令和5年第1回定例会にて、市長に対して予算関連質疑を行いました。

2023-02-26 18:07:10 | カテゴリ:活動報告


藤崎浩太郎

2023年2月17日、横浜市会令和5年第1回定例会本会議にて、令和5年度予算関連質疑を行いました。

1 データ活用に向けた横浜市学力・学習状況調査の改訂とCBT化の推進
2 中学校給食
3 将来につなぐプラスチック対策
4 新たな図書館像の策定
5 保育所等における1・2歳児の受入枠拡大
6 児童虐待対策
7 ひきこもり支援と青少年育成
8 子育てしたいまちに向けた施策の推進
9 地域交通の取組
10 都市デザイン
11 回遊促進による賑わいの創出
12 脱炭素に対応したまちづくり
13 スタートアップ支援
14 戦略的・総合的な財源確保
15 ファシリティマネジメントの推進
16 データに基づく市政運営
17 DXによる職員の時間の創出
18 行政サービスの最適化
19 魅力ある人材の確保

という大きく19項目、全部で51の質問を、市長と教育長に対して行いました。

以下、藤崎浩太郎の質疑部分を抜粋した中継動画と、その文字起こしです。
(※議事録ではないので、実際の内容とは若干言い回し等が異なります。)

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立憲民主党横浜市会議員団の藤崎浩太郎です。会派を代表しまして、大山団長の代表質問に引き続き、順次質問して参ります。

1 データ活用に向けた横浜市学力・学習状況調査の改訂とCBT化の推進

はじめに、データ活用に向けた横浜市学力・学習状況調査の改訂とCBT化の推進について伺います。

私は「学力・学習状況調査」を、単年度での分析ではなく、児童・生徒の学力の経年変化を分析できるようにすべきと提案をしてきましたが、令和5年度予算案において注力されることを評価しています。IRTというテスト理論に基づく調査の実施により一人ひとりの学力の伸びを見て、指導に生かせるということは、個別最適な学習につながります。さらに、学校全体の学力の平均や、家庭の経済力と関係なく、学力を伸ばせることを教育委員会として明らかにしたことは、これからの学校教育の方向性を示している点でも優れた取組だと考えています。
また、学力・学習状況調査を紙で実施するには、印刷・配送・回収やデータ入力にコストや手間がかかるので、タブレット等端末を使ったCBTについても、推進することを要望してきました。そこで、

質問1 学力・学習状況調査のIRT導入やCBT化の推進について、教育長に伺います。
鯉渕教育長 データ活用に向けた横浜市学力・学習状況調査の改訂とCBT化の推進についてご質問いただきました。IRT導入やCBT化の進捗状況についてですが、学力・学習状況調査へのIRT導入により、令和4年度の調査結果を踏まえて、5年度からは全児童生徒の学力の伸びの状況が把握できるようになります。
また、学力・学習状況調査のうち、生活・学習意識に関するアンケートのCBT化を試行しており、5年度は約100校で予定しております。学力・学習状況調査全体のCBT化を見据えて段階的に準備を進めていきます。

客観的なデータを活用して学校教育を可視化することは、公教育で高い学習成果を期待できる都市として、横浜を選んでいただく大きな魅力に繋がるのではないかと考えています。

横浜から公教育の新たな価値を創造し、全国トップの学校教育を提供できる都市として魅力を高め、横浜に住む選択につなげてほしいと思います。そこで、

質問2 教育DX推進への期待について、市長に伺います。
山中市長 データ活用に向けた横浜市学力・学習状況調査の改訂とCBT化の推進についてご質問をいただきました。教育DX推進への期待についてですが、学校教育の可視化や、教員の業務の効率化が進むことは、質の高い教員の確保に効果があると考えます。また、子ども一人ひとりの学力の伸びが可視化され、効果的な学習が進められるとともに、成長の様子を経年で見ていけることは保護者にとっても喜びではないかと思います。「子育てしたいまち 次世代を共に育むまち」の実現につながる施策であると捉えております。

2 中学校給食

次に中学校給食について伺います。

昨年12月、令和8年度から全員給食をスタートさせる方向性を示した中期計画が可決されました。本市の長年の課題を解消する大きな一歩だと評価しています。

一方で、デリバリー方式に関する市民の皆様からの不安の声が届くことがあります。試食した保護者の方からは評価が高いと伺っていますし、私も試食し美味しいと思いますが、まだまだ中学校給食の実際の姿が伝わっていないと実感をします。
今回広報よこはま2月号を活用して中学校給食の内容を広報したように、様々な機会を捉えて伝えていく必要があるのではないでしょうか。そこで、

質問3 令和8年度からのデリバリー方式による全員給食のスタートに向けて、中学校給食の魅力や検討過程を積極的に広報し、市民の不安を払しょくするということが重要だと考えますが、市長の見解を伺います。
山中市長 中学校給食についてご質問をいただきました。魅力や検討過程を積極的に広報して行くことが重要とのことですが、保護者向け試食会のアンケートでは、試食前に比べて、約3倍となる75.5%もの方に良い印象を持っていただくことができました。大変励みとなった一方、今後もデリバリー給食の魅力を正しく伝えていく必要があると実感をしております。引き続き、様々な媒体を通じまして中学校給食の魅力や検討過程を力強く発信してまいります。

教育委員会では中学校給食の情報を伝えるためにインスタグラムを活用し、市の栄養士の献立作成にかける思いや、普段中々みることができない給食の製造過程、事業者の思いなどを発信しています。

給食そのものだけではなく、作り手に触れ、関係者の顔が見えるということは、市民の皆様からの信頼の醸成にもつながると思います。そこで、

質問4 インスタグラムで投稿している様な、給食の作り手など関係者が見えるような発信に力を入れるべきと考えますが、市長の見解を伺います。
山中市長 給食の作り手など関係者が見えるような発信に力を入れるべきとのことですが、市民の皆様に中学校給食の取組を御理解いただくため、そして、生徒に対する食育の一環としても、栄養士や製造事業者、農家の皆様など、関係者の思いや取組を伝えることは、大変重要であると考えています。そこで、ホームページやデジタルサイネージの活用、市庁舎における企画展などを通じて、関係者が見えるような発信を積極的に行ってまいります。

さて、令和5年度は推進校を設置して、様々な効果検証を行うということです。令和8年度からの全員給食を学校現場の混乱なく、スムーズにスタートさせるためにも、効果検証をしっかりと行うためには、全員で給食を食べている環境に近づけていくことが重要です。

これまでの中学校給食の利用状況を見ますと、毎年新1年生の喫食率が増加している傾向にありますが、より効果的なものとなるよう例年以上に利用者が増えることが望ましいと思います。 そこで、

質問5 令和8年度の全員給食の実施に向けて、利用者が益々増加していくよう、更なる利用促進に取り組むべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
鯉渕教育長 中学校教職についてご質問いただきました。全員給食の実施に向けてさらなる利用促進に取り組むべきとのことですが、新学期からの一定期間、給食を食べることを推奨するさくらプログラムの全校実施に加えて、年間を通してみんなで給食を食べることを前提に、様々な効果検証を行う中学校給食推進校を18校設置してまいります。令和8年度の全員給食をスムーズにスタートできるよう、中学校給食の魅力や検討過程を今まで以上に積極的に発信し、一層の利用促進に努めてまいります。

3 将来につなぐプラスチック対策

次に、将来につなぐプラスチック対策について伺います。

本市においては、プラスチック対策に向けて、2018年に「よこはまプラスチック資源循環アクションプログラム」を策定し、プラスチック対策に資する横浜市役所の取組をまとめています。

しかしながら、このアクションプログラムは「プラスチック対策に資する取組をまとめたもの」という位置づけであることから、目標などは設定されていません。私は、取組を進めるのであれば、目標を設定し、評価を行うべきであると考えます。そこで、

