福岡市の保健福祉総合計画と食育推進計画。視察報告。

2022-10-26 16:43:47 | カテゴリ:活動報告


藤崎浩太郎

2022年10月26日、横浜市会「健康福祉・医療委員会」の視察で、福岡市を訪問しました。視察項目は(1)福岡市保健福祉総合計画と、(2)福岡市食育推進計画の2つでした。

1.福岡市保健福祉総合計画

福岡市保健福祉総合計画」は、2021年度〜2026年度の6年間に渡る計画となっていて、「2040年のあるべき姿」達成に向けての道筋を示しています。「2040年のあるべき姿」は、①いつまでも健康で生きがいを持ちながら活躍できる社会、②様々な主体が共に関わり合い、地域課題の解決に向け、力を発揮できる社会、③福祉におけるアジアのモデルとなる社会、の3項目となっています。このあるべき姿に向けた基本方針として「支え合う福祉」が掲げられ、①ひとづくり、②しくみづくり、③まちづくり、の3要素が支え合う福祉を構成しています。計画自体は、地域分野、健康・医療分野、高齢者分野、障がい者分野からなる、包括的な計画となっています。

幅広くご説明いただいた中で面白いと思ったのは、(1)がん検診受診率向上の取組、(2)睡眠に関する取組、(3)「福岡100」の取組、の3つです。

(1)がん検診の受診率向上の取組として、「よりみち検診」という仕組みが設けられています。よりみち検診は、ホテルやショッピングセンターで検診を受けられるという仕組みで(予約制)、病院ではない身近な場所で受信できるだけでなく、キャンペーンを利用するとホテルやレストランのギフト券が抽選で当たるという、受信する動機づけが行われています。また、「けんしんナビ」という予約サイトが設けられていて、市が実施している保健福祉センターや公民館などを会場とした検診を、webで予約できる仕組みです。40代〜50代の方がweb予約を活用していて、高齢者は電話予約が中心ということで、デジタル・デバイドの課題があるものの、webで簡単に予約ができるのは便利です。

(2)睡眠に関する取組では、民間企業との協力のもと「#PowerNap」という実証実験が行われています。会社の昼休みに、15〜20分程度仮眠を取ると、午後の仕事のパフォーマンスが向上するということから、福岡市と西川が協力し、100社以上の企業が参加した実証実験でした。合わせて、壮年期・中年期が睡眠不足になりがちということで、特に30代〜50代にむけた啓発が行われています。

(3)「福岡100」は、100歳を超えて生きることが当たり前になる時代(2007年生まれの50%が107歳まで生きるという研究結果に基づく)において、誰も経験したことのない少子・高齢化が同時進行する中、性別、年齢、障害の有無などに関わらず、市民がそれぞれの「幸せ」や自己実現に向けた行動ができる、まち全体のWell-beingが叶う、持続可能な社会を目指すというもので、2017年から5年間かけて100のアクションが実践されてきました。2022年、この「福岡100」がアップデートされ、6つの分野を重点的に推進するとされています。これまでの100のアクションでは、「認知症フレンドリーシティ・プロジェクト、買い物等の生活支援推進事業、地域包括ケア情報プラットフォーム、Fitness Cityプロジェクト、オーラルケア28(にぃはち)プロジェクト、などが実施されています。

2.第4次福岡市食育推進計画

福岡市の食育基本計画は第4次を迎え、2022年度から2026年度の5年間の計画となっています。家庭形態の多様化や経済的環境の変化、新型コロナウイルス感染症の影響など、食を取り巻く環境が大きく変化しているなかで、「人生100年時代」の生活習慣病予防、健康寿命延伸などWell-beingの実現のために、食育を総合的に進めるものとして第4次計画が策定されています。

計画策定にあたっては、「現状と課題」も整理されています。その中で注目したのは、「20 歳代 30 歳代の若い世代の食に関する知識や意識、実践状況等の面において改善が見られないこと」と記されている点です。この課題はアンケート調査によって示されているもので、第1次〜第3次の計画においても継続的に若い世代の改善に課題があるとご説明がありました。

アンケートを見ると、「主食・主菜・副菜3つそろえて食べることが1日に2回以上あるのがほぼ毎日の人の割合」(下記図表4)という項目で、20代が25.0%で最下位、30代が30.1%と下から2番目と若者が低く、年代が上がるとともに数字が向上することがわかります。また、「そろえて食べることができない理由」(下記図表6)では、「手間が煩わしい」のトップは20代女性、「時間がない」のトップは30代女性、「食費の余裕がない」のトップは20代男性、となっています。所得が低いために配慮した食生活を送れない若い世代、仕事や子育てで、手間や時間を惜しまざるを得ない若い世代の姿が浮かび上がるようです。

若い世代の課題は継続的なものであるため、なかなか改善が難しいようではありますが、福岡市としては現在、大学生との協働プロジェクト、管理衛生士を目指している学生によるInstagramでの発信などが取り組まれていました。

福岡食育

(出典:第4次福岡市食育推進計画 P10から抜粋)

福岡食育

(出典:第4次福岡市食育推進計画 P11から抜粋)

福岡市議会

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