国際局の費用対効果に、多文化共生推進に。平成29年度決算審査。

2018-10-18 23:25:27 | カテゴリ:活動報告


10月16日(火)、横浜市会平成29年度決算第一特別委員会におきまして、国際局の審査を行いました。

1.国際局創設から3年間の評価
2.世界を目指す若者応援事業
3.多文化共生推進事業
4.海外事務所
5.広報
6.国際機関との連携

という6項目について、答弁を求めました。

以下、質問の原稿と答弁のメモです。
(※議事録ではないので、実際の内容とは若干言い回し等が異なります。)
=============================

1 国際局創設から3年間の評価

近年、環境問題や災害対策など、様々な地球規模の課題が生じています。さらに、都市への集住に伴い、途上国や新興国等の多くの都市が共通の課題を抱えています。

国際局が創設され3年が経過しました。赤岡局長は就任1年目ですが、これまでのキャリアの中でも、海外との連携や誘致などに取り組む仕事をされてきました。局長のキャリアを活かした手腕に、期待するところでもあります。

都市の時代と言われて久しいですが、横浜市は「国際戦略」を策定し、海外諸都市との連携や国際機関との協力を通じた施策、多文化共生の取組などを推進してきたと思います。そこでまずは、

質問1 国際局創設からこれまでの3年間の評価について、局長にお伺いします。
答弁1 国際局の3年間は、前の中期計画の2年目から4年目までとちょうど合致するわけでございますけれども、その中期4か年計画の中で、例えば海外諸都市との連携事業数ですとか、企業への情報提供・合同調査の件数等、それぞれ目標値を上回るような実績をあげてございます。また、主なトピックスを振り返ってみましても、国際戦略の策定、戦略推進本部の設置、TICAD7の誘致決定、Y-PORTセンターの設置など、それぞれ成果があがっているものと考えております。

国際局創設4年目を迎え、「世界とともに成長する横浜」の実現を目指して、これまで以上に取組を進めていってもらうことを期待し、次の質問に移ります。

2 世界を目指す若者応援事業

次に「世界を目指す若者応援事業」について質問します。本事業は、「世界で活躍する若者の育成に役立ててほしい」という横浜市にゆかりの深い方からの寄付金を原資として設立された「横浜市世界を目指す若者応援基金」を活用して、平成26年度から、国際社会を舞台に活躍を目指す市内在住・在学の高校生の海外留学を支援している事業です。

事業の原資である「世界を目指す若者応援基金」については、当初の寄付金に加え、「横浜サポーターズ寄附金」の1メニューとして、広く個人、企業・団体の方々から寄附を募っています。そこで

質問2 平成26~29年度の寄附額を副局長に伺います。
答弁2 年度ごとに申し上げますと、26年度は、35万5千円。27年度は、92万5千円。28年度、138万5千円。29年度、119万5千円でございます。

本事業にご寄附いただいている方々は、個人、企業を問わず、「次代を担う高校生の留学を支援したい」という思いをもたれていると思います。ご寄付頂く以上は、本事業を活用して留学した高校生の成果をしっかりと知っていただくことが必要だと考えますが、

質問3 留学の成果を寄附者にどのようにフィードバックしているか副局長に伺います。
答弁3 留学報告書をホームページで広く公開しているほか、毎年3月に、留学体験や成果を発表する帰国留学生の報告会にご招待し、留学生との交流会を実施しております。また、毎年秋に開催されますアジア・スマートシティ会議に帰国留学生がアシスタントとして参加しまして、寄附をいただいた企業の皆様と交流しております。

報告会で、留学生の体験、成果を直接お聞きいただいたり、アジアスマートシティ会議で、一部の企業に、留学で培った語学力などをアピールしたりすることは、大変良いフィードバックであり、ぜひ続けていただきたいと考えます。

