志賀町における能登半島地震と、災害対応のデジタル化について。

2026-07-23 09:04:05 | カテゴリ:活動報告


志賀町

2026年7月22日、所属する常任委員会「総務委員会」の視察で石川県志賀町を訪れました。令和6年能登半島地震からの復旧・復興の状況、そして被災自治体としての災害対応のデジタル化をテーマにお話を伺い、被災地にもお邪魔しました。
(※藤崎が2024年1月27日に志賀町で体験した災害ボランティアの報告はこちらから

志賀町の被災状況

令和6年1月1日に発生した能登半島地震は、石川県全域に甚大な被害をもたらしました。震源に近い輪島市や志賀町北部の富来地区などでは最大震度7を観測し、県全体の死者数は729人にのぼります。特徴的なのは、直接死よりも震災関連死の割合が高いことで、関連死は501人と死者数の約7割を占めるています。志賀町における死者数は29人で、そのうち災害関連死は27名と9割以上が関連死となっています。建物被害も深刻で、全壊は住家563棟、非住家1,849の合計2,412棟。住家・非住家の大規模半壊1,104棟、同じく中規模半壊が1,372棟、半壊〜一部損壊が12,271棟で、全体では17,105棟が被害に遭っています。

インフラ被害については、電力は概ね15〜20分程度の停電で復旧した地域が多かった一方、町内全域の約8,800世帯では2ヶ月間に渡って断水が続き、道路・河川も甚大な被害を受けています。指定避難所には最大時で約3,900人(17か所)、自主避難所には最大時で約6,200人(34か所)が避難し、合計で約1万人が避難生活を余儀なくされています。住宅の公費解体は、申請・発注棟数4,936棟に対して、完了棟数は4,863棟で98.5%が完了(2026年6月時点)、跡地には空き地が目立つ状況となっています。

インフラ復旧の遅れとその要因

視察時点で、被災延長223kmに及ぶ町道の復旧率は約9.1%にとどまっています。上下水道は応急復旧は完了しているものの本復旧となると、下水道の復旧率は約5%、上水道の復旧率は約2%にとどまっていました。復旧が進まない主な要因として、能登地区全体で復旧工事の需要が集中し、対応できる事業者が不足していて、入札を実施しても不調(応札者不在)となるケースが多いことが挙げられました。特に下水道は道路の地下に埋設されているため、下水道の復旧が完了しない限り本舗装ができず、応急的な仮舗装や砂利敷きの状態が続くという構造的な問題も指摘されました。町としては令和12年度末までの復旧完了を目標に掲げているもののなかなか進まず、住民からは早期復旧を求める声が絶えない状況が続いているとのことです。事業者の事情としても、県や国の発注する事業のほうが金額も大きくなるため、町道レベルだとなかなか入札に応えてもらえないという状況が指摘されました。

志賀町

情報連携・デジタル化の必要性

説明の中心的なテーマとなったのが、被災者支援における情報連携のデジタル化です。避難されている方の中には妊婦や介護が必要な方、障害者など要配慮で、健康状態の把握が必要な方もいて、1.5次避難所に移動される方もいらっしゃいます。この健康状態の把握について、全国から応援で派遣されている方々が対応してくださったそうです。ところが、派遣元の自治体(社協)の様式に基づいて確認作業と記録がなされるため、書類も内容もバラバラな状況で残され、引き継がれてしまっていたそうです。災害時用に統一した様式を設けて、罹災証明や薬・治療の情報を一元的にデジタル化、データベース化できれば、共有も連携もしやすくなるという課題が明らかになっていました。また避難者は一次避難所から1.5次避難所(金沢市等)、二次避難所へと移動する中で、個人情報保護の観点から自治体間・支援団体間でのデータ共有が進まず、結果として必要な支援の優先順位付けができない状態も生じたそうです。災害関連死についても、データ化されていないことによって分からないことが多いため、一次避難所から二次避難所までの情報がデータベース化され共有されれば、詳細を捉えられるようになるのではないかと指摘されていました。

こうした経験を踏まえ、石川県では被災者台帳をベースとしたデータベースの構築を試みたものの、震災発生後に着手したため十分に機能しなかったそうです。一方で、罹災証明発行システムについては、令和4年の小松市での豪雨・洪水被害の際に、県内自治体で建築被害認定業務システムがデジタル化されていなかったため罹災証明の発行に時間がかかってしまったという課題があり、令和5年2月には県内19の全市町で「被災者支援システム」の導入が決定され、3年間のランニングコストを県が1/2負担するという形で進められていました。令和6年の能登半島地震においては、避難所の入所受付業務がデジタル化されていなかったため避難者把握が課題となり、令和8年内に全19市町統一の避難所マネジメントシステムを導入することが進められています。

震災発生時、志賀町役場の職員参集率は62%であり、「奇跡的」と表現されていました。石川県庁でも60%も集まれていなかったといいます。多くの職員自身が被災者でありながら災害対応にあたった実態が語られました。従事できる人も資源も限られたなかで、できるだけ効率的に被災者を守っていくために、情報の伝達や共有を簡単に速やかに進められるように仕組みを整えることが必要です。

志賀町
ヒアリング後は応急仮設住宅の現場を拝見しました。

志賀町復興住宅
応急仮設住宅の外観。今後は復興住宅へ移行予定。

仮設商店街
道の駅「とぎ海街道」の敷地内に設置された仮設商店街。

仮設商店街

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