札幌都心部子ども関連複合施設、視察報告。

2013-10-24 01:54:21 | カテゴリ:活動報告


札幌都心部子ども関連複合施設
10月23日(水)からの3日間は、所属する常任委員会「こども青少年・教育委員会」の行政視察を行っています。初日(23日)は、「札幌都心部子ども関連複合施設」を訪れました。この施設は2004年に完成し、札幌市立資生館小学校、資生館ミニ児童会館、札幌市しせいかん保育園、札幌市子育て支援センター、の4施設が併設されています。

元々は4つの小学校の統合に端を発しています。都心部のドーナツ化による、4つの小学校(創成小、大通小、豊水小、曙小)の児童数減少が課題になり、学校統廃合による適正規模化として、資生館小学校が生まれることになります(旧創成小跡地)。一方では札幌市も横浜市同様、子育て施策に課題を抱えていました。そこで都心部という立地を活かし、「子ども」をテーマに、0歳〜12歳を対象とした複合施設を建てることとなります。

札幌都心部子ども関連複合施設

複合施設には、4つのコンセプトが掲げられています。

(1)相互交流:自然な交流が生まれるように、1階に広い共用の空間・交流ラウンジを設けた。
        世代間の交流を図る活動を授業や学校行事にし、複合施設で学ぶ事を実感してもらう。など

札幌都心部子ども関連複合施設

(2)開放:地域に開かれた施設にするために、外部から施設内を伺うことができる構造。
      統合4校のメモリアルホール・交流ホールの設置。
      将来的な見通しに立った、特別教室の配置(家庭科室や視聴覚室を2階に配置)。 など

札幌都心部子ども関連複合施設

(3)環境:グラウンドの芝生化や、太陽光発電システムの設置。
      日照問題への配慮のためのセットバック方式。街並にフィットする地割りモジュールの導入。
      バリアフリー、エレベーター設置、身障者用トイレ。 など

(4)安全:内部、外部の徹底した可視化と吹き抜け構造。
      管理防災室と、警備員の常駐。監視カメラ10台設置。入館証の着用。 など

札幌市立資生館小学校
資生館小学校は、児童数約600名で、学級数が22(内特別支援4)、職員数50名となっています。教室と廊下の間には仕切りが無く、オープンな環境が用意されています。札幌市で新たに建設される学校は、現在全てがオープン型の普通教室になっているといいます。その目的は、授業力の向上です。1学年に3クラスあり、それぞれに担任が居るわけですが、教室が壁で囲まれていると、1クラス1担任になります。しかし壁を無くし、オープンにすれば、3クラスに3人の担任が居るという形になり、それぞれがクラスを行き来し、子ども達の特徴をよく把握し、先生同士も助け合いながら、授業をより良くしていると言います。

札幌都心部子ども関連複合施設

また、他学年との交流の機会も生まれやすくなる仕組みもつくられ、高学年の児童が低学年の児童の面倒を見て、低学年の児童が高学年の児童を頼るという関係が生まれていると言います。例えば給食は基本的には教室で食べますが、他学年との交流のための「ランチルーム」が設けられていて、5年1組と2年1組の児童が一緒に食事をする、という取組みもあります。また給食室では1,200食が毎日作られています。児童数より多いのですが、残りの約600食は近隣の中央小学校に配送するという、親子方式での調理が行われていました。

資生館小学校の取組みで面白かったのが、朝の図書館開放です。地域柄があり、朝7時過ぎに登校せざるを得ない児童がいるため、そうした子ども達は図書館で決められた登校時間まで、自主的に図書館で本を読みながら過ごしているといいます。他の学校では取組みがなく、学区内に「すすきの」を抱えていることが、子ども達の環境に影響を与えているといいます。この立地上の課題は、統廃合から続くスクールバスの運営にも影響しています。バス通学で一番遠い子どもは、2.3km離れた所から通っています。とは言えこの距離は、一般的には徒歩圏内となります。なぜこの資生館小学校ではスクールバスが出るかといえば、「すすきの」地域を歩いて通学させるわけにはいかない、という配慮があって続けられています。事業仕分けにより当初より本数は減ったと言いますが、決まった時間に、決まった方面に、バスがでるようになっています。バスによって安全性は保てるものの、決まった時間に帰らなくてはならないため、放課後の活動時間が限られてしまう、という課題もあると言います。

資生館ミニ児童会館
ミニ児童会館は、放課後児童の預かりの場で、札幌市内各小学校に設置されています。原則、当該小学校の児童だけが利用可能で、無料となっています(1〜3年生の児童クラブ登録者は保険料1,350円)。札幌市では数年前に学童保育が廃止され、児童会館とミニ児童会館の2種類が、放課後児童の預かりとして機能していると言います。ミニは学校内ですが、独立した「児童会館」もあり、児童会館は高校生までの子どもが誰でも利用できる施設となっています。資生館ミニ児童会館には、専門指導員や児童指導員などの職員が5名は位置されています。利用時間は放課後〜19:00で、1日あたり約110名の児童が利用しています。ミニ児童館に関しても、帰宅用のバスが出ています。

資生館ミニ児童会館

しせいかん保育園
昼型保育は7:00〜18:00、夜型保育は10:00〜22:00となっていて、定員はそれぞれ90名と30名。合計120名の乳幼児併設園(0〜5歳児)となっています。職員は園長や保育士、看護師、栄養士等含めて36名。

子育て支援センター
「誰もが安心して子どもを育てることができる社会へ・・・子育て支援都市「さっぽろ」の実現」を掲げて、取組まれています。13名の職員が配置され、プレイルームや乳児室、講義室に図書・情報コーナーなどが設置されています。私たちが訪れた時にも20組前後の親子が利用されていましたが、1日に約50組の利用があるそうです。開設時間は9:00〜17:00となっていて、事業としては調査、企画、情報提供、相談、子育て交流、子育て支援者の育成(短大・保専の実習生の受け入れなど)が行われています。区役所の子育て支援係、保育・子育て支援センター、地域の子育てサロン、子育て支援団体、保育所、幼稚園と連携した取組みが行われているといいます。

資生館子育て支援総合センター

こうした4施設が併設されている強みを活かしていて、小学生が赤ちゃんと接する機会を設けるなど「次世代交流事業」や、保育園と小学校の連携をして小1プロブレムの解消を行ったり、4施設合同で行うイベント「しせいかんっ子広場」が行われたりと、様々な連携事業が行われ、世代間交流が促進されています。

札幌都心部子ども関連複合施設

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