一方で、本事業の課題としては基金残額の漸減と寄付金確保だと、当局として認識されています。ご寄付を頂くにも、事業の理念だけでなく、その成果を、具体的な物語としても捉えていただけるような工夫をし、理解を深めて頂く必要があると考えます。すでに事業開始から5年目となり、間もなく社会人になる留学生もいるでしょうから、留学経験がその後彼らにどんな影響が出て、結実していっているのかを、ご寄付をお願いする際に、伝えられるようにしていくことが重要ではないでしょうか。そこで、

質問4 留学生の帰国後も、息の長いフォローが必要と考えますが、局長の見解を伺います。
答弁4 留学生の帰国後のフォローは、その活躍を若い世代に伝えることで勇気づけるというような効果もございますし、先生おっしゃったように、寄附をされた方に次の寄附への意義を感じていただく効果もあると思っております。そのため、例えば同窓会の実施ですとか、その同窓会に企業の方にも来ていただくとか、あるいは寄附企業と卒業生・留学経験者の交流ですとか、企業訪問などを実施してまいりたいと考えております。

高校生の海外留学を通じて国際的な人材を育てていこうという本事業は、国際都市横浜にふさわしい事業であり、一層のご尽力を要望しまして、次の質問にうつります。

3 多文化共生推進事業

次に、多文化共生推進事業について、伺います。横浜市においては、2019年をピークとする人口減少が見込まれているとともに、少子高齢化社会の進展により、すでに生産年齢人口は減少している状況にあります。一方で近年、市内在住の外国人は増加し、2017年末時点の外国人人口は9万人を超え、現在では10万人が見えてきています。

また、国の「外国人材の受入拡大」により、今後、一層多くの外国人が我が国で働き、生活することになると見込まれます。外国人を円滑に日本社会に受け入れていくためには、外国人と、外国人を受け入れる地域社会が共に安心して暮らしていける相互理解やまちづくりが必要であり、それを実現するための多文化共生の取組は一層重要になると考えます。

18区毎に居住、就労する外国人の数や、その言語、宗教などは多様ではあるものの、区毎で異なる情報と、共有できる情報もあると考えます。南区が本年8月から、来日直後の外国人市民向けに配布を始めた多言語の冊子「南区生活のしおり」を見ましたが、住居や交通ルールなど、来日直後の外国人に必要な知識などが多言語で紹介されており、非常に良くできているという印象を受けました。

こうした冊子を雛形として、各区で同様な資料を用意できた方が良いと思いますし、区内に1人、2人しかいない少数国籍の外国人に対しても、それぞれの言語にアプローチできて、対応が可能なようにしておいたほうがいいと思います。そのためにも、各区で制作された多言語化の資料を、国際局が中心となって一元的な管理ができるようにしたり、もしくは資料データを公開して、誰でも活用できるようにしたりする方が良いのではないかと考えますが、そこで、

質問5 多言語の情報提供における各区の取組の連携について、局長に伺います。
答弁5 ごみの分別など、全区共通のものについては所管局がそれぞれ作成して配布しているわけでございますけれども、先生おっしゃるように地域や在住外国人の特性に応じて各区が独自に作成しているものも数多くございます。そういったものにつきましては、必ずしも全区で統一で使えるとは限りませんけれども、関係の課長会で共有するとか、庁内のイントラネットで掲示するなど、情報共有を図っているところでございます。

市内在住の外国人人口の増加傾向に対して、それらの外国人への、多言語での情報提供や相談の窓口となる国際交流ラウンジは、現時点で11か所に留まっています。

国際交流ラウンジは、比較的小規模な機能であるため、ラウンジ単体で建設・整備するのは現実的ではないかもしれませんが、現在、本市においては、厳しい財政状況の見通しのなかでも、必要なサービスを持続的に提供する手法の一つとして、公共建築物の建て替えや新設にあたり多目的化・複合化を進める「公共建築物の再編整備の方針」が策定されたところです。

