人工知能学習教材による個別最適化学習実現に向けて

2020-02-24 17:37:47 | カテゴリ:活動報告


2月19日(水)、横浜市会常任委員会「こども青少年・教育委員会」において、補正予算のうち、教育委員会に関係する、国の「GIGAスクール構想」に伴う予算についての審査が行われました。GIGAスクール構想における「GIGA」はGlobal and Innovation Gateway for Allの意味で、「多様な子供たちを誰一人 取り残すことのない、公正に個別最適化された学びを全国の学校現場で持続的に実現させる」ことが目指されています。

その手段として、学校内の通信ネットワーク(LAN)を高速化するための整備費用や、小・中・特支等の児童生徒に1人1台のPC端末を整備するための費用について、国から自治体に補助金が交付されることになっています。横浜市では今回の補正予算で学校のネットワーク環境整備と、小5、小6、中1の3学年分のPC端末を整備することになりました。

学校内のLAN環境の改善は、学校現場からも聞かれていた課題でしたので、これを機に整備がなされることに期待が持たれます。また、PCやタブレット端末は、従来主に1校あたり40台の整備がなされ、授業における部分的な活用環境にとどまってきました。今回1人1台という整備がなされることは、常時PC端末を活用して授業を実施することを可能にします。これまで民間事業者からは人工知能(AI)を搭載したPC・タブレット端末用の学習教材がリリースされ、自治体によっては既に学校教育の現場での導入進められてきています。

今回の委員会では、この「1人1台」を横浜市の教育行政におけるチャンスと捉えて、子ども達の学びの環境をより良くし、個別最適化された学習と、それによる習熟度のボトムアップにつなげていくために、人工知能(AI)学習教材の導入について、教育長に提案をしています。教育長からは「委員会の中で検討していく」旨の答弁とともに、1人1台端末による個別最適化学習への期待も答弁されました。

以下の動画は、実際の委員会での質疑の様子です。

以下、質問と答弁のメモです。
(※議事録ではないので、実際の内容とは若干言い回し等が異なります。)

PC端末1人1台導入はチャンス

藤崎 ありがとうございました。GIGAスクール構想のところで伺いたいと思うんですが、色々と縷々ご指摘もあったんですが、やはり経緯はさておきですね、非常にこれはチャンスを得たものだというふうに、予算上私はとらえました。とくにネットワーク環境に関しては、学校現場の皆さんからも、劣悪なネットワーク環境というのは課題として指摘されてきて、たぶん教育委員会の皆さんもどうしたものかと頭を悩まされてきたことだったかと思いますので、これを機に学校のネットワーク環境が改善されていくというのは喜ばしいことだというふうに受け止めています。

一方でこのタブレット、PC端末の1人1台整備ですよね。ここをいかに活用できるかが、これがチャンスになるのかそれとも重荷になるのかの差だというふうに思っています。活用できなければ単純にコストだけかかって、教師の皆さんに負担がかかる、そういうふうなものに見えてしまうかもしれませんが、やはり子ども達のより良い学びにつながるものとして、習熟度を高めていくものとして活用できれば、非常にチャンスになっていくというふうに私は受け止めました。

そういう意味で、これからこのタブレットの活用の部分を、端末の活用の部分をどうしていくかというのが、問われてくると思います。他都市なんかを見ていきますと、政令指定都市においても実証実験という形だったりしますが、AIの搭載されたというか、人工知能機能が搭載された学習教材が導入されている自治体があってとか、まあ小さな自治体ですと全校実施が決まっているようなところも出てきています。

やはり、横浜市としてこのタブレットを、PC端末等をいかに活用して、習熟度を高めていこうかというのが、これから問われると思うんですが、教育長としてこれからどういうふうにそのへん捉えて、取り組んでいこうかと考えているか教えていただけますでしょうか?

