中学校給食全員給食化へ、議論山場。本会議議案関連質疑。

2022-12-10 19:07:50 | カテゴリ:活動報告


藤崎浩太郎

2022年12月6日、横浜市会令和4年第4回定例会本会議にて、議案関連質疑を行いました。

1 市第58号議案(横浜市地球温暖化対策実行計画の策定)関連
2 市第59号議案(横浜市中期計画2022~2025の策定)関連
 ・横浜市中期計画2022~2025の策定
 ・小児医療費助成
 ・中学校給食
3 市第61号議案(横浜市個人情報の保護に関する条例の全部改正)関連
4 市第69号議案(横浜市営住宅条例の一部改正)関連
5 市第79号議案(放射線対策等に要した費用等に係る損害賠償請求についての和解)関連
6 市第94号議案(令和4年度横浜市一般会計補正予算(第6号))関連
 ・子どもの貧困対策推進事業
 ・信用保証料助成等事業
 ・陽性高齢者ショートステイ事業

という大きく6項目、全部で29の質問を、市長、副市長に対して行いました。

以下、質問の原稿と答弁のメモです。(議事録ではないので、実際の内容とは若干言い回し等が異なります。また、一括質問、一括答弁形式ですが、編集し、質問と答弁を並べています。)
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1 市第58号議案 横浜市地球温暖化対策実行計画の策定

はじめに、「市第58号議案 横浜市地球温暖化対策実行計画の策定」について伺います。

温室効果ガスの削減目標を、国の掲げる2030年度46%削減よりも高い、2030年度50%削減を掲げた横浜市の実行計画が議案として提出されました。国を上回る高い削減目標を掲げた横浜市として、また、日本最大の基礎自治体である大都市として、本市の新たな実行計画で掲げた施策がどのような内容なのか、市民生活にとっても重要なことです。また、山中市長が就任されて初めての実行計画の改定であり、市長のリーダーシップを発揮した施策を大いに期待しているところです。そこで、

質問1 市長として、特に力を入れていく施策について伺います。
山中市長 計画には、横浜臨海部脱炭素イノベーションの創出、脱炭素経営支援の充実、脱炭素に対応したまちづくり、脱炭素ライフスタイルの浸透、そして市役所の率先行動の5つを重点取組に設定しました。これら、市内経済の循環・持続可能な発展、並びに市民や事業者の行動変容に資する取組を中心に、目標の達成に向けて、全力で取り組んでいきます。

377万人の市民を抱える横浜市として地球温暖化対策を進めるには、市民の皆様に計画や、計画に基づく事業の重要性を理解していただくことが不可欠です。実行計画では重点取組4において「脱炭素社会の実現には、市⺠⼀⼈ひとりの⽇常的な⾏動を脱炭素ライフスタイルへ転換していくことが必要です」と掲げ、「関心のある層の⾏動変容に重きを置く」としています。いかに市民の皆様にご理解・ご協力いただけるかが、計画の推進に重要となります。そこで、

質問2 脱炭素化に向けて市民の皆様にどのようにご理解・ご協力いただくのか、市長に伺います。 
市長 より多くの市民の皆様が、脱炭素を自分ごととして受け止め、実践していただくことが重要です。分かりやすさや具体性を重視しながら、SNS等での情報発信を進めるとともに、デジタル技術やインセンティブの活用、また、身近な地域で再エネを活用したまちづくりを進めるなど、国や民間企業と連携しながら取り組んでまいります。

市民の皆様のみならず、事業者の皆様にご理解・ご協力いただき、取り組んでいただくことも重要です。関内エリアにはスタートアップ企業が集積してきていますが、ESGに配慮した経営に取り組むことはスタートアップ企業が資金調達を行う上でも重要な要素になってきています。このようなビジネスエリアを、再エネ電力を導入しやすい環境に整備していくことができれば、スタートアップ企業の一層の集積に繋げられるかもしれません。本市として市内事業者の再エネへの切替えを後押しするような取組が必要だと考えております。 そこで、

質問3 事業者の再エネ導入をどのような手法で拡大していくのか、市長に伺います。
市長 本市焼却工場の再エネ価値を活用した「はまっこ電気」及び他自治体との広域連携による再エネ電気に、これまでに、市内約70の事業者が切り替えています。このほか、県と協調した取組も実施しており、引き続き、多様な選択肢を創出しながら、事業者の再エネへの切替えを促進していきます。