今後のラウンジ機能のニーズ拡大も見据え、建替えなどの機会も活用しながら、ラウンジの新設や再整備に向けた議論を活性化していく必要があると考えます。そこで、

質問6 公共建築物の再編整備の機会を捉えた国際交流ラウンジの新設や再整備が必要と考えますが局長の見解を伺います。
答弁6 これまでも、地域のニーズですとか、サービスの提供体制の状況に応じまして国際交流ラウンジを設置してきたわけでございますけれども、必ずしもコストだけではなくて、単独で設置するよりも、様々な市民とふれあえるような場所に設置することも、また大事だと思っております。そういう趣旨で、今後も、公共建築物の再編整備に合わせた、またそれも含めた、様々な整備手法も検討してまいりたいと思っております。

災害時の外国人支援に関しては、先月の大阪における台風被害や、北海道胆振東部地震(ほっかいどういぶりとうぶじしん)等において大きな課題となりました。本市においては、震度5強以上の地震が発生した際、本市との協定に基づき、横浜市国際交流協会YOKEに、外国人震災時情報センターを設置し、在住外国人への支援を行うことになっています。

地域防災拠点に避難した外国人から要請があった場合「通訳ボランティア」を派遣することも、センターの役割の一つとされていますが、発災時には通訳ボランティア自身も被災者となる可能性があり、通訳ボランティアを円滑に手配することは、想定しているよりもかなり困難性が高いのではないかと考えます。

現在、約120人が震災時の通訳ボランティアに登録しているとのことですが、例えば登録人数を拡充するとか、登録者が地域ごとに偏りが出ないように確保計画を策定する、といった工夫が必要ではないでしょうか。そこで、

質問7 震災時に通訳ボランティアを確実に手配できるように体制整備を進めるべきと考えますが局長の見解を伺います。
答弁7 先生からご紹介いただきました震災時の通訳ボランティアの派遣制度、こちらについては、もちろん数の確保もそうですし、柔軟に各区に配置できるような体制の整備も必要だと思っております。また一方で、被災直後は、現場はかなり混乱をいたしますので、そうした場合は「関東地域国際化協会連絡協議会災害時における外国人支援ネットワークに関する協定」というのもございまして、広域的な連携・支援についても活用してまいりたいと考えております。

震災など発災時の対応には、まだまだ課題があるのではないかと思います。横浜市防災計画震災対策編でも、外国人の記載はありますが、一節分で、記載のボリューム感としてはおよそ1ページ分程度の分量となっています。健康福祉局の災害時要援護者支援ガイドでは、障害者や高齢者、乳幼児・妊産婦等と並んで外国人が位置づけられていますが、日本語に対する課題が示されているだけであり、外国人高齢者とか、外国人妊産婦とか、外国人であり、かつ災害時要援護者の方々に対して、どのように対応していくのか、まだまだ課題ではないかと考えます。そこで、

質問8 震災時の外国人支援についての局長の課題認識と、今後の取組について局長に伺います。
答弁8 先生おっしゃるように外国人でありながら、またその他のハンディキャップを抱える方もいらっしゃると思います。この件に関しては、まず一番大事なのは、日本語が分からないだけではなく、地震そのものを知らないという方もいらっしゃると思いますので、まず事前の広報・啓発が重要と考えます。そして、いざ発災した場合は言語面での支援や正確な情報提供が必要だと思いますし、何よりも平常時も災害時も共に助け合える多文化共生意識を醸成していくことが一番大事だと考えてございます。

全庁的には、総務局危機管理室をはじめ、災害時の広報等を中心的に担う市民局など、局間の連携が必要です。そこで、

質問9 総務局危機管理室と国際局等の連携による対応が必要ですが、今後どのように対応するか、副市長に伺います。
答弁9 今後、市内におきましては、在住外国人の方、あるいは外国人観光客の方が増えていくことが想定されている中ですので、まずは、先ほど局長がお答え申し上げましたとおり、災害対策本部や地域防災拠点に派遣いたします災害時通訳ボランティア制度を危機管理室と連携して改善・拡充をしていくことを図ってまいります。また、今後新たな中期計画で、外国人などに対する地域での自主的な支え合いの取組支援の充実というものを掲げておりますけども、これにつきましては、先生がおっしゃいますとおり、発災時の情報提供における言語の壁といった課題だけではなくて、日本人市民同様、医療・福祉・教育といったような生活面での課題も抱えていくことになりますので、これは危機管理室だけではなくて、健康福祉局、医療局、その他市民局など関係区局が連携いたしまして、防災対策の充実を図るために効果的な対策を今後とも検討して、実施に移していきたいと考えております。

