサンプル数を増やし、各区ごとに、きめの細かい市民意識の分析・把握ができるようにしていくべきではと考えるが、局長の見解を伺いたい。

答弁⇒意識や行動について経年的に把握する基礎的なデータを得る為に実施し、区ごとの傾向も把握している。地域ごとの市民の意識やニーズは、区民会議や地区懇談会などや区における調査などで把握。

調査対象者を増やすことで、区や地域ごとの詳細な分析を進めると共に、調査結果を的確に市政運営に反映していくことも重要です。
そこで

(5)市民調査の結果はどのような形で、市政に反映しているのか、局長に伺います。

答弁⇒「横浜市中期4か年計画」などの中長期的な総合計画の策定・検証や、各区局が施策や事業を企画立案する際基礎的なデータとして活用している。

2 横浜会議とフューチャーセッション
オープンデータを推進していく上で、私が極めて重要だと考えるのが、その先にある市民の「参加」です。参加を促すには、課題などの認識が必要であり、市民と行政職員が、地域の生活課題や本市の政策のあり方について、客観的なデータに基づいて、自由に語り合い、意見を交換し、知恵を出し合うことが、横浜の至る処で、日常的に行われることが重要ではないでしょうか。
そのためにも、まず、市役所の職員相互が、本市の重要な政策課題については、それぞれの縦割りのセクションを超えて、領域横断的に話し合うことで、知恵と情報を共有し、政策を提案していく取組を拡充していくことが大切だと考えます。例えば、政策課が各局の企画課長を集め、取り組んでいる「未来のヨコハマ検討プロジェクト」は、このような取組みの良い例だと思います。そこで、

(1)政策局として「未来のヨコハマ検討プロジェクト」のように、本市の重要な政策課題について、各局の職員が領域横断的に検討し、政策形成を進めて行く場を拡充していくべきだと考えるが、局長の見解を伺いたい。

答弁⇒政策的な課題は、様々な分野にわたる複合的なものが多く、横断的に取り組むことが重要である。現場をよく知る各区局の取組を、柔軟かつ効果的に連携させ政策実現につなげていけるよう、検討の場づくり、仕組み作り進める。

このような市役所内での職員相互の横断的な議論を踏まえたうえで、多様な民間人と行政が協働で政策を形成する仕組みを横浜市として創り上げる。すなわち市民、研究者や企業人、行政職員や議員などが、協働で様々な調査・研究を行い、調査結果に基づいて、横断的な対話やワークショップを重ねながら、政策を形成していくことも大切なのではないかと考えます。このような政策形成の仕組みとして本市では、政策の創造と協働のための「横浜会議」を政策支援センターが、運営していると、一般質問の際にも市長から伺いました。その中で「横浜会議」では、数年前までは、研究者やNPOなどからテーマを公募した上で、協働で政策形成のための調査・研究を進める方法を採っていたが、昨年度と今年度は、公募をせず、横浜市大の事業に応募する形で共同研究を行っていると聞いています。
そこで、

(2)横浜会議が、公募で政策コンテストを実施していた頃の実績と、現状、今後の課題について、局長にお伺いします。

答弁⇒横浜会議の成果は、平成21年度まで会員であるNPO、市民団体、企業、大学・研究機関などに研究テーマを公募し、高校中退やひきこもりの若者に対するキャリア形成支援や、困難を抱える子ども達へ生活・学習支援などの施策へ反映された。22年度からは横浜市立大学との共同研究などを実施。今後の課題は、政策課題解決にともに取組む方々とのネットワークの強化と、協働研究の成果を広く市民と共有する機会の拡充。

横浜会議のような協働による政策形成の仕組みと共に、民間と行政の多様な主体が、社会的な課題を解決するために、対話によって新たなサービスや事業をしていくいわゆるフューチャーセッションのような試みを実施していくことも重要です。例えば、横浜は、創造都市として、アーティストやクリエイターの集積を図っており、彼らの持つ感性や技能、ノウハウなどを活かして、福祉や防災など社会的課題の解決を、「ソーシャルデザイン」、「コミュニティデザイン」という視点から取組んでいくことなどです。
「横浜会議」を運営する政策支援センターと、「共創フロント」と「共創フォーラム」を担当する共創推進課。この両者の機能を政策局として、併せ持っていることが、私は、オープンデータを進める上での本市の大きなポテンシャルと考えています。