質問6 アクションプログラムの見直しを行うべきと考えますが、市長の見解を伺います。
山中市長 将来につなぐプラスチック対策についてご質問をいただきました。プログラムの見直しを行うべきとのことですが、このプログラムは、プラスチックによる海洋汚染をきっかけに、令和元年9月、横浜市が行う具体的な対策をまとめ策定したものです。その後、レジ袋有料化をはじめ、2050年カーボンニュートラルの宣言、プラスチック資源循環法の施行など、社会全体が脱炭素に向けて、大きく変化をしてきていることから、見直しに向けて検討を進めます。

これからの将来を担う子供たちに、プラスチック問題の現状や課題をしっかりと伝える環境学習は、非常に大切なことだと考えます。そこで、

質問7 これまでプラスチック問題に関する環境学習にどのように取り組んできたか、市長に伺います。
山中市長 これまでのプラスチック問題に関する環境学習の取組ですが、将来を担う子どもたちが、プラスチック問題を自分事として捉え、解決に向けて行動する力を養うことが重要です。 そこで、プラスチックによる海洋汚染や地球温暖化をテーマに講演会やワークショップを開催しているほか、小学4年生全員を対象とした、ごみ焼却工場への見学や学習副読本の活用を通じまして、プラスチック問題への学びを深めています。

昨年、青葉区の小学生たちが立ち上げた「マイクロプラスチックゼロコミュニティ〜Welc0me〜」という団体が、学校給食で提供される牛乳ストローの廃止を市に対して要望いたしました。自分たちで削減本数、削減量を計算していて、素晴らしい行動だと感心をしました。
子ども達の行動に基づき、本市が共にプラスチック問題に取り組むことは、将来の横浜を背負って立つ子ども達にとって、とても大事なことだと考えます。そこで、

質問8 「マイクロプラスチックゼロコミュニティ〜Welc0me〜」が提出した要望に対する取組状況について、教育長に伺います。
鯉渕教育長 将来につなぐプラスチック対策についてご質問いただきました。小学生の皆さんからご提案いただいたご要望の取組状況ですが、プラスチックの排出削減に向けた取組が求められる中、給食で提供する牛乳について、ストローを使わないで済む紙パックや、自然由来のバイオマスを配合したストローを令和5年4月から全市で導入いたします。今回それらを導入することで、年間で3.6トンのプラスチックストローの削減につながると見込んでおります。

本市では従来、様々な部署で子ども達が環境問題を考える働きかけを行っています。子ども達に刺激をしていくことも重要ですし、今回のように子ども達が内発性に基づいて問題提起を行ったことは、今後の環境問題への市の関わり方にも大きな意味があると考えます。そこで、

質問9 環境問題に子供たちが関心をもち、自らの問題意識をもって解決策を考えること、発想していけるような取組をさらに進めていくべき、と考えますが、教育長の見解を伺います。
鯉渕教育長 環境問題に子供たちが関心を持つような取組をさらに進めていくべきとのことですが、各学校では、総合的な学習の時間を中心に、学校教育活動全体で環境教育に取り組んでおります。特にSDGs達成の担い手育成推進事業の中で、不要なビニール傘をポーチなどにアップサイクルしたり、家庭で使い切れない食料品などを集めフードドライブの活動に参加したりするなど、児童生徒が主体的に学習しております。引き続き、各学校の取組を推進してまいります。各学校では、総合的な学習の時間を中心に、学校教育活動全体で環境教育に取り組んでおります。特にSDGs達成の担い手育成推進事業の中で、不要なビニール傘をポーチなどにアップサイクルしたり、家庭で使い切れない食料品などを集めフードドライブの活動に参加したりするなど、児童生徒が主体的に学習しております。引き続き、各学校の取組を推進してまいります。

ぜひ、今後も豊かな子どもたちの意見、提案をしっかりと受けとめて、取組を進めていただくことを要望し、次の質問に移ります。

4 新たな図書館像の策定

次に図書館費のうち、「新たな図書館像の策定事業」について伺います。

私は長年に渡り、本市の図書館の問題を指摘し、教育と文化の拠点であるとともに、都市のブランディングにも貢献しうる施設であり、人口増加策としても期待できると考え、図書館の新増設を提案してきました。

新しい中期計画には、「まちの魅力づくりに資する新たな図書館づくりが必要」と明記され、令和5年度予算案では図書館ビジョンを5年度に策定するとされました。そこで、

質問10 子育て世代に優しいまちづくりをめざす上で、図書館政策にどのような思いをもっているのかを市長に伺います。
山中市長 新たな図書館像の策定についてご質問をいただきました。子育て世代に優しいまちづくりをめざす上での図書館政策にどのような思いですが、図書館は、本を介して子どもの感性や表現力等を育む場であると同時に、子育て世代にとっては家族のお出かけ先や親子の居場所としても、身近で大切な施設です。子育てしたいまちの実現に向けて、子育て世代が足を運びたくなるような、居心地良く、魅力ある図書館の姿を示していきたいと考えています。

図書館は、子どもから高齢者まで多くの市民が利用する施設であり、幅広く市民の意見を新たな図書館像に反映させていくことが重要と考えます。そこで、

質問11 図書館像に市民の声をどのように反映させるのかを市長に伺います。
山中市長 図書館像に市民の声をどのように反映するのかですが、図書館は、子どもから高齢者まで、多くの市民の皆様にとって最も身近な公共施設の一つであるため、幅広い世代の御意見をお伺いすることが重要であると考えています。市民の皆様とのワークショップなどの手段も活用いたしまして、利用している方も、利用していない方も対象に、ニーズを把握しながら検討を進めてまいります。

さて、図書館の新増設を考える上で重要な論点の1つは、知と情報の拠点としての図書館の役割をどう考えるかということであり、その役割はレファレンス機能と貸本機能に大別されます。

昨年も取り上げました明石市の図書館では子育て拠点の機能が持たされ、大和市のシリウスには生涯学習センターが設けられていることで、地域活動の解決に図書をシームレスに利用することが可能となっています。千代田区立図書館や札幌市の図書・情報館では、ビジネスパーソンをターゲットにした図書館づくりがなされるなど、従来のレファレンス機能にとどまらない幅広い情報へのアクセスが、近年の図書館整備では提供され、可能となっています。知の拠点、情報の拠点、そして場や人を介した共創の拠点としても図書館の役割が期待されます。こうした機能を提供するには、司書を始めとした必要な人材の配置や、レファレンス機能の充実による相談対応の充実、必要な機能の設置、物理的な空間設計などが必要になります。

一方で貸本機能も教育、文化の拠点として欠かせない機能です。図書館が少ない事を補うために、市民図書室を始めとした貸本機能を持つ場が、地域を面として支えてきた経緯があります。しかしながら、ボランティアの方々に長く支えられてきた市民図書室は、その方向性が示されないままに予算が削減され続けるなど、運営が困難になるケースも出ています。青葉区では充実してきた取次業務も、まだ市内全域には広がっておらず、拡大の余地があるのではないかと考えます。

図書館の新増設においては、新たな図書館におけるレファレンスなど情報拠点としての機能をどうするかと、面に広がる貸本機能をどうするかの十分な検討が必要ではないでしょうか。そこでまず、

質問12 図書館を新増設する場合には、社会課題の解決や共創の拠点など、幅広い機能が必要と考えますが、市長の見解を伺います。
山中市長 社会課題の解決や共創の拠点など、幅広い機能が必要とのことですが、市民の皆様からは、談話・飲食、子どもが遊べるスペースあるいは居心地の良さ、そういったものを求める声がございます。今後、様々なニーズを分析しながら、まちの魅力づくりへの貢献や、子育てや市民活動の支援といった視点も含めた上で、新たな機能や中長期的な再整備の在り方について検討をしてまいります。

