沖縄県の物流・人流の拠点港湾。那覇港管理組合視察。

2023-11-01 00:48:24 | カテゴリ:活動報告


藤崎浩太郎

2023年10月31日、今年度所属する常任委員会「国際・経済・港湾委員会」の視察で、那覇港管理組合にお邪魔して、取り組みについてお話を伺いました。

那覇港の概要

沖縄県の物流の99%は船舶・港湾を使った海上輸送が担っているなか、那覇港は沖縄県の公共貨物のうち約66%を取り扱う物流拠点となっています。あわせて、離島航路やクルーズ船等の人流拠点拠点ともなっていて、沖縄県の社会経済活動を支える重要な港湾となっています。

港湾施設は本土復帰(1972年)前後に整備された施設が多いため老朽化の課題を抱えるとともに、船舶の大型化や貨物量の増加への対応が困難になってきています。そのための対策の1つとして、2023年から新たな岸壁(14号)の整備がはじまっています。係留施設の不足も続き、本来係留施設ではない護岸等もやむを得ず使用しているという状況でした。その他、岸壁、上屋等の更新時期を迎えています。

2023年3月には、港湾施設の規模及び配置等を計画する「那覇港港湾計画」の改訂が行われています。那覇港の目指すべき将来像として、Ⅰ.アジアのダイナミズムを取り込み、自立型経済の構築を支える国際流通拠点となる”みなと”、Ⅱ.世界と沖縄、琉球の歴史・文化を繋ぎ、観光の高付加価値化に導く”みなと”、Ⅲ.沖縄の経済・生活の強靭化を支える”みなと”、Ⅳ.持続可能な発展を実現する”みなと”の4項目が示され、航路網の充実、産業集積と創貨、快適な玄関口の形成ほか、7つの基本戦略が示されています。

計画の改定によって、岸壁の整備、国際コンテナターミナルの整備、ROROターミナルの整備、一般貨物船ターミナルの整備を始め、港湾機能の大きな拡充が示されています。荷捌き用地不足の課題については、外内貿貨物の円滑な接続が可能となったり、港湾緑地を活用したイベントの開催やマリーナやクラブハウス等による交流・賑わいの形成も行わていきます。計画に定める取扱貨物量の目標値は、2019年度の1,600万トンに対して、2035年度に2,280万トンとされています。

デジタル化(DX)の取り組みについて質問をしたところ、まだ具体的な計画までは至っていないものの、現在の那覇港はアナログな伝票でのやり取りを行っていて、その間トラックのアイドリングの問題もあり、脱炭素の観点も含めてDXを検討しているとのことでした。

物流について

沖縄県内の重要6港の取扱貨物量(公共貨物)のうち、那覇港が占める割合は、内国貿易が約8割、外国貿易が約9割に及び、外貿・内貿コンテナの総取扱量は592,926TEUと、国内第7位(2021年)となっています。内訳としては、外貿コンテナ80,301TEU(国内16位)、内貿コンテナ512,625TEU(国内3位)となっています。外貿定期航路は台湾、北米、中国、韓国、フィリピンを結ぶ7航路、内貿定期・不定期航路は県外が東京、名古屋、大阪、神戸、鹿児島等20航路、沖縄県内がフェリー・高速船含め10航路となっています。

2015年には台湾港務株式会社と那覇港湾管理組合とで、パートナーシップ港に関する合意書の締結が行われ、良質な人流・物流サービスの提供や、物流サービスの質の向上、情報交流の強化等が合意されています。助成事業としては、「那覇港輸出貨物増大促進事業」によって航路拡充と国際コンテナ貨物の増大が目指され、「那覇港輸送効率化支援事業」では、那覇港を利用する国際コンテナ貨物の効率的な輸送パターンへのシフトが促進されています。その他、総合物流センターの導入によって、東アジアにおける輸出入貨物の取扱拠点を形成しようと、物流の高度化や、付加価値の高い貨物の創出についての機能が導入されています。

クルーズについて

2014年の那覇クルーズターミナル供用開始以降寄港回数が毎年増加し、コロナ前の2019年には260回を記録し、全国1位となっています。2020年3月以降クルーズ船の寄港はありませんでしたが、2023年1月に3年ぶりのクルーズ船の受入が再開されています。

クルーズ船は2014年4月に供用開始された「那覇クルーズターミナル」で主に受入が行われてきました。CIQ施設が整備され、バース延長372.5m、実水深10mの規模となっていますが、複数隻同時入港となると貨物バースを活用する他無い状況にあるという課題と、クルーズ船の大型化と増加するクルーズ需要に対応が必要という課題が生じていました。そのため、新たな国際クルーズ拠点整備事業に取り組まれて、2023年2月に「第2クルーズバース」が暫定供用が開始されています。第2クルーズパースは、延長430m、水深12mとなっています。今後は、ターミナルビルの建設等が予定されています。

藤崎浩太郎

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