平成22年度の決算について、市民局審査の質問に立ちました。質問したテーマは、(1)広報事業について、(2)男女共同参画事業について、の2点です。
(1)広報事業について
横浜市の広報は、「広報よこはま」、「季刊誌横濱」、「ハマジン」、TVの「ずばり!横濱」ラジオの「YOKOHAMA MY Choice!」、「ヨコハマ・オンリーワン」などがあります。今回私が質問した主な観点は、「選択と集中」です。TV・ラジオ事業には1億2千万円投じ られていますが、市民アンケートによると、TVは85%の方が見たことがなく、ラジオは90%の方が聞いたこと無い、となっています。TVの視聴率は4% 代後半がほとんどです。TVの目標値は、視聴率5%となっていますが、ここ数年で達成されたのは1度だけです。この事業に、予算を投じ続ける必要があるの か。私は無いと考えます。
「季刊誌横濱」は500万円投じられていますが、直近2年の販売数は50%未満です。事業目的の第1はシティーセールスとなっていますが、取り扱い書店の大半が横浜市内です。目的を達成できていないのではないか。
一方、フリーマガジン「ハマジン」は認知度は低いものの、7割以上の方がまた読みたいと答えており、魅力的なコンテンツ作りに成功しています。
そして、80%以上の家庭に配布されて、2億4千万円投じられている「広報よこはま」は、66.1%の方が市政情報の入手方法として挙げています。しかしながら、役に立っているという方は47.7%と、認知度の割には、満足度が低いという現状もあります。
私は、これら事業の見直しを行い、効率的・効果的な広報を行うことを訴えました。しかしながら当局は、「クロスメディア戦略として多角的にメディアを利用している」という立場からの回答であり、本日の質疑においては、具体的な見直しに踏み込んだ回答はありませんでした。
9月26日の総合審査で代表監査委員から、「決算を契機に事業の選択と集中を行うことが肝要」という主旨の指摘もありました。限られた予算の中で、市民に情報をしっかりと伝えられるように、見直しが必要だと考えます。
また、インターネット事業に関しては、Webで公開されている「ずばり!横濱」などのコンテンツを、市HPのサーバーだけでなく、Youtubeなどで公開 することでより多くの方に見てもらえるようにすること。Facebookやtwitter、Ustream、foursquareなどのソーシャルメディアの活用、ガバメント2.0やオープンガバメントの取組を提案しまし た。はっきりと具体的な答弁とはなりませんでしたが、前向きに活用をしていく旨の回答が局長よりありました。
(2)男女共同参画事業について
横 浜市中期4か年計画では「女性による市民力アップ戦略」が横浜版成長戦略5として位置付けられており、その施策としてワークライフバランスの実現が謳われています。基本 施策21として「男女共同参画社会の実現」も掲げられています。今年からは「第3次男女共同参画行動計画」も運用されています。少子高齢化が進む中、労働 人口の減少や消費の減少を防ぐためにも、男女共同参画社会の実現は重要だと考えます。
横浜市も各種取り組みを行っていますが、うまくかみ合っていないのが現状です。
3 次行動計画では、「男女共同参画」という言葉の認知度がH21時点で69.6%とされ、H26で100%を目指されています。しかしながら、69.6%の うち意味を知っている人は38.1%であり、残りの31.5%は言葉だけで意味を知らないとなっています。せっかくアウトカムの目標を立てても、これでは 「より多くの市民に理解」されているとはいえません。この点を追及したところ、「国と同じ指標を用いている」という旨の回答でした。
「第 3次横浜市男女共同参画行動計画策定に向けて(答申)」において、取組状況と課題として、グッドバランス賞などへの取組に触れながら、「市民の実態とし て、ワークライフバランスの認知状況は低」いと指摘され、「依然として~現実との乖離が見られます」と指摘がされています。このグッドバランス賞、H19 から実施されていますが、H22の事業者が対象の調査においては、全体として「ワークライフバランス」の認知度は87.6%となっており、「意味も知って いる」に限ると48.7%となります。規模別の認知度をみると、規模が小さくなるとともに認知度が下がる傾向にあり、横浜市のグッドバランス賞が対象とし ている300名未満の事業者に関しては、平均値より下回り、50%にも至りません。事業目的には市内企業への普及・啓発が掲げられて、グッドバランス賞の 案内などを50~300名規模の企業に1,700通送付されてきた中、この認知度の低さです。この認知度の低さについてどう評価しているか質問したとこ ろ、中小企業がワークライフバランスに取り組む際の困難さについての回答しか得られませんでした。
H22事業者調査の総括では、「男女共同参画の実態としては全体的に大きな変化や進展は見られない」と指摘され、課題として「中小企業における制度整備の支援」が挙げられています。また、「女性の能力を活用する上での課題」として、「女性の勤続年数が平均的に短い」ことがあげられる一方、「柔軟な働き方ができる制度を導入した効果」として、 「女性従業員の定着率向上」があげられています。つまり、課題と解決方法が明確なわけです。「行政に期待されること」として、「事業所向けの講習会」や 「社会全体の理解促進・啓発」などが挙げられていますが、中小企業向けの啓発については、まだまだ少ない状況にあります。男女共同参画センターでは個人向けの講座 ばかりですので、センターを活用して中小企業向けの講座を開催することを提案したところ、前向きに取り組む旨の回答を得ました。
また男女共同参画センターの事業の中に、「わたしのおしごとHAPPYナビ」というaidemとの共同事業があります。横浜市内での求人を扱うサイトですが、グッ ドバランス賞との連携はないということでした。横浜の施策をアピールし、横浜で就労することの良さを伝えていくために、今あるコンテンツを有効に活用すべ きではないかと考え提案をしました。
グッドバランス賞や「わたしのおしごとHAPPYナビ」、参画センターなど、男女共同参画事業はいく つもの取組を行っていますが、十分にそれぞれの施策の連携が取られてこなかったように感じました。アンケートによって「現状」と「課題」そして「ニーズ」 も明確になっています。センターという「場」もありますし、グッドバランス賞という「ノウハウ」もあるわけです。より有能な方々が、より多く本市で就労し てもらえれば、必ず経済成長に寄与します。今後は、今ある事業を上手く活用しながら、本市の就労環境がより一層改善されるよう努めて頂きたいと思います。
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