また併せて、

質問13 新たな図書館像の策定に当たり、面的なサービス提供体制の展開や充実についても検討すべきと考えますが、市長に伺います。
山中市長 面的なサービス提供体制の展開や充実についても検討すべきとのことですが、新たな図書館像は、図書館だけでなく、図書取次所や移動図書館なども対象とします。さらに、電子書籍サービスやメールでのレファレンス対応の充実など、非来館型サービス等も含めたサービス提供体制について、検討していきます。

市民の意見を幅広く聞いて、世界的に魅力を発信できるようなビジョンをつくり、子育て世代をはじめ全ての市民にとって魅力的な図書館を新増設することを要望して、次の質問に移ります。

5 保育所等における1・2歳児の受入枠拡大

次に保育所等における1・2歳児の受入枠の拡大について、伺います。

昨年9月に公表した、保留児童対策タスクフォースによる分析では、令和4年4月時点における育児休業延長希望を除く1歳児、2歳児の保留児童は、全体の7割にあたる1,190人を占めています。

令和5年度予算では、必要な場所に認可保育所や小規模保育事業を整備できるよう予算を計上し、既存施設に対しては、分析結果を踏まえ、定員構成の見直しに対する補助を大幅に拡充し、1歳児や2歳児から入所できる受入枠を既存施設だけで214人分確保する予定です。そこで、

質問14 既存保育所等で1歳児や2歳児の受入枠を増やすことの目的について、市長に伺います。
山中市長 保育所等における1・2歳児の受入枠拡大についてご質問いただきました。既存保育所等で1歳児や2歳児の受入枠を増やすことの目的についてですが、保留児童対策タスクフォースの分析結果から、きょうだい児が在園されている方は同じ園に入所したい意向が強いことや、駅から遠い場所に居住している方は、自宅近くの保育所を選択する傾向が見られました。こうした点在するニーズに対応する既存施設を活用した受入枠の増加は、新規整備に比べて迅速かつ柔軟に対応でき、保留児童の削減に効果的だと考えています。

タスクフォースによる取組としては、1歳児や2歳児の受入枠の確保だけでなく、一時保育や医療的ケア児の受入れを増やすための運営費拡充や施設改修費の補助を新設することや、保護者が園選びの選択肢を増やすための保育所等情報サイトの作成などの新規・拡充する事業も計上しています。

「子育てしたいまちを実感できる横浜へ」を掲げる市長にとって、待機児童・保留児童対策は大変重要な施策です。預けやすさの実感に向けて、待機児童、保留児童の解消を迅速に進めていくべきと考えます。 そこで、

質問15 待機児童や保育を必要とする保留児童の解消に向けた今後の進め方について、
市長に伺います。
山中市長 待機児童や保育を必要とする保留児童の解消に向けた今後の進め方についてですが、令和5年度予算案では、タスクフォースでの分析結果を踏まえた4つの対策の方向性に基づく事業を計上しており、これらについてしっかり取り組んでまいります。また、今後も事業効果の検証を継続し、より効果的な対策を行うことで、保育を必要とする保護者の方が利用できるよう、スピード感をもって取り組んでいきます。

6 児童虐待対策

次に、児童虐待対策について伺います。

令和5年度予算においても、子どもの命と権利を守るため、横浜市中期計画に掲げる「児童虐待防止」や「社会的養護の充実」を実現するための様々な取組・事業が盛り込まれています。そこでまず、

質問16 児童虐待対策の更なる推進に向けて、令和5年度予算に込めた思いについて、市長に伺います。
山中市長 児童虐待対策についてご質問をいただきました。児童虐待対策の予算に込めた思いですが、中期計画の政策指標にも掲げた虐待死ゼロに向け、新たな児童相談所の整備を進めるほか、区役所及び児童相談所の機能強化や職員の専門性の向上、地域や関係機関との連携強化、また、児童虐待防止の啓発・広報活動など、児童虐待対策を総合的に推進するための予算としました。子どもたちが虐待によって悲しむことのない社会の実現に向けて、全力で取り組んでまいります。

先日、全国の警察が、児童虐待の疑いがあるとして2022年に児童相談所に通告を行った件数が、過去最多の11万5,730人であったとの発表がありました。本市においても、心理的虐待やDV事案などによる警察からの通告が非常に大きな数となっており、その中には、子どもの命に関わる重大な事案もあったと聞いています。

これまでも訴えてきたことですが、増え続ける児童虐待の相談・通告に児童相談所が迅速かつ適切に対応していくためには、相談支援の業務に積極的にデジタル技術を導入し、業務の効率化とともに質の向上を図っていくことが喫緊の課題であると考えます。そこで、

質問17 児童相談所業務におけるDXの推進についてどのように考えているのか、市長に伺います。
山中市長 児童相談所業務におけるDXの活動ですが、デジタル技術の導入により業務の効率化を図ることで、職員が子どもや保護者と向き合う時間を確保し、対人援助の質の向上に結び付けていくことは、児童虐待の防止にとって非常に重要であると考えています。このため5年度は、電話相談へのAI文字起こしシステムの導入やWeb会議環境の整備などに取り組み、児童相談所業務における支援の質の向上を図ります。

一方で、「社会的養護の充実」にも積極的に取り組むべきと考えます。

国は、平成28年の改正児童福祉法において、家庭での養育が困難、又は、適当でない場合は、養育者の家庭に子どもを迎え入れて養育を行う里親やファミリーホームによる家庭養育を優先することを各自治体の責務としました。

本市としても、中期計画において、里親やファミリーホームへの委託率を、令和7年度末までに30%とする目標を掲げていますが、令和3年度末時点の里親等委託率が16.0%となっており、目標達成は容易ではないと思います。

これまでも、令和3年度には広報動画による里親制度の周知など様々な取り組みも行ってきましたが、さらに踏み込んだ施策を実施していく必要があると思います。 そこで、

質問18 里親制度を推進するための新たな取組について、市長に伺います。
山中市長 里親制度を推進するための新たな取組ですが、里親等委託率の向上に向けて、里親の担い手を増やすとともに、里親と子どもへの支援の充実が必要です。児童相談所で実施している里親制度の広報やリクルート活動、研修等を行う、いわゆるフォスタリング事業を、新たに専門的なノウハウを持つ民間団体に委託いたします。児童相談所と団体とが連携・協力し、今まで以上に里親と子どもの支援に注力をすることで、里親制度を推進します。

社会的養護のもとで養育される子どもは、原則18歳になると社会に自立していくことが求められますが、実の親や親族から支援を受けられない場合が多く、経済的にも精神的にも支援が必要です。

本市における、こうした社会的養護経験者への支援は、これまでも、居場所づくりや、生活・就労に関する相談支援、自動車運転免許証等の資格取得費用の助成などを行ってきていますが、社会的養護のもとで養育される子どもが、将来に向けて明るい夢や希望を持つためには、支援を拡充する必要があると考えます。そこで、

質問19 社会的養護経験者への支援策の拡充について、市長に伺います。
山中市長 社会的養護経験者への支援策の拡充ですが、社会に出た若者が安心して自立した生活を営めるように、経済的な支援、心理的な支援をしっかり行うことが非常に重要です。これまでも、支援コーディネーターの配置や経済的支援を実施してまいりましたが、5年度は大学等に進学する際の補助を増額するほか、公認心理師によるカウンセリングなど、社会に出てからの支援策をより一層強化いたします。

里親制度の推進や、社会的養護経験者への支援については、これからもしっかりと取り組んでいってもらいたいと思います。併せて、本市として引き続き、社会的養護を担う施設職員等の処遇改善を行う予算計上を検討していただくとともに、国への更なる働きかけを要望し、次の質問に移ります。

7 ひきこもり支援と青少年育成

次に、ひきこもり支援について伺います。

こども青少年局において、ひきこもり等困難を抱える若者に対するSNS相談事業を新規で実施する一方、40歳以上の中高年の支援を所管する健康福祉局では、電話による相談のみとなっています。ひきこもり支援においては、当事者の視点にたった、年齢によってサービス内容を区切ることのない支援が必要だと考えています。そこで、