2050年脱炭素社会の実現並びに2030年度目標の達成に向けて、横浜市が日本全体をけん引する施策を展開していくことを要望して次の質問に移ります。

2 市第59号議案 横浜市中期計画2022~2025の策定

次に、「市第59号議案 横浜市中期計画2022~2025の策定」について伺います。

【横浜市中期計画2022~2025の策定】

これまでの中期計画は、政策の目標や指標との関係が不明確であり、その点が大きな課題でした。今回示された中期計画では「特徴1」として、計画策定に合わせて、政策・施策と関連する事業を紐づける、「政策-施策-事業」の体系化が行われています。これまでの中期計画でも必要性を提案してきましたが実現できていなかったものであり、今回果敢にチャレンジされたことは大きな前進と考えています。そこで、

質問4 中期計画の策定に合わせて、「政策-施策-事業」の体系化を行ったねらいについて、市長に伺います。
市長 今回の計画では、事業・予算を固定せず、施策の方向性・指標を示した上で、毎年度の予算編成の中で、施策の達成に最も効果的な事業を議論・追求していきます。この議論の実効性を高めるために、体系化により、計画に掲げた政策・施策と、それに紐づく事業との関係性を明確にいたしました。

一方で、今回の計画から、個別の事業名や事業量を掲載するのではなく、施策の方向性とその指標を掲げる構成となりました。これは、計画で予算を固定するこれまでのやり方を変えて、各事業の施策に対する貢献度等を考えながら、予算編成・事業執行を進めていくことのあらわれと受け止めています。今後も厳しい財政状況が見込まれる中で、中期計画を実現していくためには、財政ビジョン・行政運営の基本方針との三本柱で進めていくことが不可欠と考えますが

質問5 中期計画と財政ビジョン・行政運営の基本方針との連携について、市長に伺います。
市長 財政ビジョンで示した収支不足の解消に向けて、中期計画に掲げた施策の達成に効果的な事業への選択と集中を行うとともに、行政運営の基本方針を踏まえた「創造と転換」を理念とする歳出改革などにより、計画推進に必要な財源も確保していきます。政策・財政運営・行政運営を連動させることで、「施策の推進と財政の健全性の維持」を目指します。

横浜市では、中期計画とは別に、子育てや障害、まちづくりなどの各分野で、法定または市独自の分野別計画が策定されています。分野別計画は、施策の内容等で中期計画と整合を図ってはいますが、対象となる計画期間が異なることもあり、達成指標などが必ずしも一致しているわけではありません。様々な分野別計画が、バラバラに進んでいかないように、すべての分野で共通の指針となるような都市ビジョンが必要です。

これまでは、横浜市基本構想・長期ビジョンがその役割を担っていましたが、目標年度である2025年が近づいていること、地方自治法の改正によって基本構想の策定義務がなくなったことを踏まえると、長期ビジョンに代わる都市ビジョンを改めて考える時期に来ているのではないでしょうか。そこで、

質問6 長期ビジョンに代わる、市政全体に共通する都市ビジョンが必要と考えますが、市長の見解を伺います。
市長 社会の変化が早く、先を見通しにくい時代になっている今こそ、未来の横浜のありたい姿として、暮らしや都市のイメージを市民の皆様と共有して、その実現を目指していく必要があると考えました。そこで、今回の計画では、共にめざす都市像として「明日をひらく都市」を掲げ、今後の市政運営の指針といたしました。

計画に掲げた政策・施策の実効性を高めるためには、節目で振り返り、PDCAを回していくことが重要です。前回の計画では、4年間の計画期間の中で、中間期と最終期の2回、指標や事業量の振り返りを行いました。今回は、個別の事業を記載しないなど、計画の構造を大きく変えていますが、どのようにPDCAを回していくのかが課題ではないでしょうか。そこで、

質問7 今回の中期計画はどのように振り返りを行うのか、市長に伺います。
市長 計画に掲げた指標が、前年度に実施した事業によって、どの程度達成されたのかを毎年検証して、翌年度の予算編成の議論につなげます。指標の達成状況については、市民の皆様にわかりやすい形でお示ししていきます。