(3)政策局が中心となって、地域での様々な対話と協働の試みを結びつけて、本市のオープンデータの取組を、総合的に進めていくべきだと考えるが、副市長に見解を伺います。

答弁⇒国が進めている取組も、同様の趣旨であり、地域での対話と協働の取組がより一層進むように、政策局が各区局と連携して、オープンデータの取組を進める。

3 大学・都市パートナーシップについて
現在、市内には、短期大学や大学院を含めて、28の大学がキャンパスを持っています。
この市内28大学は、医療や工学から音楽・美術・スポーツまで、幅広い学問分野で高度で専門的な教育研究を行っており、そして市内大学では、約8万人もの学生が学んでいます。これほど多くの学生が集まっている地域は、国内でも有数であり、私はこの市内大学の教育研究の内容と学生のチカラを、地域課題の解決など、特に身近な地域のまちづくりに貢献していただくことが重要であると考えております。
学生が地域で活動し、様々な人と協働することでより高い教育・研究効果を得られるという指摘もされています。また地域に関わることで、地域に愛着を持ち、横浜を好きになって定住する。もしくは、起業したり、就労したりする。たとえ卒業後、一度は横浜を離れることになっても、第2の故郷として横浜に回帰する。そんな横浜市を、学生と協働することから描いていけないかと考えます。

本市では、平成17年から、市内大学と大学・都市パートナーシップ協議会をつくり、大学と本市が連携する取組を行っていると聞いていますが、改めて、

(1)大学と本市が連携する理念・意義、そして学生にどんな影響を与えたいかについて伺います。

答弁⇒市内大学の豊富な知的財産を活かし、市民・企業・行政が連携して、活力・魅力ある都市の実現を目指している。学生には、様々な年代や考えの地域の方々との触れ合うことで、視野の拡大や、人間的な成長を期待している。加えて、社会参加意識の向上や、地域への愛情が醸成されると考える。

また、市内の大学だけでなく、市外の大学生・大学院生が横浜をフィールドに研究したり、活動をしたりすることで、論文や制作物など、横浜が取り上げられる事例を、市外で増やすことができるのではないでしょうか。また横浜への関心、愛着を高めて、市外で学ぶ学生の、将来の定住、就労の場所として横浜が選択されるようにしていくことも、必要ではないかと考えます。

(2)市外の学生が、横浜をフィールドに研究したり、活動したりできるようになることは意義あると思うが、どのように考えるか、伺います。

答弁⇒課題解決の為には、市外大学の協力も必要。市内大学との連携事例を積極的に発信して、市外大学や、学生が横浜での活動を意識してもらう。

前段で取り上げた「オープンデータ」の取組みが進めば、インターネットなどで入手可能な本市のデータを活用して、世界中の研究者・学生が横浜のデータを利用して、研究成果を挙げることも可能になります。研究される街としての横浜を描ければ、より多くの研究者たちがフィールドとして横浜を選択するようになるかもしれません。

地域と、大学、学生の連携の実績は、事例数が年間500件を越えるなど順調に増えていますが、事例数というアウトプットだけを追うのではなく、今後は、具体的な地域の課題解決が図られたとか学生にとっての成果など、アウトカムを描き、実現を目指していくべきだと思います。
また、実際に課題解決のためのコーディネートは、地域の課題に直接触れる機会が多い職員が関わることが大切であると思います。大学・都市パートナーシップ協議会の学長と市長というトップレベルでの情報共有だけではなく、もっと実務担当者のレベルでも情報共有を深めていくことが重要だと考えますが、

(3)連携の事例について、どのようにして、大学、行政の実務者レベル、そして地域の方々と情報共有を行い、より活発な連携が生まれる様に取り組んでいるのか、伺います。

答弁⇒大学や区局の実務担当者と調整し、連携取組が実現するようコーディネートを実施。さらに、全大学の実務担当者が年4回の情報共有・意見交換を実施。また、今年度初めてのヨコハマ大学まつり2012を開催。市民の身近な所で、情報発信をして、地域の方々と大学の距離を近づけ、連携の促進につなげたい。

大学と地域が連携した取組は教員の個人的なつながりなどをきっかけに行っているものも多いと聞いています。今後、更なる大学と地域の連携取組の促進を図るには、例えば、先ほどの本市における大学と地域の連携取組の事例の公開・共有化なども考えられます。
そこで、

