みなさんは、1回こっきりの、1人の持ち時間が5分程度で、結論も出さない会議に、参加したいですか?意味があると思いますか?
本日(10/30)横浜市事業評価会議が行われました。昨年は一市民として傍聴に、今年は構成員として議論に参加しました。
事業評価会議をご存知でしょうか?事業評価会議は「事業仕分け」に似ていますが、全く異なるものです。目的は「市民が直接参加し、公開の場で議論を行うことにより、事業の効果的かつ効率的に実施し、透明性、信頼性の高い市政を確立すること」であり、実施方法は「会議結果の取りまとめは行いますが、最終結論とはせずに各メンバーの発言内容を踏まえた対応案を整理し、予算編成等の中で、今後の事業の方向性等を判断します」となっています。「公開の場で議論」を行えば「事業を効果的~信頼性の高い市政を確立」できるのか、目的に記載されている文章にも疑問がありますが、「最終結論とはせず」とあるように、議論のゴールがありません。ここは去年も同様でした。こういった会議の性質上、もやっとした感じで会議が進行しました。
私が参加した会議のテーマは「地域コミュニティ(コミュニティハウス・地域ケアプラザ) のあり方」で、論点は「今後の地域コミュニティ施設のあり方や役割・整備方法を議論する」とされていました。コミュニティハウス(コミハ)も、地域ケアプラザ(ケアプラ)も中学校区に1つ程度設置することになっています。当日配布資料(PDF)に詳細が記載してありますのでここでは省きますが、両施設とも会議室や多目的ホールという名称の部屋があり、「貸し館」としての機能を持っています。本日の議論の一つの中心が、この「貸し館」機能です。
地域活動やサークル活動で利用できる部屋は、市の施設としては、コミハとケアプラの他に、地区センターなど、各種あります。コミハ、地区センターは市民局の所管、ケアプラは健康福祉局の所管となっています。しかしながら、利用者側からすれば、「所管」ではなく「機能」が重要。活動の場所が必要な時に、縦割りに案内されたり、局横断的な連携が無いせいで、空いている場所が有効に活用しきれていないという指摘がなされました。
また、日中の稼働率と比べ夜間の稼働率が低くなっています。近年は市の財政状況の悪化もあり、民間施設にテナントとしてケアプラが入居する事例も出てきています。これまでのコミハ、ケアプラの多くが住宅街の中に立地し、それほど駐車場も多くない施設も多々あります。夜間利用を促進するにしても、周辺は暗く、徒歩で通って来られる方を考えると、積極的にはなれないという問題もありました。また一方では、コミハの夜間利用者は、30~40代くらいの世代が、仕事の後に利用するケースが比較的多いという指摘もありました。利用者の利便性を高めるためには、駅に近い場所などに民間施設を利用した整備が今後重要ではないかという指摘に対しては、当局からも立地が利用率に大きく影響があり、その辺を踏まえて今後の整備を検討したいといった内容の答弁もありました。
その他議論された内容としては、そもそもケアプラとかコミハとか認知度が低いから広報を促進した方が良い、コミハ・ケアプラ以外の公共施設の利用のあり方を包括的に議論すべき、災害時の利用も検討すべき、などがありました。
事業評価会議の良い点は、何より、市民参加型の公開議論、という点です。一般的な事業仕分けは、行政、有識者、議員の3者構成ですが、横浜の場合は市民がそこに入ります。また、私が参加した回に関しては、市民局と健康福祉局の担当者がならび、局横断的なテーマになっていたことも良い点として挙げられます。
しかしながら、です。問題点は沢山あります。
まず、時間が短い。今回は6つのテーマが、A班、B班に分かれて、午前、午後1、午後2と3部に分かれて行われ、各回の時間は2時間でした。私が担当したのはB班の午後1でした。その実際のタイムスケジュールは、
13:30~13:55 市民局、健康福祉局の担当者から概要説明
13:55~13:56 事務局(総務局)からの論点整理
13:56~15:10 議論
15:10~15:25 議論取りまとめ作業(暫時休憩)
15:25~15:30 進行役からの報告
という実績です。実質的な議論時間は、約75分しかありません。会議の場には、議員が6名、公募市民が4名、有識者が1名(1名欠席)いましたので、75分÷11名=6.8ですから、1人当たりの持ち時間は7分無いわけです。この75分には当局の答弁も含まれますから、1人が話せる時間は実際はもっと短くなります。さすがに、誰か1人だけが長く話すわけにもいきませんし、進行役も全員が話せるよう促していきますから、議論が広がらないし、深まらない。おかげで、議論が「もやっ」としている。話し足りないし、聞き足りないし、当局の答弁もはっきりしないし。
また、コミハのうち学校施設活用型(学校内設置)は、教育委員会の所管になっています。にもかかわらず、教育委員会の担当者が出席していない。これでは、議論が十分に行えません。
事業選定にも問題があります。最終的に6つに絞る際には、公募市民からアンケートをとって選定していますが、その前段階の16事業を選定したのは行政です。行政の事業を普段から評価しているのは、議員です。前段階の事業選定に議員も参加させるべきではないかと、考えます。
