2022年10月27日は、常任委員会「健康福祉・医療委員会」の視察2日目。後半は熊本市を訪問しました。
熊本市は、2016年4月の熊本地震に見舞われ、大きな被害が発生しました。私も当時、ボランティアにお邪魔させていただきました(※参考ブログ)。当時も「福祉避難所等の設置運営マニュアル」は策定されていたものの、いざ発災すると、マニュアルで想定した通りにはならず、たくさんの課題が生じ、2018年8月にマニュアルが改定されています。
福祉避難所等は、「指定避難所等において、避難生活を送ることが困難な高齢者・障がい者・乳幼児その他などの配慮を要する者(要配慮者)」が対象者であると定義されています。身体状況が軽度であれば「福祉避難所」として登録されている、高齢者・障がい者の入所・通所施設等を利用し、重度であれば「緊急入所施設」である介護保険施設、障がい者支援施設に、指定避難所から移ることになります(もっと状態が悪ければ入院)。
福祉避難所等は協定に基づいて施設の指定が行われています。これまで、熊本市老人福祉施設協議会、学校法人銀杏学園熊本保健科学大学、熊本県特定施設入居者生活介護事業者連絡協議会、社会福祉法人熊本県コロニー協会、熊本県身体障害児者施設協議会、公益社団法人熊本県精神科協会、熊本県知的障がい者施設協会、熊本県老人保健施設協会の8団体と協定が締結されています。この協定は、熊本市と各団体の他、「災害ボランティアセンター」を設置する「熊本市社会福祉協議会」の3者による協定になっています。2021年度で、福祉避難所192ヶ所、福祉子ども避難所7ヶ所、合計199施設が指定されています。
熊本地震で見えた課題と対応
マニュアルの改定にあたっては、熊本地震で見えた課題とその対応策が整理されていました。
(1)福祉避難所の周知・広報
<課題>
・指定避難所での生活の不安から、要配慮者が避難を躊躇した。
・一般の避難者が福祉避難所に避難し、要配慮者を受け入れできない。
<対応>
・マニュアルや施設一覧を市のホームページ等で公開し、広く周知。
(2)専門性のある人員の確保
<課題>
・協定施設や施設職員である看護師や介護福祉士等の専門職スタッフも多く被災していたことから、
支援者となる専門性のある人材が不足した。
<対応>
・他都市との連携強化や県社協のマッチング事業の活用により対応。
(3)物資の供給・搬送体制
<課題>
・体制整備までに期間を要したため、開設した福祉避難所において、水や食糧・生活物資等の不足や、
混乱が生じた。
<対応>
・福祉避難所各区代表施設をハブ施設として、各施設への搬送体制を整備。
(4)福祉避難所の受入可能数の不足
<課題>
・熊本地震では、協定施設自体が被災していたため、多くの施設において要配慮者の受入が困難であった。
<対応>
・特別支援学校と福祉子ども避難所に係る協定を締結する等、受入施設の拡充。
こうした課題、対応に基づき福祉避難所等の設置運営マニュアルが改定され、現在は福祉避難所等災害訓練の実施も行われています。一般の避難所から、福祉避難所等への移送も訓練として行われていますが、やはりマニュアルで想定することと、実際に訓練してマニュアルを動かしてみるのとでは異なることもあるようでした。また連絡手段が電話とファクシミリとされている部分に、もっと改善点があるのかもしれないと感じました。
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