今回の中期計画では、これまでの計画にはなかった「基本戦略」を打ち出したことも特徴の一つです。子育て支援を軸に、人口の増加を図るという方向性には賛成です。
一方で、人口増に向けて、子育て支援策に力を入れることは、最近のトレンドであり、他都市でも成果が出てきているところもあります。遅れを取り戻すためにも、本市は一層力を入れて進めていく必要があります。そこで、

質問8 基本戦略を軸に、子育て世代を中心とした人口の増加を目指していくことについての市長の意気込みを伺います。
市長 地域の皆様と直接会話を重ねる中で、「子育て」の課題・ニーズの大きさを実感し、子育て支援を軸とした基本戦略を中期計画の核に据えました。子育て世代への直接支援に加えて、地域コミュニティや経済の活性化、まちづくりなど、あらゆる施策を連携させることで、横浜を子育てしやすいまち、そう思っていただけるようなまちにしていきます。

【小児医療費助成事業】

次に、横浜市中期計画2022~2025のうち、「小児医療費助成事業」について伺います。

私達会派は従来から小児医療費助成事業の制度拡充を強く求めてきました。小児医療費の中学生まで無償化を公約に掲げて当選した山中市長により、中学3年生までの所得制限と一部負担金を撤廃するという方針が中期計画で示されました。本市の子育て支援を大きく進める一歩であると思います。そこで、

質問9 改めて、小児医療費助成事業の制度拡充を打ち出した市長の思いを伺います。
市長 本市において戦後初めて人口減少に転じた今、子育て支援を強めていくことが重要であると考えています。子育て世代への直接支援の取組として、経済的な負担を軽減し、安心して医療を受けられる環境をつくるために、小児医療費助成事業を拡充したいと考えています。 制度の拡充を打ち出してからも、市民の皆様から待ち望む声をいただいておりますので、引き続き市会の皆様と議論をしながら進めていきます。

我々も山中市長ともに、制度拡充を進めていきたいと思います。

今回示されている中期計画の原案では、制度拡充の実施時期については、「令和5年度中」という表現がされています。制度拡充により、お子さんの健康を守ること、そして、子育て世帯の経済的負担を軽減することなどの恩恵があり、多くの方が待ち望んでいます。そこで、

質問10 できる限り早期に制度拡充を実施すべきと考えるがどうか、市長の見解を伺います。
市長 今後のシステム改修の作業スケジュール、毎年実施している医療証の一斉更新、制度拡充により新たに対象になる方々への申請手続などを勘案いたしまして検討いたします。

横浜がこれまで以上に安心して子育てできる街となるようさらに取り組んでいただくことを要望し、次の質問に移ります。

【中学校給食】

続いて、横浜市中期計画2022~2025のうち、「中学校給食」について伺います。

全員喫食の中学校給食の実現は本市の長年の課題であり、私達会派が提案してきた政策です。私自身もこの12年間提案を続けてきた政策であり、中期計画に位置づけられたことを評価しています。

これまで特に子育て世代の当事者からは、早く全員で食べる給食を実現してほしいというご意見を、長い間、本当に多くの方からいただいてきました。お会いすると「うちの子が卒業してしまったよ」という言葉をいただくたびに、申し訳ない気分でいっぱいな12年間でした。今回策定された中期計画原案の中で、今後の中学校給食の方向性について、「令和8年度から中学校給食の利用を原則とする」と示されました。

山中市長の強いリーダーシップのもと、教育委員会において自校方式、親子方式、センター方式、デリバリー方式等の検討を行った結果、デリバリー方式で全員に供給できる体制を確保する方向性が明記されています。検討に当たっては、他の方式と比べて、デリバリー方式には最短で供給体制が構築でき、今まさに子育てしている皆さんのご負担を、できるだけ早く軽減できるという大きなメリットがあります。その他にも、現在の中学校給食の契約期間が終了する令和7年度末を見据えた実現可能性が高い手法であることや、財政負担についても他の方式よりも低コストであるなどメリットがあります。

子育て世代をできるだけ早く支え、あらゆる教育環境を確保しながら確実に実現できる手法を選択し、全員で食べる中学校給食を責任を持って実現しようという市長の決意を感じます。そこで、