(4)今後、更なる大学と地域の連携取組の促進についてどのように考えているか、伺います。

答弁⇒市内大学28大学、約8万人の学生がどう地域に貢献できるか、地域が何を求めているかを把握して共通認識を持つ。各大学が持つ広報媒体の活用による情報発信も強化していく。

大学と地域との連携を促進するために、実務担当者での情報共有を、もっと進めるとともに、具体的な連携事例などの公開・共有化を進め、地域を研究対象としている大学や研究者・学生が、参加しやすい仕組みを作ってもらいたいと思います。

4 戦略的な情報発信の推進
横浜市は言うまでもなく日本を代表する都市のひとつであり、これまでも先進的な施策に取り組み、日本をリードしてきた。また、開港以来の歴史もあり、観光資源にも溢れ、大変魅力的な都市である。横浜市ではこれまでも、記者発表等を通じて、市政情報や市の魅力について、報道機関等に対して発信してきたと思いますが、横浜市の存在感や価値をより一層高めていくためには、新聞やテレビ、ラジオ、雑誌等、様々な媒体を通じて、市民はもちろんのこと市外の方に対しても、市の取組や魅力を広く発信していく必要がある。
そこで、

(1)報道機関等に対する情報発信について、どのような課題認識を持っているのか、伺いたい。

答弁⇒課題として、計画的、戦略的な情報発信ができていなかったこと、市全体の取組や市の魅力などについて売り込んでいく意識が高いとはいえないこと、があり必ずしもアピールが十分ではない。

今色々と課題についてご説明頂きました。皆さんご存知の通りですが、先日川崎市の取組みが、世界的に権威がある雑誌「nature」に取り上げられました。個人的には、非常に悔しいなと思います。でもこういう取り上げられ方は、情報発信のあり方として理想的でもあると思います。MICEにも積極的に取組み、国際的な学会の開催等も本市は誘致活動を行っていますが、権威ある科学雑誌などに取り上げられれば、より効果的な誘致活動も可能になるはずです。報道に対する全市的な意識不足の指摘もありましたが、個別の政策が局横断的にどう影響を与え合うのかという、政策の流れを把握することも重要ではないでしょうか。その上で、文化観光局の決算審査でも申し上げましたが、どういったメディアで、どういう形で報道、掲載されたいのかということ。また、どのレベルまで政策の内容、取組みの質を高めれば、報道価値が高まるのかと行った事を、戦略的に描き、報道と広報の連携を進める必要があるのではないでしょうか。
そこで、これまでの課題を踏まえ、

(2)報道機関に対する情報発信について、どのように取り組んでいくのか、副市長に伺います。

答弁⇒計画的、戦略的な情報発信が重要で、今年度から政策局報道担当と市民局広報課双方に兼務辞令を発令し、一体的な取り組みを実施。シティプロモーションを担う文化観光局や各事業の所管課と連携を深め、情報発信を推進中。その手法や媒体、時期や効果等について検証し、PDCAサイクルを回している。職員一人一人の意識も高めて、積極的な情報発信につなげる。

報道と広報、そしてプロモーションの各部門が連携を深め、今後、横浜市の存在感や価値がより一層高まるような取組を推進するようお願いします。

5 横浜市国際交流協会について
最後に、先日の総合審査で党として取り上げた外郭団体の保有資産等について質問したいと思います。
政策局所管の団体は、公益財団法人横浜市国際交流協会ですが、団体が発行している「平成23年度事業報告書・決算書」を確認しました。
この団体は、公益財団法人として、「多文化共生のまちづくり事業」、「人材の育成・市民活動の支援事業」、「国際協力の推進事業」を行っているとのことですが、収支決算書をみると基本財産等の資産が一定額あることがわかります。
市自体の財政状況が厳しい中で、

(1)団体の資産を活用して、本市の負担を減らすことは考えられないのか、伺います。

答弁⇒予算編成の中で、運用する資産の精査等を進めていく。

次に、市からの無利子貸付金についても確認したいと思います。
横浜市国際交流協会も当該貸付金があると聞いていますが、

(2)横浜市国際交流協会への貸付金の額はいくらなのか、伺います。

答弁⇒23年度決算時点で3,800万円。

これについても、貸付金ですので返還されるものと思いますが、

(3)早期に予定はあるか等返還について、伺います。

答弁⇒第3期「協約」において、25年度末までに、貸付金の50%、1,900万円以上を返済する旨を定めており、24年度予算にはその内1,700万円を本市歳入として計上。残額についても、早期全額返還に向けて取り組む。

Post comment