質問20 ひきこもり支援は、年齢によらず切れ目なく推進していくべきと考えますが、市長の見解を伺います。
山中市長 ひきこもり支援と青少年育成についてご質問をいただきました。年齢によらず切れ目のないひきこもり支援ですが、昨年5月に、ひきこもり相談専用ダイヤルを設置し、子どもから高齢の方まで幅広い年齢層の方から御相談をいただき、面談等の支援につながっています。御本人や御家族に寄り添う支援を積み重ねていくなかで、SNS等の相談手法も含め、最も効果的な方策を検討し、関係局が連携して切れ目のない支援を進めていきます。

また、ひきこもり状態の方への支援の一つに、当事者や元当事者が同じ経験をした仲間として、ひきこもりのご本人と対等な関係で支援する「ピアサポート」があり、近年特に注目されています。

私もピアサポート活動の支援をしていますが、ピアサポート団体の活動については、活動場所が不足しているだけでなく、活動を継続するためのスキルや資金の不足、活動テーマが助成対象となりにくいような現状があります。 そこで、

質問21 ひきこもり当事者の自助グループが活動を継続できるような資金面などのサポートが必要と考えますが、市長の見解を伺います。
山中市長 自助グループへの支援ですが、これまで本市では、自助グループに対して情報提供や助言、心理的サポート等、様々な活動支援を行ってきました。また、市社会福祉協議会等には、自助グループも含めた市民活動に対する助成制度があります。自助グループごとに活動内容や支援ニーズは様々ですので、団体の運営状況に応じた支援の在り方を検討してまいります。

ひきこもりのように、今まさに困難に直面している方々への支援は重要です。

一方で、若者の社会参加を促し、次世代の担い手育成も重要であると思います。青少年の育成に関しては、教育委員会予算では、「SDGs達成の担い手育成推進事業」などがあり、こども青少年局予算では「青少年の地域活動拠点づくり事業」があります。日本の若者の、社会課題等への参加意識の低さは、近年様々な調査から明らかになるなか、横浜市から社会に出ていく青少年の社会参加への意識を高めていくことは、横浜市の将来を築いていく視点からも重要です。

青少年の社会参画に向かう力を育む場作りとして取り組まれてきた「青少年の地域活動拠点」は、現在7か所とまだまだ数が少ないと言わざるを得ない状況にあります。「青少年の支援」ではなく、「青少年を育成」するノウハウを持つ団体は決して多くない状況であり、拠点を増やすためには運営できる団体の育成が課題ともされていますが、そうした中でも、このような拠点づくりは積極的に推進する必要があるのではないかと考えます。そこで、

質問22 青少年の地域活動拠点の充実を図るべきと考えますが、市長の見解を伺います。
山中市長 青少年の地域活動拠点の充実についてですが、子どもたちが自己肯定感を高め、健やかに成長するためには、様々な学びや、社会で生き抜く力を得るための糧となる多様な体験活動や居場所が必要です。そのため本市では、居場所や社会参加プログラム等の体験活動を提供する青少年の地域活動拠点を市内7か所で実施しており、今後もニーズや効果等を踏まえながら、拡充に向けた検討を行ってまいります。

8 子育てしたいまちに向けた施策の推進

次に、「子育てしたいまちに向けた施策の推進」について伺います。

「子育てしたいまち よこはま」を実現するためには、子どもたちを育てる保護者に向けた施策を進めていく必要があります。特に、忙しい子育て世代の皆さんにとって、デジタルの活用というのは非常に親和性が高いものだと思います。

令和5年度予算案においては、「子育てDX」に関する取組が多数盛り込まれていますが、市長の記者会見の中でも特に強調されていたのが、「子育て応援サイトの構築」です。そこでまずは、

質問23 子育て応援サイト構築の目的について、市長に伺います。
山中市長 子育てしたいまちに向けた施策の推進についてご質問をいただきました。子育て応援サイト構築の目的についてですが、スマートフォン等を通じて、ワンストップで子育てに関する手続や情報提供が行えるポータルサイトを整備し、時間に余裕がない子育て家庭の利便性向上や負担の軽減を図ります。子育てしたいまちの実現に向け、横浜は子育てしやすいと思っていただけるようなサイトを目指します。

子育て応援サイトの構築によって、スマートフォンひとつで申請手続きが完了できるようになれば、「横浜DX戦略」で示された「書かない・待たない・行かない」区役所が実現することとなり、忙しい子育て世代の皆さんにとって利便性の向上につながるものと考えます。

DXの目的の1つは、UX(ユーザーエクスペリエンス)の向上であり、そのために適切なUI(ユーザーインターフェイス)の設計が重要となります。「子育て応援サイト」を活用していただくには、UXの最大化が重要なポイントです。 そこで、

質問24 子育て応援サイトの構築にあたっては、UXの向上など市民にとってより一層利用しやすいものとすべきと考えますが、市長の見解を伺います。
山中市長 子育て応援サイトの構築にあたって、UXの向上などにより利用しやすいものとすべきとのことですが、民間の好事例を研究した上で、試作段階から操作性・画面の見やすさ等を繰り返し確認するなどこういったプロセスを徹底したいと考えております。その上で、保護者やお子さんの属性等に応じて、必要な情報を適切に表示したり、また行政からのプッシュ型の情報発信といった基本的な機能は当然のこと盛り込んでまいります。そういったことにより、保護者の皆様が真に利用しやすいと思えるUXの高いサイトを目指します。

小児医療費助成についても、申請手続きを子育て応援サイトに一元化し、医療証のデジタル化を進める事を要望しておきます。

「子育てしたいまち よこはま」実現のための住居の支援策として、「子育て住まいサポート」が予算案に新たに掲げられ、様々なメニューが用意されています。子育て世代の転入を促進する事業ですが、転入可能な住宅の戸数がどの位になるのかなど、課題を感じています。 そこで、

質問25「子育て住まいサポート」の目的について、市長に伺います。
山中市長 「子育て住まいサポート」の目的についてですが、住居費の負担が大きい子育て世代に対して、セーフティネット住宅の家賃補助の対象を拡充するとともに、マイホームを取得する際には、健康な暮らしを支えて、経済的なメリットのある省エネ住宅への住替え補助を行います。このような、子育て世代のライフステージに応じた支援とともに、住宅地の魅力の向上や情報の発信を強化して、子育て世代の転入・定住を促進いたします。

青葉区のたまプラーザ地区では、これまで約10年間「次世代郊外まちづくり」が進められ、青葉台エリアなどへ横展開が進められています。郊外住宅地の青葉区では、市民活動も豊富で、「あおば小麦プロジェクト」など地場産品による魅力あふれる活動も生み出されています。先日市長が青葉台にお越しになった際にはあおば小麦やお米を召し上がったと思いますが、きっとおいしかったと思いますが、いかがでしたでしょうか?