外国人材の受入拡大に向けた環境整備を着実に進めていくために、本市では外国人意識調査を行ってきており、評価できることだと考えますが、平成25年度以来実施されていません。言語や文化の異なる多くの外国人が何に困っていて、どのような支援を必要としているのか、また、地域社会にどのように係わっていきたいのか、そういった意識を正確に把握していくためにも、調査の再実施が必要だと考えます。

同時に、日本人側の外国人受け入れに向けた意識や、外国人の増加により不安に感じていること、多文化共生に対する理解がどの程度進んでいるのか、などという点についても把握する必要があると考えます。そこで、

質問10 外国人意識調査の再実施と、日本人側の意識調査が必要と考えますが、局長の見解を伺います。
答弁10 外国人意識調査は、過去21年度と25年度に実施しておりますけれども、それぞれ例えばリーマンショックですとか、東日本大震災とか、大きく外国人市民の意識が変わるようなものがあった時を捉えて、肌感覚で変わったなという時に実施しております。そういった意味で、定期的にというよりも環境の変化等を踏まえて、必要な時期を見極めてきちんと実施してまいりたいと考えてございます。また、日本人側の意識調査も、地域における外国人の数ですとか、国籍等によっていろいろ違いがあると思いますけれども、外国人が急増した地域等で聞き取り調査などを実施しているところでございます。

外国人と日本人のそれぞれのニーズを聞き、お互いにどのような点に不安を感じているのか、どのような点を改善すれば共生への理解が進むのか、そういった点をしっかりと把握することが重要です。

多文化共生への理解が進まない状態が放置されてしまうと、ヘイトスピーチの問題など、外国人排斥の動きなどにつながりやすくなり、また、外国人を、社会を構成する一員としてではなく、労働力としか捉えない風潮も生まれやすくなってしまうのではないでしょうか。広報よこはまの人権特集などでは、多文化共生の取組の紹介を行っているようですが、日本人と外国人の相互理解の実現に向けては、啓発の充実が必要と考えますし、とりわけ受け入れる日本人の側による多文化共生への理解についても、一層深めていく必要があると考えます。そこで、

質問11 多文化共生への日本人の理解を一層深めていくことについて、局長の見解を伺います。
答弁11 新たな中期4か年計画2018~2021の中で、政策4「グローバル都市横浜の実現」のなかで「市民の多文化理解や国際感覚醸成も進めながら、日本語支援や地域コミュニティとのつながり支援等により、在住外国人との多文化共生を一層推進する」としてございまして、当局といたしましても全力で取り組んでまいります。

多文化共生社会の実現に向けては、日本語学習や多言語対応、教育、医療、福祉など様々な分野での取組を具体的に進める必要があります。市内で最多の約16,000人の外国人が暮らす中区では、職員プロジェクトにより「多文化共生アクションプラン」を策定し、区役所ならではの視点で、区における外国人対応力の強化に取り組んでいます。

多文化共生のまちづくりを掛け声だけにせず、実践的な取組として進めていくためにも、このようなアクションプランを全庁的に展開し、各区局の役割を明らかにして、目標年次を定め、庁内横断的に進捗を把握していく必要があると考えます。そこで、

質問12 多文化共生のまちづくりに向けた具体的な進め方についてどのように考えているのか局長に伺います。
答弁12 具体的な進め方につきましても、先ほどご答弁申し上げた中期4か年計画の中できちんと整理してございます。多文化共生の推進につきましては、地域における情報提供や相談対応、日本語支援などを進めながら、つながりを促進する取組を推進、あるいは、東京2020オリンピック・パラリンピックも契機に、在住外国人や留学生の地域・社会での活躍を促すため、ボランティア育成等を進める、ということとしております。また、各区で独自に取り組む事業についても、支援してまいりたいと考えております。

