健康福祉局の予算審査を、3月7日に行いました。健康福祉局は一般会計で約3900億円、特別会計で約6370億円もの予算が計上される、非常に大きな事業規模のある局です。また、特別会計は、国民健康保険事業、介護保険事業、後期高齢者医療事業などであり、国の施策に大きく影響される事業を抱えている局でもあります。予算審査において、みんなの党の持ち時間は25分。その時間を使っていくつか質問を行いました。最初に「地域におけるケア」という視点で質問させていただきました。
ケア人材の確保について
介護等ケアの現場では人出が足りないというのが、長らくの課題でもあります。各所で指摘されていますが、給与の低さが確保の難しさにつながっている側面もあり、就労環境の問題が大きいと考えます。実際、介護福祉士の資格を有していても、介護職に就労していない人も多いといいます。そこでケアの現場で働く方々の就労環境の改善を横浜市がどう考え、取り組むのか質問をしました。横浜市としても同じ課題を認識していて、介護保険制度の課題として国に要望を行っていくということでした。
また、人材確保のためにインターネットでの求人サイトや、中高生向けの事業が計上されていました。この求人ページは月に2,000件しかアクセスが無く、同線も分かりづらく、横浜市経済局が取り組んでいる求人サイトとの十分な連携もなく、2009年で更新が止まっている事業者があるなど、問題がありました。横浜市としては、情報の更新と、他の就職支援窓口との連携を深めていきたいという答弁でした。中高生の部分に関しては、地域全体でケアに対する理解を深めていくには、小学生から高齢者や障がい者に接する機会を設けて、ケアを身近で当然の子行為にしていくことが重要だと考えています。横浜市としても、同様の認識で、施設や事業者と協力できるよう働きかけていくということでした。
高齢者や障がい者の地域での把握と災害時の救援体制について
近年、ひとり暮らし高齢者の問題、特に孤独死の問題などが注目されています。横浜市も取組を始めています。その中で、24年度予算に「ひとり暮らし高齢者「見守り」推進」事業と、「災害時要援護者支援」という事業が計上されました。見守り事業は、民生委員さんと地域包括支援センターに横浜市が、75歳以上の単身高齢者の情報を提供し、必要なケアを行う取組。災害時要援護者支援は、災害時に自力で避難できない高齢者や障がい者の避難支援などを行うために、本人の同意に基づき、個人情報を自治会・町内会で共有していく取組です。両取り組みは、対象者や、個人情報の共有方法が異なります。とはいえ、災害時は一刻を争いながら救援、安否確認が行われます。非常時に迅速に人命を守れる取組を行うよう要望をし、横浜市も障がい者団体や自治会・町内会と協議を進めていくということでした。
介護ボランティアポイント制度について
次に、「介護ボランティアポイント」を取り上げました。65歳以上の方が登録を行い、介護施設などでボランティア活動を行うとポイントがもらえ、換金や寄付が行えるという制度です。277施設で受け入れがあり、約5,700人の方が登録しています。ボランティア活動の経験が無かった人のきっかけになっていたり、社会参加や健康維持につながる取組となっています。私の前段の質問では、人材不足を取り上げています。職業としてケアを行う方が足りなくても、ボランティアの方との協力を促進できれば、人材不足の解消にもつながります。また、現在は介護に限られていますが、他の自治体では子育てや障がい者ケアにも対象を広げているそうです。ボランティアでの活動が活性化し、範囲を拡大できれば、最終的には行政が担っている現場作業などを削減することも可能になります。そういった視点を踏まえて、対象領域の拡大や寄付対象の拡大を要望しています。横浜市としては、アンケート調査を実施したりしながら、検討していくということでした。
地域ケアプラザと横浜市の既存施設活用の考え
最後に地域ケアプラザのあり方について質問しました。上述の「地域で見守り」事業では、民生委員と地域包括支援センターが情報を提供される活動主体となっていました。包括支援センターは地域ケアプラザに設置されていますが、そのケアプラザは現在128カ所が整備され、新規に5カ所が整備予定で、12カ所が整備のメドが立っていません。未整備地区では 周辺の地域ケアプラザや特別養護老人ホーム併設の地域包括支援センターが分担しているということですが、 センターにとっては対象エリア・人口が多くなり、民生委員は遠くまで足を運ばなくてはならなくなるなど、負担が大きくなる側面もあるといいます。昨年の事業評価会議では、コミュニティハウスや地区センターなどとの施設利用のあり方を検討しました。ケアプラの担っている機能は重要ですが、ケアプラザ以外でも地域活動や交流が行われているのも実情です。財政状況の厳しい中、新しい建物を作るために、土地を買ったり、建てたりする予算を大きく確保している場合ではありません。活動交流拠点や包括支援センターといった機能を、ケアプラザというハコにとらわれず、空き店舗やコミュニティハウスなど既存施設を活用して展開するような柔軟な取組みも重要と考え、横浜市の考えや今後の取組を質問しました。横浜市としては、コミュニティハウスと市民利用施設部分の共用によるコンパクトな整備手法、エリア内の既設コミュニティハウスを活用したケアプラザの整備手法、民間活力の活用手法、などを検討していくということでした。
まとめ
東日本大震災から1年が経過しました。災害時などいざという時には地域の、隣近所の関係が非常に重要な役割を果たします。そのため今回は最初に「地域におけるケア」という視点で質問をしました。ケアの現場では人手が足りないというのが、長らくの課題でもありました。横浜市ではボランティアポイントという制度で、担い手を増やす取り組みをしています。ひとり暮らし高齢者の見守りや災害時要援護者支援事業を自治会・町内会、民生委員、包括支援センターなど、地域にある組織等でケアしようという事業も行われています。局をまたげば、子ども青少年局では、地域での子育てや、地域での青少年育成も行われています。横浜市の様々な既存事業を見直し、活用し、連携できれば、それぞれの取組が補完しあえるのではないかと考えます。
ケアという視点以外でも、様々な地域活動、ボランティア活動も行われています。以前より、ソーシャルキャピタル、社会関係資本の重要性も指摘されてきました。様々な方が地域を良くしよう、住みよい環境を作ろうとしています。地域のつながりやネットワークによるソーシャルキャピタルの醸成により、強い地域が形成され、地域福祉の向上につながることも指摘されてきました。そうした中で、行政の都合でそういった取組、つながりを分断してしまうことが無いようにしなければと考えます。
また、ボランティアでケアをはじめとして、地域の課題に取り組む方が増えていけば、職員を減らして行政を小さくできると考えられます。横浜市も特別自治市という形で、地方分権を推進しています。実現の先にあるのが、行政主体の自治ではなく、地域主体、住民主体の自治になっていくよう、取り組んでいきます。
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