子育て世代の転入促進のためには、住まいの支援とあわせ、住宅地の魅力を高め、その魅力を発信することが重要です。

発信にあたっては、住まいの支援策だけではなく子育て支援策全体を一体感を持って見せていくとともに、他の都市に対する競争優位性を高めるポイントをしっかりと打ち出す、戦略的なプロモーションが不可欠です。そこで、

質問26「子育てしたいまち」に向けたプロモーションの進め方について、市長に伺います。
山中市長 「子育てしたいまち」に向けたプロモーションの進め方ですが、政策局を中心に、関係局がしっかりと連携をし、一体的なプロモーションに積極的に取り組んでいきます。拡充を進めている子育て支援策はもちろん、交通利便性の高さ、スポーツ・自然環境、コミュニティの豊かさなど、子育て世代の多様なニーズを満たす都市の総合力を、ストーリー性を持たせ、広報紙やウェブサイトなどのメディアを組み合わせて、戦略的に発信をしてまいります。

9 地域交通の取組

次に、地域交通の取組について伺います。

地域交通は、既存の中距離輸送の軸となる路線バスと、身近できめ細かな短距離輸送の移動サービスがあり、これらをトータルで機能させながら、公共交通として市民の暮らしを支えていくことが重要です。

しかしながら、コロナ禍や生活様式の変化により、交通事業者は厳しい経営環境が続いています。特に、路線バスについては、利用者の減少に加え、運転士不足や燃料費高騰などにより深刻な経営環境に立たされており、市内各地で減便や運行形態の見直しが実施されています。そこでまず、

質問27 交通事業を取り巻く環境の変化についてどう認識しているか、市長に伺います。
山中市長 地域交通の取組についてご質問をいただきました。交通事業を取り巻く環境の変化への認識ですが、人口減少・超高齢社会の到来に加え、コロナ禍を通じた人々の生活様式の変化などにより、今後、公共交通の利用者が増加することは見込みづらくなっております。
さらに、燃料価格の高騰や事業を支える人材確保の課題など、交通事業の経営環境は将来にわたって厳しいものと見込まざるを得ないと認識しております。

中距離輸送の路線バスを「線」に例えるのであれば、きめ細かな近距離輸送の移動サービスは「面」と捉えることができます。「線」が細くなり途切れる前に、「面」で補うという考え方が必要になってきます。

身近できめ細かな短距離輸送の移動サービスとして、令和4年度より開始した実証実験については、私の地元である青葉区の新石川地区をはじめ、市内4地区で実施しており、バスやタクシーを活用しながら、それぞれ視点を変えて多様な移動サービスの実験に取り組んでいます。そこで、

質問28 デマンド型交通、タクシーの相乗りなど、多様な種類の実証実験に取り組む目的を、市長に伺います。
山中市長 多様な種類の実証実験に取り組む目的ですが、本市の郊外部は、地形や人口構成に加えて、路線バスの運行状況、店舗、病院あるいは施設の立地状況等が異なりますので、地域ごとに移動ニーズが多様化しております。そのため、立地特性に応じた様々な種類の実証実験を行うことにより、多くのデータや運営ノウハウを蓄積して、個々の地域に適したサービスを市域に幅広く展開していきたいと考えております。

これまで横浜市では「地域交通サポート事業」を実施し、地域交通の導入に向けた地域の主体的な取組を支援してきましたが、5人以上の組織登録からなる住民発意が必要で、高齢化の進展などに伴って、活動のハードルが高くなっていると感じています。

私は、手挙げ方式となっている地域主体の取組に加えて、行政が主導する形で、地域のステークホルダーと調整し、移動サービスを実現していく取組も必要だと提案してきました。市民生活に支障がないように、横浜市がこれまで以上に率先して、「線」と「面」両方の課題解決に取り組み、持続可能な地域交通への道筋をつける必要があるのではないでしょうか。そこで、

質問29 既存の路線バス等も含めた、持続可能な地域交通の確保に向けた取組の方向性について、市長に伺います。
山中市長 既存の路線バス等も含めた、持続可能な地域交通の確保に向けた取組の方向性ですが、利用者の多い路線への連節バスの導入や、細かなニーズに対応できるワゴン型車両の導入など、輸送量に応じた効率的な運行を図り、バス路線の維持につなげていきます。実証実験を経て導入する、新たな移動サービスと路線バスのネットワークが相互に連携をし、面的に地域の移動を支えることにより、持続可能な地域交通の実現を目指します。

地域交通政策は、今まさに、そのあり方の転換期にあります。様々な実証実験が実験で終わらず、確実に社会実装されることを要望し、次の質問に移ります。

10 都市デザイン

次に都市デザインについて伺います。

横浜市の魅力づくりに大きな役割を果たしてきた都市デザイン行政ですが、いよいよ、みなとみらい21地区の街区開発が概成を迎えるなど、都市が成熟し、縮減する時代に入ってきました。今後は質を高めるとともに、時代に合わせた新たな都市デザインの役割が必要になってくると考えます。50年間積み重ねた取組みの中で、今後も継続していくべきものもある一方で、新たな展開も必要です。 そこで、

質問30 今後の都市デザインの果たすべき役割について、市長に伺います。
山中市長 都市デザインについてご質問を頂きました。今後の都市デザインの果たすべき役割ですが、幅広い世代から選ばれる都市・横浜に向けては、市民や来街者の皆様が誇りや愛着を持てるまちづくりが更に重要となってきます。これまでのハードとしての都市景観のみならず、横浜が持っている魅力的な資源である歴史、港、水辺を感じながら、人々が憩い活動できる空間づくりを行っていくことが、今後の都市デザインの果たす大きな役割であると考えています。

今後は都市のブランディングとあわせて、にぎわい創出や経済活性化など、都市としていかに稼いでいくかということが更に大事な観点になります。水辺の活用や歩行空間の拡大など都市空間を大きく変えていくことにより確実に都市を再生していくことが世界のトレンドとなっています。

横浜の都心臨海部においても、Kアリーナや横浜BUNTAIをはじめとして市外からも多くの人が訪れるようなにぎわい拠点の集積が図られつつあり、そこを訪れた人々が市内に滞在し消費活動をしてもらえるような仕掛けづくりが必要になると考えています。そこで、

質問31 都心臨海部において、エリアごとの特性を生かした滞在・回遊を生み出す魅力的な空間形成をさらに進めていくべきと考えますが、市長に見解を伺います。
山中市長 都市臨海部の魅力的な空間形成についてですが、音楽アリーナなどが集積するみなとみらい21地区や、開港の歴史の残る関内地区など、それぞれの個性あるエリアの魅力を更に高める取組に加えて、都心臨海部全体で回遊性を高めることが重要です。そのため、にぎわいや魅力を高める公園などの公共空間の利活用や、歴史的建造物を活用したカフェなどをはじめ、居心地の良い滞在環境を整えるとともに、既存の観光拠点・商業拠点との回遊性を高めるための歩行者環境の向上を図ってまいります。

11 回遊促進による賑わいの創出

次に、回遊促進による賑わいの創出について伺います。

都心臨海部では近年ライブハウスや音楽アリーナなどの音楽施設の集積が進み、本年9月に開業する世界最大級の音楽アリーナ「Kアリーナ横浜」は2万席が用意されます。ぴあアリーナは1万人規模、KT Zepp横浜は2千人強と、3万人を超える収容人数がみなとみらい21地区に創出され、賑わいが期待されます。

「戦略的賑わい創出事業」では、この集客力を期待し、消費を生み出そうとしていますが、会場周辺の飲食店の数、席数、営業時間の問題があり、飲食等を諦めて帰らざるを得ない状況にあると考えます。

これだけの音楽施設が集積しているチャンスを捉え、集まった人たちに出来るだけ長く滞在していただき、消費を喚起するためには、回遊促進策に力を入れることが重要です。そこで、

質問32 音楽施設の集積を生かしどのように回遊を促進し消費を喚起するのか、市長に伺います。
山中市長 回遊促進による賑わいの創出についてご質問をいただきました。音楽施設の集積を生かした回遊促進と消費喚起についてですが、音楽イベントに来場する多くの方々のイベント前後の消費を喚起するためには、事業者の皆さまと連携し、楽しく回遊できる仕組みを作ることが重要です。そのため、飲食店やホテル事業者などと連携したコラボレーション企画の実施や、音楽施設と飲食店街等をつなぐモビリティの運用など様々な取組を積み重ねることで、回遊促進と消費の喚起を図り、市内経済の活性化につなげてまいります。

また、賑わい創出による消費喚起ということでは、観光客の夜の滞在時間を延ばすことも必要です。

これまで横浜市では、ヨルノヨを複数年にわたり実施し、昨年は「横浜市都心臨海部夜間景観形成ガイドライン」を策定するなどナイトタイムエコノミーの活性化に取り組んできており、私としては一定の評価をしています。

