本日大都市行財政制度特別委員会で、泉区で行われている地域協議会について視察を行ってきました。
「新しい地域自治の仕組み」として紹介されていますが、これまでの自治会や社会福祉協議会、民生委員、青少年指導委員、体育指導委員等々の枠組みでは解決できなかった課題に取り組もうという仕組みです。従来からある地域の様々な組織が、地域の課題解決に取り組んできたものの、団体ごとの各種会合は報告や行事の打ち合わせで終わってしまう。各種団体の連合会においても課題を挙げることはできても、解決のための議論を行う場も時間も無かった、という問題があったということでした。縦割りの地域組織を超えて、横断的に地域の課題を取り組めるようにしているのが、地域協議会です。
視察の中では、区長や地域協議会の会長など、携わってきた方々からお話を伺いましたが、興味深い話がいくつもありました。その一つは、参加者のモチベーションが高いことです。地域協議会や地区経営委員会を担っている方々は、元々自治会などで地域に関わり続けてきている方々です。新しい取組が始まったこということは、従来果たしてきた仕事の上に、さらに仕事が増えるということです。ボランティアで取り組まれていて、拘束される時間も増え、作業も増えていく。参加している皆さんには、負担感が大きいのではないかと想像していましたが、間違っていました。むしろ、「区政が身近になった」とか、「区の仕事に対する理解が深まった」とか、ポジティブな言葉ばかり。その背景には、取組にしっかりと意味があり、成果が出ていることが、大きく影響していると思います。
これまでの活動の実績として、青少年の健全育成として中高生のリーダー育成を行ったり、地域で認知症の支援を行う取組を始めたり、地域通貨「タスカル」を生みだしたりと、様々な事例が挙げられていました。当初は委員の方々も、自分達の意見を行政がしっかりと受け止めるかは未知数だったそうですが、協議会がスタートして答申をまとめたりする中で、区役所がしっかりと動いてくれたということでした。そして、これらの事例の基となった課題は、地域協議会設置以前から認識されていたものの、地域として取り組めずにいた課題だったのです。
この地域協議会から学ぶことは非常に多いと思います。
本日同行した議員からは、協議会の委員が選挙など民意を反映したプロセスを経ていないとか、泉区長の私的諮問機関であり法令的根拠を持たない、といった問題が指摘されていました。確かにそういう課題はあります。しかし一方では、共通の認識としてあった課題が、地域協議会という「場」と議論・検討を行う「時間」を得て、解決に向かって動き出しているのです。
今後、地方分権・地域主権が進みます。横浜では大都市制度が検討されています。分権が進めばその先にあるのは、地域自治、住民自治の重要性、役割の増加です。分権や自治が進んでも、自治体・役所は残っていくでしょう。その時に、行政がいかにして住民と関わるか。いかにして、住民のニーズをとらえ、それに応えていくのか。その方法の一つが、「地域協議会」だと思います。
地域協議会から学んだ重要な要素は、(1)目的が明確で共有されていること、(2)そのためだけの場と時間があること、(3)議論し判断するための情報があること、(4)課題に関係する多様な住民が参加できる、(5)成果を出せること、といったことだと考えます。形式的に話を聞くだけの行政ではなく、住民と協働できる行政へ。それが、これから先の横浜市、各区の役割として重要になると考えます。
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Comment
これでもまだ不満足です。
この会議には、若い住民は参加できていないです。
役所に問い合わせてみましたところ、
会議のメンバーは自治会連合会の重鎮の皆様がたなのだそうです。
新しい担い手づくりを模索する会議だというのに…
若い世代の生の声が入っているというわけではありません。
平日の午後6時からなんて…若い世代・子育て世代は参加できませんし
私たちの世代はこのメンバーの中に選ばれてもいません。
このスタイルでさえも、1歩も2歩も、まだまだ先に進める必要があると思います。
じゃ、ないと・・・
若い世代の自治会離れは、加速する一方でしょう。