横浜市の「新たな劇場整備の検討」と課題。その2。常任委員会から。

2020-09-21 22:03:11 | カテゴリ:活動報告


新たな劇場整備

2020年9月14日、横浜市会令和2年第3回定例会の「政策・総務・財政委員会」が開催されました。政策局の審査においては上程された議案の他に、横浜市が進める「新たな劇場整備の検討」について報告が行われました(※配布資料はこちら)。

7月1日に開催された委員会でも報告が行われ(※前回の委員会)、今回はそれ以降の検討委員会や部会での議論をまとめた報告となっています。この間、劇場整備検討候補地とされているみなとみらい60・61街区の土地の価格が約135億円であることや、年間の運営費がケース1では45億円、ケース2では55億円、ケース3では35億円かかること、運営費のうち管理費18億円は市費となり、次世代育成等の費用には市費や国費を充てようとしていることなどが説明されてきました。建設費はまだ示されていませんが、数百億円にのぼることは間違いなく、土地代や運営費、修繕費など含め、非常に大きな投資になることが予想されています。

一方で、横浜市の令和3年度予算編成にあたっては、970億円の収支不足に陥ることが明らかになりました。また長期財政推計も公表され、人口減少が中位推計で進行した場合、2065年の収支差は2,160億円のマイナスになることが明らかになっています。非常に厳しい財政状況が推計されているなかで、劇場にかかる費用が大きな負担になることが予想されます。(※参考資料

以下、藤崎浩太郎の質疑部分を抜粋した中継動画と、その文字起こしです。
(※議事録ではないので、実際の内容とは若干言い回し等が異なります。)

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藤崎 ありがとうございます。手短にしたいと思うんですけど、この間は前回の委員会等々からこの間はですね、変化したことといえば大きなのがやはり、収支見通しで970億円の収支、まあ来年度ですね、令和3年度の970億円の収支不足というのと、長期的な財政見通しで1,000億から2,000億程度の市税収入の減少というのが見えてきたと。長期的な方は、人口が減少するのはわかっている中で、一定程度予測はされたものの、ここまでかという大きなインパクトがあったかと思います。もう少しスパンを長くすると、この劇場計画が出た段階からひっくるめると、コロナという形での、世界経済と財政の悪化。で今回はこの970億円という数字も出てきて、非常にやらなくちゃいけない政策がたくさんある中で、でも予算編成の中では聖域なき事業の見直しが求められているという現状を踏まえていくと、今他の委員からもご指摘ありましたけど、急いでこれやっていくことなのかというのは、率直な感想をお持ちの方も多いんじゃないかというふうに思います。

特にその大型の公共投資になるはずですよね。まだ金額、建設費出てませんけれども、多大な予算が必要となって、長期的に運営費も出るし、修繕等にもお金がかかるし、うまくいかなかったら誰がそこの穴埋めをするんだという話もよくわからない。ここらへんっていうのが、来週23日の部会で出てくるって話、建設費に関しては部会で出てくるということですが、そもそも最初に始まった段階から社会状況、世界状況大きく変化した中で、前提条件がもう変わったわけですよね。当時はインバウンドがある程度伸びていくだろうとか、経済的にも比較的状況がよかった、いい状況にあって、劇場というものが描かれて、そこでインバウンドひっくるめて収益作っていこうという話だったものが、もちろんその、この今日の資料の表紙の1番の案にもね、「ポストコロナ社会での新たな劇場の位置づけ」とか書かれていますけど、そもそもお金の問題をクリア出来ないことには、説得力を持つ計画には出来ないはずで、やはり見えないリスクもたくさん抱えたまま、これ進めるのは本当にいいのかというのは、はなはだちょっと疑問だなというふうには思っています。慎重になるべきだというふうに思っています。

その上で伺いますけれども、まあこれ前も言ったんですけど、青天井で税金使っていいものじゃないはずですよね。今後建築費が出てくるとか、財源内訳出していきますとかって言ってますけど、これ出てくるものがそのまま受け入れてください。受け入れましょう。なのか、今後例えば来週で400億円ですとか、500億円ですと建設費が出たときに、まあそうは言ってもそんなにお金出せないから200億円くらいのものにおさまるようにしませんか?っていう話になっていくのか、このへんどういうふうに考えていらっしゃるのか教えていただけますか?