「戦略的賑わい創出事業」を、これまでナイトタイムエコノミーの活性化策と連携させて、確実に消費喚起を実現していただきたいと思います。そこで、

質問33 観光を通じたナイトタイムエコノミーの活性化に向けた市長の意気込みを伺います。
山中市長 観光を通じたナイトタイムエコノミーの活性化に向けた意気込みですが、横浜の観光消費を拡大して市内経済を活性化するためには、観光客の滞在時間を伸ばし、夜間消費を高めることが極めて有効であると認識しています。これまでヨルノヨや花火などのイベントを通じて夜間の集客に努めてきましたが、今後更に様々な事業者と連携をして回遊促進に取り組み、ナイトタイムエコノミーの活性化を進めてまいります。

みなとみらい21地区は企業を誘致するには適していますが、街区が大きくポートランドのようにウォーカブルな街とは言えません。また、恒常的にライトアップが行われているシンガポールに比べると夜間景観への取組もまだまだというふうに考えています。

各局が連携して規制緩和を行い、今まで活用されていない海辺や歩道等のスペースを活用するなど、消費を喚起させる取組を積極的に行うことを要望して、次の質問に移ります。

12 脱炭素に対応したまちづくり

次に、「脱炭素に対応したまちづくり」について伺います。

昨年4月「脱炭素先行地域」に、みなとみらい21地区が選定されました。脱炭素先行地域は、国が「地域脱炭素ロードマップ」に基づき公募する地域で、2030年度までに「民生部門の電力消費に伴うCO2排出の実質ゼロ」などの要件を、地域特性に応じて実現する地域であり、この先行的な取組が全国に広がる「脱炭素ドミノ」を起こし、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた道筋を示すとされています。

みなとみらい21地区のような都心部では、大規模施設が集中しエネルギー消費量が多いうえに、地域内における再エネポテンシャルが低いという課題があります。先行地域とされた以上は、その取組をモデルとして他のエリアにも脱炭素化の流れを作っていくことが必要です。例えば、関内地区ではベンチャー企業が集積し、こうした事業者は環境への意識が高く脱炭素の取組への意向もあると聞いています。また、天王町地区など同じく地域冷暖房を活用しエネルギー効率の良いエリアもあります。市内には、みなとみらい21地区以外にも都心部と呼べるエリアがあり、脱炭素先行地域の取組が波及していくことで、「Zero Carbon Yokohama」の達成に貢献するのではないかと考えます。 そこで、

質問34 脱炭素先行地域の取組をどのように他のエリアに波及させるのか、市長に伺います。
山中市長 脱炭素に対応したまちづくりについてご質問をいただきました。先行地域の取組をどのように波及させるのかですが、まず、目標とする2030年度の電力由来のCO2実質排出ゼロに向けて、みなとみらい21地区での公民連携による取組を加速していきます。そして、同地区での取組状況や成果を内外に発信するとともに、得られた知見を生かして、業務系ビルが集積する都心部エリアを中心に、地域特性を踏まえながら、まちづくりと連動させて展開をしていきます。

脱炭素先行地域の取組の1つに、東北地方をはじめとする他自治体との連携があります。本市の再エネ創出ポテンシャルは、2050年の電力推計消費量に対して約1割と試算されており、これまで他自治体との連携協定を締結し、市外からの再エネ供給の拡大に向けた取り組みを行ってきました。

今年度は新たに3つの自治体と連携協定を締結していますが、再エネ電源の将来的な需要の高まりが予測される中、他都市に先行して取り組んでいるメリットを活かし、より積極的に再エネ確保に向けた事業を推進することが必要だと感じます。また、市内の再エネ活用を拡大させていくためには、供給と同時に需要も創出していく必要があります。供給と同時に需要も創出し、需給ともに拡大させていくという視点が必要ではないでしょうか。そこで、

質問35 再エネに関する広域連携の需給拡大に向けた今後の取組について、市長に伺います。
山中市長 広域連携の需給拡大に向けた今後の取組についてですが、各自治体との連携を通じて、発電所新設などの動向を把握し、本市への導入可能性の検討や調整を早期に進めるなど、安定的な再エネ電源の確保に取り組んでいきます。また、広域連携による再エネ電源の安定性や、電気代の一部が各地域に還元されるという社会的意義をPRして、利用事業者を公表するなどにより、需要の拡大に取り組んでまいります。

13 スタートアップ支援

次にスタートアップ支援について伺います。

スタートアップは、新たな技術やサービスを通じて社会課題の解決に挑戦する存在であり、既成概念に捉われず領域を打破することで更なる価値を生み出すことができます。一方で新たなビジネスを行う上で、既存の規制や制度が障壁となっているケースも少なくありません。重点分野を定めるに当たっては、規制の緩和に踏み込んで取り組む必要があると考えます。そこで、

質問36 重点分野のスタートアップ支援に当たっては、規制緩和まで踏み込んだ支援が不可欠と考えますが、市長の見解を伺います。
山中市長 スタートアップ支援についてご質問をいただきました。規制緩和まで踏み込んだ支援が必要とのことですが、重点分野のスタートアップ支援に当たっては、規制緩和まで踏み込んだ支援が不可欠と子育てやモビリティに関するスタートアップの製品・サービスを早期に実装させるため、スタートアップから規制や制度の緩和・改革が期待されていると認識しています。今後、事業化を阻む障壁と解決する手段を見極め、国への提案や特区制度の活用なども視野に入れて、支援に取り組んでまいります。

また、今や国内の各都市でスタートアップ支援が加熱している状況で、都市間競争が生じています。こうした状況下で、他都市ではなく横浜がスタートアップに選ばれるためには、今こそ市長の強いメッセージの発信が必要です。横浜におけるスタートアップの創出と誘致のため、国内外のスタートアップに向けて、市長が自ら思いを語り、ビジョンを示すことは、スタートアップの創出・誘致に有効に作用すると考えます。そこで、

質問37 スタートアップの創出と誘致に向けて市長のトップセールスが必要と考えますが、市長の見解を伺います。
山中市長 スタートアップの創出と誘致に向けて市長のトップセールスが必要とのことですが、多くの都市がスタートアップ支援に取り組み、競争が激化する中で、横浜のビジネス環境やスタートアップ施策の方向性を私自身が発信することは重要であると考えています。そのため、積極的にスタートアップやスタートアップ支援機関の皆様と対話を行い、横浜が選ばれる都市となるよう取り組んでまいります。

一方、世界に目を向けると、世界各国ではイノベーションを興し、将来の雇用や経済成長を支えるスタートアップ企業が続々と産まれています。

横浜市の海外事務所がある米州ではシリコンバレー、ボストン、欧州ではベルリンなども、エコシステムが機能して海外との連携にも意欲的なスタートアップのハブとなる機関等も多く、それを支える人材も育成されています。

本格的な人口減少社会においても、本市が持続的に成長・発展していくためには、こういった海外の活力を取り込むことも不可欠であり、ターゲットとする人材や企業、それらによる導き出される経済・社会面の効果など、具体的なアウトプット、アウトカムをもって進めていかなければなりません。そこで、

質問38 海外活力の取り込みによるオープンイノベーション・グローバル人材創出にどのように取り組んでいくのか、市長に伺います。
山中市長 海外活力の取り込みによるオープンイノベーション・グローバル人材創出に向けた取組の進め方ですが、海外のエコシステムとの連携による市内スタートアップ等のビジネス機会の創出、海外人材の呼び込みとグローバルに活躍する次世代の人材育成、海外の人材や企業から選ばれる都市ブランドの強化を総合的に進めます。これらの結節点となるようなコンベンションも開催しつつ、海外からの投資の呼び込みの増加や、世界で活躍する人材や企業からの国際評価の向上につなげていきます。

14 戦略的・総合的な財源確保

次に、戦略的・総合的な財源確保について伺います。

2月15日の予算代表質疑において、我が党の大山団長の質問に対して市長は、税収増に関する新たな施策の立案や、本市財源の安定的・構造的な充実について答弁をされました。