2016年に議員有志で視察を行った、ドイツ・ハンブルグ市にある「クロスターシューレ」という学校では、小学5年生相当の子どもたちに、キリスト教、イスラム教、仏教など、すべての宗教について学ぶ授業を設け、それらを学ぶことで異なる文化などへの相互理解と社会的包摂への考え方を身に着ける取組を進めていました。

移民や難民をどうやって自国の社会に統合し、包摂していくのかという難しい課題に向き合い、乗り越えようと、子どもたちへの教育の段階から努力しているドイツの取組は、今後の我が国における多文化共生を考えるうえで大変参考になると考えます。外国人が差別意識や疎外感を持つことのない、真の国際都市・横浜をつくっていくために、多文化共生の取組を着実に進めていただくよう要望し、次の質問に移ります。

4 海外事務所

次に、海外事務所について伺います。生産年齢人口の減少、グローバル化の進展や産業構造の変化が加速する中で、横浜経済を成長・発展させていくには、海外の成長市場や成長産業を横浜に取り込むことが不可欠です。

現在3箇所にある横浜市の海外事務所は、横浜市内企業の海外進出支援、企業誘致や観光誘客の拠点としての役割があり、今年度さらにニューヨークに米州事務所が開設されます。一方で、限られた財源の中で市費を投じて海外事務所を運営していく中では、その活動成果が問われると考えます。まず、

質問13 平成29年度の各事務所の取組実績(企業誘致、市内企業支援)について石川国際政策部担当部長に伺います。
答弁13 各事務所は、置かれている場所の経済状況等をふまえながら、幅広い業務を行っております。その中でも、特に昨年度の企業誘致については、フランクフルトが5件の企業誘致、上海事務所が2件の企業誘致という実績になっております。また、企業進出など経済案件に関する相談件数は、フランクフルトが154件、上海が343件、ムンバイが111件となってございます。

各事務所の人員体制は、上海が4人、フランクフルトとムンバイは各2人と聞いています。比較するとムンバイ事務所では企業誘致の実績があまり出ていないように見えます。また、上海事務所はフランクフルト事務所、ムンバイ事務所と比較してスタッフの人数が2倍ですが、実績の面では必ずしも他の事務所の2倍とはなっていません。数字を見る限りでは、フランクフルト事務所が最も効率的な運営がなされているように見受けられます。そこで、

質問14 人員体制をふまえた各事務所の実績についてどう評価しているのか、局長の見解を伺います。
答弁14 海外からの企業の誘致につきましては、一定の時間を要すること、また事務所単独ではなくて、市の企業立地促進制度や関係する局と連携しながら市全体で総合的に取り組むものと考えております。また、相手国側の社会経済情勢や企業側の事情にも大きく左右されます。企業誘致の実績の数値が必ずしも事務所の人員体制とはピッタリとリンクしないと考えますけれども、企業誘致・進出に向けた相談や面談の件数なども含めまして、総体的に結果を評価しております。

各事務所の実績を評価するにあたっては、単に企業誘致、市内企業支援の件数を比較するだけでなく、一定の期間を区切り、目標設定をした上で、課題の検証や、成果の評価も必要だと考えます。

2月の予算関連質疑において米州事務所の成果の判断について市長に質問しました。そして件数の把握だけでなく、費用対効果の観点から企業誘致の本市への経済効果など、活動成果をしっかり検証していくとの答弁がされました。そこで、

質問15 一定の期間を区切った上で、既存の3事務所の活動成果の検証が必要と考えますが、局長の見解を伺います。
答弁15 先生から御示唆ありましたように、複数年、一定期間を区切った上での評価が大事だと思っておりまして、本市への経済効果など、活動成果をしっかりと検証してまいります。