広報活動にも疑問があります。今回の場合、公募市民はのべ24名参加されました。1人の方が2つの会議に参加されたりしているので、正味18名です。この公募に、応募があった人数が32名です。たったの。また、傍聴者も少なかった。自分が参加した回と、その後の2つ、計3会場を見ましたが、大体20名前後が傍聴席にいました。ただその中には、市役所の職員や区役所の職員、議員も座っていたため、実際の一般傍聴はもっと少なくなります。会議の目的には「市民が直接参加し、公開の場で議論を行う」とありましたが、申込者、傍聴者の数がこれしかない。多分、事業評価会議自体を知らない市民が大半でしょう。会場となった開港記念会館の入り口には、一切事業評価会議の案内はありませんでした。たまたま通りかかった方が、飛び入りで参加することもできない状況での開催です。
インターネットでも中継が行われましたが、ストリーミング放送の回線は、1,000アクセス程度を想定して用意されました。同時に1,000人くらいの方が視聴しても大丈夫、という状態。横浜市民は、約370万人います。前回は月曜と火曜に開催されましたが、今回はより多くの市民の方に傍聴・視聴してもらうために、土曜開催になりました。どれだけインターネットでの視聴があったか、現時点で不明ですが、回線がパンクして視聴できなくなった、とは聞いていませんので、少なくとも1,000人未満の視聴者しかいなかったのだと思います。
それと、会場の席の配置と、カメラの配置も気になりました。海上の机は“ロの字型”に配置されましたが、傍聴席から見て、相対するのが進行役、左側に公募市民と有識者、右側に議員、背中を向けているのが当局職員。カメラの向きも同じ。会場からも、ネット視聴者からも、質問に答えている当局者の様子が見えないのです。市民に開かれた状況を作るにも、背中を向けるのは進行役で、当局職員も市民から見える場所に席を配置すべきではないかと考えます。
と、色々書きましたが、要するにダメだってことです。
事業評価会議のポイントは、市民の意見、市民参加、市民に公開、です。でも、それぞれを分割して考えると、何も「横浜市事業評価会議」じゃなくても良いと考えます。まず、市民の意見を得られるという点では、泉区の地域協議会や区民会議もありますし、パブリックコメントやタウンミーティングなど他にも沢山方法があります。市民参加という意味でも、上記と同様の方法でも良いでしょうし、複数回長期的に行うこともより多くの方に参加してもらいやすくできます。公開に関しても、通常行われている常任委員会を、土日や平日の夜間に行う等、見てもらいやすくする工夫はあります。
結局のところ、「横浜市は、市民参加型で事業の見直しを行っていて、改革意欲がありますよ」というパフォーマンスにしか見えない。お手盛りで事業を選定して、結論も出さないで、傍聴者もろくにいない中で、終了。これは市民のためになっていますか?
今回の結果は、後日HPで公開されます。昨年の分も公開されています。あとは、今回の結果が、どのように平成24年度予算に反映されるのか。そして、来年度は事業評価会議をどうしていくのか。注目しつつ、意見していきます。
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Comments 2
事業評価会議に参加しました。 庶務事務集中化・外部委託化です。確かに一人の発言時間は短かったと思います。6分ではありませんでしたが・・。資料提供が非常に少なく3日ほど前に郵送されてきました。まあ個人的にネットから様々あ情報を入手し、また職員にもヒアリングをしたりしましたので、それなりに準備はしていきました。あの会議での課題や問題は市会ではなんらかの担当を決めて進めることはないのでしょうか?縦割りで各党派で始める人はやってみる程度なのでしょうか? 議員も資料読み込みを直前にしているのではないですかね・・・いずれにしてもあまりにも市民参加や公開といったところから離れたやり方ですね 地域協議会の進め方についても本当に市民(泉区民)はやれると考えているのでしょうか? エリアマネジメントと連動させてどこかの区(泉区)にトライさせているように見えます。他の区ではまだまだエリアマネジメントも進みませんし、まして地域協議会はどの区もやらないのではないでしょうか? なぜ進まないのでしょうねえ・・・。
コメントありがとうございます。
資料提供は3日前だったんですね。ずいぶん遅いですね。私の担当した「地域コミュニティ」の担当者には、市民の方に情報を早めに多く提供しないと、職員や議員との情報量に差が生まれて十分に議論できない、と指摘していたのですが、全ての会議がどうだったのか気になりますね。
事業評価会議の議論を、議会でそのまま継続する仕組みはありません。議論に参加して関心をもった議員が取り組む以外にはなかなか難しいでしょうね。特に、「地域コミュニティ」は市民局、健康福祉局、教育委員会が関係するため、より取り組むが難しい状況にあります。そのため、市民利用施設のあり方に関する特別委員会の設置が必要ではないか、という指摘も行われました。議会でも反映されず、予算に反映されるかもよく分からない、というのが現状です。
ご指摘の通り、市民参加、公開という面からは何も実りの無いもの、形式にすぎないですね。位置づけが曖昧ですし、問題点ばかりです。市民のための取り組みとは、とても言えませんよね。
泉区の地域協議会、地区経営委員会の取組は視察に行きましたが、参加している市民の方、会長は、非常にやりがいを感じていらっしゃいました。取組を通じて、情報を得られる、議論ができる、結果が出る、という所がポイントだと思います。事業評価会議とは正反対ですね。