中長期的に財源不足が見込まれる中で、新たな財源確保策は多岐に渡ると考えており、財源確保に特化した組織として4月に設置される「財源確保推進課」には期待をしているところです。そこではじめに、

質問39 新たな組織を政策局に置くねらいについて、市長に伺います。
山中市長 戦略的・総合的な財源の確保についてご質問をいただきました。新たな組織を政策局に置くねらいですが、効果的な財源確保策を立案し、全庁的に推進するためには、経済活性化や、土地、施設の利活用など様々な視点から、関係局の垣根を越えた議論を重ねることが必要です。そのため、本市の各施策における総合調整機能を担い、各区局の取組をけん引する政策局に設置することといたしました。

「回遊促進による賑わいの創出」についての質問で扱ったように、みなとみらい21地区での集客を消費につなげるには、臨港地区や用途地域などの土地利用規制など、規制緩和も必要です。戦略的・総合的な財源確保に向けては、こうした点についても、柔軟な姿勢で取り組む姿勢が必要かと思います。そこで、

質問40 戦略的・総合的な財源確保に向けた規制緩和の考え方について、市長に伺います。
山中市長 戦略的・総合的な財源確保に向けた規制緩和の考え方ですが、効果的な財源確保策を実現する上で支障となる規制等があれば、規制の趣旨も踏まえつつ、その緩和策についても、踏み込んで検討していきます。例えば、時代に即した有効な土地利用となるよう、用途地域等の点検見直しを行うなど、様々な検討を行ってまいります。

新たな財源確保策に向けては、調査・検討を進め、新たなチャレンジも重要です。一方で、既存の財源創出メニューであるふるさと納税や、ネーミングライツ・広告の拡充に向けては、施設の所管課をはじめ全庁一丸となって意識を共有し、積極的に取り組む必要があります。ふるさと納税などの既存の取組は、かける労力に比例して、成果に繋がりやすいことから、経費とその効果の収支バランスにも配慮をする必要があります。そこで、

質問41 戦略的・総合的財源確保に向けては、費用対効果も意識しながら取組を進めるべきと考えますが、市長の考えを伺います。
山中市長 財源確保に向け、費用対効果も意識すべきとのことですが、効率的・効果的に財源を確保するため、当面のロードマップや取組指標を設定した上で、検証を重ねながら進めてまいります。

15 ファシリティマネジメントの推進

次にファシリティマネジメントの推進について伺います。

これまで会派として、各局が保有する未利用地について、地域の住民意思に基づきつつ、財政的視点と土地の持つ長期的な価値を精緻に検討し、単に売却するだけでなく、定期借地などにより民間企業等との連携のもと活用を進めていくことを求めてきました。

昨年策定した財政ビジョンの、財政運営の基本方針の柱の一つに資産経営を掲げるとともに、12月には資産活用基本方針を改定し、全庁的に戦略的な利活用を進めるということです。基本方針では、資産の適正化の考え方を改めて整理するとともに、時代にあわせた取組の方向性を打ち出しており、資産活用は着実に次のステップに移りつつあると評価しています。 そこで、まず、

質問42 財政ビジョンの策定及び資産活用基本方針の改定を受けた、保有資産の戦略的な利活用の基本的な考え方について、市長の見解を伺います。
山中市長 ファシリティマネジメントの推進についてご質問をいただきました。保有資産の戦略的な利活用の基本的な考え方についてですが、市保有の土地・建物等の資産を、その特性に応じて役割・位置付けを明確にした上で、市民の皆様の御理解をいただきながら、その価値が最大限発揮されるよう利活用を推進します。事業の見直しや用途廃止・再編整備等に伴い生じる資産について、より柔軟で全庁的な視点と多様な主体と連携した協働・共創型の取組のもとで適正化を進めます。

市で令和4年度に開催した保有資産の利活用をテーマとした庁内ワーキングでは、具体的に利活用を実践している民間事業者の話を聞き、実際の未利用等土地を題材に利活用のシミュレーションを行うことを通じて、ともに資産活用の進め方を議論していて、今後、利活用を全庁的に推進するに当たり欠かすことのできない「公民連携」と「主体的に取り組む人材の育成」という両方の面から、大切な取組だと思っています。

横浜には、民間企業や大学などの様々な主体と相互に連携・協力し、実績を出すことができる場や機会が豊富に得られる良さがあり、市がこれまで蓄積してきたノウハウに民間の知恵や発想を融合し、公民双方がお互いの目的を理解・尊重した上で適切に役割分担しながらファシリティマネジメントを推進することが、今後はより一層求められると思います。 そこで、

質問43 これからの資産活用においては、これまで以上に多様な主体との公民連携の取組を進めていくことが重要と考えますが、市長の見解を伺います。
山中市長 公民連携の取組が重要とのことですが、これまで利活用が進んでこなかった郊外部の廃校等の大規模資産を中心に、創造・転換の観点から民間の柔軟なアイディアなどを取り入れる必要があります。市民や事業者の皆様と、資産情報や課題を共有した上で、大学や金融機関等と連携したオープンイノベーションの取組や、より主体的に取り組む職員の人材育成など、協働・共創型の資産経営を実践していきます。

16 データに基づく市政運営

次にデータに基づく市政運営について伺います。

厳しい財政状況において、時代の変化や市民ニーズに対応しながら、必要なサービスを提供していくためには、データに基づいた経営判断によって、最適な形を目指していく必要があると考えます。

この点、令和5年度予算案では、最適な行政サービスを提供していくための取組の一つとして、「施策・事業評価制度」が挙げられています。これまでも、国や他都市で、評価制度は積極的に取り入れられてきましたが、定量的な指標の設定や、分析したデータの予算編成等への活用が不十分なケースも見られます。

「施策・事業評価制度」の推進は新たなチャレンジであり、横浜であれば全国トップレベルの成果を出せる状況にあると考えています。また今後本市がデータに基づいて経営判断を行っていく上で、「肝」となる取組と考えています。 そこで、

質問44 施策・事業評価制度を進めていく決意について、市長に伺います。
山中市長 データに基づく市政運営についてご質問をいただきました。施策・事業評価制度を進めていく決意ですが、個々の事業に加えて、新たに施策の単位で評価を行い、施策の目的と各事業の結びつきを見える化します。データに基づいて、目的の達成に最も効果的な手段を議論することなどにより、事業の新陳代謝を図り、時代の要請に対応しながら、本市の持続的な発展を目指してまいります。我が国の地方自治体全体を見渡しても挑戦的な取組になるかと存じますが、5年度から専任チームを設置して、本市横浜におきまして強力に進めてまいります。

施策・事業評価の評価結果を、予算編成等に活用していくためには、必要なデータを蓄積・管理できる仕組みが必要です。

これについて、平成30年度に、これからの行政経営、職員の働き方、人材育成を大きく変えるため、財務会計システム、人事給与システムの再構築を含めた改革をスタートしました。長年準備を進めてきた「新たな財務会計システム」が、5年夏に、6年度予算編成に向けて、いよいよ稼働を迎えますが、これは、評価結果を含む各種データを集約して、予算編成等に活用していくことを企図しており、他都市では類を見ない革新的なシステムになることを期待しています。

また、「新たな人事給与システム」についても、5年度内の一部稼働が計画されています。一方で、これらの多額の費用をかけて構築したシステムも、うまく使いこなせばければ、宝の持ち腐れになってしまうのではないかと危惧しています。 そこで、

質問45 データに基づく市政運営を進めていくためには、現在構築中の財務や人事の新たなシステムを有効に活用して成果につなげていくことが重要と考えますが、市長の見解を伺います。
山中市長 システムを活用して成果につなげる重要性ですが、今後の行政経営には、データを重視した経営判断、人材育成が重要になると考えております。そのための基盤として行政経営プラットフォームを整え、財政情報や人材・組織の情報を連携させながら活用して、中期計画と予算の連動、施策・事業の新陳代謝、職員の意欲に応えスキルが発揮できる配置、効率的な執行体制の構築など、データ面から推し進めてまいります。