鯉渕教育長 端末の選定は、この機会は大事なタイミングだと思っておりますので、そういう意味では教育委員会だけでなく、そのどういったものを整備していくか、ただすべてによいものをと言ってもコストの問題もございますので、それとの兼ね合いも含めながらですね、検討してまいりたいと考えております。いずれにしましても、これは本当に我々に与えられたいいチャンスだと思っておりますので、ぜひ乗り越えていく方策を考えるということで、進めてまいりたいと考えております。

人工知能学習教材導入によってより良い学びの環境を

藤崎 この資料にもですね、「誰1人取り残すことない」というところと、とくにこの「公正に個別最適化された学び」というのが、いま個別最適化された教育環境に関する様々な書籍や研究等が出されてきて、今後一層この個別最適化された教育というのは重要視されていくというふうに私は考えているところですが、そうした中で先ほどの繰り返しになるのですが、学習教材によっては、例えば数学等々の授業が年間で110数時間行っていたものでの習熟度を、30時間程度で習熟度を得られているような事例も、そういう学習教材によっては出てきていると。逆に言うと、今までかけていた時間よりも短い時間で子ども達の学びを達成できるのであれば、これまで出来なかったことを学校教育の中で、より良い学びの機会をですね、子ども達に提供できるということにもなってくるんじゃないかというふうに思っています。

そういう意味では予算の問題ももちろんあるんですが、これから教員の皆さんの働き方改革もありますし、一方では人手不足という中で、教員を採用していくのもなかなか難しい時代が来ることも見据えて、タブレット端末等のそういうAI搭載教材等を活用したですね、事業計画を今年度、令和2年度中に一定程度、実証実験をするなり、方向性を定めていくなりっていうことが必要じゃないかというふうに考えますが、そういう学習教材の利用に関する教育長の考え方を伺います。

鯉渕教育長 ちょっと先生のお答えになるかどうかわかりませんが、パソコンが入ってきますとですね、1人1人のやってることというのが集計しやすくなる、今までノートやなんかも当然見ておりますけれども、このパソコンでの教育が進むというのは、個別最適化、そのお子さんに対する、合わせていくというんでしょうか、ここが弱いとかいう把握はやりやすくなると思っております。
 そういう意味ではこういうものをどんどん使っていくということは、大事なことではないかというふうに思います。そういったことを通しましてですね、教育水準の向上に努めていくことが出来たらなと思っております。AI搭載の問題のことにつきましては、委員会の中でですね、検討させていただきます。

GIGAスクール構想によって学校の有り様も変わる

藤崎 今教育長のおっしゃったとおりで、やはりどうしても1クラスの中で、学校の先生方が努力されていても、どうしても習熟度がクラスの中で差が出てしまうというのは、これはもうやむを得ないこととして扱われてきましたが、やはりボトムアップをしていくという意味では、1人1人の学習力、進捗度合いに応じた設問が出されるとか、ケアがされていくというプログラムが組まれていくというのは、非常に重要じゃないかというふうに思っておりますので、来年度から導入されていく、整備されていく中で、早期の検討が必要かと思いますので、そこは要望させていただきます。

もう一つはコスト面での課題も指摘されましたが、今後ですね、その一定の期間を経た段階で更新をするのは目に見えてるわけなので、今後その数年先、令和5年度以降もですね、国からどれだけ補助が出るかよくわかりませんので、早い段階で更新計画も持っていく必要があるんじゃないかと考えますが、その今後の更新計画、とくに費用面でどう負担していくか等の更新計画を今後どのように持っていくかお考えがあれば教えてください。

鯉渕教育長 すみません。役人はですね、まずは5か年かけて整備するということをですね、まずは遺漏なくやらせていただきたいと思っております。それからその後の更新のことにつきましては、たぶん全ての自治体が心配していることだと思っております。全ての自治体を合わせてですね、もう国から国に対してですね、ハシゴを外すことのないようにですね、申し上げてまいりたいと思っております。また1人1台端末が出来ればですね、先ほどの個別最適化の話の続きのようなことですが、試験そのものもですね、1人1人の問題が違うとかですね、いろんな可能性が出てまいります。その子に合わせたですね、プログラムを組むということを考えることが出来るとかですね。あとデジタル教科書のような、紙の教科書があるのかないのかというようなこともですね、今後は話題に上るのではないかと思っております。
 そういう意味ではこのGIGAスクール構想でですね、大きく学校の有り様というのは変わる可能性があるということを踏まえながら、この数年間ですね、しっかりとした整備を進めてまいりたいと考えております。

藤崎 よろしくお願いします。以上です。

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