他の自治体も海外事務所を設置し、それぞれの自治体の売り込みに必死です。このような激しい競争環境においては、既存事務所についても、活動成果を検証した上で、より効率的な投資のための今後の方向性が決まってくると思います。一般社団法人自治体国際化協会の発表では、地方自治体の独自海外事務所は縮小が起こり、一方では業務委託による拠点は増加しています。検証結果の如何によっては、増員や撤退、民間委託など運営方法の変更や、事務所を設置する国・地域の再検討も必要だと考えます。そこで、

質問16 海外事務所について出口戦略が必要と考えますが、局長の見解を伺います。
答弁16 海外事務所につきましては、これまでも世界各地域の社会経済動向や市内企業の関心等もふまえまして機動的に見直しを実施しております。設置、再配置、閉鎖、運営形態の変更なども行っておりまして、引き続きまして、各事務所の成果や周辺環境を鑑みながら、適切・柔軟に対応してまいりたいと考えています。

海外事務所をただ、廃止せよと言っているのではなく、成果が出るならば適切な投資を行えばいいのであって、出ないのであればやめなくてはいけない、ということです。

5 広報

次に、広報について質問します。国際企画・広報事業の平成30年度事業評価書を確認しました。事業内容は、国際広報業務として「SNS等を通じて国内外への情報発信やプロモーションを積極的に展開する」こととし、29年度の実績としては、362件の情報発信を行ったと記されています。

これらの情報発信については、フェイスブックを活用しており、その記事を一年間分とりまとめ、ヨコハマ・インターナショナルダイジェストとして配布しています。内容を拝見して正直なところ、この情報発信が、市民向けなのか、企業向けなのか、それとも外務省やJICAなど行政機関に向けたものなのか、広報のターゲットとして、誰に向けて発信しているのか伝わらないと感じました。国際局の取り組みの記録を残し、公表しておくことは重要ではありますが、それを広報であるとするのか、またはそれを広報していくのかは、また別のテーマであると考えます。

例えば文化観光局では、横浜の魅力づくり、発信を目的に据え、市民や外国人観光客にターゲットを絞り込んでおり、インスタグラムやフェイスブックを活用して、「ビジュアルで横浜を魅せる」ということを情報発信の中心に据えて、多くのフォロワーを増やしています。これと対比した場合、国際局は「何を」、「誰に」見せていくかという点が曖昧であり、根本的な広報戦略が十分に練られていないのではないか、との印象が拭い去れません。そこで、

質問17 国際局の広報のターゲットと発信すべき内容について、副局長に伺います。
答弁17 大きく4つに分けますと、広く市民の皆様には、イベントや国際事業の紹介。企業の皆様には、Y-PORT事業の取組など。大使館、姉妹・友好都市等には、連携事業や周年事業など。国際機関、市民団体等には、国際協力や多文化共生の取組などと考えておりますが、今後とも訴求先を考慮して情報発信してまいります。

事業評価書に記載されている自己評価を読むと、SNSの活用により、市民をはじめ国内外にわかりやすく伝えることができた、と記載されていますが、本当に伝わったかどうか、判断するのは情報の受け手であると考えます。

Facebookでいえば、国際局のページの「いいね」が約500、フォロワー数でも約580と、少ないです。文化観光局のFacebookページ「Find Your Yokohama」が1万1千を超えるフォロワーですから、遠く及びません。またFacebookのフォロワー数なども参考値にはなりますが、どれだけリーチできているのか、どれだけ広報として意図した結果に結びついているのかを測定し、把握していくことが重要です。そこで、

質問18 SNSの活用による情報発信の成果とする目標の設定や、情報が到達し、意図した結果が得られているのかの測定に取り組む必要があると考えますが、局長の考えを伺います。
答弁18 先生おっしゃるように、国際局のFacebookのフォロワーは500くらいにとどまっているわけでございます。観光の情報発信と国際局事業の発信と一概に比べられると、辛いところもございますけれども、個々のページの閲覧数にあたるリーチ数というのも調べてみましたら、年間に10万人近い方に情報が届いているということもございます。今後も、さまざまな指標も参考にしながら、効果的な発信について検討してまいります。

