横浜市が目指す大都市制度、特別自治市とこれからの課題

2021-01-17 21:07:39 | カテゴリ:活動報告


藤崎浩太郎

2020年12月15日、横浜市会令和2年第4回定例会の「政策・総務・財政委員会」が開催されました。政策局の報告事項では「第3次 横浜市大都市自治研究会 答申及び横浜特別自治市大綱の改訂について」が、報告事項として議論されました。

2020年12月1日に「第3次 横浜市大都市自治研究会 答申」が出されたことを受けての報告となりましたが、委員会に先立つ12月2日には「大都市行財政制度特別委員会」が開催され、自治研究会の座長を務める辻琢也先生(一橋大学大学院教授)をお招きして、答申に関する報告や質疑が行われました。私は特別委員会の委員でもあるので、特別委員会での議論を受けての常任委員会。

横浜市では長年に渡り特別自治市の実現に向けて、国への要望を行ってきたほかにも、神奈川県との調整なども行いながら、神奈川県の多くの権限を横浜市に移譲させてきています。「名実ともに」と言った場合、「名」は地方自治法の改正などを実現させ、横浜市が「特別自治市」として、県から独立した市になっていくことですが、「実」と言えば権限や財源を移譲させていくことに当たると考えます。実の部分は権限移譲が進んで来ていますが、かといって「もう十分でしょ」ということではありません。世界を見渡せば、都市が自立し、競争力を高めて、経済成長につなげている事例も増えてきています。国内における地方分権、地方自治、の文脈での大都市制度、特別自治市という視点だけでなく、国の成長、国際競争力の向上という視点から、横浜市の特別自治市を捉え、今後の検討、実現につなげていく必要があると考えています。

以下、藤崎浩太郎の質疑部分を抜粋した中継動画と、その文字起こしです。
(※議事録ではないので、実際の内容とは若干言い回し等が異なります。)

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藤崎 一点、早期実現のところですけど、私も先日特別委員会のほうでですね、辻先生のお話を聞かせていただいて、酒井委員長の下で、色んな議論をさせていただきました。特別自治市は横浜市にとって悲願でもありつつ、自明のことのように取り組まれて、先人の議員の先生方もそうですし、職員の皆さんのご努力の結果ですね、名実ともにという場合であれば実の部分をかなりとってきたわけですよね。名が法改正でちゃんと特別自治市になっていくこと、実の部分でいうと権限が委譲されて、効率的、効果的に市政運営が出来ること、無駄がなくなっていくこと。

先程も委員からありましたけど、辻先生も「何も変わらないぐらいまできている」という意味では、外から、というか市民の皆さんから見ても、他都市の人から見ても、「なぜそこまでこだわるんだ」と言われた時に、「そうじゃないんですよ」というところを、ちゃんと打ち出していかないといけない時期なんだろうなという感じもします。やっぱり議員の中でもまだ特別自治市、若い議員というとあれですけど、期数が短い、まだよく理解していないという議員もいますし、決してこれ横浜市のエゴとしてやってきてるわけではなくて、県民にとっても市民にとってもプラスですし、自立した行政運営としてもプラスですし、この先としては辻先生とこのあいだ質疑させてもらった時に、やはり国家戦略として、国の成長にいかにこの都市政策が重要かというところをもう一度提示していかないことには、厳しいかなってちょっと思うところもありました。

もともとその特別市と言われるね、1947年ごろの話の中では、やはり国家戦略としての都市経営というものがもともとあったんだと辻先生もおっしゃっていたこと。一方でやはり経済戦略としてのメリットが今の議論上は少し弱いって話、これはまだ課題だからしっかりと議論が必要だというお話も辻先生から出されていました。やはりそこの部分というのが今後我々としても、一緒に議論を重ねていきながら、これが決してその「権限が委譲されればおしまいですよ」ではない、「財源がくればおしまいですよ」ではなくて、やはり都市戦略が今後のこれから縮小していく日本における経済成長につながっていくビジョンのある大きな目標なんだということを、もう一度議論を重ねて、大綱の作成なりその先の議論に、しっかりと明示して市民に対しても、国に対しても、県民に対しても提示していくことが鍵じゃないかなというふうに感じたんですが、そのへん今後の早期実現の中での議論で、どういうふうに議論されていこうかというところお考えがあれば、教えてください。

伊地知局長 今先生がおっしゃっていただいたことが非常に大事な点で、我々が 自治制度として特別自治市が必要だと考えることと、もう一つは国家戦略として、その都市をどういうふうに生かしていくのかということがないとですね、日本は全体として減少社会の中で、全体が沈んでいくというような状況になりますので、そこをどういうふうに考えていくのかっていうのを我々も国に問いていきたいというところもあります。まあそれと同時に我々だったら、こういうことが出来ますよということをしっかりと伝えていかなければということもあるというふうに思っています。一方ちょっと私が課題だと思っているのは、大都市というのは、これまではですね、人口がどんどん増えていく、そのことによる財政事情に応えることはありましたけれども、これから人口が減っていくときには、今まで税金を納めてくれていた生産年齢人口が落ちていく、だけども高齢化は進んでいき、今まで他のその政令市以外のところであれば県がやっていた事業を横浜市がかなり持っていますので、それによるインフラの更新というのは大幅に負わなくてはいけなくなってくる。それは普通の地方の市以上にですね、大都市だからこそより厳しさが増してくるという状況にある。そういう中で生き残りをかけていかなければいけないし、国を引っ張っていく都市としての役割も果たさなければいけない。その時にどういう権限を特別自治市が持つべきなのかという事だというふうに思っていますので、あわせてですね、先生のおっしゃっていたこともふまえて、大綱のほうに議論させていただければというふうに思っています。

藤崎 よろしくお願いします。以上です。

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