質問11 デリバリー方式で早期に供給体制を構築する意図及び実現に向けた決意について市長に伺います。 
市長 生徒の成長を支えるために、栄養バランスの整った給食を全員に届けることは、学校給食法の趣 旨であり、多くの市民の皆様からの長年の要請であると受け止めております。 デリバリー方式は、政令市最多となる 83,000人分の生徒・教職員に対して、「同時期に」、「同じ内容で」、そしてこれを「早期に」、提供することができる本市にとって最適な手法です。令和8年度の供給体制の確保に向けて、民間事業者の参入意欲を喚起するためにも、本市の方向性を明確にする必要があり、中期計画を議決いただき、長年望まれてきた原則給食の実現に向けて、着実に進めてまいりたいと考えております

現在提供されている、選択制のデリバリー型給食についてのアンケート調査の結果では、主菜の味については、79%の生徒が普通以上と回答されるなど、一定の評価が得られています。

また、量の調整や温かさ、配膳環境、アレルギー対応等、デリバリー方式における課題も浮き彫りになってきました。「すべての生徒が満足できる中学校給食」を実現するために、こうした様々な課題・ニーズに細やかに向き合っていく必要があるのではないでしょうか。そこで、

質問12 アンケート等で明らかになった生徒及び保護者のニーズに対して、今後どのように取り組むのか市長に伺います。
市長 今回のアンケート結果で明らかとなった、「温かいおかずの提供」、「副菜の献立の改善」、「一人一人に合わせた量の調整」、「食育の更なる推進」などの諸課題を真摯に受け止め、事業者からのアイデアも参考にしながら、更なる発展に向けて改善を続けていきたいと考えております

他都市では、デリバリー方式から別の方式に転換している事例がみられ、その点を心配する声もありますが、重要なことは、中学校給食において生じる課題が何なのかを分析し、把握することであり、その上でどうやってその課題の対応策を講じていくのかということだと思います。他都市の事例を参考にしながら、横浜市の課題をしっかりと捉え、どうしたらすべての生徒が満足できるかを追求していくことが重要だと考えます。そこで、

質問13 令和8年度からの原則利用が円滑に開始できるよう、他都市の事例を分析・把握したうえで準備を進めるべきだと考えますが、市長の見解を伺います。
市長 他都市の事例を参考にすることは、重要な観点だと考えています。個々の実施方式ごとの課題はありますが、どのような実施方式であっても、より良い給食を提供するために、常に改善を図っていく必要があります。 デリバリー型給食で喫食率が高い鎌倉市では、広報を丁寧に行ったことが成功の要因だと捉えています。原則給食を実施している他都市の好事例を分析しながら、円滑にスタートすることができるよう、引き続き検討を進めてまいります

令和8年度にむけて、これからの3年間が大変重要になります。長いようで短い時間を有効に使い、例えば、全員給食のモデル校を設定して、全員喫食を実施した場合の課題の検証や、保護者や生徒の不安を解消するなど、よりよい給食の実現に向けた準備を進めていく必要があるのではないでしょうか。そこで、

質問14 原則利用実施までの3年間を有効に活用して、大幅に食数が増えた際の配膳方法や利便性の向上に資する具体的な取組を進めるべきだと考えますが、市長の見解を伺います。
市長 大幅に食数が増えることに備え、学校現場の意見も踏まえながら検討を進めていく必要があると考えています。 配膳環境については、ソフト面、ハード面で充実を目指します。また、原則利用を先行実施するモデル校を設置いたしまして、効率的な配膳方法や食育の実践方法などを検討します。令和8年度から、全校でスムーズに給食の原則利用をスタートできるよう、進めてまいります

合わせて、満足できる給食を提供し続けるためには、不断の努力が必要です。そのためには、令和8年度に全員喫食を実施して終わりではなく、その後も絶えず評価・分析・改善を行っていく必要があるのではないでしょうか。

他都市では、独自の評価指標を設けて、毎年分析、評価を行いながら、改善に努めている例もあります。給食の形態や学校における食育の浸透度などの違いがありますので、評価指標については横浜市にあったものを考える必要はありますが、給食の質を維持・向上させていくためにも、令和8年度以降の状況の確認や課題の把握、その課題の解決を行う努力を継続していく必要があると考えます。そこで、