若者応援事業や、多文化共生など、国際局として市民に伝えたいことは数多くあるはずです。事業内容に基づくとSNSの活用ということになりますが、そもそもの何を、誰に、何のために広報するのかによって手段となるメディアも異なりますし、メディア毎に得手、不得手があるわけですから、国際局としての広報戦略のあり方がまず第1に重要になるのではないでしょうか。そこで、

質問19 国際局の広報戦略として今後どのように舵を取っていくのか伺います。
答弁19 海外に向けて横浜をPRすることは、海外から活力を取り込んでいくということで大変欠かすことができないことだと思っております。また、先生にもふれていただきましたように、本市の国際事業の取組内容を発信することで、市民の皆様をはじめとした、関係者の理解につなげていくことも、大変重要なことだと思っております。一方で、若者のFacebook離れとか、媒体についてもさまざまな動きがあるようでございますので、御示唆のありました、ターゲットと媒体と内容、こういったものを加味しながら、積極的に発信を続けてまいりたいと考えております。

ターゲットを明確化し、各媒体を使って、その対象者に訴求する情報や手法を戦略的に選別して発信していくことで、国際局のSNS等のファンやフォロワーをはじめとする受信者が増え、多くの方に確実に届いていくようになると思います。効果的な広報の実現に向けてしっかりと取り組んでいただくことを期待し、次の質問に移ります。

6 国際機関との連携

次に、国際機関との連携についてお伺いします。横浜市は、みなとみらい地区にある横浜国際協力センターに国際機関の誘致・活動支援を行っています。同センターには、ITTO(国際熱帯木材機関)がその本部を構えるのをはじめとして、国連WFP(世界食糧計画)やFAO(国連食糧農業機関)などの国際機関が日本における拠点を構えております。また、日本研究の専門家人材の育成を目的とするアメリカ・カナダ大学連合日本研究センターも入居しております。本市は、開港以来、海外からの文化が流入し、また数々の国際事業を進めてきており、「国際都市」としてのイメージが定着しています。横浜国際協力センターはそうした本市の経験や事業を踏まえた施設であると思います。そこで改めて、

質問20 横浜国際協力センターに国際機関を誘致する意義について局長に伺います。
答弁20 ご紹介にありましたITTOなど地球規模の課題解決に取り組む国際機関を支援するとともに、本市の国際協力事業を推進する意義がございます。そのことを通じまして、世界とともに成長する横浜の実現を目指し、国際社会の平和と繁栄に貢献するという意義があると考えております。

つい先日、10月6日から8日の三連休に、みなとみらい地区のグランモール公園を中心に「よこはま国際フェスタ2018」が開催され、多くの団体、その中には、横浜国際協力センターに入居する国際機関も、参加したと聞いております。横浜市では、この「よこはま国際フェスタ2018」以外にも、国際機関と連携して、様々な事業に取り組んでいることと思いますが、

質問21 国際機関との連携事業の取組状況 について国際協力部長に伺います。
答弁21 平成29年度におきましては12件の取組を行い、延べ10万人以上の方にご参加いただきました。その中には、小学校と連携して小学生が国際機関について学び、ひいては国際人材教育に資する「たずねよう!国際協力センター」、それから横浜市内をチャリティーウォークを通じて歩いていただいて、市外からの集客も見込める「WFPウォーク・ザ・ワールド」、また広く市民の皆様に国際機関の活動をPRする「夏休み!地球市民講座&キャリアガイダンス」など、多様な視点で取組を行ってまいりました。

連携事業を今後ますます強化することで、例えば、横浜市内に拠点を持たない国際機関とも連携事業を行う、あるいは、これまでの連携事業の成果を分かりやすい広報資料としてまとめるなど、様々な工夫を凝らすことで、さらに実りある成果が生まれるのではないでしょうか。そこで、