17 DXによる職員の時間の創出

次に、DXによる職員の時間の創出について伺います。

昨年の予算関連質疑では、DX推進の意義を市民に伝えていくための、目標や成果指標としての「時間」の重要性を議論させていただきました。昨年作庭された横浜DX戦略」では、「横浜のDXは皆さんに大切な「時間」をお返しします。」とされており、時間の価値という考え方がしっかりと盛り込まれていることを評価しています。

令和5年度予算では、事務処理の効率化により、市職員の時間を生み出し、必要な人に温もりのあるサービスを届けるため、横浜型の新しいワークスタイル“Link-Up!YOKOHAMA”に取り組んでいくとされています。そこで、

質問46 “Link-Up!YOKOHAMA”の取組により、どのように職員の時間を生み出していくのか、市長の考えを伺います。
山中市長 DXによる職員の時間の創出についてご質問をいただきました。“Link-Up!YOKOHAMA”の取組による職員の時間の生み出し方ですが、横浜市では、区役所や局など市内に分散した各拠点の職員が、情報を共有し、連携して市民サービスを提供しています。クラウドを利用しやすい環境を生かし、チャット、WEB会議、モバイルアクセス等を活用することにより、コミュニケーションの効率化や移動時間の削減を進めます。日常業務の様々な場面で時間を生み出すことで、必要な人への、温もりあるサービスを充実させます。

また、そうした大きな変革だけでなく、職員が日常の業務にデジタルを活用し、効率化に
取り組むことができる環境の整備も必要です。

デジタル技術の中でも、業務効率化に有効なソリューションはたくさんあります。横浜DX戦略でも、RPA、AI-OCRやノーコード・ローコードツールなどのデジタル技術を活用して、内部事務の効率化・省力化に取り組むとされています。RPAの活用については、市の職員が自身でロボットを作成することができる環境が構築され、ロボットの内製が始まっていると聞いています。

これは、技術や意欲のある職員が自身の業務でロボットを活用することにより、自ら時間を生み出し、働き方を変えていけるという意味で新しい取組で、こうした職員の取組を支援し、それが全庁的な業務効率化につながるのであれば非常に良いことだと考えます。 そこで、

質問47 業務効率化のために職員が自らRPAロボットを作成する取組をしっかりと支援すべきと考えますが、市長の見解を伺います。
山中市長 業務効率化のために職員自らがRPAロボットを作成する取組を支援すべきとのことですが、現場の職員が、RPA導入の相談や作成支援を受けられる横浜市Myロボット工房を作成して、取組をスタートさせたところです。助成金の支給事務では、100時間かかっていた単純入力作業をほぼなくすことができるなど、職員の時間を生みだし負担を軽減する効果的な事例が出てきております。導入に意欲をもつ職員を支援することで、業務効率化の取組を横展開してまいります。

職員の時間の創出については、超過勤務時間の削減に繋げていただくことを要望し、次の質問に移ります。

18 行政サービスの最適化

次に、行政サービスの最適化について、伺います。

横浜市は人口減少の局面に突入し、多様化し複雑化し、変化し続ける社会課題に対応していくには、市職員に優秀な人材を確保することや、市職員が新たなチャレンジをしながら育っていける環境づくりが必要です。かつて、本市には庁内アントレプレナーシップ制度が存在し、当時の職員が提案した、広告事業やGISの活用、風車など事業化してきた例も多くありました。

私は、そういった職員による新たな挑戦を認め、事業化する制度を進める仕組みが、いま改めて必要だと感じています。例えば庁内での事業化にとどまらず、庁外に職員が「株式会社」を起業し、その会社が稼ぎ、市に還元するというような企画があってもいいのではないかというふうに考えます。そこで、

 
質問48 若手職員がチャレンジするために、どのようなことに取り組むのか、市長に伺います。
山中市長 行政サービスの最適化についてご質問をいただきました。若手職員がチャレンジするための取組ですが、新たなイノベーションを起こすためには、前例に捉われない挑戦が必要です。若手職員の発想はフレッシュで斬新ですが、担当業務以外のアイデアを生かせる機会が少ないと感じています。今回新たに、自身の業務に従事する傍ら、DXやワークスタイルの改革等にもチャレンジできる取組を開始して、全庁的に職員を募集し取り組んでまいります。

これまで以上に意欲と能力が発揮できる職場づくりを進めるためには、若手のチャレンジだけでなく、それを支える責任職をはじめとする全職員が同じ意識を持つことが重要と考えており、今回の予算案に記載されている「職員の意識改革」に期待をしています。そこで、

質問49  職員の意識改革を、どのように進めるのか、市長に伺います。
山中市長 職員の意識改革の進め方についてですが、変革の必要性を、職員一人ひとりが自分事として捉えられるよう、コンテンツを工夫した上で、総務局職員が区局に出向いて説明会を始めました。民間の好事例を生かした、責任職の行動変容を促すプロジェクトも実施し、「意識」、「思考」、「行動」の変革を確認するサイクルを構築することで、意識改革を進めます。

次に、BPRの取組について、伺います。

今後、生産年齢人口の減少が一層進む見通しの中、本市職員の採用も困難な時代を迎えることが予測されます。また、これから求められる行政サービスの変化にも的確に対応し、安定的に提供できるようにしていくことも必要です。そのためにも、DX等を契機に、業務の内容や進め方を抜本的に見直し、業務を再構築するBPRの取組を進めていくことが、大変重要だと考えます。そこで、

質問50 今後、BPRをどのように進めていくのか、市長に、伺います。
山中市長 BPRの今後の進め方ですが、限られた経営資源の中でも、時代の要請に応え、行政サービスを持続的かつ適切に提供していくため、業務フローを可視化して、DX等を活用し業務を再構築します。まずは、住民情報系システムの標準化等を契機として、区役所業務等を対象にBPRに着手し、業務・事務の最適化と更なる市民サービスの向上につなげていきます。

19 魅力ある人材の確保

最後に、魅力ある人材の確保について、伺います。

過去には都市デザイン室を目指して横浜市役所に応募をしてくるという人材が居たというふうに聞きます。また横浜市の職員採用については他都市と比べても応募者が多いということで、横浜市には多くの魅力ある人材が集まってきたというふうに伺っていますが、近年では職員の採用の応募者数が減少しているという課題を抱えています。魅力ある仕事、そして魅力ある組織には、意欲あふれる人材が集まってきます。本日の質疑の中でも、いくつもの先進的な事業がありました。何より市民生活をより豊かにするために、そして市政運営を改善していくために予算が投じられるわけですが、併せて横浜市役所の魅力を高め、企業や他自治体との人材確保競争のなかで「選ばれる市役所」につなげて行くことも重要だと考えます。そこで、

質問51 魅力ある人材を確実に確保するためにどのような取組を行っていくのか、市長に伺います。
山中市長 魅力ある人材の確保について質問をいただきました。人材確保に向けた取組ですが、動画を中心とした、職員採用ウェブサイトのリニューアルや、若い世代に訴求効果の高いインスタグラムによる、各職場の雰囲気や職員のリアルな声を発信することで、横浜市で働く魅力を伝えていきます。また、5年度から新たに、民間企業等の選考で活用されている適性検査「SPI3」を導入するなど、次代の横浜市を担う柔軟で多様な人材の確保に力を入れていきます。

山中市長2度目の予算編成で、私達が要望してきた政策や、これまでにない意欲的な政策が予算化され、期待を持てる予算案だと評価しています。多くの市民から選ばれた市長が、市民目線で市民とともに歩む市政運営を引き続き行っていただくことを要望しまして、会派を代表しましての質問を終わります。ありがとうございました。

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