質問15 中学校給食が満足されているか、令和8年度以降も継続的に検証・改善を続けていくべきだと考えますが、市長の見解を伺います。
市長 現在の中学校給食は、生徒や保護者の声を真摯に受け止め、「味」や「献立」などの改善を図ってまいりました。 原則利用となる令和8年度は、ゴールではなく、「新たな横浜の中学校給食」のスタートです。アンケート調査などを通じて、給食の満足度や食育の浸透度を把握しながら、給食に対する評価 を分析し、日々改善に努めてまいります

今回の方向性は、生徒の成長のため、また子育てしやすい街づくりの視点からも山中市長も相当の覚悟を持って策定したことと思います。
是非、より良い給食となって全員喫食をスタートできるよう、令和8年度からの新しい中学校給食の実現に向けて、全庁を挙げて取り組んでいただくことを要望して、次の質問に移ります。

3 市第61号議案 「横浜市個人情報の保護に関する条例の全部改正」

次に「市第61号議案 横浜市個人情報の保護に関する条例の全部改正」について伺います。

今回の「個人情報の保護に関する法律」の改正は、国や自治体、民間事業者によって分かれていたルールを一元化するものとのことです。一元化がなされた結果、条例の条文の大部分はなくなり、個人情報保護法に基づき保護に関する事務が行われるとのことですが、それにより、何が変わるのか、特に、市民生活へどんな影響がでるのかが重要なポイントです。そこで、まず、

質問16 法改正により、市民生活にどのようなメリットがあるのか、市長に伺います。
市長 日々の市民生活に、直ちに影響が及ぶものではありません。国の個人情報保護委員会は、保護法制が一元化されることで、医療機関間での情報連携が円滑に行われるようになり、共同研究が行いやすくなることで治療薬の開発が進むなどを、法改正に期待する効果として説明しています。これらを通して、市民生活にもメリットがもたらされるものと考えております。

また、ルールの一元化は、官民や地域を超えたデータの利活用を目的としているとのことです。データの利活用は、横浜市でもかねてより取り組んでいることであり、今回の法改正は、追い風になるのではないかと期待しています。データサイエンティストとしてのキャリアをもつ山中市長にとって、データ活用は力を入れたい政策分野でしょうし、この法改正をチャンスととらえていらっしゃるのではないでしょうか。そこで、

質問17 法改正を受けたデータ利活用に対する横浜市の取組について伺います。
市長 私自身も、以前の研究者としての活動の中で、個人情報の取扱いについては、諸課題を感じておりました。今般の法改正により、医療機関や学術機関間での情報共有がしやすくなること、行政機関等匿名加工情報制度が導入されることなどは、大きな転換点であると考えています。法の趣旨が実現できるよう、新制度や匿名加工情報に係る提案募集の状況等を、丁寧に周知していきます。

個人情報の利活用を進めていくに当たっては、大前提として、個人情報がきちんと保護されていることが肝心です。個人情報漏えい事故が起きるようなことがないよう、個人情報をしっかり管理し、守れる横浜市であってこそ、個人情報の利活用への理解が得らえるのではないでしょうか。データの利活用を活発化させるためにも、個人情報の保護は徹底していただきたいところです。そこで、

質問18 個人情報の保護について横浜市の独自措置について市長に伺います。
市長 新個人情報保護法の下では、本人以外の者からの個人情報収集や、人種、信条及び社会的身分に係る情報の収集も、法令の定める所掌事務の遂行に必要な範囲内であれば、特段制限はされません。本市においては、適切な検討をした上で収集する旨の基本方針を条例に定めることで、市民の皆様の信頼に基づいた法の運用を図ってまいります。

市民の個人情報の保護策をしっかりと講じながら、横浜市の有するパーソナルデータを有効に活用し、市民の利便性を高め、豊かさを実感できる生活を実現できるよう取り組んで頂くことを要望し、次の質問に移ります。

4 市第69号議案 横浜市営住宅条例の一部改正

次に、「市第69号議案 横浜市営住宅条例の一部改正」について伺います。

今回の条例改正により、共益費の新しい徴収制度の導入が可能になるとのことで、入居者の皆さんを支えるための制度が円滑に導入されることを期待しています。

さて、共益費の制度改正もさることながら、私は、今回の条例改正の中で、特に、単身入居や優遇倍率の対象となるDV被害者の範囲の拡大にも注目しています。DV被害者への支援を行政が積極的に行っていくことは非常に重要だと思います。DV被害者救済は喫緊の課題であり、市営住宅行政における支援策が充実することは、意義のあることだと思います。そこで、

