ものづくりの転換。ファブラボから見る、まちづくり。

2012-06-30 00:32:19 | カテゴリ:活動報告


ファブラボ

ファブラボって、ご存知ですか?私は最近知りました。

3Dプリンターって、ご存知ですか?パソコンからデータを送ると、立体のものがプリントアウトされるんです!安ければ10万円しないとか。すごい時代ですね~。

3Dプリンター

これがその3Dプリンター

今日、ファブラボ鎌倉に行ってきました。数日前に知ったのですが、もうどうしても現場を見たくなりまして。ファブラボは、日本には2か所あり、世界30か国以上で展開され、ネットワーク化されています。3Dプリンターや、レーザーカッター、ミシンなどが置かれ、訪れた人が、教えてもらったり、話し合ったりしながら、欲しいものを作り、シェアする場所です。(ファブラボ憲章

足を運んだ目的は、そこで生まれるコミュニケーションを知り、まちづくり・地域活性化のアイディアを見つけるため。ついでに、3Dプリンターを見たい、という好奇心のためです。

3Dプリンターで作成された品々。

開放されているのは金曜だけで、しかもラボの予約用黒板に記名をするという、なかなか敷居の高い方法でしたが、そこは意図的な方法。限られた機材、限られたスペース、限られた人手の中で、本当に関心があって、本当に作りたい人が楽しめるようにしているデザインです。

私が着いた頃には、東京から来た2人組みが、レーザーカッターを使いながら、フラッグを作成している所でした。このファブラボの狙いでもあるのですが、スタッフの大学生と、初めて来た2人のコミュニケーションが活発なんです。ものを作る過程で、ああしたいこうしたいとか、どうやって作るかとか、機械の使い方とか、様々な会話が「ものを作る」という共通のテーマのもと気軽に行われて行く。ただ集まって、話してくださいと言われると話せないでしょうが、ものを作るとなると話しやすくなる。そして、スタッフの皆さんも、ホストとゲストという感じではなく、一緒に作る仲間のような雰囲気。

レーザーカッター

レーザーカッターで切り出し中

もちろん、手作業も必要。

色々お話を伺う中で興味深かったのは、「フレームを作るだけでは上手くいかない。中に居る人が責任感を持って動き、人と人との交流を持ち、気軽に紹介し合うような、中心がある状態が良い」という指摘です。

ファブラボは、まちづくりやコミュニケーションだけでなく、ものづくりそのものを変えます。欲しいものを、欲しい人が、欲しいだけ作る。大量生産、大量流通、大量消費とは真逆のものづくり。作成のためのデータは公開・共有され、世界中の人が、同じものを作成できます。海外では建物を建てている例があり、スペインではソーラーハウスを作っているそうです。そのデータが、すべてインターネット上にあるという。生産と、消費の場所や流れが変わる。製品に合わせるのではなく、自分の課題、地域の課題に合わせて、製品を変えることもできる。コミュニティの中に、課題を解決するための議論と、解決策としての製品を生み出す場所ができる。ファブラボ、面白いなぁ。ワクワクしますね。

津波避難の表示。海抜表示だけでは、どこに避難していいかわからない、という鎌倉市民のデザイン。最初は右の木の板だったものを、「石に印字して、風景に溶け込むようにすれば、多くの人が置いてくれるのでは」という発想から、左の石にレーザーで掘ったものに。

突然行ったにも関わらず、快く案内をして頂きました。渡辺ゆうかさんには大感謝です。幸運なことに、ファブラボ鎌倉の主宰者である田中浩也さんにもお会いでき、お話する時間も頂きました。重要なポイントとして、コミュニケーション力のある技術者を多く排出したい、という話しがありました。このポイントが、上述の中に居る人なんだと思いました。書籍(『幸せに向かうデザイン』)の中でも、「ファブマスター」というハブになる人材像が描かれ、接客とものづくりの両方を行い、場を切り盛りできる人が必要だと。

今回も、やっぱり「人」だなぁと、改めて思いました。どんなに面白い道具があっても、それを面白いと思うのも、使いこなすのも、人。どんなに面白い仕組み上がっても、よく考えられたフレームがあっても、それを利用するのも、人。そして、ファブラボにしても、様々なまちづくり方面の取組みも、人と人とのつながりや広がりがあって、成功している。

また今日は、とある大手企業のデザイン部門の方々もお越しでした。最先端の取り組みを学ぶためだそうです。偶然その中に、青葉区在住の方もいらっしゃって、寺家とか青葉区内でも出来たらいいよね、と盛り上がりました。誰か、どこか、協力して一緒に取り組める人、いないかなぁ。今回のブログ、感じたこと、聞いたことを上手く表現できてないですが、ファブラボ、絶対面白いと思うんですよ。

とある企業の方々。一緒に話を聞かせて頂きました。

2階の工房の様子。

ファブラボ鎌倉は、秋田から移設された蔵の中にあります。

蔵は、できてから120年以上経過しています。

あちこちに、ファブラボでつくられたものが置いてあります。

文字を切り抜いたものも、たくさんありました。

田中浩也さんには、著書にサインをしていただきました。会いたいと思っていた方に、お会いできたというのは、本当に幸運でした。

Post comment