尾仲富士夫 芸術創造本部室長 そうですね。あのもともと昨年度末、あるいはコロナの病気が発生した後もですね、やはりそのいろんな意見はあるけれども、今副委員長が言われた通り、お金がどう回るのかは重要だよというご指摘もあり、まずはお金を算出しようということで、委員会側の、検討委員会側もその主旨ということで作業をやってまいりました。で、やはりそのより、なんていうんでしょう、目指すものを実現するためには、こういったレベルのものというような形の、なんていうんでしょう、数字というものはこれから出していくというふうに考えております。しかしながら、今副委員長が言われました、数字をたとえばやり取りの中でとなると、おそらく現実的にはですね、スペックを下げていくようなことですとか、そういったようなことがあるかと思いますが、今私共のほうとしては、やはり求められる目標を達成するためのものとは何なんだというようなことでお出しをし、それをどういう形でそのお金を料理していくのかという言い方がいいかどうかはわかりませんけど、そういう形をどうやってやっていけるのかということについては、またあわせて並行してやっていくことかなというふうに思っておりまして、やはりあの今回の劇場の検討スタートのスタートがやはりしかるべき一定の水準のものにしようということでスタートいたしましたので、そこのところはぜひ守りたいというふうに思っております。

藤崎 ありがとうございます。まああのスタートラインを守るみたいな話が、たぶん世界レベルの、トップレベルのっていうのが、そこを守りたいということなんだと思いますが、確かにどうせ作るならいいものにしたいというお気持ちはわかるし、それによってしっかりと結果が出るような劇場運営が出来るのであれば、まあそりゃその通りでしょうと思いますが、その理想としたものが前提条件の中で出来てきたはずですよね?今から新しくね、今この状況で始まった話じゃなくて、2,3年の間に話が出てきて、見通しが変わってるわけなんで、前提条件、そもそもの時代背景というかね、2,3年前から始まったその議論の時点から、過ぎた部分で変化した部分というのを織り込んだ形で計画を作らないと、もうこれ着工してるわけでも何でもないので、事業化されているわけでもないわけで、検討委員会にまだ渡されているだけの話で、基本計画が出来たわけでもないですよね?

ここらへんで今一番修正できるタイミングにあって、修正作業というものを、やはり皆さんがね、検討委員会は言われたことを検討委員会としてやっていただいてますけど、依頼する側がやはりあのブレーキをかけるならブレーキかけなきゃいけないですし、検討委員会が言ったからその通りやるんです。でもないはずだし、もちろん検討委員会が悪いとかいいとかそういうことではなくてですね、変化した中で、行政の皆さんがそれに合わせて足を止めるのか、まあやめるという方法だけじゃなくてね、あの時間を少しおいて、1,2年ポストコロナがどう動いていくのかもそうですし、横浜市の財政状況がどうなるかも、まあ2,3年しないと少し回復状況が見えないわけですよね?そういう時間を割いていくというのは、特段この計画に対してね、問題になるとは思えないんですが、要はそういう時間に対する考え方というか、少し先送りしていくとか、そういったことっていうのは考え方としてはあまりないんですか?

尾仲室長 現段階ではですね、まずやはりその繰り返しになりますが、総事業費、総運営費というものがどのくらいのコストかかるのかということをしっかりお出しをし、それを今の横浜の財政状況でどう考えていくのかということで、それは検討委員会だけではなくて、私共もそれは検討委員会の答えにすべて私共が従うということではなくて、最終的には行政が1つの考え方をお示しをしなくてはいけませんので、それについては今副委員長の言っているニュアンスと私の答えの内容が一致しているかどうかわかりませんけれども、あくまでも市当局としてもですね、今の財政状況の中でこういった形で算出した数値について、どういうふうに考えていくのかっていうことについては、私共しっかり検討したいとは思ってます。

藤崎 ありがとうございます。意見だけにしておきますけど、今室長がおっしゃった部分っていうのは、すごい重要だと思います。出てきた数字、数字を出される作業をされてきたので、それを出すってのは重要なことだし、それによって進む理解もあるし、一方では片付いていない課題もあるということだと思うので。ただその中でお金がなければね、ない袖は振れない世界で、出てきた数字にどう向き合っていくかっていうのは本当に重要だと思いますので、数字自体は23日に我々もしっかりと見させていただいて、その後の議論につなげていきたいというふうに思いますので、ぜひ行政のみなさんもですね、長期的な財政と市民の生活に何を優先していくか、今何を優先しなくちゃいけないかというところ重きを置いてですね、優先順位をつけながら、取り組んでいただきたいということを要望して終わります。以上です。

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