質問19 制度内容を関係機関に確実に周知することが重要と考えますが、市長の見解を伺います。
市長 住宅セーフティネットの根幹を担う市営住宅施策の推進に当たっては、日頃から関係する機関と十分な連携を図り、相談者への適切な対応を心がけております。特に、DV被害者への支援につきましては、より丁寧かつ慎重な対応が求められることから、引き続き、窓口となる区役所と建築局が制度内容をしっかりと共有し、連携して取り組んでまいります。

対象範囲が拡大され、DVによる被害などにより困難を抱えている方々の支援につながることが期待されますが、制度を拡充したとしても、支援の現場においてその内容がしっかりと認識されていなければ、支援の網から漏れてしまう方が出てくることを危惧しています。
本市としては、DV被害者における相談窓口として、各区こども家庭支援課に「女性福祉相談員」を配置し、相談に来られた方々に丁寧に対応していると認識していますが、

質問20 本条例改正の内容について、必要とされる方々に確実に伝わることが重要と考えますが、市長の見解を伺います。
市長 DV被害などで困難を抱える方が、安全で自立した生活を送るためには、安心できる住まいを確保することが重要です。DV被害に対する支援の選択肢のひとつとして、市営住宅の活用を確実に伝えることができるよう、区役所職員への周知を徹底するとともに、相談者の状況に応じた最適な支援に、引き続きしっかりと取り組んでいきます。

市民だけでなく、困難を抱える方を現場で直接支援する職員にもしっかりと周知していただき、DV被害などで苦しんでいる多くの方々が、この制度を活用して、迅速に住まいを確保できるよう支援していただくことを期待して次の質問に移ります。

5 市第79号議案 放射線対策等に要した費用等に係る損害賠償請求についての和解

次に、「市第79号議案 放射線対策等に要した費用等に係る損害賠償請求についての和解」について、質問いたします。

本市では平成23年の東京電力福島原子力発電所事故の発生に伴う、放射線対策に要した費用について東京電力へ賠償請求を行っていますが、すべてが支払われてきたわけではありません。そのため、初年度となる23年度請求分のうち支払いに応じられなかった部分については、原子力損害に関する紛争解決を目的とする「原子力損害賠償紛争審査会」へ、平成30年に和解のあっせんの申立てが行われました。市第79号議案は、その申立て分について、審査会が作成し提示した和解案に関するもので、和解金額等について示されています。そこで、

質問21 和解案に示された内容に関する受け止めを、市長に伺います。
市長 和解案は、東京電力が従来支払いに応じなかった費用について、本市の主張や立証に基づき、東京電力側に支払いを求める内容となっております。全国共通の指針に基づく判断の結果、一部支払いが認められなかった経費はありますが、審査会が公正に判断、作成したものであると受け止めております。

東電への23年度請求の全体額は、12億7,300万円となっており、このたびの和解案に基づき、東電が和解金を本市に支払えば、総入金額は12億円を超えることになります。これは、本市の取組と主張が、全国的な基準に照らし判断された結果であると伺っています。
一方で、当局に確認したところ、平成24年度から令和3年度までの東京電力への賠償請求額は、合計で約72億5000万円にのぼり、東京電力から、その約75%が本市に支払われているとのことですが、未収額は、10年間分で約18億円にのぼります。そこで、

質問22 平成24年度分以降の未収額の解決に向けた意気込みを、市長に伺います。
市長 引き続き、東京電力との交渉を粘り強く続け、本市の主張を真摯に伝えて、支払いを求めていきます。一方で、早期に解決することも重要であると考えております。今回の和解内容を踏まえまして、東京電力との直接交渉においてこれ以上の支払いが見込まれない部分について、速やかに審査会への和解あっせん申立てを行うことなどにより、未収額の早期の解決に取り組んでいきます。

