山内小学校の校内フリースクールの取組み。不登校児童の居場所づくり。

2020-11-05 22:10:50 | カテゴリ:活動報告


山内小学校

10月29日、青葉区の横浜市立山内小学校にお邪魔しました。先日テレビでも取り上げられ注目をされている、「校内フリースクール」の取組について、佐藤校長先生にお話を伺いました。

増加傾向にある不登校児童生徒数

校内フリースクールは、横浜市内の一部中学校においては取組実績があるものの、小学校においては山内小学校のみで取り組まれています。横浜市の不登校児童生徒数は、平成30年度の4,978人から令和元年度は5,852人へと874人増加し、平成27年度3,367人だったところから比較しても、年々増加しています(※参考:令和元年度「暴力行為」・「いじめ」・「長期欠席」の状況調査結果(小中学校) )。全国的にみても不登校は増加傾向にあるなかで、山内小学校の校内フリースクールの取組みが注目され、メディアでも取り上げられています。

山内小学校の校内フリースクールは、「特別支援教室」の一角に設けられています。特別支援教室は横浜市内各校に設けられていて、授業の遅れがある児童生徒や、集団での学習が難しい児童生徒が一時的に利用でき、一般学級等在籍する学級を一時的に離れて利用できる教室です。視察にお邪魔した際は、フリースクールの児童は在籍する学級に行っていたため誰もいませんでしたが、特別支援教室で行われていた「取り出し授業」を受けている児童が居ました。

学校に居場所があることの重要性

横浜市の不登校対策としては、「ハートフル事業」が行われてきており、ハートフルスペースやハートフルルームという、不登校児童生徒が利用できる、「自分の通う学校とは別の場所」が設けられてきました。しかしながら、不登校児童やその保護者から話を聞くと、その利用には高いハードルがあることが把握できたと言います。自分が通っている学校とは場所が変わり、初めて出会う人が多いことがその高さの要因であり、また、児童本人は本当は「山内小学校を卒業したい」と思っていたそうです。担任の先生が不登校児童の家に2週に1度程度訪問することもあったものの、何より「学校に居場所がある」ことが重要ではないかと校長先生が考え、少しずつ学校に通えるようにして、学校が楽しい場所だと感じてもらえるようにと、校内フリースクールの取組がはじまりました。

校内フリースクールは「あったかハートルーム」と名付けられています。児童ごとに変化するスピードが異なるので、児童それぞれに合わせての対応が取られています。学校に来る、来ないも児童が決め、あったかハートルームに居る時間も、学級に戻って授業を受ける時間も、全て児童が決めています。自分で決めて、それを実行することで、児童自らが少しずつ足元を固め、成功体験が積み重なっていくことで、学級に戻っていけるようになります。

人員配置に課題も

成果を上げている取組ですが、山内小学校が独自に取り組んでいる状況であり、市教育委員会から人員配置が行われているわけではないため、あったかハートルームの人員配置に課題を抱えています。支援員や特別支援教室の非常勤講師等が空いている時間に対応にあたっています。今年度はコロナ禍の影響もあり、職員室業務アシスタントやサポート非常勤講師が増配されたため、サポート非常勤が現在ハートルームの対応にあたっているそうですが、次年度以降の配置が見込めないため、いかに人員をやりくりするかが課題となっています。必ずしも教員免許がなくても、子どもの後押しをできる地域の方等が対応にあたれても良いのかもしれません。

あったかハートルーム
入り口に貼られた児童の手書きによる教室名

山内小学校
子ども一人ずつの仕切りを設けた室内

山内小学校あったかハートルーム
学級に行く・行かないを毎回児童自ら記入

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