質問22 国際機関との今後のさらなる連携強化を図るべきと考えますが、局長の見解について伺います。
答弁22 ITTOをはじめ、WFP(国連世界食糧計画)、FAO(国連食糧農業機関)駐日連絡事務所等の国際機関が集積する環境は横浜市の大きな特徴と考えております。また、TICADの横浜開催やY-PORT事業を通じまして、UNDP、UN HABITAT、UNIDO、世界銀行、アジア開発銀行といった国際機関とも連携しております。こうした連携が地球規模の課題を解決し、ひいてはSDGsを達成することにつながると考えておりますので、今後もしっかりと連携を図ってまいります。

横浜市の「国際都市」としての一層の知名度、役割の向上につながるよう取り組んでいただくこと期待します。

次に横浜国際協力センターの運営状況についてお伺いします。先ほど申し上げたように横浜国際協力センターには、国際機関等が入居しておりますが、その一方で、同センター内には入居団体の誘致を進めている誘致促進スペース、要するに「空き床」があるとも聞いております。そこで

質問23 横浜国際協力センターの誘致促進スペースの状況について国際協力部長に伺います。
答弁23 平成26年6月末に、入居されていた国連大学高等研究所が退去されまして、それ以降約910平米が誘致促進スペースとなっております。

質問24 誘致促進スペースの面積は、具体的に市場価格で、どのくらいの賃料が見込めるのでしょうか?
答弁24 国際協力センターは、一義的にはITTOなどの国際機関に無償で貸し出すことを想定しておりまして、そういう意味で現状、仮に賃料を取ってということでの市場価格に基づいて賃料がいくらくらいかという数字は持ち合わせておりません。

賃料について持ち合わせていないということですが、コストとしては維持管理費などで発生しているわけです。確かに国際機関を誘致することで、得られるものがあり、それを期待して無償で貸しているというのはわかりますが、税金で運営されている以上は、コスト意識が非常に重要です。事業評価書を見ると、誘致促進スペースに新規機関を誘致し、施設の活性化や歳入増加を図る、ということが今後の取組として書かれています。歳入増を目的としている中で、空いたままでいるということは目的は達成で期待無い、そしてコストがかかっているわけです。この間営業活動等が行われていると言うことですが、実際は国連大学が退去して以来、4年間に渡って空いたままという状況が続いています。

質問25 この間、人件費も営業活動としてかかってるはずですが、どの程度人件費がかかっているのでしょうか?
答弁25 営業及び国際協力センターの管理にかかる、そこだけを抜粋した人件費は算出してございません。

なかなか難しいテーマだとは思います。国際機関は沢山できるものでもありませんし、急に進出したいとなるものでも無いでしょうから、その中で誘致をするのは大変かとも思います。逆に言うと、4年間空いたままで、その場所から何の価値も生み出せたい無いのが現状です。営業にかかるコストだけ抜き出すのは難しいかもしれませんが、この事業全体では約1,500万円の人件費がかかっているわけです。しっかりとコスト意識を持っていただくことも必要ですし、これからは空いているスペースをいかに有効に活用するかを考えていただかないと、機会損失になっているのではないかと考えます。

質問26 現在の未入居の状況が続いていることに対する認識及び今後の取り組み方について局長に伺います。
答弁26 国際協力センターの成り立ちからも、できる限り国際機関の本部や日本代表事務所の誘致をしていくことが第一の目標にあると思います。一方で先生のご指摘のとおり、なかなか誘致促進スペースが埋まらないということは、機会費用の損失にもつながっているわけでございます。この間、例えば有償でドイツ文化センターに入居いただくとか、あるいはY-PORTセンター公民連携オフィスとして活用し、市内企業の集合体に有償で入っていただくとか、そのような活用の仕方も模索してまいりました。なかなか一朝一夕に国際機関というのも難しいと思いますので、今後有効活用についてさらに検討しながら進めてまいりたいと思います。

大きな目的としては、国際機関を誘致するということですけれども、広く捉えて有効に活用していただきたいと思います。

Post comment