東電に請求しているものはすべて、本市が市民のために必要と考え支出してきた経費であり、可能な限り賠償に応じさせる必要があります。一方で、10年以上に及び、当時の対応について主張・立証していくことには、相当の労力が必要であることも、また事実であると思います。
このたびの和解で一定の道筋がつけられることになりますので、なお残る分も早期に解決されていくことが望ましいと考えます。
市長にはぜひ今後も、解決に向けた取組に力を注いでいただくようお願いして、次の質問に移ります。

6 市第94号議案 令和4年度横浜市一般会計補正予算(第6号)

次に、「市第94号議案 令和4年度 横浜市 一般会計 補正予算(第6号)」に関連し、質問します。

まず、「子どもの貧困対策推進事業の原油価格・物価高騰対策」について伺います。

昨年度は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、多くの子ども食堂が活動休止に追い込まれる中、お弁当の配布に活動を切り替える団体や、感染症対策を徹底しながら活動を継続させている団体など、それぞれの団体が自分たちにできる形で取組を進めていただき、コロナ禍における取組の形をそれぞれの団体が見つけつつある状況であると認識しています。こういった最中に、今度は相次ぐ物価高騰の影響で、またしても事業運営が厳しい状況に置かれる中、今回の支援金の創設は、地域の方たちの、子どもたちへの思いや行動を大きく後押しするものになると期待しています。今回の議案は、1万5千円~5万円と食事提供の有無等によって、補助額に差はあるものの原油価格・物価高騰対策に対する支援となっているかと思いますが、そこで、まず、

質問23 今回の支援金の積算の考え方について、副市長に伺います。
大久保副市長 食材費や光熱水費の消費者物価指数の上昇率を考慮するとともに、家計の苦しい御家庭も増えていることから、運営団体が参加費を減額しても運営を継続できるよう支援金の積算を行いました。

また、こうした厳しい状況においても、市内における子ども食堂等の取組の数は年々増加傾向にあると聞いています。子どもの貧困の背景にある様々な課題への対策を、地域や、社会で取り組み、困難を抱える子ども達を守ろうとする取り組みが拡大していくことは、大変ありがたく、心強く思います。そこで、改めて、

質問24 市内の子ども食堂などの子どもの居場所づくりの取組について市としてどのように把握しているのか、市長に伺います。
市長 各区の社会福祉協議会による活動助成金の交付や相談などを通じて把握しております。また、本市や県が実施している事業から、把握している団体もあります。今回の支援金の交付を通じて、さらに市内の団体や取組の把握を進めていきたいと考えています。

本市では、今年3月に「第2期横浜市子どもの貧困対策に関する計画」を策定し、子ども食堂などの子どもの居場所づくりの取組への支援を子どもの貧困対策推進事業の1つとして位置付け、困難を抱える子どもや家庭の早期発見・早期支援につなげていくことをねらいの1つとしています。
このような取組を実施するなかでは、困難を抱える子どもとして役所で既に把握できている子どもたちも含まれる場合もありますが、中には役所の支援を直接受けるまでには至っていないものの、困難を抱え支援を必要としているケースなど、役所が把握できていなかったり、役所だけでは支援が難しいような幅広い世帯を対象とした支援に繋がっており、重要な役割を担ってくださっていると感じています。そこで、

質問25 子ども食堂など子どもの居場所にどのようなことを本市として期待しているのか市長の見解を伺います。
市長 子どもにとって安心できる身近な居場所となることはもとより、困っている子どもや家庭に気づき、必要な支援にしっかりとつなげていくことが重要です。子どもの居場所がきっかけとなり、担い手も含めた様々な交流が生まれることで、市内の皆様が支え合える温かい地域づくりが進むことも期待しています。

このような地域の方々による熱心な取組が継続できるように、横浜市として力強い後押し、支援を要望して次の質問に移ります。

続いて、「信用保証料助成等事業」について、伺います。

コロナ関連の融資実績は、令和2年度に開始した3年間の利子補給がある非常に有利な、いわゆるゼロゼロ融資を中心に、令和元年度及び令和2年度で、総計5,337億円の利用があり、大変厳しい経営環境の中でも事業継続できるよう、本市では中小企業の資金繰り対策を実施してきました。コロナ禍では、飲食店や小売店を中心に様々な業種に大変大きな影響がありましたが、こうした資金繰り支援により倒産件数も低位で推移するなど、一定の役割を果たしていたと考えています。

