2022年10月27日は、常任委員会「健康福祉・医療委員会」の視察2日目。前半は昨日に引き続き、福岡市を訪問しました。
福岡市では2016年から、「地域包括ケア情報プラットフォーム」の取組を始めています。このプラットフォームは、(1)データ集約システム(careBASE)、(2)データ分析システム(careVISION)、(3)在宅連携支援システム(careNOTE)、(4)情報提供システム(careINFO)、の4つのシステムから構成されています、
システム全体としては、医療機関情報、特定健診・がん検診情報、介護データ、サービス付こ高齢者住宅情報、医療レセプト、介護事業者情報、歯科・調剤データ、地図情報などの多様な地域のデータ、民間生活支援サービス情報、小中学校区情報、が(1)データ集約システム(careBASE)に集約され、自治体位が保有する「医療・介護・健康(予防)・生活支援」情報と、外部機関の持つ多様な情報が一元的に扱えるようにされています。
集約された情報を基に、(2)データ分析システム(careVISION)では地域ニーズや課題の「見える化」を行い、科学的エビデンスに基づく施策の立案支援が行われています。(3)在宅連携支援システム(careNOTE)では、「本人の同意」に基づいて、医療・介護・健康(予防)に関する情報を、情報通信ネットワーク上で共有し、在宅ケアに掛かる専門職間の連携を支援しています。(4)情報提供システム(careINFO)では、地域で暮らしっていく上で必要となる社会資源やサービス情報を集約・収集し、幅広く提供するための仕組みが構築されています。
230種43億件のデータ
データ集約システム(careBASE)には、住民情報、健診受信有無、健診結果、医療レセプト、介護レセプトなど約230種43億件のデータが保有されていて(2022年9月現在)、各データを個人ごとに紐付けされています。データ分析システム(careVISION)では紐付けられたデータを、経年比較したり、現状の見える化を行なったり、将来推計に活かしたり、指標設定をエビデンスに基づいて行なったりと、科学的エビデンスに基づく施策の企画・立案と、成果の確認・見直しの業務サイクルの実現に生かされています。例えば、腹囲の状況と疾患の相関が示されていたり、地域ごとの特性が簡単にわかるようになっています。オープンデータ化もされていて、要介護認定者と介護事業所の分布状況が地図で示されて、民間事業者が事業所の新設エリアの分析に活用できるなど、ビジネスの創出にもつなげられています。
在宅連携支援システム(careNOTE)には、約45,000名の高齢者が登録していて、介護保険被保険者の62.3%にのぼります。要支援者の73.0%、要介護者の52.2%が登録しています。careNOTEは、ケアマネジャー等支援をする人が使うシステムで、利用する事業所は約520ヶ所で、そのうち居宅介護支援事業所は270ヶ所(市内405事業所の66.7%)、地域包括支援センターは57ヶ所全てとなっています。careNOTEでは、登録者の介護認定申請結果、過去の介護認定履歴がオンラインで公開され、ケアマネさんや介護職員など、医療・介護関係者がスピーディー情報共有が可能となり、業務の負担軽減・効率向上につながっています。また日々の生活状況(食事やリハビリ等)の共有、本人・ご家族との連絡や情報交換にまで使えるようになっています。
まとめ
医療データと介護データを集約、連携し、一元的に扱えるようにすることで、当事者のケアを充実させ、全体の業務の効率化を行なったほうがいい、ということは随分と言われてきたことです。それを、福岡市は市単独で実現させていることに、凄さがあります。もともとデータを市政に活かすことを目的にシステムが整備され、新規施策の立案に活かせるところまできているそうです。効果分析に資するだけのものにするため、現在改修作業も行われているということでした。その中では、比較可能なデータ(サービスを利用した人としていない人の差等)を抽出できるように取組んでいると言います。データに基づいて、より良い事業を生み出せる仕組みが確実に構築され、発展している、見習いたい事業です。本来であれば、国が率先してシステム化を行い、どこに住んでいても、引っ越しをしても、より良い医療・介護が受けられるようにして欲しいとも思います。
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