情報発信による地方創生。サガプライズ!視察報告。

2016-10-27 01:08:36 | カテゴリ:活動報告


サガプライズ

10月25日は、所属している常任委員会「市民・文化観光・消防委員会」の視察で、佐賀県議会を訪れました。視察の目的は、「情報発信による佐賀県の地方創生の推進」を目的とした事業「サガプライズ!」について、その取組を伺うこと。

佐賀+サプライズ=サガプライズ!

サガプライズ!は、企業・ブランドとコラボレーションを行い、佐賀県の魅力を全国に発信するとともに、佐賀県の地域資産を磨き上げ、コラボから得られたノウハウを地域にフィードバックし、情報発信によって佐賀県の価値向上を目指すものです。東京の南青山には、佐賀県の「サガプライズ!プロデュースオフィス」を構え、県職員4名が常駐しています。サガプライズは東京での情報発信だけでなく、東京などの企業やブランドとコラボレーションを行っているので、そうしたコラボレーションを促進するために、都内に事務所を構えていらっしゃいます。

サガプライズの事業手法は、(1)企業・ブランドと手を組むことで、行政の施策に「マーケットイン」の視点を取り入れ、佐賀県の魅力ある資産のブラッシュアップを行う、(2)コラボレーションを通じて、商品開発や新たなターゲットとの接点づくりを行い、メディア露出を増やし、佐賀県の話題作り、ファンづくりにつる、(3)情報発信によって生み出された話題やファン獲得の手法を地域にフィードバックして、地域の魅力づくりを加速させる、という3つからなります。

行政が県外向けにプロモーションを行おうとすると、どうしても「自分たちが売りたいモノ」を発信するようになってしまうところを、(1)のマーケットインの視点を取り入れることで、第3者の目線から、企業や消費者からみた価値ある、欲しいと思うものを、発信し、開発することができるようになると言います。また、(2)については、例えばゲーム作品とコラボすることで、既存のゲームファンに佐賀県をアピールすることができるので、効率良くプロモーション効果を得られると言います。

年間予算は1億8000万円。そのうち2000万円は東京のオフィスに係る費用で、残りがコラボに係る費用ということでした。事業の成果指標としては、(1)広告換算額と(2)県内事業者と年間60件の連携を行うことが目標とされています。2015年度は20億円近い広告効果があったと算出されていました。

代表的なコラボ実績

これまでの企業・ブランドとのコラボ実績として紹介されたのは、スクエアエニックスとの「ロマンシング佐賀」、任天堂スプラトゥーンとの「Sagakeen(サガケーン)」、TVアニメおそ松さんとの「さが松(まつ)り」、アフロマンスとの「GATA-BAR(ガタバー)」の4つ。その他にも、ゼクシィ、BEAMS、森永製菓、宝島社など多くの企業・ブランドとの連携実績がありました。

コラボレーション企画には語呂合わせだったり、なんらかの佐賀とのつながりを見つけだしながら、企業へ企画提案を行うということが行われています。「ロマンシング佐賀」は、1989年にゲームボーイソフトとしてリリースされた「ロマンシング・サガ」という作品シリーズに、「実はサガは佐賀なんじゃないか」というネットの噂があり、それを元に企画。スプラトゥーンはイカがモチーフのキャラクターが主人公のため、佐賀県の名物「呼子のイカ」との関連で、コラボを実現しています。

コラボレーションは、記者発表の段階から戦略をもって取り組まれ、yahoo!ニュースやTwitterなどSNSでの情報の拡散量、Webサイトのアクセス数などについての数字を把握しながら展開されます。具体的なイベントは、まず首都圏から展開。作品に関する有田焼の出店や、佐賀県食材を使ったオリジナルメニュー、佐賀県の技術でつくったオリジナルグッズの販売などを、六本木ヒルズや、東京タワーなどを会場に行います。都内などでのイベントによって話題作りを行った後、プロモーションの場を佐賀県に移していきます。佐賀県内では、スタンプラリーやイベントをかけ合わせることで、「おそ松さん」目当ての人も、「スプラトゥーン」目当ての人も、合わせて観光地巡りをしながら、地域経済の活性化につながるよう、組み立てられています。

こうした取組で、「ロマンシング佐賀」なら、六本木ヒルズでのイベントに、当初3日間で3,000人を予想していた来場者が、予想の倍以上の7,000人。「Sagakeen 呼子のイカすフェス」では、人口5,000人弱の港町に、2ヶ月間で13,577人のファンが来場。「さが松(まつ)り」では、唐津市内のさが松マートには、約1ヶ月の期間中に20,926人のファンが来場。「有明海の干潟」を使った潟泥のプールを南青山で10日間「GATA-BAR」として開催した時は、期間中に約200名の方が、プールに浸かり、Twitterでは4560件、Instagramでは100件の投稿あったといいます。

重要なのは「本気と情熱」

企業やブランドとのコラボレーションを実現させてきた中で培われた、コラボをする上での工夫など注力ポイント4点が示されました。

(1)コラボ先の企業と本気で行う。委託事業の延長では無く、双方がメリットを持ってwinwinの関係でコラボを実施すること。
(2)県庁が単独で実施するのではなく、県内企業や県内団体と一緒になってコラボを仕上げていく。また、盛り上がる時も県内メディアへの情報発信を行い、県民と一緒になって盛り上がることがポイント。
(3)県の担当者がコラボする相手の商品やコンテンツを徹底的に勉強したうえで、情熱を持って実施すること。
(4)コラボ先は民間企業の為、スピード感が必要であり、情報発信の時流やトレンドを逃すことなく実施すること。

横浜市であれば、立地面でも、企業等の周辺環境の面でも、こうした企業・ブランドとの連携というのは、佐賀県よりも、より行いやすい環境にあります。横浜市では「共創推進」が取り組まれ、企業から提案を受けた事業などを公民連携で行っている事例も多々あります。ただし、その事例が佐賀のように全国と横浜を結びながら、地元経済にフィードバックを行う内容かと言えば、まだまだ課題が大きいと感じます。一部の共創事例では、職員が粘り強くアプローチを行ったというものもありますが、属人的なものではなく、組織的にそうしたアプローチを行えるようにし、本気で臨み、情熱を傾けていける体制づくりが重要だと感じました。

藤崎浩太郎

佐賀県議会

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