しかし、長引くコロナ禍に加え、物価高騰の影響もあり、中小企業を取り巻く経営環境は依然として厳しい状況が続いています。そのような状況下でも、多くの中小企業者が元本の返済をすでに開始しているということです。そこで、

質問26 令和元年度及び2年度に実施したコロナ関連融資の融資残高等、現在の状況について、市長に伺います。
市長 令和4年10月末現在のコロナ関連融資の残高は、3,353億円です。実質無利子融資を御利用された企業の8割以上が、元本返済を開始し、おおむね順調に返済が進んでいますが、昨今の物価高騰等、社会経済情勢の先行きは依然として不透明であるため、今後の返済状況を注視してまいります。

コロナ禍に加えて、物価高騰、為替の変動、国際情勢の変化など、経営環境が大きく変化し、融資を受けた時期とは大きく異なる経営環境にあります。市内経済を支える99.5%の中小企業の方々が事業を継続できるよう、コロナ関連融資の出口戦略が必要ではないでしょうか。今回、国が創設する信用保証制度を受けて、新たな資金を創設するとのことですが、そこで、

質問27 新たに創設する借り換え保証制度に対応する資金の特徴について、市長にうかがいます。
市長 コロナ関連融資を利用した企業が、据置期間5年、融資期間10年の新たな資金に乗り換えることで、返済期間を長期化し、資金繰りの安定につなげます。また、保証料を最大2分の1助成します。さらに、融資条件として、売上げ減少に加え、利益率の減少を要件に追加し、仕入れ価格上昇等の影響を受けている中小企業の資金繰りを支えてまいります。

日頃から企業経営や資金繰りに悩まれている企業はもちろん、高い技術や成長力のある企業にとっても、こうした経営環境に対応していくには、資金繰りを安定化させることが必要ですし、厳しい状況を乗り越え、再び成長軌道を描くことにもつながります。新たな資金メニューによる資金繰り支援をはじめ、引き続き企業経営をしっかりサポートしていただくよう要望して次の質問に移ります。

次に、「陽性高齢者ショートステイ事業の新型コロナウイルス感染症対策」について伺います。

この事業は、「介護の問題等からご自宅では一人で療養生活を送ることが難しい方を高齢者施設等で受け入れる事業」とのことですが、同様の事業は、本年8月から神奈川県で実施していると聞いています。

一方で、先日国会で成立した改正感染症法の附則において、新型コロナウイルス感染症の分類の見直しを速やかに検討することが明記され、コロナ対策も転換期を迎えようとしています。事業そのものは、これまでになかった取組みであり、高齢者の支援にもつながることから評価できるものですが、転換期を迎えるなかで、本市がこの事業を実施する意義について、改めて確認しておきたいと思います。そこで、

質問28 「陽性高齢者ショートステイ事業」を実施する意義について、市長に伺います。
市長 介護や生活上の理由から、自宅療養が困難な高齢者の方の療養先を新たに確保することで、高齢者の皆様に安心して療養生活を送っていただくとともに、救急のひっ迫を防ぐことにもつながると考えております。

この「陽性高齢者ショートステイ事業」は18人分の専用ベッドを確保しているとのことですが、神奈川県が実施している事業が30人分であることを考えると、妥当な数字であるとは思います。ただ、コロナを取り巻く状況は刻々と変化しており、第8波の感染状況がどのようになるかは予断を許さない状況です。このため、18人分という枠についても必要があれば増やし、必要がなければ減らすような対応が必要ではないでしょうか。そこで、

質問29 確保しているベッド数は、感染状況等に応じて柔軟にする必要があると考えますが、市長の見解を伺います。
市長 自宅で療養生活を送ることが困難で、支援を必要とされる高齢者の方が増えた場合には、高齢者施設の御協力を得て、さらなる専用ベッドの確保に努めます。感染者数や病床使用率などを踏まえまして、柔軟に対応することで、高齢者の方々が安心して療養できる環境をつくってまいります。

「陽性高齢者ショートステイ事業」は、多くの高齢者、特に在宅で介護等を受けている方にとっては、大変心強いものであり、しっかりと進めていただきたくとともに、状況の変化に合わせた対応もお願いして、立憲民主党横浜市会議員団を代表しての質問を終わります。ありがとうございました。

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